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フルフレックスの残業代|清算期間の総労働時間を超えた分

夜の机に広げた罫線だけの勤務表と、電卓、数字の無い卓上時計

フルフレックスの残業代が発生するのは、清算期間の実労働時間が法定労働時間の総枠を超えた分です*1。1日8時間を超えて働いても、その日の分だけでは時間外労働になりません*1。総枠は、週40時間に清算期間の暦日数をかけて7で割った時間で、1か月が31日なら177.1時間です*1。

清算期間とは、労働時間を数える期間のことで、上限は3か月です*2。コアタイムを設定しない働き方も、フレックスタイム制の中で認められています*1。数え方の中身を、総枠の式と暦日数ごとの時間から順に読みます。

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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事のポイント

  • 時間外労働になるのは、清算期間の実労働時間が総枠を超えた分です*1。1日8時間・週40時間を超えても、ただちに時間外労働にはなりません*1。
  • 総枠は、週40時間に清算期間の暦日数をかけて7で割った時間です*1。1か月の総枠は、31日の月が177.1時間、28日の月が160.0時間と、日数で変わります*1。
  • 清算期間が1か月を超えると、総枠に加えて、1か月ごとの週平均50時間も時間外労働の判定に使われます*1。月60時間を超えた時間外労働は、割増率が50%以上です*2。

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1. 時間外労働は清算期間の総枠を超えた分だけ

フルフレックスの残業代が発生するのは、清算期間の実労働時間が法定労働時間の総枠を超えた分です*1。総枠とは、法律が定める週40時間を清算期間の日数に引き延ばした時間で、週40時間×清算期間の暦日数÷7日で計算します*1。判定の単位は清算期間全体なので、1日8時間を超えた日があっても、その日だけで時間外労働にはなりません*1。清算期間の上限は3か月で、1か月のときと、それより長いときとで、時間外労働の数え方が異なります*1*2。

フレックスタイム制では、1日8時間・週40時間という法定労働時間を超えて働いても、ただちに時間外労働とはなりません*1。逆に、1日の標準の労働時間に達しない時間も、欠勤とはなりません*1。1日ごとの長さではなく、清算期間の合計で時間外労働が決まります*1。

コアタイムを設定しないことで、働く日も自由に選べるようにする運用も、手引きは可能としています*1。働く日と時間帯の自由度が上がっても、時間外労働を数える単位は清算期間で変わりません。残業代の有無は、清算期間の合計が総枠を超えたかどうかで決まり、働く日の選び方は関係しません*1。

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2. 残業代の数え方は4つの手順で決まる

執務室の机で、電卓のキーを押しながら表の行を指でなぞる手
暦日数から総枠を出し、実労働時間が総枠を超えた分を時間外労働にする 1 暦日数を数える 1か月の清算期間なら、その月の日数 2 総枠を出す 40時間×暦日数÷7日で計算する 3 実労働時間を足す 清算期間の初日から末日までの合計 4 超えた分を数える 総枠を超えた時間数が時間外労働 時間外労働は、清算期間の合計時間と総枠の差で決まる

最初に必要なのは、清算期間の暦日数です。暦日数とは、土日や休日を除かない、カレンダー上の日数のことです。清算期間が1か月なら、その月が28日から31日のどれかによって、総枠が変わります*1。

総枠の式にある40時間は、1週間の法定労働時間です*1。この40時間を7日で割れば1日あたりの時間になり、暦日数をかければ清算期間全体の総枠になります。実労働時間を足し合わせたあと、総枠と比べて超えた分だけが、割増賃金の対象となる時間外労働です*1。

実労働時間が、清算期間で定めた総労働時間に届かないときは、2つの扱いがあります。不足した時間分の賃金を控除して支払う方法と、不足時間を次の清算期間の総労働時間に繰り越す方法です*1。繰り越した後の時間も、法定労働時間の総枠の範囲内に収める必要があります*1。この繰り越しで総枠を超える時間が生まれる扱いは、認められていません。

3. 1か月の総枠と月ごとの上限は暦日数で変わる

清算期間が1か月のときの総枠は、暦日数で決まります*1。右の列は、清算期間が1か月を超えるときに使う、週平均50時間となる月間の労働時間数です*1。式は50時間×各月の暦日数÷7日です*1。

暦日数ごとの総枠と、週平均50時間にあたる月間の時間(単位は時間)

その月の暦日数総枠の式(週40時間)1か月の総枠週平均50時間となる月間の時間
31日40時間×31日÷7日177.1時間221.4時間
30日40時間×30日÷7日171.4時間214.2時間
29日40時間×29日÷7日165.7時間207.1時間
28日40時間×28日÷7日160.0時間200.0時間

1か月の清算期間なら、表の総枠が時間外労働の境目です*1。月によって総枠が異なるため、同じ時間を働いても、28日の月は時間外労働になり、31日の月は時間外労働にならないことがあります*1。右の列の時間は、総枠とは別の線で、1か月を超える清算期間の月ごとの判定に使います*1。

フルフレックスの残業代は、清算期間が何か月かで、総枠の大きさも、時間外労働を数える条件の数も変わります。面接で聞く内容は、清算期間の長さです。給与明細の時間外労働の時間数と勤怠の合計時間を見比べれば、総枠の計算が合っているかを自分でも追えます。

4. 清算期間が1か月を超えると月ごとの週平均50時間も数える

清算期間は、3か月以内の期間に限って定められます*2。1か月を超える清算期間では、2つの条件を満たす必要があります。1つは、清算期間全体の労働時間が、週平均40時間を超えないことです。もう1つは、1か月ごとの労働時間が、週平均50時間を超えないことです*1。どちらかを超えた時間が、時間外労働になります*1。

清算期間が2か月のときの総枠は、62日で354.2時間、61日で348.5時間、60日で342.8時間、59日で337.1時間です*1。3か月のときは、92日で525.7時間、91日で520.0時間、90日で514.2時間、89日で508.5時間です*1。1か月の総枠と同じ式で、暦日数が増えた分だけ総枠も増えます。

時間外労働としてカウントされるのは、次の2つです。1つ目は、1か月ごとに週平均50時間を超えた労働時間で、2つ目は、清算期間を通じて総枠を超えて労働した時間です*1。2つ目では、1つ目で数えた時間を除きます*1。同じ時間が重ねて時間外労働に数えられることはありません。

1か月の実労働時間が表の右の列の時間より長ければ、その長い分は時間外労働です*1。清算期間全体では総枠に収まっていても、この月ごとの条件には引っかかります*1。月の前半に集中して働くと、後半を休んで合計を合わせても、前半の月の週平均50時間を超えた分は時間外労働のままです。

面接では、清算期間が1か月か、それより長いかを聞いておきます。長い場合は、月ごとの週平均50時間と清算期間全体の総枠の2つが、時間外労働を判定する条件です*1。清算期間の長さが分かれば、自分の働き方でどちらの線が先に来るかを、求人ごとに見積もれます。

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5. 割増率は25%以上で月60時間を超えた分は50%以上

夕方の執務室で、月末のマスに赤いシールを貼った数字の無いカレンダーと卓上時計

フルフレックスの残業代も、時間外労働としてカウントされた時間には割増賃金が必要です。割増率は25%以上です*2。時間外労働が月60時間を超えた場合、超えた時間は50%以上の割増賃金率で計算します*1*2。2023年4月以降は、この50%以上の扱いが事業の規模を問わず適用されます*1*2。

法定休日の労働は、清算期間の総労働時間や時間外労働とは別に数えます*1。法定休日とは、1週間に1日与える休日のことで、この日に働いた時間の割増率は35%以上です*1。法定休日に働いた時間は、総枠を超えたかどうかの計算に入りません*1。午後10時から午前5時までの深夜に働いた時間にも、25%以上の割増賃金が必要です*2。

時間外労働をさせるには、36協定の締結が必要です*1。36協定とは、時間外労働をさせるために会社と労働者側が結ぶ協定のことです。フレックスタイム制では清算期間を単位に時間外労働を判断するので、36協定で「1日」の延長時間を定める必要はなく、「1か月」と「1年」の延長時間を協定します*1。

時間外労働の上限は、原則として月45時間以内・年360時間以内です*1。時間外労働と休日労働の合計は、単月で100時間未満、2〜6か月の平均で80時間以内に収める必要があります*1。月60時間は割増率が50%以上に上がる時間で、月45時間と単月100時間は36協定の上限に関わる時間です。3つの時間は別々の線なので、給与明細の時間外労働の欄を読むときは、どの線を超えた話かを分けて見ます。

6. よくある質問

Q1. フルフレックスで1日8時間を超えて働くと残業代は出ますか

A. その日の長さだけでは出ません。時間外労働になるのは、清算期間の実労働時間が法定労働時間の総枠を超えた分です*1。

Q2. 清算期間が1か月のとき残業代が出る境目は何時間ですか

A. 暦日数で決まり、31日の月は177.1時間、30日の月は171.4時間、29日の月は165.7時間、28日の月は160.0時間を超えた分です*1。

Q3. 実労働時間が決められた総労働時間に届かなかった月はどうなりますか

A. 不足分は、その分の賃金を引いて支払うか、次の期間へ持ち越します*1。持ち越した後の合計も、総枠の範囲に収まっている必要があります*1。

Q4. 法定休日に働くと割増率はいくつですか

A. 35%以上です*1。法定休日の労働は、清算期間の総労働時間や時間外労働とは別に数えます*1。

Q5. 時間外労働が月60時間を超えると割増率はどうなりますか

A. 超えた時間は50%以上の割増賃金率で計算します*1*2。2023年4月以降の扱いです。

Q6. フレックスタイム制では36協定に1日の延長時間を書く必要がありますか

A. 書く必要はありません。時間外労働は清算期間ごとに判断されるため、「1か月」と「1年」の延長時間を協定します*1。

7. まとめ:残業代は清算期間の総枠を超えた分で数える

残業代の数え方で押さえる3点

  • 時間外労働になるのは、清算期間の実労働時間が総枠を超えた分で、総枠は週40時間×清算期間の暦日数÷7日です*1。
  • 清算期間が1か月を超えるときは、総枠に加えて、1か月ごとの週平均50時間を超えた分も時間外労働になります*1。
  • 時間外労働が月60時間を超えた分は、2023年4月以降、50%以上の割増賃金率で計算します*1*2。

応募先の清算期間が何か月かを面接で聞いておくと、残業代を判定する条件が1つか2つかが分かります。

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出典・参考情報

*1 フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)
*2 労働基準法(昭和22年法律第49号)第32条の3・第32条の3の2・第37条(e-Gov法令検索)

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