画面の遷移を変える求人はなぜ伝える工程が要るのか?
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

求人票に「画面遷移の変更」と書かれた仕事は、エンジニアの目には小さな修正に見えます。ところが実際に時間がかかるのは、コードを直す工程ではありません。毎日その画面を使っている人が、新しい順番に手を慣らすまでの間です。求人票の一行だけでは、この仕事の重さは伝わりません。
情報処理推進機構の調査では、DX推進人材が「不足している」と回答した企業は85.5%にのぼります*1。人手が十分ではないまま既存の社内システムに手を入れる求人が増えており、画面の順番を変える仕事もそのなかに含まれます。直す作業そのものよりも、使う人へ説明して回る過程に時間がかかります。
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この記事のポイント
- DX推進人材が「不足している」と回答した企業は85.5%です*1。既存の社内システムに手を入れる求人は、この不足を背景に増えています。
- 一般労働者の賃金は55〜59歳が月396.2千円で、全年齢のなかで最も高くなります*2。使う人へ説明して回る役割は、経験を重ねた層に割り振られる場面があります。
- 転職して賃金が変わらない人の割合は28.4%です*3。求人票に書かれた一文だけで判断すると、入社後にこの数字に近づくことがあります。
1. 画面の順番を変える求人は、直す時間より説明する時間で長さが決まります。
画面の並び順を変える求人は、コードを直す作業よりも、毎日その画面を使っている人に新しい順番を覚え直してもらう時間の方が長くかかります。IPAの調査では、DX推進人材が「不足している」と回答した企業が85.5%にのぼります*1。人手が十分ではないまま既存の社内システムに手を入れる求人が増えており、画面の順番を変える仕事もそのなかに含まれます。求人票に「画面遷移の変更」と一行だけ書かれていても、実際にかかる時間は変更そのものよりも、使う人へ説明して回る過程に寄っています。
画面を1つ操作するのに何十回も同じ流れをたどっている人は、考えずに手を動かしています。そこに新しい手順が1つ挟まると、しばらく手が止まります。止まる時間そのものは短くても、止まる人数が多ければ、業務全体への影響は大きくなります。
求人票の「画面遷移の変更」という表現だけを見て、変更点の数や難しさで仕事の重さを判断すると、実際の仕事量との差に入社後に気づくことになります。変える作業にかかる時間と、変えたことを伝えて回る時間は、別に数える必要があります。
この差は、面談で聞かなければ求人票の一文からは見えてきません。使う人がどれだけいて、どの部署に集中しているかを把握してから、初めて仕事の重さが見えてきます。
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2. 変更にかかる時間を、作業と説明で分けて見ます。
「画面遷移の変更」という一文の内側にある時間を、作る・伝える・見守るの3つに分けて見ます。
作る工程は、順番を入れ替えるだけであれば、コードの変更量として見ればそれほど大きくありません。時間がかかるのは、その先にある伝える工程と見守る工程です。
伝える工程では、新しい順番になった理由を使う人へ説明します。速くなる、間違いが減る、といった具体的な理由がなければ、変更そのものを止められる場合があります。
見守る工程では、変えた直後にどこで手が止まっているかを確認します。1日に何十回も同じ流れをたどっている人ほど、最初の数日は迷う場面が増えます。
3. 毎日使っている部署と、触れていない部署とを分けて考えます。
同じ社内システムでも、毎日使っている部署と、月に数回しか開かない部署とでは、慣れ直す負担がまったく違います。頻度が高い部署ほど、手が覚えている分だけ止まる時間が長くなります。
求人票に「業務改善」「社内システム」という語があっても、誰が使っているかまでは書かれていません。この部分は面談で確認する価値があります。
使う人が社内にいるのか、外のお客さまにいるのかによっても、説明の仕方は変わります。社内が相手であれば、部署を回って説明する工程が仕事の範囲に含まれます。
変える理由を伝える工程では、速くなる、間違いが減る、といった具体的な効果を示す必要があります。理由が伝わらないまま切り替えると、使う人から変更を止められる場合があります。
面談で聞くとよい問いは1つです。「画面を変えたとき、使う人にはどう伝えていますか」。この問いへの答え方で、説明の工程がどれだけ仕組みとして用意されているかが分かります。
伝え方も、部署の利用頻度によって分けて考える必要があります。毎日使う部署には、切り替える日を事前に案内し、質問を受ける時間を確保します。月に数回しか使わない部署には、次に開いたときに気づけるよう、案内を残しておく方法が向いています。
誰にどう伝えるかを部署ごとに分けて考えること自体が、仕事の一部になります。求人票の「業務改善」という語だけでは、この部分までは書かれていません。面談で聞いておくと、入社後に任される範囲がつかみやすくなります。
4. 求人票の書き方と、実際にかかる時間の重さを表で確認します。
「画面遷移の変更」という求人票の一文の内側で、実際に起きていることを表で確認します。段階ごとに、時間がかかる理由をあわせて見ていきます。
【表1】変更後に起きることと、時間がかかる理由
| 段階 | 内容 | 時間がかかる理由 |
|---|---|---|
| 伝える | 使う人へ変更の理由を説明する | 部署ごとに使い方が違うため、説明を繰り返す場面がある |
| 見守る | 変えた直後の操作を確認する | 手が覚えている順番から離れるまで、数日かかる場合がある |
| 戻す余地 | 前の順番でも進める道を残す | 使う人から止められたときに、その場で対応できるようにする |
表に整理したとおり、時間がかかるのは変更そのものではなく、伝える工程と見守る工程です。求人票の一文だけでは、この重さは見えてきません。
社内向けの説明を担う役割は、経験を重ねた層に割り振られる場面があります。厚生労働省の調査では、一般労働者の賃金は55〜59歳が月396.2千円で、全年齢のなかで最も高くなります*2。求人票に書かれた対象年齢や実務経験の年数は、この説明工程の重さと関係している場合があります。
戻せる余地を残すという段階も、表に入れています。前の順番でも進める道を一時的に残すことで、使う人から止められる事態を避けやすくなります。
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5. 変える前、変えた直後、1か月後で起きることが変わります。
変更を切り替える前後で、何が起きるかを時間の流れに沿って並べます。
変える前の段階では、変更の理由を伝え、前の順番でも進められる道を残しておくかどうかを決めます。理由が伝わっていない状態で切り替えると、変えた直後の問い合わせが増えます。
変えた直後は、手が止まる場面が最も多い時間です。1日に何十回も同じ流れをたどっている人ほど、最初のうちは迷いが出ます。ここで戻せる道を用意していれば、その場で対応できる余地が生まれます。
1か月後には、新しい順番に手が慣れ、問い合わせは落ち着きます。この期間の長さは、部署ごとの利用頻度によって異なります。
6. 求人票を読むときに、確認しておきたい点を整理します。
求人票に「社内システム」「業務改善」という語がある場合、確認しておきたい点を整理します。
求人票で確認しておきたい点
- 使う人の範囲:変更の影響を受ける部署が、社内なのか外のお客さまなのかを確認します。
- 説明する工程:変更の理由を伝える工程が仕事に含まれているかを確認します。
- 戻せる余地:前の順番でも進める道を一時的に残す運用があるかを確認します。
- 賃金の基準:業務内容の一文だけで判断せず、面談で実際の範囲と条件を確認します。
求人票の「社内システム」「業務改善」という語は、使う人が社内にいることを示しています。外のお客さまが相手の求人とは、説明して回る工程の有無が変わります。
厚生労働省の雇用動向調査では、転職して賃金が変わらない人の割合は28.4%です*3。求人票に書かれた業務内容と、面談で聞いた実際の業務内容に差があると、この数字に近づく場合があります。
4つの確認点は、どれも単独では判断材料として十分ではありません。使う人の範囲、説明する工程、戻せる余地、賃金の基準をあわせて確認することで、入社後の実態との差を小さくできます。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 画面の順番を変える求人は、実務経験が浅くても応募できるか。
A. 求人ごとに異なります。伝える工程を担う場合は、社内での説明や調整の経験が評価される場面があります。目安は実務3年です。技術面だけでなく、この経験の有無を面談で確認しておくと判断しやすくなります。
Q2. 変更の内容が小さければ、説明の工程も短くて済むか。
A. 内容の大きさと、説明にかかる時間は必ずしも一致しません。使う人の数や、1日に操作する回数によって、伝える工程と見守る工程にかかる時間は変わります。
Q3. 戻せる余地を残す運用は、どの求人にも含まれるか。
A. 含まれるとは限りません。前の順番でも進める道を一時的に残すかどうかは、企業やシステムの構成によって判断が分かれます。求人票だけでは分からない場合、面談で確認します。
Q4. 求人票に「業務改善」とだけ書かれている場合、何を確認すればよいか。
A. 使う人が社内にいるのか、外のお客さまにいるのかをまず確認します。社内が相手であれば、説明して回る工程が含まれているかも合わせて確認しておくと、実際の業務量を見誤りにくくなります。
Q5. 部署によって説明の受け止め方が違う場合、どちらを優先すればよいか。
A. 利用頻度が高い部署を優先します。1日に何十回も同じ流れをたどっている部署ほど、新しい順番に慣れるまでの間に手が止まる回数が多くなり、業務全体への影響も大きくなります。
8. まとめ:画面を変える求人は、伝える力を評価する仕事です。
この記事の要点
- DX推進人材が「不足している」と回答した企業は85.5%です*1。既存の社内システムに手を入れる求人は、この不足を背景に増えています。
- 画面の順番を変える仕事で時間がかかるのは、直す工程ではなく、伝える工程と見守る工程です。使う人の手が新しい順番に慣れるまでの時間が、仕事の長さを決めます。
- 一般労働者の賃金は55〜59歳が月396.2千円で、全年齢のなかで最も高くなります*2。社内への説明を担う役割は、経験を重ねた層に割り振られる場面があります。
- 転職して賃金が変わらない人の割合は28.4%です*3。求人票の一文だけで判断せず、使う人の範囲や戻せる余地の有無を面談で確認しておくことが、入社後の差を減らします。
画面の順番を変える求人を検討するときは、変更点の大きさだけでなく、誰に何を伝える仕事なのかを確認しておくと、入社後の実態との差を小さくできます。求人票に書かれた一文の先にある業務量を、面談で確かめてみましょう。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 IPA「DX動向2026」(2026年公表)
*2 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
*3 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(2025年公表)
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