選考回数が3回の求人で各回の相手の立場を読み解く方法
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

選考が3回ある求人を見て、慎重な会社だと受け取るのは早すぎます。回数という数字だけでは、各回で誰と会い、何を確かめられるかまでは分かりません。同じ3回でも、現場の担当者が多く出てくる場合と、人事が中心になる場合、さらに上の階層まで別々の人が出てくる場合とでは、確認できることが変わります。応募の前に見ておきたいのは、回数そのものよりも中身です。
2025年の転職者数は330万人でした*1。選考の場で何を確かめるかは、その人数の分だけ積み重ねられてきた工夫でもあります。
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この記事のポイント
- 選考が3回でも、現場の担当者が2回・決める立場の人が1回という組み合わせと、人事が2回・現場が1回という組み合わせとでは、確認できる内容が変わります。
- 現場・上司・さらに上という別々の階層が1回ずつ出てくる形では、決める人が遠くなりやすく、日程の間隔が伸びやすくなります。前の回の内容が次の回に共有されているかも、応募の段階で確認しておきたい点です。
- 厚生労働省の調査では、転職して賃金が増加した人は40.5%、減少した人は29.4%でした*2。結果が一様ではないのは転職そのものにも言えることで、選考の内側を確かめる価値はそこにあります。
1. 選考回数が3回でも、中身は各回に誰が出てくるかで分かれます。
選考が3回ある求人を、慎重な会社だと決めつけるのは早すぎます。同じ3回でも、各回に誰が出てくるかで意味は分かれます。総務省の労働力調査(詳細集計)では、2025年の転職者数は330万人でした*1。厚生労働省の雇用動向調査では、転職して賃金が増加した人は40.5%、減少した人は29.4%でした*2。同じ「転職」という言葉でも結果が一様でないのと同じように、選考回数という同じ数字も、内側の構成によって読み方が変わります。
選考回数だけを見て「丁寧な会社」「時間がかかる会社」と判断するのは、情報としては足りません。3回という数字の内側には、現場の担当者が出てくる回もあれば、人事が出てくる回もあり、さらに上の決裁者が出てくる回もあります。組み合わせが違えば、応募者が確認できることも変わります。
現場の担当者が2回、決める立場の人が1回という組み合わせでは、一緒に働く人が時間をかけて見る形になりやすく、入社後にどの役割を担うのかが早い段階で具体的になります。人事が2回、現場が1回という組み合わせでは、社風や条件の合致を先に見極める形になりやすく、仕事の中身そのものは最後まで曖昧なまま進むことがあります。
選考回数という言葉に安心や不安の材料を求めるより、各回に誰が出てくるかを先に確かめておくほうが、応募後の見通しが立てやすくなります。次の項では、現場が多い場合と人事が多い場合の分かれ道を見ていきます。
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2. 現場が多いか、人事が多いかで確認できる内容が違います。
選考が3回であることは同じでも、各回に出てくる人の立場によって、応募者が確認できる内容は変わります。現場が多い型と、人事が多い型の2つに分けて見ていきます。
現場の担当者が多く出てくる型では、一緒に働く予定の人が複数回にわたって候補者を見ます。仕事の進め方や技術的な話が具体的に交わされやすく、入社後にどの役割を担うのかが選考の段階から見えてきます。
人事が多く出てくる型では、社風との合致や条件面の確認が先に進みます。決める立場の人が最後の1回にしか出てこない場合、仕事の中身についての詳しい説明は、内定に近づくまで持ち越されることがあります。
どちらが優れているというものではありません。自分が選考の早い段階で仕事の中身を確認したいのか、まず社風や条件を確認したいのかによって、どちらの型が合うかは変わります。
求人票の書き方からも、多少の見分けはつきます。「現場社員との面談」を早い回に置く記載であれば現場が多い型に近く、「人事面談」を複数回に分けて明記している場合は人事が多い型に近づきます。記載がはっきりしない場合は、面談の場で直接確認したほうが確実です。
3. 全員が別の階層のときは、待ち時間が課題になります。
現場・上司・さらに上という3つの階層が1回ずつ出てくる型もあります。この場合、決める立場の人が選考の入口から遠く、日程の調整に人数分の時間がかかりやすくなります。
問題は日程が伸びること自体ではありません。前の回で話した内容が次の回に伝わっていないと、応募者は同じ説明を3回することになります。これは応募者の負担であると同時に、社内の情報共有がどこまで機能しているかを示す手がかりでもあります。
選考回数が同じ3回でも、共有の有無によって応募者の体感は変わります。前の回の内容が引き継がれている場合、後の回では確認や深掘りに時間を使えます。引き継がれていない場合、毎回が自己紹介からの再スタートになります。
階層が分かれる型を見分けるのは難しくありません。案内メールに書かれた面接官の役職や、面談の場で「前回はどのような話をされましたか」と聞かれるかどうかで、共有の状態がおおよそわかります。
同じ説明を繰り返すことになったとしても、それ自体を悪い兆候と決めつける必要はありません。入社した後も、部署をまたぐ確認や引き継ぎが発生する場面は普通にあります。選考の場でその様子が見えるかどうかを、判断材料の1つとして受け止める程度で十分です。
4. 選考回数3回の3つの型を、表で比べます。
現場が多い型、人事が多い型、階層が分かれる型を、誰が出てくるか・何を先に確認できるか・応募者が注意する点の3つの軸で比べます。
【表1】選考の3回に誰が出てくるかによる3つの型
| 型 | 出てくる人の組み合わせ | 先に確認できること | 応募者が注意する点 |
|---|---|---|---|
| 現場が多い型 | 現場2回・決める立場1回 | 仕事の進め方や役割の具体像 | 社風や条件面の説明が少ない場合がある |
| 人事が多い型 | 人事2回・現場1回 | 社風や条件面の合致 | 仕事の中身が最後まで曖昧なことがある |
| 階層が分かれる型 | 現場・上司・さらに上が1回ずつ | 各階層の立場からの見方 | 前の回の内容が共有されているかで体感が変わる |
表にすると、選考回数という数字は同じでも、出てくる人の組み合わせによって確認できる内容が変わることがわかります。現場が多い型では仕事の中身が早く見え、人事が多い型では社風や条件が早く見えます。
階層が分かれる型は、他の2つと性質が異なります。誰が出てくるかという点では現場も人事の役割も含まれますが、階層をまたぐぶん日程の間隔が伸びやすく、共有の有無が応募者の体感を左右します。
表に良し悪しの評価は含めていません。どの型に当たるかを事前に知ることは、選考の進み方への心構えを作るための情報であり、応募先を選ぶ基準そのものではありません。
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5. 応募の段階で確認する、4つの手順です。
1つ目と2つ目の手順は、面談の前に求人票や案内から読み取れる情報です。案内メールに書かれた面接官の役職や、日程の空き方から、階層が分かれる型かどうかをある程度推測できます。
3つ目の手順は、面談の場で直接聞く内容です。「前回はどのような話をされましたか」と聞けば、共有の状態を確認できます。答えに詰まる場合は、共有が薄いと考えられます。
4つ目の手順は、応募者側の準備です。現場が出てくる回では仕事の進め方や技術的な話を、人事が出てくる回では社風や条件面の話を中心に組み立てておくと、各回の時間を無駄にしません。
6. 応募前に、4つの点を確認します。
選考回数だけを見て判断する前に、確認しておきたい点を整理します。
応募前に確認する4点
- 各回に出てくる人の立場:現場・人事・決める立場のどれが多いかを求人票や面談で確認します。
- 前の回の内容の共有:前の回で話した内容が次の回に伝わっているかを、面談で直接聞きます。
- 日程の間隔:各回の間隔が大きく空く場合、階層をまたいで調整している可能性を考えます。
- 決める立場の人が出てくる回:3回のうち何回目に出てくるかで、入社後の役割が固まる時期の見通しがつきます。
選考回数3回という同じ条件でも、この4点の答えは求人ごとに異なります。答えが分からない場合は、面談の場で確認して構いません。
4点のうち、前の回の内容の共有は応募者だけの問題ではありません。社内の情報が選考の場でどこまで引き継がれているかは、入社後の会議や引き継ぎの進み方とも重なる部分です。
4点をすべて一度に聞く必要はありません。最初の面談の冒頭で確認しても遅くはなく、選考が進むにつれて答えがはっきりしていく場合もあります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 選考回数が3回の求人は、他の求人より時間がかかるか。
A. 一概には言えません。現場が多い型や人事が多い型では、決める立場の人が早い回に含まれていれば、日程はそれほど伸びません。階層が分かれる型で、決める立場の人が最後の回にしか出てこない場合は、調整に時間がかかりやすくなります。
Q2. 各回に誰が出てくるかは、応募前にわかるか。
A. 求人票だけでは分からない場合があり、面談で直接確認する必要があります。案内メールに書かれた面接官の役職や、次回の日程の伝え方からも、ある程度読み取れます。
Q3. 前の回の内容が共有されていない場合、どう対応すればよいか。
A. 同じ説明を繰り返すこと自体は問題ではありません。その場で「前回はこのような話をしました」と自分から簡潔に伝えることで、次の回の時間を別の話に使えます。
Q4. 選考回数が多いことは、入社後の体制にも関係するか。
A. 直接の証拠にはなりませんが、前の回の内容が次の回に伝わっているかどうかは、社内の情報共有の状態を映す一面ではあります。断定はできないため、面談で具体的な業務の進め方を確認しておくと判断材料になります。
Q5. 選考回数が1〜2回で決まる求人と比べて、3回の求人はどう違うか。
A. 回数の差だけでは判断できません。1〜2回でも決める立場の人が最初から出てくる求人もあれば、3回でも同じ立場の人が重複して出てくる求人もあります。回数より、誰が出てくるかを確認する考え方は、回数が違う求人にも同じように使えます。
8. まとめ:選考は、誰が出てくるかで意味が変わります。
この記事の要点
- 選考が3回でも、現場2回・決める立場1回の型と、人事2回・現場1回の型とでは、確認できる内容が変わります。
- 現場・上司・さらに上が1回ずつ出てくる型では、決める立場の人が遠く、日程の間隔が伸びやすくなります。前の回の内容が共有されているかも体感に影響します。
- 厚生労働省の調査では、転職して賃金が増加した人は40.5%、減少した人は29.4%でした*2。結果が一様でないのは転職そのものにも言えることです。
- 応募の段階で確認したいのは「各回に出てくる人の立場」と「前の回の内容が共有されるか」の2つです。
選考回数という数字だけを見て会社を判断する必要はありません。各回に誰が出てくるかと、前の回の内容がどこまで引き継がれているかを確認すれば、入社後の見通しは選考の段階から立てられます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2025年(令和7年)平均結果」(2026年公表)
*2 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(2025年公表)
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