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管理職にならないエンジニアのキャリアは頭打ちか

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

管理職にならないエンジニアのキャリアは頭打ちかのイメージ写真

管理職にならない道を選ぶと、この先の評価や賃金は上がらなくなるのか。そう見られることがあります。しかし賃金データは、その前提自体を見直す材料を示しています。

厚生労働省の統計では、賃金は年齢とともに上がり続け、55〜59歳の396.2千円でピークになります*1。管理職にならないことが、そのまま評価の停滞を意味するわけではありません。

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数字で見る「管理職にならない道」 この記事の要約 賃金のピーク・55〜59歳 *1 396.2 単位:千円(2025年) 全年齢計は340.6 年齢とともに上がり続ける 全年齢計の賃金 *1 340.6 単位:千円(2025年) 55〜59歳の396.2を下回る ピークはさらに高い水準 DX人材不足 *4 85.5% 「不足」と回答した企業(2025 年度) IPA DX動向2026 経験が問われる場面は多い 管理職にならない道でも、賃金は頭打ちではありません *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

この記事のポイント

  • 一般労働者の賃金(月額)は年齢とともに上がり続け、55〜59歳の396.2千円でピークになります*1
  • 評価軸は専門性を深める道と、任せられる範囲を広げる道の2つに分かれます。自分の経歴がどちらに寄っているかを整理しておくことが選考の準備になります
  • DX人材が不足していると回答した企業は85.5%(2025年度)。勤務地や役職経験の有無で候補者を絞る余裕は小さくなっています*4

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1. 管理職にならない道は、賃金の上では頭打ちではありません

管理職にならない道を選んでも、賃金データの上では頭打ちにはなりません。厚生労働省の令和7(2025)年賃金構造基本統計調査を年齢別に見ると、一般労働者の賃金は年齢とともに一貫して上昇し、55〜59歳の396.2千円でピークを迎えます*1。この統計は役職の有無を分けて集計したものではないため、管理職にならなければこの水準に届くと言い切ることはできません。ただし「年齢とともに賃金が止まる」という前提そのものは、この数字と合っていません。

「管理職にならないと、この先は伸びない」という話は、具体的な数字を示さないまま語られることがあります。実際の賃金統計を年齢別に見ると、上昇は50代前半まで続き、下降に転じる年代ではありません。

重要なのは、年齢そのものが賃金を押し上げているのではなく、経験を積むなかで評価される中身が変わっていくことです。管理職になるかどうかは、その評価軸の一つに過ぎません。

評価軸には、技術力そのものを深める道と、任せられる範囲の広さで評価される道の2つがあります。ここから先は、どちらの道でも賃金データが上昇を裏づけていることを、評価の中身から分解していきます。

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2. 専門性で進む道と、任せられる範囲を広げる道

管理職にならないと決めても、評価の物差しが消えるわけではありません。自分がどちらの軸で評価されたいかを、先に決めておく必要があります。

2つの評価軸 何を強みにしますか 専門性を深める 技術力そのもので評価される道を選ぶ マネジメント・折衝を担う 任せられる範囲の広さで評価される道を選ぶ どちらの軸を選んでも、賃金データは上昇を裏付けています*1

専門性を深める道では、特定の技術領域における実装力や設計力そのものが評価の対象になります。

マネジメントや折衝を担う道では、任せられる業務の範囲や、チームとしての成果に対する責任の重さが評価の対象になります。どちらか一方が優れているという話ではなく、自分の経歴がどちらに寄っているかを先に見きわめることが選考の準備になります。

どちらの軸を選ぶにしても、共通して必要なのは、これまでの経歴のなかでどちらの実績が多いかを客観的に振り返ることです。両方を中途半端に語るより、どちらかに軸足を置いて説明するほうが、選考では伝わりやすくなります。

3. 2つの道で、書くことと聞かれることがどう変わるか

管理職にならない場合も、評価軸は専門性を深める道と、任せられる範囲を広げる道の2つに分かれます。それぞれの道で何が問われるかを、3つの観点で比べます。

【表1】2つの評価軸の比較

観点専門性を深める道任せられる範囲を広げる道
職務経歴書に書くこと担当した技術領域における実装力・設計力を、具体的な成果とあわせて書く担当範囲がチーム単位に広がった経緯と、任された意思決定の内容を書く
面接で聞かれやすいこと特定の技術における判断の根拠や、選定の理由を掘り下げて聞かれるチームやプロジェクト全体をどう動かしたか、折衝の場面を聞かれる
リモート求人での見られ方非同期でも成果物の質で評価されやすい非同期でのマネジメント経験があるかが問われやすい

どちらが上という話ではありません。まずは自分の経歴が、専門性を深める道と、任せられる範囲を広げる道のどちらに寄っているかを先に決めておくと、応募先の絞り方が変わります。

表の3つの観点に沿って棚卸しをしておけば、職務経歴書に書く内容と、面接での受け答えに一貫性を持たせやすくなります。観点ごとに強弱をつけておくと、応募先が専門性を求めているのか、任せられる範囲の広さを求めているのかに応じて、伝える順番を変えられます。

両方を中途半端に語るより、どちらかに軸足を置いて説明するほうが、リモートワーク対応の求人でも伝わりやすくなります。応募先が専門性を求めているのか、任せられる範囲の広さを求めているのかを、求人票からあらかじめ読み取っておくとよいでしょう。

4. 年齢を重ねても賃金が上がり続けることをデータで見る

管理職になるかどうかにかかわらず、賃金がどう推移しているかを、まず数字で見ていきます。20代後半を基準に、50代前半までのカーブをたどります。

一般労働者の賃金(月額・2025年) 25〜29歳 279.4千円 40〜44歳 364.3千円 45〜49歳 377.9千円 50〜54歳 388.8千円 20代後半から50代前半にかけて、賃金は上がり続けています*1 *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

25〜29歳の279.4千円と比べると、40〜44歳の364.3千円はすでに大きく高い水準です*1。年齢を重ねる過程で、賃金はすでに大きく上がっています。

45〜49歳では377.9千円、50〜54歳では388.8千円と、上昇はさらに続きます*1。管理職になるかどうかで区切られた統計ではありませんが、年齢を理由に賃金が止まる年代ではないことは、このカーブからも読み取れます。

20代後半から50代前半までのカーブを続けて見ると、賃金が上がり続ける期間のほうが長く、下がる期間はまだ先にあります。管理職を選ぶかどうかより先に、この上昇の途中にいるという事実を押さえておくとよいでしょう。

5. 専門性の道で評価される材料を書き出す

管理職にならない道を選ぶ場合、選考の場では専門性の中身をどう言葉にするかが問われます。分解しておきたい項目を挙げます。

専門性の道で経歴を整理する際の項目

  • 技術選定の判断根拠:なぜその技術や手法を選んだか、判断の理由を書き出します
  • 設計・実装の深さ:仕様の分解や設計まで担った場面を具体的に示します
  • 非同期での実績:対面に頼らずに進めた業務の実績を具体的に書きます
  • 技術の更新歴:直近で身につけた技術や手法を年でまとめます

専門性の道では、技術そのものの判断に至った理由を具体的に語れるかどうかが、選考での説得力を左右します。結論だけを書くのではなく、比較した選択肢や、選ばなかった理由まで含めて書き出しておくと、面接での深掘りにも答えやすくなります。

これらの項目は、任せられる範囲を広げる道を選ぶ場合にも参考になりますが、専門性の道ではとくに、判断の根拠まで踏み込んで書くことが求められます。

書き出す際は、成果を大きく見せようとするより、具体的な場面をそのまま記述することを優先してください。誇張よりも具体性のほうが、選考では説得力を持ちます。

6. 勤務地で候補者を絞れない企業が増えている背景

IPAの調査では、DX人材が不足していると回答した企業は85.5%にのぼります(2025年度)*4。この数字は、企業が候補者を選ぶ余裕そのものが小さくなっていることを示しています。

内訳を見ると、「大幅に不足」と回答した企業の割合は2023年度62.1%、2024年度58.5%、2025年度50.1%と3年連続で低下しています*4。深刻度そのものは緩和に向かっていますが、不足を感じている企業自体は依然として多数を占めています。

候補者を選ぶ余裕が小さい状況では、勤務地や役職経験の有無を条件にして応募者を絞ることの優先順位は下がります。管理職を経ていない専門性を、居住地を問わないリモートワーク対応の求人で評価してもらう余地は、この数字からも読み取れます*4。

「大幅に不足」の割合が下がっているという事実は、企業側の採用姿勢が急速に変わっているとまでは言い切れません。全体で85.5%という水準が続いている以上、専門性を必要とする場面は、当面のあいだ大きくは縮まらないと見るのが妥当です*4。

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7. よくある質問(Q&A)

Q1. 管理職にならない場合、キャリアは頭打ちになりますか?

A. 賃金データの上ではそうとは言えません。一般労働者の賃金は年齢とともに上がり続け、55〜59歳の396.2千円でピークになります*1。役職の有無で集計を分けた統計ではないため断定はできませんが、少なくとも「上がらなくなる」という前提は支持されていません。頭打ちを避けたいなら、年齢ではなく評価軸の選び方に目を向けるほうが実務的です。

Q2. 専門性を深める道と、任せられる範囲を広げる道は途中で変えられますか?

A. 求人によって異なります。選考時点でどちらの実績が多いかを整理しておけば、軸足を移すこと自体は妨げられません。両方を中途半端に語るより、応募時点でどちらかに寄せて説明するほうが伝わりやすくなります。

Q3. 専門性を深める道を選ぶと、選考で何を聞かれますか?

A. 特定の技術における判断の根拠や、選定の理由を掘り下げて聞かれます。技術選定や設計上の意思決定を、場面ごとに説明できる状態にしておくことが準備になります。

Q4. マネジメントの経験がなくても、リモートワーク対応の求人に応募できますか?

A. できます。専門性を深める道でも評価される場面は多く、管理職経験の有無だけで選考が決まるわけではありません。

Q5. DX人材不足は、管理職にならない道を選ぶ人にどう関係しますか?

A. 企業がDX人材の不足を感じている割合は85.5%にのぼります(2025年度)*4。候補者を選ぶ余裕が小さい状況では、勤務地や役職経験の有無で応募者を絞る優先順位は下がりやすくなります。

Q6. 「大幅に不足」の割合が下がっているのは、採用条件がゆるくなっているということですか?

A. 言い切れません。「大幅に不足」の割合は2023年度62.1%から2025年度50.1%へ低下していますが*4、全体で85.5%という不足感自体は続いています。深刻度が緩んでいるだけで、不足そのものが解消したわけではありません。

8. まとめ:管理職にならない道にも、評価される材料はあります

この記事の要点

  • 一般労働者の賃金(月額)は年齢とともに上がり続け、55〜59歳の396.2千円でピークになります*1
  • 評価軸は専門性を深める道と、任せられる範囲を広げる道に分かれます。自分の経歴がどちらに寄っているかを整理しておくことが選考の準備になります
  • DX人材が不足していると回答した企業は85.5%(2025年度)です*4
  • 「大幅に不足」の割合は2023年度62.1%→2025年度50.1%へ低下し、深刻度は緩和傾向にあります*4

「管理職にならない=頭打ち」という前提を、賃金データに照らして見直してください。専門性を深める道と、任せられる範囲を広げる道、どちらの軸で評価されたいかを決めることが、次の転職先を選ぶ最初の一歩です。

経験を、賃金水準に見合う条件で選ぶ

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出典・参考情報

*1 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
*2 パーソル総合研究所「第十回・テレワークに関する調査」(2025年7月実施)
*3 国土交通省「令和6年度テレワーク人口実態調査」(令和7年3月公表)
*4 情報処理推進機構(IPA)「DX動向2026 広がるAI導入、DXは変われるか」(2026年7月公表)

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