個人開発の収益を転職で活かす方法|運用の記録の書き方
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

個人開発で得た収益は、額が小さければ趣味と見なされ、額が大きければ副業をこのまま続けるのかを問われます。どちらの場合も、金額そのものは転職活動での評価の中心にはなりません。読まれているのは、利用者がいる状態を維持した記録と、途中で作り直した判断です。職務経歴書のどこに書き、面談でどう聞かれるかを、順番に見ていきます。
転職等希望者数は2025年平均で1023万人でした*1。この人数のなかで応募者としての違いを示すには、収益の額よりも、運用を続けてきた記録と作り直した判断のほうが具体的な材料になります。
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この記事のポイント
- 転職等希望者数は2025年平均で1023万人です。収益の額だけでは、この人数のなかで他の応募者との違いを示しにくくなります*1。
- 一般労働者の賃金は東京都が418.3千円で、全国計との差は77.7千円です。リモートワーク対応の正社員求人であれば、居住地を変えずにこの水準を条件として比較できます*2。
- 収益は、金額の大小よりも、利用者がいる状態を続けた記録と、作り直した判断のほうが評価の材料になります。
1. 個人開発の収益は、運用を続けた記録とともに評価が変わります。
個人開発の収益は、金額の大小ではなく、利用者がいる状態を維持した記録と、途中で作り直した判断によって評価されます。総務省の労働力調査では、2025年平均の転職等希望者数が1023万人でした*1。この人数のなかで応募者としての違いを示すには、収益の額よりも、運用を続けてきた記録のほうが具体的な材料になります。
個人開発の収益は、額が小さいと趣味だと見なされ、額が大きいと副業をこのまま続けるのかを問われます。どちらの場合も、金額そのものが評価の中心にはなりません。
評価の材料になるのは、公開した後に利用者がいる状態を保った記録です。障害が起きたときにどう対応したか、問い合わせにどう応じたか、課金をどう管理してきたかという記録のほうが、金額よりも具体的に伝わります。
もう1つ評価されるのが、途中で作り直した判断です。何をやめ、何に置き換えたかを説明できれば、1人でどう運用を続けてきたかが伝わります。
面談では、収益の金額を尋ねられたあとに、公開してからどのくらいの期間運用してきたかを聞かれる場面があります。金額だけで終わらせず、運用の期間まで答えられるようにしておく必要があります。
面談で確かめたいのは、収益そのものの大きさではなく、判断の再現性です。同じ状況にまた立たされたとき、同じように障害へ対応し、同じように作り直す判断を下せるかどうかを、記録の中身から推し量ろうとしています。
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2. 収益の大きさよりも、記録の有無で評価が分かれます。
評価を、収益の大きさと、運用の記録の有無という2つの軸で整理します。
収益が大きくても、公開した後の記録が残っていなければ、副業をこのまま続けるつもりなのかという疑問が先に立ちます。
反対に、収益が小さくても、障害対応や問い合わせへの対応、課金の管理を続けた記録があれば、運用してきた実態として伝わります。
評価の分かれ目は、収益の額ではなく、記録が残っているかどうかにあります。金額を大きく見せるよりも、記録を残しておくほうが、後から示しやすくなります。
図の左上に当たる「少額でも記録がある」という位置は、収益の規模だけを見る側からは軽く扱われがちです。それでも、利用者がいる状態を維持してきた期間の長さは、収益額とは別の指標として読まれます。
3. 個人開発を作り直した判断は、職務経歴書で違いとして現れます。
途中で作り直すという判断は、収益の数字には表れません。それでも、何をやめ、何に置き換えたかを言葉にできれば、技術選定や優先順位づけの材料として伝わります。
作り直した理由には、外部要因と内部要因の両方があります。利用者からの要望に応えられなくなった、運用の手間が増え続けた、使っていた技術の更新が止まった、といった理由を、具体的な変更点とあわせて説明できると伝わりやすくなります。
職務経歴書には、収益の金額だけを書くのではなく、公開した時期、運用を続けた期間、作り直した回数とその理由を書くと、金額以外の判断材料が増えます。
作り直した判断を伝えるときは、変更前と変更後の違いを1行で示すと具体的になります。「単一の構成から、機能を分けた構成に変えた」のように、変わった点を短く言い切る書き方が伝わりやすくなります。
作り直した判断と、運用をやめた判断は、書き方を分けます。作り直した場合は変更前後の違いを、やめた場合はどこまで続け、何を理由に終えたかを書きます。どちらも「途中で放置した」とは異なる、意思を伴った判断として説明できます。
4. 運用の記録は、職務経歴書での書き方で差が出ます。
職務経歴書に書くとき、収益の金額だけでは伝わらない部分を、項目ごとに整理します。
【表1】運用の記録を職務経歴書に書くときの整理
| 記録の項目 | 書く内容の例 | 職務経歴書での書き方 |
|---|---|---|
| 障害対応 | 何が起きたか、いつ復旧したか | 障害発生から復旧までの対応を、期間を含めて書く |
| 問い合わせ対応 | 利用者からの要望や不具合報告への対応 | 件数ではなく、対応を続けた期間を書く |
| 課金の管理 | 料金プランの設計、決済の維持 | 運用を続けた期間と、変更した回数を書く |
| 作り直した判断 | 何をやめ、何に置き換えたか | 変更前と変更後の違いを1行で書く |
表の4つの項目は、いずれも収益の金額には表れません。個人開発を1人で運用してきた実態を示すには、金額よりもこれらの記録のほうが具体的な材料になります。
面談でこの記録を聞かれた場合は、件数や規模を大きく見せるのではなく、実際に対応した内容を1件でも具体的に話すほうが、記録の実態として伝わります。
書く内容は、実際に起きたことの範囲にとどめます。対応した障害が1件であれば1件と書き、まだ経験していない規模の対応を書き加える必要はありません。記録の正確さそのものが、読み手にとっての判断材料になります。
5. 公開から評価までは、3つの段階が積み重なります。
評価されるまでの過程を、3つの段階に分けて見ます。
土台となるのは、作って公開する段階です。ここに立つだけでも、形にして外部に出したという事実は残ります。
中段は、公開した後に続けた記録です。障害対応や問い合わせへの対応、課金の管理を担った期間が、この段階にあたります。1人で運用してきた実態は、ここで初めて示せます。
頂点にあたるのが、作り直した判断です。同じ構成のまま続けるのではなく、何をやめ、何に変えたかを言葉にできる段階まで来ると、金額に関係なく評価の材料が増えます。
3つの段階は、どれか1つだけでは十分な材料になりません。土台から順に積み上がってはじめて、収益の金額とは別の評価軸ができあがります。
土台と頂点の間にある中段を飛ばして、公開してすぐに大きく作り直すケースもあります。その場合は、短い運用期間のなかで何を確認し、何を判断材料にしたかを説明できれば、期間の短さそのものは不利にはなりません。
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6. 面談でどう聞かれるかを、先に整理しておきます。
収益について面談で聞かれる場面に備えて、先に整理しておきたい4点をまとめます。
職務経歴書に書く前に整理する4点
- 公開時期と運用期間:いつ公開し、いつまで運用を続けたか(続けている場合は現在まで)を書きます。
- 障害対応の実例:起きた不具合と、対応にかかった時間を1件でも具体的に書きます。
- 問い合わせへの対応:利用者からの要望や不具合報告に、どう応答したかを書きます。
- 作り直した理由:何をやめ、何に置き換えたかを、判断の理由まで書きます。
面談では、収益の金額を尋ねられたあとに、公開してからどのくらいの期間運用してきたかを重ねて聞かれる場面があります。金額だけで終わらせず、運用の期間まで答えられるようにしておきます。
個人開発を続けてきた記録は、リモートワーク対応の正社員求人でも、実務経験と並ぶ材料として扱われる場合があります。居住地を問わない求人であれば、これまでの記録を条件のひとつとして伝えられます。
4つの項目は、どれも金額を伴わずに書けます。金額を大きく見せる必要はなく、記録として残っている事実を、順番に並べて書けば十分です。
整理した4点は、面談の順番どおりに聞かれるとは限りません。作り直した理由から先に聞かれることもあるため、4点それぞれを個別に答えられる状態にしておくと、聞かれる順番に左右されずに答えられます。事前にメモにまとめておけば、当日はメモを読み返すだけで答えの骨格を保てます。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 個人開発の収益がまだ小さい場合でも、転職の評価材料になりますか。
A. 収益の額よりも、運用を続けた記録があるかどうかが評価の材料になります。障害対応や問い合わせへの対応を記録していれば、収益が小さくても具体的に示せます。
Q2. 個人開発を途中で作り直した場合、面談ではどう伝えればよいですか。
A. 何をやめ、何に置き換えたかを、判断の理由まで説明します。作り直した経緯そのものが、技術選定や優先順位づけの材料になります。
Q3. 個人開発の収益は、職務経歴書にどう書けばよいですか。
A. 金額だけを書くのではなく、公開してからの運用期間と、対応した障害や問い合わせの内容を添えて書きます。
Q4. 収益額を面談で聞かれたら、どこまで話すべきですか。
A. 金額を無理に隠す必要はありませんが、金額だけでは評価が終わってしまいます。運用を続けた期間や、作り直した判断まで含めて話すと、金額以外の材料が伝わります。
Q5. 途中で運用をやめた個人開発は、面談で話さないほうがよいですか。
A. やめた事実自体は不利にはなりません。どこまで運用を続け、何を理由に終える判断をしたかを説明できれば、続けた期間の記録と同じように、判断の材料として伝わります。
8. まとめ:収益ではなく、運用の記録と判断が読まれます。
この記事の要点
- 個人開発の収益は、金額の大小ではなく、利用者がいる状態を維持した記録と、作り直した判断によって評価されます。
- 評価の分かれ目は、収益の大きさではなく、障害対応・問い合わせ・課金の管理を続けた記録の有無にあります。
- 作り直した判断は、何をやめ、何に置き換えたかを言葉にできれば、技術選定や優先順位づけの材料になります。
- 職務経歴書には、収益の金額だけでなく、公開時期・運用期間・作り直した理由まで書くと、金額以外の材料が増えます。
個人開発の収益をどう見せるかは、金額を飾ることではありません。公開してから続けてきた記録と、途中で作り直した判断を、順番に言葉にしていくことが、転職活動での評価につながります。書き出す順番に迷ったら、まず公開時期と運用期間から手を付けると、残りの項目も思い出しやすくなります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省「労働力調査(詳細集計)」(2025年平均)
*2 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
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