退職証明書と離職票の違い|出す人・使う場面・もらい方

退職証明書と離職票のいちばん大きな違いは、出す人です。退職証明書は退職した会社が本人の請求を受けて交付し、離職票はハローワークが交付します。使い道も別で、退職証明書は転職先や国民健康保険・国民年金の窓口へ、離職票は失業給付の手続きに使います。
退職証明書に書ける内容は、労働基準法第22条で5つに決まっています*1。2つの書類の違い、書ける5項目、請求の仕方、届かないときの対応を順に説明します。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 出す人が違います。退職証明書は退職した会社、離職票はハローワークです(会社が離職証明書をハローワークへ提出し、そこから交付されます)。
- 書ける内容は5つだけです。使用期間・業務の種類・その事業における地位・賃金・退職の事由(解雇ならその理由)*1。請求しない事項を会社が勝手に書くことはできません。
- 請求すれば、会社は遅滞なく交付する義務があります*1。書式は法律で決まっていないため、必要な項目を指定して頼みます。
1. 退職証明書と離職票の違い
退職証明書は退職した会社が交付し、離職票はハローワークが交付します。出す人が違うので、頼む先も違います。退職証明書は、本人が請求したときに会社が交付する書類です。労働基準法第22条は、使用期間・業務の種類・その事業における地位・賃金・退職の事由の5つについて証明書を求められたとき、使用者は遅滞なく交付しなければならないと定めています*1。一方の離職票は、会社が離職証明書をハローワークへ提出し、ハローワークが交付します。失業給付の手続きに使う書類なので、転職先へ提出するものではありません。
使い道も分かれます。退職証明書が求められるのは、転職先への提出、国民健康保険の加入手続き、国民年金の第1号被保険者への切替、扶養に入るときの手続きです。
離職票が要るのは、ハローワークで失業給付を受けるときだけです。すぐに次の会社へ入社するなら、離職票を使う場面はありません。
名前が似ているのは「退職」と「離職」という言葉のせいですが、根拠になる法律も違います。退職証明書は労働基準法、離職票は雇用保険法にもとづく書類です。
どちらを求められているか分からないときは、提出先に「会社が出す退職証明書ですか、ハローワークが出す離職票ですか」と聞いてください。この聞き方なら1回で確定します。
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2. 2つの書類の比較
退職証明書と離職票を、出す人・使う場面・届くまでの時間で並べます。
【表1】退職証明書と離職票の比較
| 項目 | 退職証明書 | 離職票 |
|---|---|---|
| 交付する人 | 退職した会社 | ハローワーク(会社の提出を受けて) |
| 根拠となる法律 | 労働基準法第22条 | 雇用保険法 |
| 主な使い道 | 転職先への提出・国民健康保険・国民年金 | 失業給付の手続き |
| 請求の要否 | 本人が請求して初めて作られる | 退職すれば手続きが進む |
| 書ける内容 | 5項目のみ(請求した事項だけ) | 離職理由・賃金支払状況など |
いちばん実務に効くのは4行目です。退職証明書は請求しなければ作られません。黙って待っていても届かない書類です。
離職票は、失業給付を受ける予定がなければ会社が発行しない場合もあります。本人が希望しなければ交付を求められない扱いだからです。次の会社が決まっていない場合は、退職時に「離職票をください」と伝えてください。
5行目の違いも押さえておく価値があります。退職証明書には賃金を書いてもらえますが、離職票には離職前6か月の賃金支払状況が載ります。転職先に前職の給与を知られたくない場合、退職証明書では賃金を請求しないという選択ができます。
1行目と2行目は、頼む先を間違えないための情報です。退職証明書をハローワークに頼んでも出ませんし、離職票を前の会社に直接作ってもらうこともできません。
この表を印刷して、提出先から求められた書類の名前と照らし合わせると早く済みます。「退職を証明する書類」という曖昧な案内で来ることが多く、名前だけでは判断できないためです。
なお、退職証明書は転職先に提出する義務がある書類ではありません。求められた場合に用意するもので、案内に記載がなければ請求は不要です。
3. 退職証明書に書ける5項目
労働基準法第22条が定める5項目です*1。この5つ以外は書けません。
退職証明書に書ける5項目(労働基準法第22条)
- 使用期間:入社日と退職日です。在籍年数の証明として、転職先が求めることがあります。
- 業務の種類:担当した業務です。「システム開発」「インフラ運用」のように書かれます。
- その事業における地位:役職です。「主任」「リーダー」など。
- 賃金:退職時の賃金です。転職先に知られたくなければ、請求しなければ書かれません。
- 退職の事由:自己都合か会社都合か。解雇の場合は、その理由も含みます。
重要なのは、この5項目のうち請求した事項だけが書かれるという点です。会社が労働者の請求しない事項を勝手に記入することは、法律で禁じられています*1。
つまり、必要な項目を自分で選んで頼むことになります。転職先が「在籍期間と役職の証明」だけを求めているなら、その2つを指定すれば足ります。
賃金の扱いは慎重に決めてください。転職先の年収交渉が終わっていない段階で前職の賃金が載った書類を出すと、交渉の前提が変わることがあります。
退職の事由も同じです。自己都合と会社都合では失業給付の待期や給付日数が変わるため、事実と違う記載になっていないかを受け取った時点で確認してください。
書式は法律で決まっていません。会社に様式がなければ、厚生労働省がモデル退職証明書を公開しているので、それを使ってもらう方法もあります。
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4. 請求から受け取りまでの3ステップ
退職証明書は請求して初めて作られます。3ステップで、行き違いなく受け取れます。
ステップ1では、提出先が何を求めているかを先に確かめます。転職先の入社案内、または市区町村の窓口の案内に、必要な項目が書かれています。
ステップ2では、退職した会社の人事・総務に請求します。伝えるのは「必要な項目」「提出先」「いつまでに必要か」の3つです。メールで頼めば、依頼した記録も残ります。
在職中でも請求できます。退職日が決まっているなら、最終出社日までに頼んでおくと、退職後に連絡を取り直す手間が省けました。
ステップ3では、受け取った書類の退職日と退職の事由を照合します。ここが事実と違っていると、失業給付や社会保険の手続きに影響します。
記載に不足や誤りがあれば、その場で人事・総務に伝えてください。5項目のうち請求したものが抜けている場合は、書き足してもらえます。
受け取ったら、コピーか写真で控えを残しておいてください。複数の窓口に提出する場合、原本が戻ってこないことがあります。
3ステップの所要は、請求から受け取りまで数日から1週間ほどでした。郵送でのやり取りになる場合はもう少しかかるので、提出期限から逆算して動いてください。
5. 離職票が届かないときの対応
離職票が届かない、という相談は退職後によく起きます。会社が離職証明書をハローワークへ提出してから交付されるため、退職日から2週間ほどかかるのが通常です。
3週間以上たっても届かない場合は、まず退職した会社に手続きの状況を聞いてください。提出そのものが止まっている場合があります。
会社と連絡が取れないときは、ハローワークに相談できます。事業所の所在地を管轄するハローワークから会社へ確認してもらう方法があります。
このとき、退職証明書が役に立つ場面があります。退職の事実を示す書類として持参すると、手続きを先に進められる場合があるためです。取り扱いは窓口によって違うので、行く前にハローワークへ確認してください。
転職先が決まっている場合は、離職票を待つ必要はありません。入社手続きに使うのは、雇用保険被保険者証・年金手帳または基礎年金番号通知書・源泉徴収票で、離職票は含まれないのが通常です。
退職証明書を求められるかどうかは、転職先の方針で分かれます。入社案内に記載がなければ、人事に確認したうえで請求してください。請求してから受け取るまで数日かかるので、早めに動くほうが安全です。
会社が倒産した場合は、事情が変わります。退職証明書を請求する相手がいなくなるため、ハローワークに事情を伝えて相談してください。未払賃金立替払制度など、別の窓口の案内を受けられる場合があります。
退職証明書の請求には期限があります。労働基準法上の請求権は退職から2年で時効にかかるため、必要になりそうなら早めに請求しておくほうが安全です。
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6. よくある質問(Q&A)
Q1. 退職証明書と離職票はどちらか一方だけで足りますか
A. 用途によります。失業給付の手続きには離職票が要り、転職先への提出や国民健康保険・国民年金の手続きには退職証明書を使います。提出先に「会社が出す退職証明書ですか、ハローワークが出す離職票ですか」と聞くと1回で確定します。
Q2. 退職証明書はどこに頼めばよいですか
A. 退職した会社の人事・総務です。ハローワークでは発行できません。請求があれば会社は遅滞なく交付する義務があります*1。
Q3. 退職証明書に前職の給与を書かれたくないのですが
A. 請求しなければ書かれません。労働基準法第22条は、労働者が請求しない事項を記入してはならないと定めています*1。必要な項目だけを指定して請求してください。
Q4. 在職中に請求できますか
A. できます。退職日が決まっているなら、最終出社日までに頼んでおくと、退職後に連絡を取り直さずに済みます。
Q5. 離職票が届かない場合はどうしますか
A. 退職日から2週間ほどが目安です。3週間以上たっても届かなければ、まず会社に手続きの状況を聞き、連絡が取れなければ管轄のハローワークに相談してください。退職証明書を持参すると手続きを先に進められる場合があるので、行く前に窓口へ確認してください。
7. まとめ:出す人が違うので頼む先も違う
この記事のまとめ
- 退職証明書は退職した会社が、離職票はハローワークが交付します。頼む先が違います。
- 退職証明書に書けるのは5項目です。使用期間・業務の種類・その事業における地位・賃金・退職の事由*1。
- 請求した事項だけが書かれます。会社が請求しない事項を記入することは法律で禁じられています*1。
- 退職証明書は請求しなければ作られません。在職中でも請求でき、最終出社日までに頼むと早く受け取れます。
- 離職票は退職日から2週間ほどが目安です。3週間以上届かなければ、会社かハローワークに相談してください。
退職証明書と離職票は、名前が似ているだけで別の書類です。出す人は会社とハローワーク、使い道は転職先・公的手続きと失業給付。この2つを覚えておけば、提出先から「証明書を出してください」と言われたときに、どちらを頼めばよいか迷いません。
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出典・参考情報
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