正社員求人の「未経験可」とは?業界・職種・実務の3つの分類

正社員のリモートワーク求人で「未経験可」と書かれているのを見て、応募してよいか迷うことがあります。ITエンジニアとして実務経験があっても、「未経験可」が指す対象は業種か職種かマネジメントかで変わるため、書かれた文言だけでは自分が対象になるかどうかを判断できません。
厚生労働省の雇用動向調査によれば、令和6年の転職入職率は9.7%でした*1。総務省の労働力調査では、2025年の転職者数は330万人です*2。正社員の求人が間口を広げる動きは、この転職市場全体の状況と切り離せません。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 転職入職率は9.7%、2025年の転職者数は330万人です。企業が正社員の求人で間口を広げる背景には、この転職市場全体の動きがあります*1*2。
- 「未経験可」が指すのは、業種・職種・マネジメントのどれかによって変わります。書かれ方だけで判断せず、対象を確認してから応募先を選ぶことが必要です。
- 25〜29歳の賃金は月279.4千円です*3。未経験可の求人で提示される給与を確認する目安になります。
1. 正社員求人・未経験可は書かれ方で意味が変わります
正社員の求人で「未経験可」と書かれていても、未経験でよいのは業種か職種かマネジメントかで変わります。厚生労働省の雇用動向調査によれば、令和6年の転職入職率は9.7%でした*1。総務省の労働力調査では、2025年の転職者数は330万人です*2。転職市場全体がこれだけ動いているなかで、正社員の求人が間口を広げる動きは珍しくありません。「正社員求人・未経験可」という表記だけでは、対象が業種なのか職種なのかまでは分かりません。
求人票に「未経験可」とだけ書かれている場合、業種が未経験でよいのか、職種が未経験でよいのか、あるいはマネジメント経験が未経験でよいのかは、文言だけでは判断できません。
ITエンジニアとして実務経験があっても、応募する業種や職種が変わる求人では、これまでの経験がどこまで通用するかを確認しないまま選考に進むと、面談で条件のずれに気づくことになります。
求人票の書かれ方を確認したうえで、自分の実務経験がどの部分で評価されるのかを見極めることが、応募先を選ぶ最初の一歩になります。
求人票の見出しや箇条書きに「業種未経験可」「マネジメント未経験可」のように対象が書き添えられている場合は、そこがそのまま確認の手がかりになります。何も書き添えられていない「未経験可」だけの表記こそ、面談で対象を確かめる必要があります。
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2. 未経験可がどこまで及ぶかは求人ごとに違います
「未経験可」という言葉が指す対象は、業種・職種・マネジメントのどれかによって変わります。正社員求人・未経験可が指す幅を、図で確認します。
業種のみが未経験可の求人では、担当する技術や職種の実務経験が前提になります。SIerからWeb系企業へ、あるいは金融から人材業界へといった、業種をまたぐ転職がこれにあたります。
業種と職種の両方が未経験可の求人では、実務経験そのものより、対人での折衝力や課題を整理する力といった、職種を問わず使える力が確認されます。
マネジメント未経験可という言葉が別に添えられている求人もあります。この場合は、チームや後輩を管理した経験の有無が、業種や職種の経験とは別に確認されます。
求人票の必須スキル欄に、担当する技術や言語が具体的に列挙されている場合は、業種のみが未経験可である可能性が高くなります。必須スキル欄が短く、対人での経験や協働の姿勢だけが書かれている場合は、職種の未経験まで含めて開かれている可能性があります。
3. 求人票の未経験可で実際に確認される基準
正社員求人・未経験可と書かれた求人で選考の対象になるのは、学歴や資格ではなく、これまでの実務でどう考え、どう動いたかです。
担当した開発の中でどのような課題があり、どのように整理して解決したかを、具体的に説明できるかどうかが確認されます。
業種をまたぐ求人では、これまでの技術や開発の進め方が、新しい業種でもどう活かせるかを自分の言葉で説明できるかが見られます。
職種をまたぐ求人、たとえば開発からプロジェクト管理へ移る場合は、要件を整理した経験や、他部署と調整した経験の有無が確認の対象になります。
面談で聞かれる内容は、求人票に書かれた「未経験可」の対象によって変わります。事前に対象を確認しておくと、面談で話す内容を絞り込めます。
リモートワーク対応の求人では、対面での指導を前提にしないやり取りが増えるため、状況を言葉で説明する力がより重視されます。実務で身につけた報告や相談の仕方も、未経験可の対象を問わず確認される基準のひとつです。
実績を説明する際は、担当した業務の規模や期間だけでなく、自分がどこまでを担当し、何を判断したのかを分けて話すと、未経験の対象と経験のある対象の境目が採用担当者に伝わりやすくなります。
求人票に書かれていない基準を面談で聞かれたときは、その場で答えを作ろうとせず、担当した業務のどの部分が近いかを一度整理してから話すと、答えのずれを防げます。
4. 未経験可の3つの分類を表で確認します
「未経験可」と一言でまとめても、対象になるのは業種か職種かマネジメントかで、選考の基準が変わります。3つに分けて確認します。
【表1】正社員求人・未経験可の3つの分類と確認される基準
| 分類 | 未経験でよい対象 | 選考で確認される基準 |
|---|---|---|
| 業種未経験可 | 働く業界(例:SIerから自社開発へ) | これまでの技術・開発経験を新しい業種でどう活かせるかの説明力 |
| 職種未経験可 | 担当する仕事(例:開発からプロジェクト管理へ) | 前職の実務で培った、職種を問わず使えるスキルの有無 |
| マネジメント未経験可 | 部下やチームを管理した経験 | 自分以外の成果に責任を持った経験の有無 |
表のとおり、「未経験可」が何を指すかによって、選考で確認される基準がはっきり分かれます。業種未経験可では技術の応用力、職種未経験可では前職で培った汎用的なスキル、マネジメント未経験可では管理の経験そのものが見られます。
20代の正社員求人では、給与水準も確認材料になります。厚生労働省の調査では、25〜29歳の一般労働者の賃金は月279.4千円です*3。求人票に書かれた給与が、この水準から大きく離れていないかを確認できます。
表の3つの分類は同時に当てはまることもあります。業種とマネジメントの両方が未経験可の求人であれば、確認される基準もその2つを合わせたものになります。求人票の対象欄を分けて読むと、見落としを防げます。
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5. 書かれ方が違う求人票を比べます
正社員求人・未経験可の書かれ方には、対象を明記しているものと、していないものがあります。書かれ方によって、応募前に分かることが変わります。
対象が明記された求人票では、業種未経験可なのか、職種未経験可なのかが先に分かるため、応募前に自分の経験がどこまで評価されるかを見当づけられます。
対象が書かれていない求人票では、「未経験可」という言葉だけが先に目に入ります。この場合、面談で対象を確認しないまま選考が進むと、条件のずれに気づくのが遅れます。
条件を確認した結果、対象が自分の想定と違うと分かった場合の対応については、選考を辞退する際の伝え方も合わせて確認しておくと、角を立てずに次の選考に進めます。
どちらの書かれ方であっても、面談で聞かれる質問の組み立ては大きく変わりません。違うのは、質問される前に自分で対象を把握できているかどうかです。
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6. 正社員求人・未経験可の欄で確認する4つの点
「正社員求人・未経験可」の欄を見たときに、応募前と面談で確認しておきたい点を整理します。
求人票で確認する4つの点
- 対象の明記:業種・職種・マネジメントのどれが未経験可なのかが書かれているか
- 必須スキルの記載:未経験可であっても、別に必須スキルが書かれていないか
- 採用実績:同じ対象で採用された実績があるか、面談で確認できるか
- 給与レンジ:提示された給与が、同世代の賃金水準と比べて妥当か
対象の明記が無い求人票では、面談の早い段階で確認しておくと、選考が進んでからの認識のずれを防げます。
必須スキルが別に書かれている場合、「未経験可」は業種やマネジメントに限った話で、担当する技術そのものは経験者と同じ基準で見られていることがあります。
給与レンジの妥当性は、前の表で確認した25〜29歳の賃金水準を目安にすると判断しやすくなります。
4つの確認はどれか1つだけでは判断材料として不十分です。対象の明記・必須スキル・採用実績・給与レンジを合わせて確認することで、未経験可の求人が自分に合うかどうかの見通しが立ちます。
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 正社員求人の未経験可は実務経験が全くなくても応募できますか
A. 求人によります。業種未経験可やマネジメント未経験可では、担当する技術や開発の実務経験が前提になります。応募前に、求人票で未経験可の対象を確認しておく必要があります。
Q2. 正社員求人・未経験可と書かれた求人で職務経歴書に何を書けばよいですか
A. 経験のない業種や職種であっても、担当した技術や実務で培った力を具体的に書きます。数値や成果だけでなく、どのように課題を解決したかを示すと、未経験可の求人でも実務力が伝わります。
Q3. 面談で未経験可の対象を確認しても問題ありませんか
A. 問題ありません。求人票に対象が書かれていない場合、面談で確認することは選考の一部です。対象を確認しないまま選考を進めると、条件のずれに後から気づくことになります。
Q4. 未経験可の求人で給与のレンジをどう判断すればよいですか
A. 提示された給与を、同世代の賃金水準と比べて確認します。厚生労働省の調査による25〜29歳の賃金は月279.4千円です*3。公表されている数字と照らし合わせると、判断しやすくなります。
Q5. 未経験可の求人で前職の経験をどう伝えれば選考で評価されますか
A. 担当した業務の内容と、そこで自分が何を判断したのかを具体的に伝えることが評価につながります。未経験可の対象と重ならない部分こそ、詳しく説明する価値があります。
8. まとめ:正社員求人の未経験可は対象を確認してから選びます
この記事のまとめ
- 「正社員求人・未経験可」が指すのは、業種・職種・マネジメントのどれかによって変わります。
- 転職入職率は9.7%、2025年の転職者数は330万人です*1*2。正社員の求人が間口を広げる動きは、この転職市場全体の状況とつながっています。
- 25〜29歳の賃金は月279.4千円です*3。未経験可の求人で提示される給与を確認する目安になります。
- 求人票に対象の明記が無い場合は、面談で確認してから選考を進めることが、条件のずれを防ぐことにつながります。
「未経験可」という言葉だけで応募先を絞らず、対象と基準を確認したうえで選考に進みましょう。次は、職務経歴書でどう実務経験を伝えるかを確認しておくと、選考の準備がさらに整います。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「雇用動向調査(令和6年)結果の概況」(2025年公表)
*2 総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2025年(令和7年)平均結果」(2026年公表)
*3 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
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