オンプレの経験が活きる転職先は?求人票に出る要件

転職のための求人票を見ていくと、クラウドへの移行を前提とせず、自社に設備を置いたまま動かす経験を要件に挙げているものが見つかります。世の中の関心はクラウド化に向きがちですが、機器を入れ替えずに使い続ける仕組みは今も残っており、そこには維持と更新を担う仕事があります。求人の書き方を確かめれば、その仕事が実際にどこにあるかが見えてきます。
テレワークを導入している企業は50.1%で、令和6年から増加に転じました*1。半数近くの企業では、設備を自社の建物に置いたまま動かす仕組みが今も続いています。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- テレワークを導入している企業は50.1%で、令和6年から増加に転じました*1。半数近くの企業では、設備を自社の建物に置いたまま動かす働き方が続いています。
- 雇用型就業者のテレワーク実施率は16.8%です*2。現場や設備のある場所に出て働く人が、なお多く残っています。
- 全職業の有効求人倍率は1.26倍です*3。求人の書き方を確かめれば、この経験を要件に置く求人がどこにあるかが見えてきます。
1. オンプレの経験を求人が要件に書く理由を確かめます
オンプレの経験だけを積んだエンジニアにも、その経験を要件に挙げる求人があります。総務省の調査では、テレワークを導入している企業は50.1%で、令和6年から増加に転じました*1。半数近くの企業では、設備を自社の建物に置いたまま動かす仕組みが続いており、そこには入れ替えではなく、維持と更新を担う仕事があります。
クラウドへの移行を勧める記事は多く見つかりますが、実際の求人票を見ると、オンプレの経験を要件として挙げているものがあります。全部をクラウドに置き換えた会社だけが求人を出しているわけではありません。
求人の背景を確認すると、機器の更新の周期がある領域や、外に出せないデータを扱う領域、手元の設備と外の仕組みを両方つないで動かす形など、いくつかの共通点が見えてきます。
求人媒体に並ぶ条件は、クラウドの経験を前提にしたものが目立ちます。オンプレの経験を要件に挙げる求人は数のうえでは少数派ですが、消えているわけではなく、募集の背景を読めば見つけられる場所にあります。
求人票の書き方を確かめれば、オンプレの経験がどこで評価されているかが具体的に分かります。次の項目では、その仕事の内訳を見ていきます。
2. 自社に置く設備の仕事を3つに分けて見ます
自社に置く設備が、そのまま動き続けるための仕事を3つに分けて見ます。
維持は、動いているオンプレの設備を壊さずに使い続ける仕事です。ログや温度、電源の状態を日常的に見て、異常が起きる前に手を打ちます。
更新は、老朽化した機器や保守の期限が近づいた設備を、新しい機器に入れ替える仕事です。入れ替えの前後で、動いているシステムを止めない設計が求められます。
つなぎ込みは、手元に置いた設備と、外部のクラウドや取引先のシステムをつなぐ仕事です。両方の仕組みを理解していないと、つなぎ目でトラブルが起きます。
3つの仕事はどれも、オンプレの経験がある人にしか分からない勘所を含みます。求人票の「募集の背景」に、この3つのどれを担うのかが書かれている場合があります。
これまでの経験がどこに当たるかは、担ってきた作業で見分けられます。障害対応や監視を続けてきた経験は維持に近く、機器の入れ替えプロジェクトに関わった経験は更新に近くなります。両方に関わってきた場合は、つなぎ込みの求人でも説明しやすくなります。
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3. オンプレの経験が要件になる3つの領域があります
1つ目は、機器の更新の周期がある領域です。工場の生産管理システム、医療機関の院内システム、金融の勘定系、公共機関の情報システムなどでは、一定の周期で機器を入れ替える計画があり、その間はオンプレの設備を維持し続ける必要があります。
2つ目は、法令や取引先の要求で外に出せないデータを扱う領域です。個人情報や機密性の高い情報を、社外のクラウドに置かない方針を取る会社があります。この場合、オンプレの環境を前提にした運用の経験が、そのまま要件になります。
3つ目は、手元の設備と外の仕組みを両方つないで動かす形です。すべてをクラウドに移すのではなく、オンプレの設備を残したまま、外部のサービスと組み合わせて使う会社があります。
併用の求人では、手元の設備を管理する担当と、外部のサービスを設計する担当が分かれている会社と、1人が両方を見る会社があります。求人票に体制の説明があれば、どちらに近いかが分かります。
働く人の側から見ても、この状況は表れています。国土交通省の調査では、雇用型就業者のテレワーク実施率は16.8%でした*2。設備や現場のある場所に出て働く人が、なお多数を占めています。
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4. 求人票の書き方を3つの項目で比べます
ここまでの3つの数字を、項目ごとに並べて確認します。
【表1】テレワークの実施状況と求人動向の比較
| 指標 | 値 | 対象・時点 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 企業のテレワーク導入率 | 50.1% | 常用雇用者100人以上・2024年8月末 | *1 |
| 雇用型就業者の実施率 | 16.8% | 雇用型就業者・2025年 | *2 |
| 全職業の有効求人倍率 | 1.26倍 | 常用(除パート)・2025年12月 | *3 |
企業側の導入率は50.1%*1、働く人の実施率は16.8%*2です。どちらの数字も、テレワークをしていない側が多数であることを示しています。
有効求人倍率は1.26倍です*3。求人の数が人を上回る水準であり、オンプレの経験を要件に挙げる求人であっても、書き方を確かめれば候補として検討できる余地があります。
5. 企業のテレワーク導入率から残る仕事が見えてきます
総務省の調査で、テレワークを導入している企業は50.1%でした*1。令和4年の調査より下がっており、増え続けているわけではありません。
半数を超える企業が導入していないという事実は、設備を自社に置いたまま動かす運用が、少数派の例外ではないことを示しています。オンプレの経験を積んだ人が、退職や異動で抜けたときの引き継ぎ先が必要になる場面は、今も一定数あります。
求人票の「募集の背景」を読むと、退職・増員・新設のどれに当たるかが分かります。増員であれば、既存の体制を維持しながら人を増やす動きであり、オンプレの経験がそのまま評価される可能性があります。
新設という背景であれば、これまで外部に任せていた保守を、自社の体制に切り替える動きである場合があります。この場合は、立ち上げの段階から関わる仕事になるため、過去に運用だけを担ってきた経験とは、求められる役割の幅が変わります。
6. 求人票で確かめる3つの書き方を整理します
オンプレの経験を活かせる求人かどうかは、募集の背景・設備の置き場所の書き方・更新の予定の書き方の3つで確かめられます。
求人票で確かめる3つの書き方
- 募集の背景:退職・増員・新設のどれに当たるかを確認します。増員であれば、既存の体制を維持する目的である場合があります。
- 設備の置き場所の書き方:「自社のデータセンター」「オンプレ環境」など、設備がどこにあるかを明記している求人は、維持の仕事がそのまま残っている可能性が高くなります。
- 更新の予定の書き方:「今後3年で新システムに移行」のように予定が書かれていれば、今の仕事が入れ替えの一時的な体制なのか、その後も続く体制なのかを判断できます。
3つのうち、募集の背景が最も分かりやすい手がかりです。求人票に理由が書かれていない場合は、面談で確認しても問題ありません。
設備の置き場所の書き方は、会社によって差があります。「自社設置」とだけ書く求人もあれば、機器の種類まで具体的に書く求人もあります。書き方が具体的な求人ほど、実際の仕事の内容も具体的に伝わります。
更新の予定が書かれていない求人は、担当者に確認して問題ありません。「決まっていない」という回答であれば、今の体制がそのまま続く可能性が高いと考えられます。
職務経歴書には、担ってきた作業を、維持・更新・つなぎ込みのどれに当たるかで書き分けると伝わりやすくなります。作業の対象が自社の設備であったことも、あわせて書いておくと誤解を避けられます。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 自社に設備を置いたまま運用してきた経験だけで応募できる求人はありますか
A. あります。求人票の募集の背景や設備の置き場所の書き方を確認すると、維持や更新を担う人を求めている求人が見つかります。クラウドの経験を前提にしない求人も一定数あります。
Q2. 設備の置き場所は求人票のどこを見れば分かりますか
A. 業務内容や勤務地の欄に書かれています。「自社のデータセンター」「オンプレ環境」のように場所を明記した求人であれば、設備の管理そのものが仕事の中心になっていると判断できます。
Q3. 機器の更新とシステムの入れ替えは同じ仕事ですか
A. 重なる部分はありますが、同じではありません。更新は決まった周期で機器を新しくする仕事で、入れ替えの前後でシステムを止めない設計が求められます。全体をクラウドに移す入れ替えとは、進め方も判断基準も異なります。
Q4. この経験を面接でどう伝えればよいですか
A. 何を維持し、何を更新したかを、期間と規模とあわせて伝える方法があります。「本番環境を止めずに機器を入れ替えた」のような具体的な内容は、クラウド中心の経験者にはない強みとして伝わります。
Q5. この経験は今後なくなっていく前提で考えるべきですか
A. なくなる前提では考えにくい状況です。工場や医療機関、金融の勘定系、公共機関のように、機器の更新の周期がある領域では、設備を自社に置いたまま動かす体制がこの先も続きます。積んできた経験を、入れ替えの計画に合わせて更新していく発想のほうが実情に近くなります。
8. まとめ:設備を自社に置く経験は求人の書き方で見え方が変わります
この記事の要点
- テレワークを導入している企業は50.1%で、令和6年から増加に転じました*1。半数近くの企業では、設備を自社の建物に置いたまま動かす仕組みが続いています。
- 雇用型就業者のテレワーク実施率は16.8%です*2。現場や設備のある場所で働く人は、なお多数を占めています。
- 全職業の有効求人倍率は1.26倍です*3。求人の数が人を上回る水準のなかで、募集の背景・設備の置き場所の書き方・更新の予定の書き方を確かめる価値があります。
- 機器の更新の周期がある領域、外に出せないデータを扱う領域、手元の設備と外の仕組みを両方つないで動かす形の3つに、維持と更新の仕事が残っています。
設備を自社に置いたまま動かしてきた経験は、クラウドに置き換えられて終わる経験ではありません。求人票の書き方を確かめれば、その経験がそのまま評価される仕事が見つかります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省「令和7年通信利用動向調査」(2026年公表)
*2 国土交通省「テレワーク人口実態調査」(2026年公表)
*3 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年12月分)」(2026年公表)
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