手戻りが起きる場所|どこで確かめると減るか

エンジニアの仕事では、手戻りが起きることがあります。手戻りは担当者の能力ではなく、確かめる場所がずれていることで起きている場合が多くあります。要件が固まる前、仕様を渡すとき、動くものを見せるときのどこで確かめるかによって、起きやすさは変わります。ここでは、この3つの場面に絞って見ていきます。
手戻りが起きるかどうかを分けているのは、担当する人の能力ではなく、要件が固まる前・仕様を渡すとき・動くものを見せるときのどこで確かめるかです。
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この記事のポイント
- 手戻りは、要件が固まる前・仕様を渡すとき・動くものを見せるときの場面に集中して起きやすくなります
- 確かめる場所を早い段階に置くほど、直す範囲は狭く済みます
- 転職者数は330万人、転職等希望者数は1023万人です*1。エンジニアの転職を支える母数として参照します
1. 手戻りは、起きる場所がだいたい決まっています
手戻りが起きやすいのは、要件が固まる前、仕様を渡すとき、動くものを見せるときの3つの場面です。このどこで確かめるかによって、手戻りの起きやすさは変わります。
手戻りは、担当者の能力の問題として語られることがあります。ただ実際には、確かめる場所がずれていることで起きている場合が多くあります。
確かめる場所は、要件が固まる前、仕様を渡すとき、動くものを見せるときの3つに集中しています。この3つのどこかで確かめが薄いと、後の工程でやり直しが発生しやすくなります。とりわけ、動くものを見せたあとに指摘を受ける場面は、直す範囲が一度に広がりやすい場面です。
3つの場面は、どれも「まだ決まっていないことを、決まったことのように進めてしまう」瞬間です。確かめる場所を早い段階に置くほど、直す範囲は狭く済みます。
手戻りは、担当している技術の種類や経験年数とは関係なく起きます。差が出るのは、確かめる位置を先に動かせているかどうかという一点です。
以下では、3つの場面がなぜ起きやすいかを表で見たあと、確かめる位置をどのあたりに置くか、そして確かめる流れそのものを順に見ていきます。
2. 手戻りは、能力ではなく確かめる場所のずれで起きます
手戻りが起きると、担当した人の理解不足や技術力が原因として語られやすくなります。ただ、同じ人が同じ技術で担当していても、確かめる場所を変えるだけで、手戻りの起きやすさは変わります。
要件が固まる前に確かめずに進めると、あとになって前提が違っていたことが分かります。仕様を渡すときに確かめずに進めると、渡した側と受け取った側で理解がずれたまま作業が進みます。動くものを見せるときに確かめずに進めると、見せた時点で初めて方向の違いに気づきます。
3つの場面はどれも、確かめないまま先に進んでしまうと取り返しがつきにくくなる瞬間です。逆に言えば、この3つの場面さえ押さえておけば、手戻りの多くは防げる位置にあります。
手戻りが起きたとき、原因を探る先は担当した人に向かいやすくなります。ただ、担当を替えたとしても、確かめる場所そのものを変えなければ、同じ場所で同じような手戻りが繰り返されます。
確かめる時間を、作業を止める時間だと感じると、後回しにしたくなります。実際には、確かめる時間は、あとで直す時間を前借りしているだけです。前借りする時間を早い段階に置くか、あとの直しとして払うかの違いにすぎません。
次の項目では、3つの場面を、起きやすい理由と確かめることに分けて表にします。
3. 手戻りが起きやすい場面を、表で見ます
手戻りが起きやすい場面は、要件が固まる前、仕様を渡すとき、動くものを見せるときを中心に、いくつかに絞られます。
場面ごとに、起きやすい理由と、確かめておくことを並べます。
起きる場面・起きる理由・確かめることの対応
| 起きる場面 | 起きる理由 | 確かめること |
|---|---|---|
| 要件が固まる前 | 決まっていないことを、決まったこととして進めてしまう | 何を目的にしているかを、進める前に確認する |
| 仕様を渡すとき | 渡した側と受け取った側で、前提の理解がずれる | 渡した仕様が意図どおりに読めているかを確認する |
| 動くものを見せるとき | 見せた時点で初めて、方向の違いに気づく | 小さい範囲で早めに見せ、違いがないかを確認する |
| 見せたあとに指摘を受けるとき | 指摘の意図を、直す範囲まで汲み取れないまま直してしまう | 指摘がどこまでを指しているかを、直す前に確認する |
表の4行は、要件が固まる前から、見せたあとの指摘を受けるときまでを順に並べたものです。
要件が固まる前に確かめないまま進めると、決まっていない前提を決まったことのように扱ってしまいます。
仕様を渡すときに確かめないまま進めると、渡した側と受け取った側で、前提の理解がずれたまま作業が進みます。
動くものを見せたあとの指摘も、意図まで確かめないまま直すと、直した範囲が指摘の意図とずれることがあります。
4行に共通しているのは、確かめることが特別な作業ではなく、次の工程に進む前のひと手間だという点です。手間そのものは小さくても、抜けると後の工程に響きます。
表の3列目に並べた確かめることは、どれも次の場面に進む前にできる作業です。動くものができてから確かめるのではなく、進む前に確かめるという順番が、4行に共通しています。次の項目では、この確かめる位置を、早い段階から作った後までの目盛りとして見ます。
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4. 確かめる場所は、早い段階から作った後までの間にあります
確かめる場所は、早い段階で確かめる位置から、作ってから確かめる位置までの間のどこかにあります。放っておくと、目盛りは右側に寄っていきます。
作ってから確かめる位置に寄りやすいのは、動くものができるまでは確かめる材料がないと考えてしまうためです。要件を聞いた段階では、まだ形になっていないため、確かめようがないと感じやすくなります。
実際には、要件が固まる前の段階でも、確かめられることはあります。何のために作るのかという目的や、決めた前提が正しいかどうかは、動くものができる前でも言葉にして確認できます。
目盛りを右側に置いたままにするか、意識して左側へ戻すかは、担当する一人の判断だけで変わります。この判断は、特定の職場のやり方に縛られるものではなく、新しい職場に移ったあとも、同じように早い段階から確かめる位置を選び直せます。
次の項目では、確かめる位置を左側に戻す流れを、4つの段階に分けて見ていきます。
5. 確かめる流れは、4つの段階で進みます
確かめる流れは、目的を聞く、前提を書く、小さく見せる、直すの4段階に分けられます。順番に進めると、確かめが抜けにくくなります。
目的を聞く段階では、何のために作るのかを、着手する前に確認します。前提を書く段階では、聞いた目的をもとに決めた前提を書き残します。
小さく見せる段階では、作り終える前に、小さい範囲で早めに見せます。見せた時点で違いに気づければ、直す範囲は狭いままで済みます。
直す段階では、見せて気づいた違いを、その場で直します。違いに気づくのが早いほど、直す範囲は目的や前提のずれた一点にとどまりやすくなります。気づくのが遅れるほど、直す範囲はその一点から周りへと広がっていきます。
4段階のどれかを飛ばして進めると、飛ばした段階で確かめるはずだったことが、後の段階まで持ち越されます。持ち越された分だけ、あとで気づいたときの直す範囲は広がります。順番を守ること自体が目的ではなく、確かめ忘れを後まで持ち越さないための並びです。
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6. 転職の場面でも、確かめてきたことは伝えられます
この3つの場面で確かめてきたことは、転職の書類や面接でも伝えられます。
伝え方の3つの型
- 場面の型:要件・仕様・動くものの、どこで確かめてきたかを話します
- 効果の型:確かめたことで、直す範囲がどう変わったかを話します
- 次への型:次の職場でも、同じ場所で確かめる姿勢を話します
3つの型は、どこに焦点を当てるかが違うだけで、伝えたいことは同じです。
場面の型は、経歴を聞かれた場面に向きます。要件・仕様・動くものの、どこで確かめてきたかを、担当した仕事に沿って話します。
効果の型は、仕事の進め方を聞かれた場面に向きます。確かめたことで、直す範囲がどう変わったかを話します。数値を挙げる必要はなく、確かめてから進めたという事実だけで十分伝わります。
次への型は、次の職場でどう働きたいかを聞かれた場面に向きます。次の職場でも、同じ場所で確かめる姿勢を話せば、担当する分野が変わっても伝わります。
3つの型は、順番に使う必要はありません。聞かれた内容に合わせて、そのつど型を選び直せば足ります。
3つの型に共通しているのは、担当していた会社名や仕事の詳細を並べる必要がないという点です。確かめる場所を選んできたという事実だけで、担当していた分野が変わっても伝わります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 手戻りは、経験の浅いエンジニアに多いですか。
A. 経験の有無よりも、確かめる場所がずれているかどうかが大きく関わります。経験を積んだ担当者でも、確かめる場所を飛ばして進めれば、手戻りは起きます。逆に、経験が浅くても、3つの場面で確かめる習慣があれば、手戻りは起きにくくなります。
Q2. 要件が固まる前に確かめると、進みが遅くなりませんか。
A. 確かめる分だけ、着手までの時間はかかります。ただし、確かめずに進めて後から直す場合と比べると、直す範囲は狭く済みやすくなります。かかる時間の中身が、着手前の確認か、あとからの手直しかという違いです。
Q3. 動くものを見せる段階は、どのくらいの完成度で見せればよいですか。
A. 完成度よりも、方向が合っているかどうかを確かめられる範囲であれば見せられます。小さい範囲で早めに見せることが目的で、見た目や細部を整える必要はありません。
Q4. 確かめる場所は、担当する仕事の分野によって変わりますか。
A. 分野が変わっても、要件が固まる前・仕様を渡すとき・動くものを見せるときという3つの場面自体は変わりません。何を確かめるかの中身は、分野に応じて変わります。
8. まとめ:手戻りは、確かめる場所を早めると減ります
この記事の要点
- 手戻りは、要件が固まる前・仕様を渡すとき・動くものを見せるときの場面に集中して起きやすくなります
- 確かめる場所を早い段階に置くほど、直す範囲は狭く済みます
- 確かめる流れは、目的を聞く→前提を書く→小さく見せる→直す、の4段階で進みます
- 確かめてきたことは、転職の場面でも場面の型・効果の型・次への型で伝えられます
- 転職者数は330万人、転職等希望者数は1023万人です*1。エンジニアの転職を支える母数として参照します
手戻りは、能力の差ではなく、確かめる場所がずれていることで起きる場合が多くあります。要件が固まる前、仕様を渡すとき、動くものを見せるときの3つを押さえておくと、直す範囲は狭いまま保てます。確かめる場所は、担当する技術や分野が変わっても引き継げる習慣であり、次の職場に移ったあとも同じように使えます。確かめ方の整理に迷う場合は、専任エージェントに相談しながら振り返ることもできます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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