引き取れない仕事|経験として話す形に

属人化した仕事を抱えていると、選考で話しにくいと感じがちです。実際に話しやすさを分けるのは、抱えている仕事の量ではなく、手順と判断した理由がどこまで言葉になっているかです。自分の手元にある引き取りにくい仕事を、棚卸しして職務経歴書に書ける形に整える進め方を説明します。
属人化した仕事を選考で話しやすくするのは、手順だけでなく判断の理由まで言葉にできているかです。棚卸しをすれば、職務経歴書に書ける形に整えられます。
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この記事のポイント
- 属人化した仕事を選考で話しにくくするのは、量ではなく、手順と判断した理由がどこまで言葉になっているかです
- 書き出す型をそろえておくと、職務経歴書に書ける形と、面接で話せる言い方の両方に使えます
- 情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1。転職市場の前提として示すもので、棚卸しの話とは別に扱います
1. 属人化した仕事は棚卸しで言葉に変わります
属人化した仕事が選考で話しにくいのは、仕事の量ではなく、手順と判断した理由がまだ言葉になっていないからです。担当した範囲・判断した場面・その理由という単位に分けて棚卸しをすれば、職務経歴書に書ける形と、面接で話せる言い方の両方に整えられます。
自分が抱えている仕事の中に、他の人に引き取ってもらいにくいものがあると、選考でどう話せばよいか迷うことがあります。
引き取りにくい仕事の多くは、属人化した状態にあります。手順が自分の頭の中にしかない、あるいは手順はあっても、なぜその判断をしたかという理由が言葉になっていない状態です。
選考で話しにくいのは、仕事の難しさそのものではありません。手順と判断の理由が、まだ言葉として整理されていないことが理由です。
棚卸しとは、抱えている仕事を、担当してきた範囲・判断した場面・その理由という単位に分けて書き出す作業です。分ければ、職務経歴書に書ける形に近づきます。
属人化した仕事を手放しにくいと感じる場面と、選考で話せる経験として語る場面は、別の作業です。前者は職場の引き継ぎの話であり、後者は自分の言葉にする話です。
ここで扱うのは後者です。抱えている仕事をどう引き継ぐかではなく、抱えてきた仕事をどう話すかという棚卸しに絞って進めます。
棚卸しの対象は、担当した仕事のうち、他の人に説明しにくいと感じる部分だけで十分です。抱えている仕事をすべて書き出す必要はありません。
始めるタイミングも、選考が近づいた時点である必要はありません。担当していた仕事に区切りがついたタイミングで、思い出せる範囲から書き始めれば十分です。
棚卸しの結果は、職務経歴書に書く一文としてだけでなく、面接前に読み返す準備メモとしても使えます。
2. 抱えている状態を3つの言い方に整理します
属人化した仕事を書き出すときは、抱えている状態ごとに言い方を変えると、職務経歴書と面接の両方で使えます。
抱えている状態・書き出すときの言い方・面接で聞かれること
| 抱えている状態 | 書き出すときの言い方 | 面接で聞かれること |
|---|---|---|
| 手順は自分の中にしかない | 「〜の手順を単独で担当し、標準化を進めました」 | 「その手順は他の方も対応できますか」 |
| 判断の基準が明文化されていない | 「〜の場面で基準を判断し、後で言語化しました」 | 「その判断はどのような基準でしたか」 |
| 問い合わせが自分に集中する | 「〜の問い合わせを一次対応し、対応範囲を整理しました」 | 「対応が集中した理由は何でしたか」 |
| 経緯を自分しか把握していない | 「〜の経緯を把握し、要点を記録として残しました」 | 「経緯はどこかに記録されていますか」 |
4つの状態はいずれも、担当している仕事が属人化していることの表れです。表れ方が違うだけで、根っこにあるのは、手順や判断の理由がまだ言葉になっていないという点です。
書き出すときの言い方は、「担当した」で止めず、「何を基準に判断したか」「どう整理したか」まで一文に入れると、面接で聞かれたときに答えやすくなります。
面接で聞かれることの列は、そのまま想定質問として使えます。答えを用意しておけば、抱えている仕事の話を、経験として語る形に変えられます。
4つの状態は同時に抱えていることもあります。当てはまる行を複数選び、それぞれ一文にしておくと、書き出す量を無理に増やさずに済みます。
4つの言い方に共通する動詞を職務経歴書の中でそろえておくと、読み手が担当していた範囲を比較しやすくなります。行ごとに動詞が変わると、同じ経歴の中でも印象がばらつきます。
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3. 手順と判断理由の二軸で話しやすさを分けます
属人化した仕事のうち、手順を言葉にできるかと、判断した理由を言葉にできるかは、別の軸として分けて考えられます。
自分が抱えている仕事の中に、複数の型が混ざっていることもあります。どの型に近いかを先に見極めると、次に書く順番が決まります。
属人化という言葉は、担当が一人に偏っている状態を指して使われますが、ここで確かめるのは担当の偏りそのものではなく、手順と理由が自分の言葉になっているかどうかです。
右上の型に近いほど、そのまま職務経歴書の一文に近づきます。左下の型に近いほど、棚卸しに使う時間が長くなります。
面接で聞かれたときにどこまで答えられるかは、この二軸のどこに近いかで変わります。答えにくいと感じたら、理由の軸から先に言葉にしてみると進みやすくなります。
二軸の位置は、担当した仕事ごとに別々に判定します。1つの仕事の型で、抱えている仕事全体の話しやすさを決めつける必要はありません。
理由を言葉にした時点で、左側の型から右側の型に近づくこともあります。位置は固定ではなく、棚卸しを進めるうちに動きます。
4. 引き取りにくさは知識の量ではなく言葉にする力で決まります
引き取りにくい仕事というと、専門知識が多いことが原因のように見えます。実際に確かめてみると、知識の量そのものが引き取りにくさを決めているわけではありません。
引き取りにくさを分けているのは、決めたときの理由が言葉になっているかどうかです。同じ量の知識を扱っていても、判断の理由を書き残している人の仕事は、他の人にも引き取りやすくなります。
属人化した仕事を自分の中で完結させてきた人ほど、理由を言葉にする機会が少なかった可能性があります。機会が少なかったこと自体は、経験の質を下げるものではありません。
選考で話すときに必要なのは、知識を並べることではなく、判断した理由を一文で言えることです。棚卸しは、その一文を作るための作業です。
棚卸しで書き出す対象は、自分が担当してきた範囲と判断の理由だけです。以前の職場の体制や運用の良し悪しを評価する作業ではありません。
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5. 棚卸しの順番を並べます
棚卸しの4段は、この順で進めると、抱えている仕事から一行を作るまでの距離が短くなります。
担当を並べる段では、大きな仕事から先に書き出すと、次の場面を思い出す段に移りやすくなります。細かい作業まで無理に並べる必要はありません。
理由を言葉にする段が最も時間を使う段です。理由が浮かばないときは、その場面で何を優先したかを先に書くと、理由につながる言葉が出てきます。
一行にする段では、担当・場面・理由をつなげて、職務経歴書の書式に合わせます。長く書く必要はなく、面接で広げて話せる分だけ残しておけば足ります。
同じ4段を、担当した仕事ごとに繰り返して構いません。複数の仕事で棚卸しをしておくと、面接で聞かれた内容に応じて、話す一行を選べます。
6. 書き出すときの型を3つ揃えます
棚卸しした内容を書き出すときは、型をそろえておくと、職務経歴書と面接の両方で同じ言葉を使えます。次の3つを使います。
書き出すときの3つの型
- 担当メモ:担当してきた範囲を一文で書き残します
- 判断メモ:判断した場面と理由を一文で書き残します
- 一行メモ:職務経歴書に書ける形を一文で書き残します
3つの型は、担当・判断・一行という3つの角度に対応しています。どれか1つだけを書くより、3つをそろえておくと、面接で聞かれたときに答えの抜けに気づきやすくなります。
書く量は一文で足ります。長く書こうとすると、次に読み返す時点で、結局どこが要点かを探すことになります。
属人化した仕事ほど、担当メモだけで終わらせがちです。判断メモまで書いておくと、面接で「なぜそう判断したか」を聞かれても、その場で言葉を探さずに答えられます。
3つのメモを書く場所は、勤務先の共有ツールでなくても機能します。自分が読み返せることを優先し、職務経歴書に書く前の下書きとして使います。
書いたメモは、職務経歴書の下書きを作る段で、そのまま文の骨格として使えます。担当メモを主語に置き、判断メモを理由の部分に当てれば、一文にまとまります。
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7. よくある質問|棚卸しした経験の話し方です
Q1. 属人化した仕事を選考で話すと、評価が下がりませんか。
A. 評価が下がる話ではありません。手順と判断の理由が言葉になっているかどうかが、選考で話しやすさを分けます。棚卸しをして、担当してきた範囲と判断した理由を一文にしておくと、経験として話せる形になります。
Q2. 引き取ってもらえなかった仕事は、職務経歴書に書きにくいのでしょうか。
A. 書きにくいわけではありません。担当した範囲・判断した場面・その理由を分けて書き出せば、職務経歴書に書ける一文に整えられます。抱えていた期間の長さよりも、判断した場面の数を優先して書き出すと、内容がまとまりやすくなります。
Q3. 判断の理由が思い出せない場合はどうすればよいですか。
A. その場面で何を優先したかを先に書くと、理由につながる言葉が出てくることがあります。思い出せない部分は、次に書けた段から進めても構いません。
Q4. 面接で棚卸しした内容をどこまで話せばよいですか。
A. 担当・判断・理由を一文で答え、聞かれた範囲で広げて話す形が使いやすいです。長く話す必要はなく、一文を土台にして質問に応じて広げれば足ります。
8. まとめ:引き取れない仕事を経験に整えます
この記事の要点
- 属人化した仕事が選考で話しにくいのは、量ではなく、手順と判断した理由がどこまで言葉になっているかです
- 手順と理由の二軸で見ると、両方言葉にできる型が最も話しやすく、そこに近づけるのが棚卸しです
- 棚卸しは担当を並べる→場面を思い出す→理由を言葉にする→一行にするの順で進めると書きやすくなります
- 書き出す型は担当メモ・判断メモ・一行メモの3つに分けると、面接での答えの抜けに気づきやすくなります
- 情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1。転職市場の前提として示すもので、棚卸しの話とは別に扱います
属人化した仕事を抱えていることは、選考で不利になる理由ではありません。手順と判断した理由が、まだ言葉になっていないだけです。担当を並べ、場面を思い出し、理由を言葉にし、一行にするという順で棚卸しをすれば、職務経歴書に書ける形に整えられます。面接では、担当・判断・理由を一文で答え、聞かれた範囲で広げて話す進め方で足ります。棚卸しは一度で終わらせる作業ではなく、担当した仕事が増えるたびに、同じ4段を当てはめて更新していく作業です。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
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