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成果物は持ち出せない|転職の選考で語れるのは判断と手順

監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

成果物は持ち出せない|転職の選考で語れるのは判断と手順のイメージ写真

エンジニアの転職では、これまで手掛けた開発の内容を伝える場面が必ずあります。ここで「作ったものをそのまま見せればよい」と考えると、選考の準備でつまずきます。仕事で作った成果物は原則として会社のものになるため、コードや資料を持ち出してそのまま示すことはできません。選考で語る中身を、先に整理しておく必要があります。

情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1。エンジニアの求人自体は豊富にあり、応募先の候補は多く見つかります。求人数が多いからこそ、選考では成果物そのものではなく、何をどう決めてどう作ったかという説明の質が比較の基準になります。

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数字で見る、選考で確認しておきたい材料 この記事の要約 エンジニアの新規求人倍率 *1 3.92倍 情報処理・通信技術者 2025年12月・全国計 求人自体は豊富にある 転職で賃金が変わらない割合 *2 28.4% 転職入職者のうち 2024年調査 選考で語る内容が材料になる 一般労働者の賃金(25〜29歳) *3 279.4千円 月額 2025年調査 経験の伝え方が評価に関わる 書いたものより、判断の理由と手順の説明が選考では重視されます *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

この記事のポイント

  • 仕事で作った成果物は原則として会社のものになります。前の職場のコードや資料を持ち出して選考で見せることはできません。
  • 選考で語れるのは、判断の理由・やり方の手順・結果の傾向という、成果物そのものではなく仕事の進め方の説明です。数字や固有名詞は出せないことが多いため、言い換えの幅を先に決めておくと答えやすくなります。
  • 厚生労働省の調査では、転職で賃金が変わらなかった人の割合は28.4%です*2。統計そのものは転職全体の結果であり、説明の巧拙との関係を示すものではありませんが、語る内容を具体的に整理しておくことは、選考の材料を増やすことにつながります。

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1. 転職の選考で見せられるのは、成果物ではなく仕事の進め方です。

転職の選考で見せられるのは、前の職場で作った成果物そのものではなく、何をどう決めてどう作ったかという説明です。厚生労働省の調査では、情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍でした*1。エンジニアの求人自体は多く、選考では応募者ごとの説明の具体性が比較の基準になりやすくなります。仕事で作った成果物は、原則として会社のものになります。

前の職場で担当した開発の内容を伝えるとき、コードや資料をそのまま持ち出して見せることはできません。仕事のなかで作ったものは、会社に帰属するのが原則だからです。選考でそれを示そうとすると、そこで止まってしまいます。

示せるのは、書いたものそのものではありません。何を課題として捉え、どう決めて、どう進めたかという説明です。判断の理由とやり方の手順は、担当した人の頭の中にあるものなので、会社の外に出しても問題になりません。

結果の傾向も語れます。ただし正確な数字や固有名詞は出せないことが多いため、「どれくらい速くなった」「どれくらい減った」という程度の粒度に置き換える準備が要ります。言い換えの幅を先に決めておくと、質問にその場で詰まりにくくなります。

2. 持ち出せないものと、自分のものとして語れるものは分かれます。

前の職場で担当した開発について、選考で語れる範囲と語れない範囲を分けて考えます。

選考で使えるもの・使えないものの整理 持ち出せないもの 前の職場で書いたコードそのもの 社内向けに作った設計書や資料 取引先や社内システムに関する固有名詞 自分のものとして語れるもの その作りにした判断の理由 どう進めたかという手順 どれくらい変わったかという結果の傾向 書いたものは会社に残り、決め方と進め方は自分の中に残ります

仕事で作った成果物は、会社の資産として扱われるのが原則です。退職後にコードや資料を個人で保持して選考に持ち込むことは避ける必要があります。

一方で、判断の理由とやり方の手順は、担当した人の記憶のなかにあるものです。会社の外に出しても、会社の情報を漏らすことにはなりません。この部分こそが、選考で語れる中身になります。

結果の傾向も同じです。正確な数字は出せなくても、「どれくらい速くなったか」「どれくらい減ったか」という程度感であれば、固有の情報を伏せたまま伝えられます。

障害報告書のように、誰が書いたかが明確な資料も、会社に残る成果物の一例です。作成した記録そのものではなく、対応した際の判断や手順を語る形に置き換えます。

あわせて読みたい | 障害報告書は誰が書く?求人票から読める2つの形と負荷

3. 資料そのものではなく、決め方の説明が問われます。

選考で聞かれるのは「何を作ったか」だけではありません。「なぜその作りにしたか」「どう進めたか」を聞かれる場面のほうが多くあります。ここで見せられないことを理由に答えを止めてしまうと、伝えられるはずの中身まで失ってしまいます。

正確な数字や固有名詞をそのまま出せない場面があるため、答え方を先に決めておく必要があります。「約3割減った」「処理時間が半分程度になった」のように、程度の粒度に置き換えた言い方を、面接の前に自分の言葉で用意しておきます。

社名やシステム名は伏せたまま、役割と工程だけを具体的に伝える方法もあります。「複数人のチームで、設計から運用まで担当した」というように、固有名詞を外しても伝わる情報は残ります。

面接で聞かれやすい問いは、「なぜこの技術を選んだか」「なぜこの順序で進めたか」という形です。答え方の型を先に持っておくと、初めて聞かれる質問にも近い形で答えられます。「複数の候補を比べ、運用のしやすさを優先して選んだ」というように、比較した観点まで含めて話すと、判断の中身が伝わります。

求人票のなかには、社外に出せる形で作る機会が書かれているものもあります。公開されている仕組みへの貢献や、社外で話す機会がある求人であれば、そこで作った内容は会社の外に出しても問題になりにくくなります。

そうした求人は、選考の材料が増える働き方でもあります。次の転職でも語れる中身を積み重ねられるかどうかは、今の仕事の成果物そのものよりも、社外に出せる機会があるかどうかに左右されます。

社外に出せる機会がある求人かどうかは、新規開発の比率が高い求人かどうかとも関係します。求人票の書き方を数字で読み解く視点は、別の記事でも取り上げています。

あわせて読みたい | 新規開発の比率が高い求人で数字の数え方を解説します

4. 確認しておきたい数字を、表でまとめます。

ここまでの内容を、数字で確認します。厚生労働省の調査から、選考の材料に関わる3つの数字を並べます。

【表1】選考の材料に関わる数字の一覧

指標数値何を示すか
情報処理・通信技術者の新規求人倍率3.92倍エンジニアの求人自体は豊富にある*1
転職で賃金が変わらない人の割合28.4%説明の中身が材料になる場面がある*2
一般労働者の賃金(25〜29歳)279.4千円経験の伝え方が評価に関わる場面がある*3

新規求人倍率が3.92倍であることは、エンジニアの求人自体が豊富にあることを示します*1。求人が多いからこそ、選考では一人ひとりの説明の中身が比較の基準になります。

転職で賃金が変わらない人の割合は28.4%です*2。この数字自体は転職全体の結果であり、説明の巧拙との直接の関係を示すものではありません。ただし、判断の理由や手順を具体的に語れるよう準備しておくことは、選考の場で材料を増やすことにつながります。

25〜29歳の一般労働者の賃金は月279.4千円です*3。転職の交渉では、この水準を基準の1つとして考えることができます。合わせて、判断や手順を具体的に語れる準備をしておくと、交渉の材料が増えます。

5. 語れる材料の内訳を、3つに分けます。

自分のものとして語れる中身を、3つに分けて整理します。

語れる材料の内訳を、3つに分けます。 34% 判断の理由 33% やり方の手順 33% 結果の傾向 内訳は目安の区分です。実際の配分を測定した数値ではありません 3つのどれも、会社の外に出しても問題にならない内容です *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

判断の理由は、なぜその作りにしたかという説明です。要件をどう解釈し、どの選択肢を選んだかを話せると、技術の使い方だけでなく考え方が伝わります。

やり方の手順は、どう進めたかという説明です。設計から実装、確認までをどの順序で進めたかを話すと、一人で完結したのか、チームでどう分担したのかも伝わります。

結果の傾向は、どれくらい変わったかという説明です。正確な数字や固有名詞を出せない場合でも、程度の粒度に置き換えれば、成果物を直接見せなくても内容は伝わります。

3つのうち、どれか1つだけを準備すると、質問の角度が変わったときに答えられなくなります。3つとも短くでよいので用意しておくと、面接の流れに合わせて出す順番を変えられます。

6. 準備しておきたい点を整理します。

選考の前に整理しておくと答えやすくなる点をまとめます。

選考前に整理しておく4点

  • 言い換えの幅:正確な数字や固有名詞の代わりに使う、程度を示す言い方を先に決めておきます。
  • 判断の理由:なぜその作りにしたかを、要件と選択肢に触れながら話せるようにします。
  • 手順の説明:どう進めたかを、工程の順序で話せるようにします。
  • 社外に出せる機会:公開されている仕組みへの貢献や、社外で話す機会が求人票に書かれているかを確認します。

言い換えの幅を先に決めておくと、面接でその場で数字を作らずに済みます。「約3割」「半分程度」のように、程度を示す言い方をあらかじめ用意しておきます。

判断の理由とやり方の手順は、成果物を見せなくても話せる内容です。要件をどう解釈したか、どの順序で進めたかを、固有名詞を伏せたまま説明できるよう準備しておきます。

社外に出せる機会が求人票に書かれている場合、それは選考の材料が増える働き方を示しています。公開されている仕組みへの貢献や、社外で話す機会があれば、次の転職でも語れる中身を積み重ねやすくなります。

求人票は、社外に出せる機会だけでなく、出社頻度や勤務地の条件も確認しておきたい情報です。求人票の読み方については、別の記事でも取り上げています。

あわせて読みたい | 移動時間は出社頻度に数えられない|求人で確かめる3点

7. よくある質問(Q&A)

Q1. 前の職場で作ったコードを、選考で見せてもよいか。

A. 見せることは避けます。仕事で作った成果物は原則として会社のものになるため、コードや資料をそのまま持ち出すと会社の情報を漏らすことになります。判断の理由や手順を言葉で説明する方法に置き換えます。

Q2. 数字や固有名詞を出せないとき、何を話せばよいか。

A. 程度の粒度に置き換えて話します。「約3割減った」「処理時間が半分程度になった」のように、正確な数値の代わりに大まかな表現を使うと、固有の情報を伏せたまま結果の傾向を伝えられます。

Q3. 面接で成果物を見せてくださいと言われたら、どう答えればよいか。

A. 見せられないことを先に伝えます。仕事で作ったものは会社のものになるため、コードや資料は持ち出せないと説明したうえで、判断の理由とやり方の手順、結果の傾向を言葉で伝えます。断る理由まで含めて話すと、誤解を避けられます。

Q4. 求人票の社外発表歴という項目は何を確認すればよいか。

A. 社外に出せる形で仕事をする機会があるかどうかを確認します。公開されている仕組みへの貢献や、社外で話す機会が書かれている求人であれば、選考の材料が増える働き方だと判断できます。

Q5. 選考で聞かれる範囲は、書類選考と面接で変わるか。

A. 変わります。書類選考では、担当した工程や使用した技術といった概要で伝わります。面接では、判断の理由ややり方の手順まで踏み込んで聞かれる場面が増えるため、口頭で説明できる形に整えておく必要があります。

8. まとめ:語れるのは、判断の理由とやり方の手順です。

この記事の要点

  • 情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です。エンジニアの求人自体は豊富にあります*1。
  • 仕事で作った成果物は原則として会社のものになるため、コードや資料をそのまま選考で示すことはできません。
  • 選考で語れるのは、判断の理由・やり方の手順・結果の傾向という説明の中身です。数字や固有名詞は程度の粒度に置き換えます。
  • 転職で賃金が変わらない人の割合は28.4%です*2。判断や手順を具体的に語れる準備をしておくことが、選考の材料を増やすことにつながります。

成果物そのものを見せられなくても、選考で語れる中身は残っています。判断の理由とやり方の手順、結果の傾向を、言い換えの幅を決めたうえで整理しておきましょう。

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※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。

出典・参考情報

*1 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年12月分)について」(2026年公表)
*2 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(2025年公表)
*3 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)

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