客先常駐のリモート|派遣と請負で違う常駐先の決まり

客先常駐でテレワークをしてよいかは、契約が派遣か請負・準委任かを調べるところから始まります。この2つを分けるのは、仕事の指示を常駐先が直接出すかどうかです*1*2。派遣の場合は、自宅などでのテレワークのみの就業も認められています*3。
請負・準委任の客先常駐では、勤務場所の相談先は雇用主の所属会社です。情報セキュリティの決まりは管理者が作成し、勤務者はそれを守る役割です*4。契約の種類、派遣のテレワーク、セキュリティの順に見ていきます。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 請負・準委任でも、常駐先が働く人に直接指示を出している実態があれば、労働者派遣に当たります*2。契約書の名前だけでは決まりません。
- 派遣では、自宅等の具体的な就業場所を契約に書きます*3。派遣であることだけを理由に一律で不可とするのは、法の趣旨に反する可能性があります*3。
- 情報セキュリティでは、管理者が作ったルールを理解して守ることが勤務者の基本の役割です*4。契約が請負・準委任のときの勤務場所の相談先は、雇用主の所属会社です。
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客先常駐では、勤務場所が契約の種類や常駐先との関係で決まる場面があります。リラシクが扱う求人は、すべてリモートワークに対応した正社員求人です。気になる企業にリモートワークの求人が無くても、リクエストすればエージェントが企業と直接交渉して情報を集め、ポジションを開拓します。
1. 客先常駐のテレワークは派遣と請負・準委任で聞く先が変わる
派遣の客先常駐であれば、テレワークのみの就業も可能です*3。請負・準委任の場合は、勤務場所を雇用主である所属会社に聞きます。契約の種類が分からないときの調べ先は、雇用契約の書類と所属会社の担当者です。
客先常駐とは、所属会社の社員が、取引先(客先)の事業所に通って仕事をする働き方です。同じ客先常駐でも、所属会社と客先の間で結ばれる契約には、派遣、請負、準委任(仕事の完成ではなく、業務の遂行を引き受ける契約)の種類があります。種類によって、働く人に仕事の指示を出せる相手が違うため、テレワークの話もそこから分かれます*1*2。
派遣の場合は、厚生労働省が派遣労働者のテレワークに関するQ&Aを公表しています*3。派遣労働者の就業をテレワークのみで行うことは可能とされ、就業場所を契約に書くなどの留意点も挙げられています*3。派遣先での指揮命令(仕事の進め方や労働時間についての具体的な指示)も、必ずしも対面で行う必要はありません*3。
請負・準委任の客先常駐で、テレワークをしてよいかを直接定めた公的な決まりは見当たりません。請負・準委任では常駐先が直接指示を出さないので*1*2、勤務場所の相談先は雇用主の所属会社です。
2. 請負・準委任と派遣の違いは指揮命令を誰がするかにある

労働者派遣と請負の違いは、発注者と受注者側の労働者との間に、指揮命令関係を生じるかどうかにあります*2。請負は仕事の完成を目的とする契約で、発注者と受注者側の労働者の間には指揮命令関係が生じず、委任・準委任も同じ考え方です*2。
実態として指揮命令関係がある場合は、契約の形式を問わず、労働者派遣事業に該当して労働者派遣法の適用を受けます*2。つまり、契約書に請負や準委任と書いてあることだけでは、派遣ではないとは言えません。
請負の形で働かせる事業主が、労働者派遣事業を行う事業主にならないためには、条件があります。厚生労働省の告示(昭和61年労働省告示第37号)は、業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行うことを、その1つに挙げています*1。始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇に関する指示その他の管理を自ら行うことと、労働者の配置の決定と変更を自ら行うことも条件です*1。
請負契約などの形をとりながら、実態として発注者が受注者の雇用する労働者に直接具体的な指揮命令をして作業をさせている場合が、偽装請負です*2。偽装請負は、労働者派遣法に違反します*2。メールやチャット、プロジェクト管理ツールでの指示も同じです。発注者側の開発責任者や開発担当者が、受注者側の開発担当者へ業務の遂行方法や労働時間などを直接指示していると認められれば、偽装請負と判断されます*2。
発注者が特定の人を指名して業務に就かせる場合や、特定の人の就業を拒否する場合は、適正な請負などとは認められません。受注者の労働者の配置の決定や変更に、発注者が関与していると判断されるためです*2。この考え方は、アジャイル型開発以外のシステム開発を請負業務とする場合にも当てはまります*2。
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3. 派遣のテレワークで契約と書面に書く項目
派遣では、雇用主は派遣元事業主(派遣会社)で、実際に働く先が派遣先(常駐先)です。派遣元と派遣先が結ぶ契約が労働者派遣契約で、派遣労働者に就業の条件を示す書面が就業条件明示書です*3。テレワークで働く場合、この2つに自宅等の就業場所を書く点が、通常の出社と違います*3。
派遣労働者がテレワークをするときの契約と書面の扱い
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 就業の場所 | 派遣先の事業所だけでなく、自宅等の具体的な派遣就業の場所を労働者派遣契約に書きます*3。 |
| 組織単位と指揮命令者 | 所属する組織単位(部署や課など)と、指揮命令をする人を、労働者派遣契約に明確に定めます*3。 |
| 就業条件明示書 | 派遣元(雇用主)が派遣労働者に渡す書面で、具体的な派遣就業の場所を書きます*3。 |
| 契約の変更 | テレワークで就業するときは、労働者派遣契約の一部変更が必要になる場合があります*3。 |
| 緊急のとき | 緊急の必要があるときは、事前に書面で契約を変更するところまでは求められません。ただし、派遣元と派遣先が十分に話し合い、合意しておきます*3。 |
個人情報の保護の観点から、派遣労働者の自宅の住所まで記載する必要はありません*3。
派遣の契約書や就業条件明示書を受け取ったら、就業の場所の欄に自宅等が書かれているかを見ます。契約の変更が必要になる場合があるため、テレワークの話が出たら、派遣元の担当者に契約の書き方も聞いておきます*3。
4. 派遣であることだけを理由にテレワークを一律で不可にはできない
厚生労働省のQ&Aによると、派遣であることのみを理由にテレワークを一律に利用させないことは、労働者派遣法の趣旨や規定に反する可能性があります*3。常駐先から「派遣だから出社」とだけ言われた場合は、理由として通らない可能性があります。
派遣元事業主がテレワークの希望を伝えたのに、一切の措置が講じられない場合があります。派遣労働者であることのみを理由にした対応は、配慮義務(必要な配慮を行う義務)を尽くしたとはいえないと考えられます*3。
派遣先から派遣であることだけを理由に出社を求められたときは、このQ&Aの考え方に照らして相談できます*3。派遣の客先常駐でテレワークを希望するときは、派遣元の担当者を通じて、出社を求める理由を聞きます。
請負・準委任の客先常駐は、この派遣向けのQ&Aの対象ではありません*3。請負・準委任の常駐者の在宅勤務を誰が決めるかも、このQ&Aには書かれていません。出社を求める理由や就業場所の決まりは、所属会社の担当者に聞きます。
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5. 情報セキュリティは管理者が作ったルールを守る

テレワークで働くときの情報セキュリティについて、総務省はテレワークセキュリティガイドライン(第5版・令和3年5月)を公表しています*4。ガイドラインによると、テレワーク勤務者の基本的な役割は、ルールを認識・理解し、守ることです*4。ルールを作成するのは、システム・セキュリティ管理者(システムやセキュリティを管理する担当者)です*4。
勤務者に求められるのは、情報セキュリティ関連規程(社内で決められた情報の取り扱いの規則)で定められた事項を守ることです*4。ルールを作るのは管理者で、勤務者が自分で基準を決める形ではありません。客先常駐のテレワークでは、どの管理者が作ったルールが自分に当てはまるかを、所属会社に聞いておきます。
派遣の場合、情報セキュリティの問題が起きたときの責任の所在は、派遣元事業主と派遣先があらかじめ話し合い、労働者派遣契約に定めることが望ましいとされています*3。派遣先で働く本人としては、契約にその定めがあるかを、派遣元の担当者に聞いておくと分かります。
6. よくある質問
Q1. 請負・準委任の客先常駐でもテレワークはできますか
A. 一律にできるとも、できないとも言えません。まず自分の契約が請負・準委任であることを雇用契約の書類で見て、勤務場所は所属会社に聞きます。
Q2. 派遣で働く場合テレワークのみで就業できますか
A. 可能です。常駐先での指揮命令も、必ずしも対面で行う必要はありません*3。具体的な就業場所は、労働者派遣契約と就業条件明示書に書きます*3。
Q3. 派遣先に派遣だから出社と言われたら従うしかありませんか
A. 理由が派遣であることのみの場合は、認められない可能性があります*3。仕事の内容や情報の扱いなど、ほかの理由があるかどうかは、派遣元事業主を通じて聞きます。
Q4. 自宅の住所は派遣の契約書に書かれますか
A. 自宅等の具体的な就業場所は書きますが、自宅の住所までは書く必要がありません*3。
Q5. メールやチャットでの指示は偽装請負になりますか
A. 指示の手段がメールやチャットでも、発注者側が受注者側の担当者へ直接指示する実態があれば、偽装請負に当たる場合があります*2。
Q6. 情報セキュリティのルールは誰が作りますか
A. システム・セキュリティ管理者が作成します。テレワーク勤務者の基本的な役割は、そのルールを認識・理解し、守ることです*4。
7. まとめ:契約の種類を調べ勤務場所は所属会社に聞く
客先常駐とテレワークの要点
- 派遣と請負・準委任は、働く人への指揮命令を誰が行うかで分かれ、契約書の名前だけでは決まりません*1*2
- 派遣労働者のテレワークのみの就業は可能で、自宅等の具体的な就業場所を契約に書きます*3
- 派遣であることのみを理由にした一律のテレワーク不可は、問題になる可能性があります*3
- 請負・準委任の勤務場所の相談先は、雇用主である所属会社です
- 情報セキュリティは、管理者が作ったルールを理解して守ります*4
最初の一歩は、雇用契約の書類で契約の種類を見ることです。そのうえで、派遣なら派遣元の担当者に就業場所の書き方を、請負・準委任なら所属会社に勤務場所を聞きます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)(厚生労働省)
*2 「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)に関する疑義応答集(第3集)(厚生労働省)
*3 派遣労働者等に係るテレワークに関するQ&A(厚生労働省)
*4 テレワークセキュリティガイドライン(第5版)(総務省)
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