雇用保険の料率が令和8年に下がった|給与から引かれる額

給与明細の雇用保険の欄には、その月の給与から引かれた保険料が出ています。雇用保険の料率は年度ごとに決まり、令和8年度は一般の事業で5/1,000を労働者が負担します*1。給与1,000円につき5円という割合です。
令和7年度の労働者負担は5.5/1,000だったので、令和8年度は下がりました*1。事業主の負担分をあわせた合計も、14.5/1,000から13.5/1,000へ変わっています*1。ただし率は勤め先の事業で3通りに分かれるため、自分の勤め先がどれに当たるかを先に見てください。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 令和8年度の雇用保険料率は、一般の事業で合計13.5/1,000です*1。このうち給与から引かれるのは労働者負担の5/1,000で、残りの8.5/1,000は勤め先が納めます*1。
- 令和7年度の一般の事業は合計14.5/1,000、労働者負担は5.5/1,000でした*1。賃金が同じであれば、令和8年度に引かれる額のほうが少なくなります。
- 農林水産・清酒製造の事業は合計15.5/1,000、建設の事業は合計16.5/1,000です*1。この2つは労働者負担がどちらも6/1,000で、一般の事業より高い率です*1。
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1. 令和8年度の雇用保険料率と労働者の負担分
令和8年度の雇用保険料率は、一般の事業で労働者負担5/1,000・事業主負担8.5/1,000の合計13.5/1,000です*1。令和7年度の一般の事業は合計14.5/1,000で、労働者が負担したのは5.5/1,000でした*1。給与から引かれるのは労働者負担の分だけで、事業主負担は勤め先が納めます*1。賃金が同じであれば、引かれる額は令和7年度より少ない額です。
実際、給与明細に出てくるのは労働者が負担する分だけです。一般の事業で働いているなら、その月に支払われた賃金へ5/1,000をかけた額が控除の欄に並びます*1。事業主が負担する8.5/1,000は明細に出ず、勤め先が労働保険料としてまとめて納めます*3。自分が納めた額を知りたいときは、控除の欄にある雇用保険の行を見てください。欄の名前が見当たらないときは、給与計算の担当者へ聞いてください。
ただし、雇用保険の料率が下がっても、引かれる額が減るとはかぎりません。保険料は賃金に率をかけて計算するため、賃金が増えれば元になる額も増えます*3。昇給した月や残業が多かった月は、率が下がっていても金額が上がることがあります。前の年度と見比べるときは、率と賃金の両方を並べて見てください。片方だけを見ると、金額が動いた理由を取り違えます。
たとえば、同じ勤め先で働き続けている人でも、令和7年度と令和8年度では引かれる率が違います*1。年度の変わり目をまたぐ明細を2枚並べると、控除の欄の金額が動いているのが分かります。賃金が変わっていなければ、その動きは率の見直しによるものです。手元に明細が残っていない場合は、勤め先へ再発行を頼んでください。
2. 事業の種類ごとに変わる合計料率
そのため、料率を見るときは勤め先が営む事業から入ります。料率は事業によって3つに分かれ、令和8年度の合計は一般の事業で13.5/1,000です*1。農林水産・清酒製造は15.5/1,000、建設は16.5/1,000と、一般より高い率が決まっています*1。どの率を使うかは勤め先の届け出で決まり、労働者が選べるものではありません。
実際、同じ賃金でも勤め先の事業が違えば引かれる額は変わります。一般の事業で働く人の労働者負担は5/1,000で、農林水産・清酒製造と建設で働く人は6/1,000です*1。差は1/1,000で、賃金1,000円につき1円にあたります。金額としては小さい差ですが、勤め先を比べるときは同じ事業どうしで並べてください。
一方、事業主が負担する率は労働者より大きく決められています*1。令和8年度の一般の事業では8.5/1,000、建設の事業では10.5/1,000を勤め先が納めます*1。この中には、雇用保険二事業(雇用の安定と能力開発のために国が行う事業)の分が入っています*1。その率は3.5/1,000で、建設の事業では4.5/1,000です*1。二事業の分は事業主だけが負担するため、労働者の率と事業主の率に差がつきます*1。
3. 給与明細の雇用保険の欄に出る金額
具体的には、雇用保険料は健康保険料や厚生年金保険料と並んで控除の欄に出ます。金額は、支払われた賃金の額に料率をかけて決めます*3。令和8年度に一般の事業で働く人なら、かける率は5/1,000です*1。手取りは、この額を含む控除を賃金から引いたあとの金額です。控除の欄を上から見て、雇用保険の行の金額を書き出してください。
ただし、実際の金額は賃金によって動きます。賃金が月30万円の人を仮に置くと、5/1,000をかけて1,500円です*1。この30万円は説明のために置いた数字で、本当の賃金は人によって違います。令和7年度の5.5/1,000で同じ計算をすると1,650円なので、賃金が同じなら月150円の開きです*1。
一方、雇用保険料は賞与からも引かれます*3。賞与でも、支払われた額に同じ率をかけて計算します*3。月々の給与だけを見ていると、1年に納めた合計は分かりません。明細は月の分と賞与の分を分けて保管してください。
実際、納めた保険料は失業したときの基本手当などにあてられます*2。在職中は引かれる金額だけが目に入りますが、離職して求職の申込みをしたときに受け取る側へ回ります*2。受け取れる日数は人によって違い、ハローワークで決まります*2。毎月の数字は、その備えの分だと考えてください。
たとえば、転職した月は前の勤め先と次の勤め先の両方から明細が届きます。どちらにも雇用保険の欄があり、率はそれぞれの勤め先の事業で決まります*1。入社月の給与が日割りであれば、引かれる額もその賃金に応じた金額です。2社分を並べて、控除の欄を1つずつ見てください。
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4. 勤め先の事業は3つに分かれる
勤め先の事業は、建設と、農林水産・清酒製造と、それ以外の3つに分かれます*1。建設の事業と農林水産・清酒製造の事業には専用の率があり、それ以外はすべて一般の事業の率です*1。園芸サービス、牛馬の育成、酪農、養鶏、養豚、内水面養殖、特定の船員を雇用する事業も、一般の事業として扱われます*1。名前が農林水産に近くても、率は一般の事業と同じです*1。
ただし、勤め先が2つ以上の事業を営んでいることもあります。保険料の率は、労働保険の適用を受けている事業ごとに決まります*3。自分がどの事業で雇われているかは、雇用保険被保険者証や入社時に受け取った書類の事業所名からたどれます。事業所名が複数あるときは、給与を支払っている事業所がどれかを見てください。分からないときは、給与計算をしている部署へ聞いてください。
なお、建設の事業では事業主の負担が10.5/1,000で、3つのうち最も大きい率です*1。労働者の負担も6/1,000で、一般の事業より1/1,000高く決められています*1。一般の事業の勤め先から建設の事業へ移れば、賃金が同じでも引かれる額は上がります。移った先が一般の事業なら、引かれる額は下がります。転職の前に、次の勤め先の事業を聞いておいてください。
5. 労働者と事業主で分かれる負担の割合
実際、労働者と事業主が負担する率は同じではありません。令和8年度は、一般の事業で労働者が5/1,000、事業主が8.5/1,000を納めます*1。事業主の側には雇用保険二事業の分が上乗せされるため、どの事業でも事業主のほうが大きい率です*1。3つの事業を並べても、合計の開きは3/1,000までに収まります*1。
事業ごとの負担と合計(令和8年度・労働者と事業主)*1
| 事業の種類 | 労働者負担 | 事業主負担 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 一般の事業 | 5/1,000 | 8.5/1,000 | 13.5/1,000 |
| 農林水産・清酒製造の事業 | 6/1,000 | 9.5/1,000 | 15.5/1,000 |
| 建設の事業 | 6/1,000 | 10.5/1,000 | 16.5/1,000 |
そのため、雇用保険の料率のうち給与から引かれるのは、労働者負担の列だけです。合計の率がそのまま引かれるわけではなく、事業主の分は勤め先が別に納めています*3。表の合計は、労働者と事業主の2つを足した率です*1。明細の金額と照らすときは、労働者負担の列だけを見てください。列を取り違えると、明細の金額と合わなくなります。
もっとも、転職で事業が変わっても、労働者負担の開きは1/1,000に収まります*1。この開きは給与1,000円あたり1円で、賃金が同じなら引かれる額の動きも小さい金額です。勤め先を選ぶときに手取りを大きく動かすのは、料率よりも総支給額のほうです。等級や昇給の決まりは、内定を受ける前に聞いておいてください。求人票に書かれていないときは、面接の場で質問してかまいません。
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6. よくある質問
Q1. 令和8年度の雇用保険料率はいつの賃金に使いますか
A. 令和8年度は2026年4月1日に始まり2027年3月31日に終わる年度です*1。この期間に支払われた賃金へ、一般の事業なら13.5/1,000の率をかけます*1。労働者が負担するのは5/1,000で、残りの8.5/1,000は勤め先が納めます*1。年度が替われば率は見直されるため、翌年度の明細では金額が変わることがあります。
Q2. 令和7年度と比べて引かれる額はどれくらい変わりますか
A. 労働者負担の率が5.5/1,000から5/1,000へ下がったぶんだけ小さくなります*1。賃金が同じなら、下がり幅は賃金1,000円あたり0.5円です*1。賞与を含めて1年分を足せば、その分だけ納める額は減ります。実際の金額は賃金で変わるので、明細の控除欄で前の年度の分と見比べてください。
Q3. 転職すると雇用保険の料率も変わりますか
A. 勤め先が営む事業が変われば、使う率も変わります*1。一般の事業から建設の事業へ移った場合、労働者が負担する率は5/1,000から6/1,000へ上がります*1。同じ事業の会社どうしであれば、率は変わりません。自分が働く事業所が何の事業に当たるかは、入社時の書類か給与計算の担当者から分かります。
Q4. 雇用保険料を納めていると何を受け取れますか
A. 失業したあとに求職の申込みをすると、基本手当を受け取れます*2。受け取れる日数は90日から360日の間で決まります*2。この幅のどこに当たるかは人によって違うので、ハローワークの窓口で自分の日数を聞いてください*2。手続きには、前の勤め先から届く離職票が要ります*2。
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7. まとめ:令和8年度の料率と給与から引かれる額
この記事のまとめ
- 令和8年度の一般の事業は、労働者負担5/1,000・事業主負担8.5/1,000で合計13.5/1,000です*1。
- 令和7年度の一般の事業は合計14.5/1,000、労働者負担は5.5/1,000でした*1。
- 農林水産・清酒製造の事業は合計15.5/1,000、建設の事業は合計16.5/1,000で、労働者負担はどちらも6/1,000です*1。
- 園芸サービスや酪農のように名前が農林水産に近い事業でも、一般の事業の率が適用されます*1。
- 給与明細に出るのは労働者負担の分だけで、事業主負担は勤め先がまとめて納めます*1。
明細の控除欄と勤め先の事業を並べて見れば、引かれている金額の根拠が分かります。率が下がった年度なら、賃金が動いていないかぎり金額も小さくなります*1。目で追うのは1列で足ります。事業が変わる転職では、移る先がどの事業として届け出ているかを先に聞いておくと安心です。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内」(2026年確認)
*2 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」(2026年確認)
*3 厚生労働省「労働保険の適用・徴収」(2026年確認)
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