転職エージェントに複数登録してもいい?手数料と使い分け方

転職エージェントに登録しようとすると、1社にしぼるべきか、何社か並行して使ってよいのかで迷います。複数に登録すると失礼になるのではないか、手数料が余計にかかるのではないか、と気にする人もいます。
転職エージェントに複数登録することを禁じる決まりは、職業安定法にはありません。転職エージェント(有料職業紹介事業者)は、原則として求職者から手数料を取ることができないので*1、何社に登録しても費用はかかりません。令和7年の調査では、転職者の20.9%が民間の職業紹介機関を使っていました*2。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 転職エージェントに複数登録することを禁じる規定は、職業安定法にありません。有料職業紹介事業者は、原則として求職者から手数料を取れません*1。
- 登録すると、取扱職種の範囲・手数料・苦情の処理などが明示されます*1。登録先ごとに、何をしてくれる事業者なのかを読んでおきます。
- 同じ求人に2社から応募すると、会社にも登録先にも迷惑がかかります。どの求人をどの登録先から紹介されたかを、1つの表に記録しておきます。
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1. 転職エージェントに複数登録することを禁じる決まりはない
転職エージェントには、複数登録してかまいません。職業安定法には、求職者が登録できる職業紹介事業者の数を制限する規定がありません。手数料も、有料職業紹介事業者は原則として求職者から取れないと定められています*1。
転職エージェントは、法律の上では「有料職業紹介事業者」と呼ばれ、厚生労働大臣の許可を受けて職業紹介を行っています*1。事業者が受け取る手数料は、原則として求人を出した会社が払うものです*3。職業安定法第32条の3第2項は、有料職業紹介事業者は求職者からは手数料を徴収してはならないと定めています*1。
登録先を増やしても、費用が増えることはありません。1社だけでは紹介される求人の数や業界に偏りが出ることもあるので、得意な業界や職種の違う事業者を2〜3社組み合わせて使う人もいます。ITエンジニアなら、IT職を専門に扱う登録先と、幅広い職種を扱う登録先を1社ずつ持っておくと、紹介される求人の幅が広がります。
登録先の担当者に「ほかの会社にも登録していますか」と聞かれたら、正直に答えてかまいません。どこから何の求人を紹介されているかを伝えておくと、同じ求人の紹介が重なるのを防げます。
2. 転職者が使った求職の方法は求人サイトが最多
厚生労働省の令和7年転職者実態調査で、転職者が転職活動に使った方法(複数回答)を見ると、最も多かったのは求人サイト・求人情報専門誌などの45.1%でした*2。ハローワークなどの公的機関が29.6%、知人・友人などの縁故が22.2%、民間の職業紹介機関が20.9%と続きます*2。
今の勤め先が正社員の転職者に限ると、職業紹介機関を利用した割合は24.6%に上がります*2。正社員として転職した人のおよそ4人に1人が、転職エージェントなどの職業紹介を使っていたことになります。
この調査は複数回答なので、求人サイトで探しながら転職エージェントも使う、というように、いくつもの方法を並行している人が多いことが読み取れます。転職エージェントへの複数登録も、この並行のやり方に含まれます。
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3. 求職者が手数料を払うのは例外の職業だけ
有料職業紹介事業者が求職者から手数料を取れるのは、求職者の利益のために必要だと厚生労働省令で定める場合だけです*1。石川労働局の説明によると、対象は芸能家・モデル・経営管理者・科学技術者・熟練技能者の職業です*3。このうち経営管理者・科学技術者・熟練技能者は、紹介で就職した仕事の賃金が年収700万円相当を超える場合に限られます*3。
ふつうの転職で登録する転職エージェントなら、求職者が手数料を求められることはまずありません。登録のときや面談のあとで、手数料や会費の支払いを求められたら、その場で払わずに、どの規定に基づく手数料なのかを書面で示してもらってください。
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4. 登録したら事業者から明示される内容を読む
有料職業紹介事業者は、取扱職種の範囲、手数料に関すること、苦情の処理に関することなどを、あらかじめ求職者に明示しなければなりません*1。求人を紹介するときには、仕事の内容と、賃金・労働時間などの労働条件も明示する決まりです*1。複数に登録するなら、登録先ごとにこの中身を見比べておくと、それぞれの使い道がはっきりします。
有料職業紹介事業者が求職者に明示する主な内容(職業安定法第5条の3・第32条の13*1)
| 明示される内容 | 登録するときに見ておくこと |
|---|---|
| 取扱職種の範囲 | 自分の職種や希望の業界を扱っているか |
| 手数料に関する事項 | 求職者に手数料がかからないことが書かれているか |
| 苦情の処理に関する事項 | 連絡が多すぎるときなどに、どこへ申し出ればよいか |
| 求人の仕事の内容 | 紹介された求人で何をするのか |
| 賃金・労働時間などの労働条件 | 紹介された求人の条件が、自分の希望と合っているか |
取扱職種の範囲は、登録先を選ぶときに特に役立ちます。IT職の求人を多く扱う事業者、特定の業界に強い事業者、幅広く扱う事業者など、範囲の違う登録先を組み合わせると、紹介される求人が重なりにくくなります。
紹介を受けたあとで条件が変わることもあります。紹介された会社が、最初に示した仕事の内容や労働条件を変えて労働契約を結ぼうとするときは、変更する内容を求職者に明示しなければなりません*1。複数の登録先から似た求人を紹介されているときほど、最初に示された条件の書面を取っておくと、どこが変わったかを見比べられます。
苦情の処理の窓口も、登録の時点で見ておくと後で困りません。連絡の頻度や紹介のしかたに不満があるときは、担当者ではなく、この窓口に伝える方法があります。
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5. 登録先が許可を受けた事業者かを人材サービス総合サイトで調べる
有料の職業紹介を行うには、厚生労働大臣の許可が要ります*1。許可を受けた事業者は、事業所ごとに許可証を備え付け、関係者から求められたら見せなければなりません*1。登録先が許可を受けているかどうかは、厚生労働省の人材サービス総合サイトで、事業者を検索して調べられます*4。
有料職業紹介事業者には、情報を提供する義務もあります*1。対象は、紹介で就職した人の数、そのうち期間の定めのない契約で入社して離職した人の数、手数料に関することなどです*1。人材サービス総合サイトには、この情報提供の入力の案内や、優良と認定された職業紹介事業者の一覧も載っています*4。複数の登録先を選ぶときに、見比べるときの手がかりになります。
6. 複数登録するときに同じ求人への重複応募を防ぐ
複数登録でいちばん起きやすいのは、同じ会社の同じ求人を、別々の登録先から紹介されることです。2つの経路から応募すると、会社はどちらの紹介として扱えばよいか分からず、登録先どうしの間でも行き違いが起きます。先に紹介された登録先から応募する、担当者との相談が進んでいる登録先から応募するなど、自分で決めて1つにしぼります。
記録は、表計算のシートに1行ずつ書く程度で十分です。面接の日程が重なりやすくなるので、登録先ごとの予定も同じ表で管理すると、日程を調整するときに慌てずに済みます。
登録先を増やしすぎると、連絡への返事や面談の予定だけで手が回らなくなります。紹介される求人の数と、自分が応募の準備にかけられる時間を見比べて、無理なく返事ができる数にとどめておきます。
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7. よくある質問
Q1. 複数登録していることは担当者に伝えるべきですか?
A. 自分から言う必要はありませんが、聞かれたら隠さずに答えます。ほかの登録先から紹介を受けている会社名を伝えれば、担当者もその会社を外して求人を探せます。
Q2. 登録しただけで使わない事業者があっても問題ありませんか?
A. 問題ありません。使わない登録先から連絡が続くときは、「今は別の方法で活動しているので、連絡を控えてください」と伝えます。それでも続く場合は、登録時に明示された苦情の処理の窓口に申し出ます*1。
Q3. 転職エージェントに登録すると手数料がかかりますか?
A. ふつうの転職ならかかりません*1。求職者が手数料を払う例外は、芸能家・モデルや、年収700万円相当を超える経営管理者・科学技術者・熟練技能者の職業に限られます*3。
Q4. 同じ求人を2社から紹介されたらどうしますか?
A. どちらから応募するかを自分で決めてください。もう一方の担当者には「その会社には別の経路で応募しています」と伝えます。両方から応募すると、会社と登録先の双方で行き違いが起きます。
Q5. 転職エージェントとハローワークを並行して使ってもいいですか?
A. 並行して使えます。令和7年の調査は複数回答で、公的機関と民間の職業紹介機関の両方を使った転職者も含まれています*2。ハローワークで紹介を受けた求人と、転職エージェントから紹介を受けた求人も、同じ表で管理してください。
Q6. 使わなくなった登録先に預けた個人情報は消してもらえますか?
A. 職業紹介事業者は、集めた目的に照らして保管する必要がなくなった求職者の個人情報について、破棄または削除するための措置を講じることが求められています*5。事業者は、求職者から求められたら、個人情報についてとっている措置の内容を説明しなければなりません*5。登録を解除するときに、登録した情報の削除もあわせて頼んでください。
8. まとめ:転職エージェントは複数登録してよく重複応募だけ防ぐ
この記事のまとめ
- 転職エージェントに複数登録することを禁じる規定は、職業安定法にない
- 有料職業紹介事業者は、原則として求職者から手数料を取れない。何社に登録しても費用はかからない*1
- 登録すると、取扱職種の範囲・手数料・苦情の処理などが明示される。登録先ごとに見比べる*1
- 許可を受けた事業者かどうかは、人材サービス総合サイトで検索できる*4
- 同じ求人は1つの登録先からだけ応募する。紹介元と選考の状況を1つの表に記録する
登録先を決めたら、まず人材サービス総合サイトで許可を調べ、紹介された求人とその紹介元を書き込む表を1枚作ってから、面談の予約を入れてください。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 職業安定法 第5条の3・第30条・第32条の3・第32条の4・第32条の13・第32条の16(e-Gov法令検索)
*2 令和7年転職者実態調査の概況(厚生労働省)
*3 職業紹介事業とは(石川労働局)
*4 人材サービス総合サイト(厚生労働省)
*5 職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い等に関して適切に対処するための指針(平成11年労働省告示第141号・厚生労働省)
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