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退職届の書き方——法令・マナー・実務の三つの軸で迷いなく一枚に仕上げ

退職届の書き方を法令・マナー・実務の三つの軸で解説するイメージ図

「退職届」と書いた一枚を、机に置く。あの瞬間の重さを、書き慣れた人はいません。書き方を間違えたくない。けれど、検索すると流派が割れていて、結局どれが正しいのか分からない。手書きか、パソコンか。縦書きか、横書きか。提出はいつか。この記事では、退職届の書き方を「法令」「マナー」「実務」の三つの軸で整理し、迷いなく一枚に仕上げるまでをご案内します。

この記事のポイント

  • 退職届の書き方を、民法に基づく法的根拠と実務マナーの両面から整理しています。「一身上の都合」の使いどころも明示します
  • 手書きはA4・B5縦書き、パソコン作成は横書きが一般的です。それぞれの正しい型を、例文と封筒・提出方法までセットで掲載しています
  • 退職届を出す前後の流れ、引き止め・撤回の扱い、そしてリモートワークに対応した転職を見据えた段取りまでをカバーしています
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1. 退職届の書き方——法令とマナーの基本

退職届とは、自身の労働契約の解約を会社に対して一方的に通告する書類です。日本の労働者には、期間の定めのない雇用契約の場合、退職を申し入れてから2週間が経過すれば雇用が終了するという法的な権利が認められています*1。退職届は、所定の事項(退職する意思・退職日・氏名・宛名)が記載されていれば、書式・媒体の自由度は高い書類です。ただし、円満退職とその後の手続きを考えると、社内慣習に沿った型で書くのが実務上の最適解になります。

1-1. 退職届・退職願・辞表の違い

「退職届」「退職願」「辞表」は似て非なる三つの書類です。混同したまま提出してしまうと、撤回の可否や、その後の失業給付などの取り扱いに影響する可能性があります。

項目退職届退職願辞表
性質労働契約の一方的な解約通告労働契約の合意解約の申込み役員・公務員等が職を辞す意思表示
提出タイミング退職日が確定した後退職希望を伝える最初の段階役員辞任・公務員退職の意思表示時
撤回の可否会社受理後は原則できない会社の承諾前なら可能性がある役員会の承認等による
使う人一般の従業員一般の従業員取締役などの役員、公務員
根拠法民法627条1項民法540条以下(契約の合意解除)会社法、国家公務員法等

2. 「一身上の都合」と書く理由——退職届の本文設計

退職届の本文構成と「一身上の都合」の使いどころを示すイメージ図

退職届の本文は、A4または便箋一枚に収まる短い文章です。自己都合で退職する場合、理由は「一身上の都合」と記載するのが基本となります。これは私的な事情の総称で、転職・結婚・介護・健康など、自分の意思や家庭の事情に基づく退職をひとまとめにする定型表現です。理由を細かく書く法的義務はありません。

一方、会社都合での退職(倒産・解雇・退職勧奨など)の場合は、安易に「一身上の都合」と書くと自己都合扱いになり、雇用保険の基本手当の受給時期や給付日数に影響することがあります*2。会社都合の場合は原則として退職届の提出自体が不要ですが、会社から求められた場合は「部門縮小のため」「退職勧奨に伴い」など、会社都合である事実を明記します。

退職届本文に必要な5つの要素(自己都合の場合)

  • 表題(中央寄せで「退職届」と記載)
  • 書き出し(「私事、」または「私儀、」と一段下げて記載)
  • 本文(退職の意思と退職日)
  • 提出日(書類を提出する日付)
  • 所属・氏名・押印、および宛名(代表者の役職と氏名)

3. 退職届の例文——縦書き・横書き・パソコン作成

退職届には縦書きと横書きの両方の様式があります。手書きの場合は縦書きが一般的で、パソコン作成の場合は横書きが選ばれることが多い傾向があります。会社指定の書式がある場合は、その指示に従います。

縦書きの例文(手書き向け)

記載項目記載内容(例)
表題退職届
書き出し私事、
本文このたび、一身上の都合により、令和七年三月三十一日をもって退職いたします。
提出日令和七年二月二十八日
所属・氏名○○部 山田太郎 ㊞
宛名株式会社○○○○ 代表取締役社長 ○○○○ 殿

縦書きの場合、日付は漢数字(一、二、三、十、百)で揃えるのが慣例です。西暦と和暦の混在は避け、どちらかに統一します。

横書きの例文(パソコン作成向け)

記載項目記載内容(例)
提出日(右上)令和七年二月二十八日
宛名株式会社○○○○ 代表取締役社長 ○○○○ 殿
所属・氏名(右寄せ)○○部 山田太郎 ㊞
表題(中央)退職届
本文私事、このたび、一身上の都合により、令和七年三月三十一日をもって退職いたします。

会社都合の場合の本文例

  • 「事業部門縮小に伴う退職勧奨を受け、これに応じ、令和七年○月○日をもって退職いたします。」
  • 「部門廃止に伴う人員整理を理由として、令和七年○月○日をもって退職いたします。」

4. 用紙・封筒・提出方法のマナー

項目推奨備考
用紙サイズB5またはA4会社指定があればそれに従う
用紙の種類白の便箋(罫線あり・なし可)ビジネス用のシンプルなもの。柄入りは避ける
筆記具黒の万年筆またはボールペン消えるボールペン・鉛筆は不可
封筒のサイズ用紙B5なら長形4号/A4なら長形3号白色・無地・二重封筒が望ましい
封筒の表書き中央に「退職届」裏面左下に部署と氏名

封筒への入れ方と折り方

退職届は三つ折りにして封筒に入れます。便箋を裏返さずに机に置き、下から3分の1を上に折り、次に上から3分の1を下に折ります。書き出しが封筒の右上に来るように入れると、受け取った相手が開いた瞬間に内容を確認しやすくなります。封は「〆」または「封」と記しますが、糊付けまでは必須ではありません。

提出方法

退職届は、直属の上司に直接手渡しするのが基本です。事前にアポイントを取り、会議室など人目に触れない場所で渡します。郵送やメール添付でも法的には有効ですが、円満退職の観点ではトラブルの原因になりやすく、対面が難しい場合の最終手段とするのが無難です。リモートワーク中心の働き方であっても、退職届の提出だけは出社して手渡しにするという運用にしている企業も多いのが実情です。

5. 退職届を出すタイミングと提出までの流れ

退職届を出すタイミングについて、法律と実務には差があります。民法上は退職の申し入れから2週間で雇用が終了しますが、就業規則では「1か月前まで」「3か月前まで」と定めている企業もあります。実務上は、就業規則と引き継ぎ事情を踏まえ、退職希望日の1〜3か月前に意思表示をするのが一般的です*3

時期やること使う書類
退職日の1〜3か月前就業規則を確認し、直属の上司に口頭で退職の意思を伝える必要に応じて退職願
退職日の約1か月前退職日を上司と合意し、退職届を提出。後任への引き継ぎを開始退職届
退職日まで業務引き継ぎ・関係者への挨拶・備品返却・離職票等の受領手続き離職票・源泉徴収票・年金手帳等

6. 退職届に関するよくある質問

Q. 退職届は受理されなくても退職できますか?

期間の定めのない雇用契約であれば、退職届を提出してから2週間が経過した時点で雇用が終了するというのが、民法627条1項の規定です*1。会社が「人手不足」「後任が決まらない」といった理由で受理しなくても、法的に退職の効力は2週間後に発生します。退職届を内容証明郵便で送付することで、提出した事実を客観的に残す方法もあります。

Q. 退職届は撤回できますか?

退職届は労働契約の一方的な解約通告にあたるため、会社が受理した時点から、原則として撤回はできないというのが一般的な法的解釈です(民法627条)*1。一方、退職願は合意解約の申込みであり、会社の承諾前であれば撤回できる場合があります。撤回の可能性を残したい場合は、まず退職願を出して話し合いを始め、最終確定の段階で退職届を提出する流れが安全です。

Q. 退職届に書く日付はいつにすればよいですか?

退職届には二つの日付を記載します。一つは「提出日」で、上司に書類を渡す当日の日付です。もう一つは「退職日」で、本文中に明記します。退職日は、就業規則と引き継ぎの実情を踏まえ、上司と合意した日を記載します。月末退職の場合、最終出社日と退職日は別になることが多いため、有給休暇の消化日数を含めて逆算します。

Q. 退職届はメール添付やPDFでも有効ですか?

民法は退職の意思表示について書面の形式までは定めていないため、メールでの意思表示でも法的には退職の効力が生じうると考えられます。ただし、社内ルールとしては「紙の退職届を直接手渡しする」と定めている企業がほとんどです。電子契約や電子署名を導入している企業を除き、メール添付・PDFのみでの提出はトラブルの原因になりやすいため、円満退職の観点では推奨されません。

Q. 退職届を出した後、会社からの引き止めにはどう応じればよいですか?

退職届は一方的な解約通告として有効に成立しているため、引き止めに応じる法的義務はありません。ただし、引き継ぎへの誠意と感謝の意は、その後のキャリアにも影響するため大切にしたい所作です。「ご迷惑をおかけしますが、決めた事情がございますので予定通り進めさせてください」といった一言を添え、感情的にならず冷静に対応する姿勢が円満退職につながります。

7. リモートワーク時代の退職届——次のキャリアを見据えた段取り

退職届を書くタイミングは、多くの方にとって「次の働き方」を本格的に考えるタイミングでもあります。パーソル総合研究所の調査によれば、2025年7月時点の正社員のテレワーク実施率は22.5%で、2024年からほぼ横ばいの水準が続いています*5。情報通信業に限れば56.3%と高水準で、業種による差は大きいままです*5。一方、厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、転職入職者が前職を辞めた理由として、男性では「給料等収入が少なかった」、女性では「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」がそれぞれ上位に挙がっています*6。働き方や条件を理由とした転職は、依然として大きな潮流です。

退職届を出す前に、もう一つだけ確認しておきたいことがあります。次の職場で「働く場所」をどう設計するか、です。リモートワークが可能な正社員求人は、転職市場で広がりを見せています。退職届の作成と並行して、リモートワーク対応の転職市場を確認しておくと、次の一歩がより具体的に見えてきます。

8. まとめ:迷わず一枚に仕上げる

この記事のまとめ

  • 手書きは縦書き・万年筆、パソコン作成は横書きが基本です。縦書きは漢数字、横書きは算用数字か漢数字のいずれかに統一します
  • 退職届は労働契約の一方的な解約通告であり、民法627条1項により提出から2週間で雇用が終了します*1
  • 自己都合の場合は「一身上の都合」と記載し、会社都合の場合はその事実を明記して、雇用保険の取り扱いに齟齬を生まないようにします
  • 用紙はB5かA4の白い便箋、封筒は白の無地、筆記具は黒の万年筆かボールペンが基本です。三つ折りにして封筒に入れ、直属の上司に手渡しします
  • 就業規則と民法のルールを踏まえ、退職希望日の1〜3か月前に意思表示し、約1か月前に退職届を提出するスケジュールが実務上の標準です*3
  • 退職届を書くタイミングは、次の働き方を設計するタイミングでもあります。リモートワーク対応の正社員求人という選択肢を視野に入れておくと、退職届の一枚に込める意味が変わってきます

退職届は、辞めるための紙ではなく、次に進むための紙でもあります。書き終えたら、次の景色を見にいきましょう。

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Relasic(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク対応の正社員求人に特化した転職支援サービスです。在宅勤務や、地方に住みながら東京の仕事をリモートで担うという働き方を望む方に向けて、リモートワーク可能な正社員求人をご紹介しています。退職届を書き上げた次の一歩として、「これまでと同じ仕事を、別の場所からやってみる」という選択肢があります。

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出典・参考情報

*1 民法第627条(e-Gov法令検索)
*2 厚生労働省「雇用保険制度」(基本手当の所定給付日数)
*3 厚生労働省「退職の申出は2週間前までに」
*4 民法第540条以下(合意解除)/厚生労働省(労働政策審議会労働条件分科会 関連資料)
*5 パーソル総合研究所「第十回・テレワークに関する調査」(2025年8月公表)
*6 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(2025年8月公表)

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