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退職者のアカウントの片付けは誰の仕事か|求人での読み方

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

退職者のアカウントの片付けは誰の仕事か|求人での読み方のイメージ写真

退職者のアカウントを止める仕事は、人事と情報システムのどちらの持ち場なのか、はっきりしないまま進むことがあります。人事は手続きが終わったと考え、情報システムは連絡を待っています。そのすき間で、使われない入り口が残ります。求人票のどの語を見れば、この仕事の実態に気づけるかを確認します。

雇用型就業者のテレワーク実施率は15.6%です*1。出社を前提としない働き方が一定の割合を占めるいま、退職者が使っていた入り口も、社内ネットワークの中だけにとどまりません。求人票のどこにこの仕事の実態が書かれているかを、ここから見ていきます。

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数字で見る、働き方と転職の数字 この記事の要約 テレワークの実施率 *1 15.6% 雇用型就業者(2024年度) 国土交通省調査 入り口の数は勤務形態で変わる 転職で賃金が減った人 *2 29.4% 転職入職者のうち 厚生労働省調査(令和6年) 増加が減少を11.1pt上回った年 60〜64歳の賃金 *3 329.3千円 一般労働者の月額 厚生労働省調査(2025年) 年齢層ごとの賃金の目安になる 働き方の広がりと転職の数字を、先に確認しておく必要があります *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

この記事のポイント

  • 雇用型就業者のテレワーク実施率は15.6%です。出社を前提としない働き方が広がるほど、退職者が使っていた入り口の数も、オフィスの端末だけでは数えきれなくなります*1。
  • 転職して賃金が『減少』した人の割合は29.4%です。人事と情報システムの間を橋渡しするこの仕事は、目立たない業務に見えますが、求人票の語の拾い方次第で評価が変わります*2。
  • アカウントが止まらずに残る理由は、知らせる道が1本しかないこと、入り口の数を誰も把握していないこと、消す判断が重いことの3つに絞れます。この3つを求人票と面談でどう確認するかが、この仕事を見極める土台になります。

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1. 退職者のアカウントは、人事と情報システムの間に残ります。

退職者のアカウントが止まらずに残るのは、消す判断がどちらの持ち場でもないまま置かれるからです。国土交通省の調査では、雇用型就業者のテレワーク実施率は15.6%でした*1。出社を前提としない働き方が一定の割合を占めるいま、その人が使っていた入り口はオフィスの端末だけに収まりません。人事は手続きが終わったと考え、情報システムは連絡を待っています。そのすき間に、使われない入り口が残ります。

人が辞めたあとの片付けは、担当がはっきりしないまま残りがちです。人事の側では、退職の手続きが済んだ時点で仕事が終わったと考えます。情報システムの側では、止めるべきアカウントの連絡が来ていないと考えます。双方の理解がずれたまま、時間だけが進みます。

退職者のアカウントが落ちる理由は、実は決まっています。知らせる道が1本しかないこと、入り口の数を誰も把握していないこと、消す判断が重いことの3つです。どれも珍しい事情ではなく、規模の大きい組織ほど起こりやすい構造です。

この領域の求人でエンジニアが見られているのは、技術力そのものではありません。入り口の一覧を作り、人事とやり取りする道を増やせるかという段取りの力です。求人票の文面から、この仕事の実態を読み取る方法を、ここから順に見ていきます。

2. テレワークの広がりが、入り口の数を増やします。

退職者が最後に使っていた入り口を数えるとき、前提として押さえておきたいのが働き方の広がりです。

入り口が増える働き方の広がり 15.6% 雇用型就業者のテレワーク実施率 出社を前提としない働き方の広がり 社内で使う入り口の数は、勤務形態によって変わります オフィスの端末だけを数えても、全体はつかめません 入り口の数は、働き方が変わるほど増えていきます *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

国土交通省の調査による15.6%という数字は、雇用型就業者全体に占める割合です*1。出社を前提としない働き方が一定数を占めている以上、その入り口も、社内ネットワークの中だけに限られません。

使っていた入り口は、社内ネットワークだけでなく、クラウド上の業務システムや外部サービスにも及びます。人事が把握しているのは雇用契約に関する情報であり、入り口の一覧そのものではありません。

3. アカウントが残る理由は、3つに絞れます。

退職者のアカウントが止まらずに残る理由の1つは、知らせる道が1本しかないことです。退職者の一覧を月に1度まとめて共有する仕組みだけに頼っていると、急に辞めた人がいた場合、次の一覧が出るまでの間、その人のアカウントは動いたままになります。

2つ目の理由は、入り口の数を誰も把握していないことです。社内で使う仕組みの数は、事業が広がるほど増えていきます。どこに何のための入り口があるかを、1人だけで全部把握しているとは限りません。人事は雇用契約に関する情報を持ち、情報システムは自分たちが管理する範囲の情報を持ちます。2つを合わせて見なければ、入り口の全体像は見えてきません。

3つ目の理由は、消す判断が重いことです。使っていないからといって、すぐに消してよいとは限らない入り口があります。過去のやり取りやファイルが残っている場合、確認せずに消すと後で困ることがあります。

3つ目の理由には、慎重であることの正当な事情があります。ただし、止めたまま置かれた入り口が数年たまると、もう誰も中身を確かめられなくなります。慎重さが、そのまま先延ばしに変わってしまう境目がここにあります。

アカウントを扱う仕事は、この3つの理由のどこに手を入れるかを決める仕事だと言えます。求人票を読むときも、この3つのどこに当てはまる内容が書かれているかを確認すると、仕事の実態が見えてきます。

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4. 求人票に書かれる語と、賃金の参考値を並べます。

この仕事を求人票から見極めるときに、あわせて確認しておきたい数字を並べます。厚生労働省の調査から、賃金に関する2つの数字を引いています。

【表1】この仕事を検討するときに参考にしたい数字(2024年・2025年調査)

指標数値出典・年備考
転職して賃金が『減少』した人の割合29.4%厚生労働省 雇用動向調査(令和6年)増加が減少を11.1pt上回った年*2
一般労働者の賃金・60〜64歳329.3千円厚生労働省 賃金構造基本統計調査(2025年)月額・年齢層ごとの目安*3

転職して賃金が『減少』した人の割合は29.4%でした。同じ年の調査では、賃金が増加した人の割合が減少した人を11.1ポイント上回っています*2。人事と情報システムの間を橋渡しするこの仕事は、目立たない業務に見えますが、賃金が下がることを前提に考える必要はありません。

一般労働者の賃金は、60〜64歳で月329.3千円でした*3。年齢層ごとの賃金の目安を先に知っておくと、求人票に書かれた条件面を確認するときの手がかりになります。

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5. 連絡から判断までを4段階で示します。

退職者のアカウントを止める作業を、4つの工程に分けて示します。

連絡から判断までの4つの工程 連絡を受ける 誰かが辞めたという連絡が、 人事から情報システムへ届きま す。 入口を並べる その人が使っていた入口を、 システムごとに書き出します。 利用を止める 書き出した入口を、順に利用停 止にします。 判断を仰ぐ 消してよいか判断できないもの は、置いたまま次の工程に回し ます。 工程の3つ目と4つ目の間で、判断が止まりやすくなります

アカウントを止める作業は、連絡を受ける、入口を並べる、利用を止める、消す判断を仰ぐという4つの工程に分けられます。順番そのものは複雑ではありません。

止まりやすいのは、3つ目から4つ目に移る場面です。利用を止めることはできても、消してよいかどうかの判断は、別の人に確認しないと決められません。その確認先が決まっていない組織ほど、この工程で長く止まります。

止まったままの入り口が積み重なると、次にシステムを入れ替えるときや、部署をまとめて見直すときに、確認する対象がさらに増えます。工程の途中で止めておくほど、あとから追う手間は大きくなります。

求人票にこの4つの工程のどこまでが書かれているかを見ると、任される仕事の内容の見当がつきます。「入退社対応」という語だけでは、4つのうちどこを担うのかまでは分かりません。

6. 求人票と面談で確認したい点を整理します。

退職者のアカウント整理という仕事を求人票から見極めるために、確認しておきたい点を整理します。

求人票と面談で確認したい点

  • 求人票の語:「入退社対応」「アカウント管理」という語が書かれているかを確認します。
  • 面談での質問:「先月辞めた人の分は、いつ止まりましたか」と聞くと、実際の運用がどこまで回っているかが分かります。
  • 任される工程:4つの工程(連絡・一覧化・停止・判断)のうち、どこを担うのかを確認します。
  • 賃金の条件:目立たない業務であることを理由に条件面を下げていないか、求人票の記載を確認します。

求人票に「入退社対応」「アカウント管理」という語があれば、アカウントに関わる仕事が含まれている可能性があります。語があるだけでは工程のどこを担うかまでは分からないため、面談でさらに確認します。

面談で「先月辞めた人の分は、いつ止まりましたか」と聞くと、一覧化にとどまらず、実際に利用停止まで進んでいるかが見えてきます。即答できない場合、判断を仰ぐ工程で止まっている可能性があります。

求人票の語だけでなく、面談で「システムの数はどれくらいありますか」と聞いてみると、入り口の数を把握している組織かどうかの手がかりになります。数を答えられない場合、把握そのものがまだ整っていない可能性があります。

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7. よくある質問(Q&A)

Q1. 退職者のアカウント整理は、未経験からでも担える仕事か。

A. 求人によって条件は異なります。技術的な知識よりも、人事とのやり取りを整理して進める力が問われる求人もあり、そうした求人では実務経験の年数より段取りの力が評価されます。

Q2. この仕事は、情報システム部門でなければ担当できないか。

A. 求人によります。人事のシステムに近い部署が担う場合もあれば、情報システム部門が窓口を持つ場合もあります。求人票に、どちらの部署が主体かが書かれているかを確認します。

Q3. 「入退社対応」と書かれた求人は、退職の対応だけを指すか。

A. 入社時の対応を含む語として使われることもあります。求人票の説明文まで読み、退職時の4つの工程(連絡・一覧化・停止・判断)がどこまで書かれているかを確認すると、仕事の実際の内容がつかめます。

Q4. 面談で聞いても、明確な答えが返ってこない場合はどう判断すればよいか。

A. 即答できないこと自体が、判断を仰ぐ工程で止まっている可能性を示します。運用の実態が固まっていない求人だと考え、入社後にどう整えていくかを一緒に聞くと、仕事の伸びしろが見えてきます。

Q5. アカウントを消す判断は、エンジニア自身が下してよいか。

A. エンジニア単独では判断せず、人事や利用部門に確認を仰ぐ運用になっているかどうかを、求人票や面談で確認しておくとよい点です。

8. まとめ:退職者のアカウントは、段取りを作る仕事で扱われます。

この記事の要点

  • 退職者のアカウントが止まらずに残るのは、知らせる道が1本しかないこと、入り口の数を誰も把握していないこと、消す判断が重いことの3つが理由です。
  • 雇用型就業者のテレワーク実施率は15.6%です。出社を前提としない働き方が広がるほど、入り口の数も社内ネットワークの外に広がります*1。
  • 転職して賃金が『減少』した人の割合は29.4%ですが、同じ年に賃金が増加した人の割合はそれを11.1ポイント上回っています*2。
  • 一般労働者の賃金は60〜64歳で月329.3千円です。年齢層ごとの賃金の目安を、求人票の条件面と併せて確認しておくと判断の手がかりになります*3。
  • 求人票に「入退社対応」「アカウント管理」という語があるかを確認し、面談では「先月辞めた人の分は、いつ止まりましたか」と聞くと、実際の運用が見えてきます。

退職者のアカウントを整理する仕事は、技術の高さよりも段取りの力が問われます。求人票の語と面談での一問を手がかりに、この仕事の実態を確かめてから、応募の判断を進めていきましょう。

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※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。

出典・参考情報

*1 国土交通省「令和6年度テレワーク人口実態調査」(令和7年3月公表)
*2 厚生労働省「雇用動向調査」(令和6年)
*3 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)

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