私物端末が使えない在宅|線引きを読む

在宅で働き始めたときに、日頃使っている端末では業務に使えないと言われることがあります。理由を尋ねても性能や年式の話にはならず、会社が業務の運用をどこまでの範囲で線引きしているかという話に落ち着くことが多くあります。線引きは会社ごとに文書として残されており、確かめれば読み取れます。線引きが書かれている場所と、代わりに何が貸与されるのかを確かめる観点を、ここで整理します。
私物端末が使えない理由は、会社が業務の運用に引いている線引きを確かめると見えてきます。
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この記事のポイント
- 私物端末が業務で使えない理由は、性能や年式ではなく、会社が運用に引いている線引きによることが多くあります
- 線引きは就業規則や情報の取扱いに関する規程、貸与の案内、入社時の誓約書、求人の記載といった文書に書かれています
- 雇用型就業者のテレワーク実施率は15.6%です*1。この数字は在宅で働く人の割合を示すもので、端末の線引きを決めるものではありません
1. 私物端末が使えない理由は運用の線引きにあります
私物端末が業務で使えない理由は、性能や年式の問題ではなく、会社が運用のどこまでを個人の端末に任せ、どこからを貸与された端末に任せるかという線引きによることが多くあります。線引きは会社ごとに文書として残されており、確かめれば読み取れます。
在宅で働き始めるとき、日頃使っている端末をそのまま業務に使いたいと考える場面があります。ところが、個人の端末では業務に使えないと言われることがあり、理由を尋ねても性能や年式の話にはならないことが多くあります。
実際に効いているのは、会社が業務の運用をどこまでの範囲で線引きしているかという点です。扱う情報の種類や、業務用の環境をどこまで会社側で用意するかという観点から、日頃使っている端末を使ってよい範囲が決まっています。
線引きは思いつきで決められているわけではなく、就業規則や情報の取扱いに関する規程、貸与の案内、入社時の誓約書といった文書のどこかに書かれています。読み取れば、私物端末が使えない理由も、代わりに何が貸与されるのかも確かめられます。
ここから、線引きが書かれている場所、そこから読み取れる内容、背景となるテレワークの実施率、個人の端末を使う運用と貸与された端末を使う運用の対比、確認する窓口、よくある質問という順に見ていきます。
2. 貸与に切り替わる背景を確認します
個人の端末が使えないと言われる場面の背景には、会社が貸与端末を用意する運用に切り替えている流れがあります。業務で扱う情報の範囲が広がるほど、個人の端末に任せる部分を減らし、会社側で用意した端末に業務を寄せる考え方が採られやすくなります。
この切り替えは、端末の性能が業務に十分ではないという判断ではありません。扱う情報の種類や、業務用の環境をどこまで会社側で統一するかという運用上の判断であり、端末そのものの良し悪しとは別の話です。
貸与端末に切り替える運用を採る会社では、私物端末を使ってよい範囲がもともと狭く決められている場合もあります。逆に、貸与端末を用意しつつも一部の業務では個人の端末の利用を認めている会社もあり、範囲は会社ごとに異なります。
会社によっては、対象となる業務や部署が限られている場合もあります。同じ会社の中でも、日常的な連絡業務は個人の端末で行い、扱う情報の範囲が広がる業務では貸与端末に限定するといった分け方が採られることもあります。
部署の異動や担当業務の変更をきっかけに、線引きが見直されることもあります。異動前に使えていた運用が、異動後にそのまま続くとは限らないため、変更のタイミングでは改めて確かめておくと行き違いを避けやすくなります。
次に、この線引きが実際にどの文書に書かれているかを、4つに分けて確かめます。
3. 線引きが書かれる文書を4つに分けます
私物端末が使えない理由を確かめる線引きは、いくつかの文書に分けて探せます。文書によって書かれている内容の粒度が異なります。
線引きが書かれる文書と、そこから読み取れること
| 線引きが書かれる文書 | そこから読み取れること |
|---|---|
| 就業規則 | 個人の端末の業務利用を認めるかどうかの原則 |
| 情報の取扱いに関する規程 | 業務で扱ってよい情報の範囲と、個人の端末での扱いの可否 |
| 貸与の案内 | 貸与される端末の種類と、対象になる業務や部署の範囲 |
| 求人の記載 | 募集の時点で貸与前提か個人の端末の利用前提かのヒント |
就業規則には、個人の端末を業務に使ってよいかどうかの原則が書かれています。原則だけが書かれている場合が多く、対象となる業務の範囲までは書かれていないこともあります。
情報の取扱いに関する規程には、業務で扱ってよい情報の範囲と、その情報を個人の端末で扱えるかどうかが書かれています。扱う情報の種類によって、個人の端末の利用範囲が変わる会社もあります。
貸与の案内には、代わりに何が貸与されるのかが書かれています。貸与される端末の種類だけでなく、対象になる業務や部署の範囲まで書かれている場合、個人の端末を使わなくてよい範囲も同時に分かります。
求人の記載にも、貸与前提か個人の端末の利用前提かのヒントが書かれていることがあります。入社の前にこうした記載を読んでおくと、入社後に確かめる内容を絞りやすくなります。
4つの文書は、必ずしもすべてが同じ場所にまとまっているわけではありません。就業規則と情報の取扱いに関する規程が別々の文書になっている会社もあり、両方を確かめて初めて全体の線引きが見えてきます。
手元にこれらの文書がない場合は、総務や人事の窓口に伝えれば見せてもらえることもあります。文書自体は社内で管理されているものなので、探す先が分かれば読むこと自体は難しくありません。
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4. 在宅で働く人の割合を数字で確かめます
雇用型就業者のテレワーク実施率は15.6%です*1。国土交通省のテレワーク人口実態調査による数字で、在宅を含めて働いている人がどれくらいいるかを示しています。
この数字は在宅で働く人の割合を示すものであり、私物端末が使えるかどうかや、貸与される端末の種類を決めるものではありません。テレワークを実施している会社であっても、端末の線引きは会社ごとに異なります。
テレワークを実施する人が一定の割合でいるからこそ、端末をどう用意するかという運用の線引きが、会社にとって整理しておく必要のある事項になっています。数字自体は、線引きの内容までは示していません。
5. 個人の端末と貸与の端末で運用を比べます
私物端末を使う前提の運用と、貸与された端末を使う前提の運用では、日頃の使い方だけでなく、故障したときの対応窓口や、業務に使う範囲の揃え方も変わります。
個人の端末を使う前提の運用では、日頃使っている環境のまま業務に入れる分、準備の期間は短くて済む場合があります。一方で、端末の管理は基本的に本人に委ねられる範囲が広くなります。
貸与された端末を使う前提の運用では、会社が用意した設定のまま使い始められ、故障や設定変更の窓口も会社側に用意されています。その分、業務に使える範囲は貸与された端末の仕様に合わせることになります。
どちらの運用が採られるかは、会社がすでに引いている線引きによって決まっており、私物端末を使いたいという希望だけで変えられるものではありません。線引きの内容を確かめることが、まず取れる手順になります。
会社によっては、入社した当初は個人の端末を使う運用から始まり、業務の範囲が広がった時点で貸与された端末に切り替わることもあります。運用は入社時点で固定されるとは限らず、業務の変化に合わせて見直される場合があります。
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6. 私物端末を使うときに確認する3つの窓口
個人の端末を業務で使えるかどうかを確かめるときは、聞く相手を3つの窓口に分けておくと、確認が重複しません。
確認する3つの窓口
- 上長:個人の端末を業務に使ってよい範囲と、貸与の対象になるかどうかを尋ねます
- 情報システムやセキュリティの担当:個人の端末で扱ってよい情報の範囲を尋ねます
- 総務や人事の窓口:貸与される端末の種類と、申し込みの手順を尋ねます
私物端末が使えないと言われたとき、確認する相手を分けておくと、同じ質問を繰り返さずに済みます。上長、情報システムやセキュリティの担当、総務や人事の窓口という3つに分けて考えると整理しやすくなります。
上長には、個人の端末を業務に使ってよい範囲と、自分が貸与の対象になるかどうかを尋ねます。部署やチームによって運用が異なる場合、上長が最も早く答えられる窓口になります。
情報システムやセキュリティの担当には、個人の端末で扱ってよい情報の範囲を尋ねます。扱う情報の種類によって個人の端末の利用が認められない場合、この窓口で理由が分かります。
総務や人事の窓口には、貸与される端末の種類と、申し込みの手順を尋ねます。貸与の対象であっても、申し込みをしなければ届かない運用の会社もあります。
3つの窓口を順に確認しても、個人の端末を使ってよいという返答にならない場合があります。その場合の確かめ方は、別の記事で扱っています。
確認した内容は、担当する業務が変わったタイミングで見直すとよいでしょう。以前に聞いた答えが、業務の範囲が変わった後も同じとは限らないため、思い込みで進めると行き違いにつながります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 私物端末が使えない理由は必ず線引きの問題ですか。
A. 多くの場合は運用の線引きによりますが、対応状況が理由になる場合もあります。まずは線引きが書かれている文書を確かめ、そのうえで対象外の理由が別にあるかを確認するとよいでしょう。
Q2. 貸与される端末はどの段階で分かりますか。
A. 貸与の案内や入社時の誓約書に書かれている場合が多く、入社前の求人の記載にヒントが書かれていることもあります。分からない場合は、総務や人事の窓口で確認できます。
Q3. 部署によって個人の端末の扱いが違うことはありますか。
A. あります。扱う情報の範囲や業務の内容によって、個人の端末の利用が認められる部署と、貸与された端末に限定される部署が分かれている会社もあります。
Q4. 私物端末を使いたいと伝えれば認められますか。
A. 希望を伝えるだけでは変わらないことが多く、会社がすでに引いている線引きが優先されます。認められる範囲を確かめたうえで、必要であれば申し込みの手続きに進むことになります。
8. まとめ:線引きを読めば代わりの端末が見えてきます
この記事の要点
- 個人の端末が業務で使えない理由は、性能ではなく会社が運用に引いている線引きによることが多くあります
- 線引きは就業規則や情報の取扱いに関する規程、貸与の案内、入社時の誓約書、求人の記載といった文書に書かれています
- 個人の端末を使う運用と貸与された端末を使う運用は優劣ではなく、会社の線引きによって決まります
- 雇用型就業者のテレワーク実施率は15.6%です*1。この数字は在宅で働く人の割合を示すもので、端末の線引きを決めるものではありません
私物端末が使えない理由を性能の問題として捉えると、確かめる相手を誤ってしまいます。線引きが書かれている文書と、確認する3つの窓口を順に当たれば、代わりに何が貸与されるのかも見えてきます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
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