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組み込みエンジニアの将来性は?車のソフト人材が2030年に不足

組み込みエンジニアの将来性は?車のソフト人材が2030年に不足のイメージ写真

組み込みエンジニアに将来性があるかを数字で見ると、経済産業省は車のソフト人材が2030年に5.1万人不足すると推計しています*1。AIによる業務効率化を人数に換算し、見込んだうえでの数字です*1。推計の対象は、SDV(ソフトウェアの更新で機能を変えていく車)の開発に要るソフトウェア人材です。

役職別で最も不足するのは、ソフトウェアエンジニアの2.7万人とされています*1。家電や産業機器など、車以外の組み込みは推計に入っていません。車のソフト開発へ移るなら、不足が多い役職とスキルのレベルを先に見てください。

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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事のポイント

  • 2030年に必要な車のソフト人材は32.5万人で、経済産業省はこのうち5.1万人が不足すると見ています*1。AIで効率化できる分は、人数に直して先に差し引かれています*1。
  • 不足が最も多い役職はソフトウェアエンジニアで、2.7万人です*1。段階では中間(ITスキル標準のレベル2〜3相当)が2.4万人、上級(レベル4〜6相当)が1.8万人の不足です*1。
  • 推計に入るのは自動車産業のソフトウェア人材だけで、供給の見込みには組み込みソフトウェアの開発会社も含まれます*1。車以外で働く組み込みエンジニアの将来の人数は、この推計からは分かりません。

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1. 車のソフト人材は2030年に5.1万人が不足する見通し

経済産業省の推計では、2030年に車のソフト人材が32.5万人必要になり、そのうち5.1万人が不足する見通しです*1。AIによる業務効率化で補える分も、推計では研究や有識者の話をもとに人数へ換算し、差し引いています*1。役職別の不足はソフトウェアエンジニアが2.7万人で、どの役職よりも多い数です*1。経済産業省は、自動車産業ではソフトウェア人材の供給不足が共通の課題だとしています*1。

具体的には、推計の数字は、資料の中の「SDV開発に必要なソフトウェア人材の需給見通し」に載っています*1。需給見通しとは、必要な人数と出せる人数を比べて、どれだけ不足するかを見込んだものです。5.1万人の推計には、役職別と段階別の内訳も付いています*1。

SDVは、ソフトウェア・ディファインド・ビークルの略です。資料の名前は経済産業省の「モビリティDX戦略」で、2025年のアップデートとして出ています*1。まとめたのは、製造産業局 自動車課 モビリティDX室です*1。資料には推計のほかに、SDVの販売目標や、人材を増やすための策も載っています*1。

2. 上級だけでなく中間の技術者も2030年に不足する

段階別の内訳は、不足する人をITスキル標準の段階(ITSSレベル)に当てはめて数えたものです*1。中間はレベル2〜3相当、上級はレベル4〜6相当の人を指し、その上に最上位のレベル7相当があります。レベルの数字が大きいほど、ITスキル標準では上の段階です。

不足する人のレベル(ITスキル標準) 最上位 レベル7相当 上級 レベル4〜6相当。2030年に1.8万人不足 中間 レベル2〜3相当。2030年に2.4万人不足 中間の不足2.4万人は、上級の1.8万人より多い

つまり、推計の不足は上級の人に限った話ではありません。レベル2〜3相当の中間の人も、2030年に向けた不足の数に入っています*1。自分がどの段階にいるかを応募先に伝えるには、職務経歴書に担当した工程と保守の実績を具体的に書いてください。C++で開発してきた人は、製品の種類と保守した期間も分けて並べてください。

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3. 推計に入るのは自動車産業のソフト人材だけ

ただし、経済産業省が推計で数えたのは、自動車産業で必要になるソフトウェア人材です*1。車以外で働く組み込みエンジニアが将来どれだけ要るかは、この資料からは読み取れません。供給の見込みは、OEM(自動車メーカー)、サプライヤー(部品メーカー)、組込ベンダー(組み込みソフトウェアの開発会社)の3つの主要企業から推計しています*1。

この見込みは、3つの主要企業から出る人材をもとに、自動車業界全体の供給へ広げて見積もったものです*1。組込ベンダーも、車のソフト人材の供給を見込む先の1つとして数えられています*1。一方、組み込みエンジニアの経験がどの役職で評価されるかまでは、推計に書かれていません。

実際に車のソフト開発の求人へ応募する場合、働く場所は仕事の工程によって分かれます。そのため、求人に書かれた担当の工程と出社の頻度を並べて見てください。リモートワーク対応でも、フルリモートとハイブリッドでは出社の回数が違います。

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4. 日系メーカーのシェア3割に必要な32.5万人

経済産業省は、SDVの世界での販売台数で日系メーカーのシェア3割を、2030年と2035年に実現する目標を掲げています*1。32.5万人は、このうち2030年の目標を実現するために、ソフトウェア人材が何人要るかを出した数です*1。供給の見込みとAIによる業務効率化を合わせても、この人数には届かない見通しです*1。逆に言えば、必要な人数の多くは、この2つで埋まる計算になっています*1。

2030年の車のソフト人材は必要な人数に届かない 5.1万人 2030年に不足する人数 必要な32.5万人のうち AIによる業務効率化を見込んだうえでの推計 供給とAIによる業務効率化を合わせても埋まらない分が5.1万人 *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

この不足に対して、経済産業省は学生向けの取組や、インドなど海外の人材の獲得、講座の整備などで解消を目指しています*1。2025年3月には「SDVスキル標準」を策定し、企業の採用などに使うとしました*1。

5. AIによる業務効率化を差し引いたうえでの不足

推計の不足は、必要な人数から供給の見込みを引き、AIによる業務効率化の分も人数にして引いた残りです*1。AIで補える分は、5.1万人を出す計算の中にすでに入っています*1。AIの分を差し引く前なら、不足はこれより大きい計算です。

経済産業省の推計に入っているもの

項目何を数えたか
必要人数日系シェア3割の実現(2030年)に必要なソフトウェア人材の数
供給見込みOEM、サプライヤー、組込ベンダーの3つの主要企業から、自動車業界全体の供給に広げて推計した数
AIによる業務効率化野村総合研究所と英オックスフォード大学の共同研究(2015年)や有識者へのヒアリングなどから推計し、人数に換算した数
不足必要人数から供給見込みとAIによる業務効率化を差し引いても残る数。2030年に5.1万人

つまり、経済産業省はAIの効率化を入れても、2030年に人が不足すると見ています*1。ただし、5.1万人は見通しの数字で、この人数のとおりに不足すると決まったわけではありません。目標のシェアや効率化の見込みが変われば、不足の人数も動きます。

AIによる業務効率化の見込みは、2015年の共同研究の結果に、有識者へのヒアリングなども加えて見積もっています*1。どの作業がAIで減るのかという内訳は、推計には出てきません。AIの使い方を知りたいときは、応募先の面接で、開発のどの工程でAIを使っているかを聞いてください。

6. SDVスキル標準に並ぶソフトウェアエンジニアなど7つの役職

SDVスキル標準に並ぶ役職は次の7つで、推計の役職別の内訳もこの名前で数えています*1。推計の内訳には、このほかに「その他」もあります*1。役職ごとの仕事の中身は、推計の資料では説明されていません。

SDVスキル標準に並ぶ役職

  • ソフトウェアエンジニア(不足が最も多い)
  • プロジェクトマネージャ
  • アーキテクト
  • テスト品質管理技術者
  • 環境PF技術者(資料の表記のまま)
  • サイバーセキュリティ担当
  • AIエキスパート

たとえば、車のソフト開発の求人票では、採用する役職がソフトウェアエンジニアかアーキテクトかを、仕事内容の欄から読み取ってください。役職名が書かれていない求人なら、入社後に担当する工程を面接で聞いてください。C++の求人では、組み込みと基盤で採り方が違い、出社の前提も分かれます。

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7. よくある質問

Q1. AIで組み込みエンジニアの仕事はなくなりますか?

A. 経済産業省の推計では、AIで効率化できる分を差し引いても、2030年には5.1万人の不足が残る見通しです*1。不足が最も多い役職は、効率化を見込んだあとでもソフトウェアエンジニアとされています*1。車のソフト開発に限れば、経済産業省は人が余るのではなく不足すると見込んでいます*1。

Q2. 車以外で働く組み込みエンジニアはどうなりますか?

A. 経済産業省が推計したのは、自動車産業で要るソフトウェア人材の数です*1。家電や産業機器の組み込みについては、将来の人数を出した数字がこの資料にありません。そのため、5.1万人という数字を、車以外の組み込みに当てはめることはできません。

Q3. 未経験から車のソフト開発に入れますか?

A. この推計には、未経験から車のソフト開発に入る人についての数字はありません。経済産業省は、学生向けの取組や講座の整備などで人材を増やすとしています*1。応募を考えるときは、求人票の必須の条件に車の開発の経験が入っているかを先に見てください。

Q4. 5.1万人は組み込みエンジニアの人数ですか?

A. 違います。5.1万人は、SDVの開発で不足が見込まれるソフトウェア人材の人数です*1。組み込みエンジニアの人数を数えた数字ではありません。供給の見込みには組込ベンダーも入っていますが、自動車メーカーや部品メーカーの分と合わせた数です*1。

Q5. 推計の数字はいつのものですか?

A. 経済産業省が2025年6月9日に出した資料に載っている数字です*1。5.1万人は2030年の時点の見通しで、シェアの目標は2035年にも掲げられています*1。数字を人に話すときは、資料の日付と推計の年を分けて伝えてください。

Q6. プロジェクトマネージャやアーキテクトの不足はどのくらいですか?

A. 推計では、プロジェクトマネージャとアーキテクトの不足はそれぞれ0.55万人です*1。どちらも、不足が2.7万人のソフトウェアエンジニアより少ない数です*1。ただし、2つの役職とも2030年に不足する側に数えられています*1。

Q7. 車のソフト開発の求人はどこから見ればよいですか?

A. 推計で不足が多いのは、役職で見るとソフトウェアエンジニア、段階で見ると中間と上級です*1。まずこの2つに当てはまる求人を選び、仕事の工程と出社の回数を見ます。C++を使う組み込みエンジニアなら、応募先が組み込みと基盤のどちらの求人かも先に見分けてください。

8. まとめ:車のソフト人材の推計と組み込みエンジニアの転職

この記事のまとめ

  • 経済産業省は、車のソフト人材が2030年に32.5万人必要になり、5.1万人が不足すると推計している*1
  • 5.1万人は、AIによる業務効率化を人数に換算して差し引いたあとの数
  • 不足が最も多い役職はソフトウェアエンジニアで、段階では中間と上級に不足が出ている*1
  • 推計は自動車産業の分だけで、車以外の組み込みの人数は含まれていない
  • 不足の解消に向けて、経済産業省は学生向けの取組、講座の整備、インドなど海外の人材の獲得などを挙げている*1
  • SDVスキル標準に並ぶ役職は7つで、推計の役職別の内訳も同じ名前で数えている*1
  • 車のソフト開発へ移る組み込みエンジニアは、工程で働く場所が分かれるため、出社の頻度を求人ごとに見る

車のソフト開発へ移るかどうかは、不足する役職と段階に、自分の経験が重なるかで考えてください。そのうえで、応募先ごとに担当する工程と出社の頻度を見比べておくと、入社後の働き方との食い違いを減らせます。車以外の組み込みで働き続ける場合は、その分野の募集の条件を別に見てください。

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出典・参考情報

*1 経済産業省「モビリティDX戦略」2025年のアップデート(2025年6月9日)

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