育児休業から復帰後も在宅は続けられる?短時間勤務との組み合わせ

育児休業を終えて職場に戻るとき、短時間勤務や在宅勤務、時差出勤といった働き方を選べるかどうかは、制度が就業規則に載っているかどうかだけでは分かりません。載っていても、実際に使われた実績がなければ、復帰後の配属や勤務形態は面談で初めてはっきりします。ITエンジニアとして転職も含めて働き方を選び直すなら、確かめる項目を先に持っておく必要があります。
2024年時点でテレワークを導入している企業の割合は50.1%です*1。育休から復帰したときに在宅勤務という選択肢が実際にあるかどうかは、まずこの導入企業の範囲の中で決まります。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- テレワークを導入している企業の割合は50.1%です*1。育児休業からの復帰で在宅勤務が選べるかどうかは、まずこの導入の有無にかかっています。
- 2025年の転職者数は330万人です*2。育休からの復帰を機に、働き方の合う職場へ移る人は珍しくありません。
- 厚生労働省の調査では、賃金は年代によって水準が変わります。2025年調査による女性の集計では45〜49歳・55〜59歳の層が305.7千円で最も高い水準でした*3。これは年齢・性別ごとの平均であり、育休を取った人の賃金がこの水準になるという意味ではありません。
1. 育児休業からの復帰後、働き方は自動的には変わりません。
育児休業から復帰したときに短時間勤務・在宅勤務・時差出勤のどれを選べるかは、制度が用意されているかどうかだけでは決まりません。総務省の調査では、テレワークを導入している企業の割合は50.1%です*1。在宅勤務という選択肢自体、すべての企業にあるとは限らないという前提から、復帰後の働き方は組み立てる必要があります。
育児休業から戻る本人にとって、就業規則に短時間勤務や在宅勤務、時差出勤の記載があるかどうかは出発点にすぎません。記載があっても、実際に運用された実績がなければ、条件は復帰の面談で初めて明らかになります。
総務省の通信利用動向調査によれば、テレワークを導入している企業の割合は50.1%です*1。在宅勤務という働き方そのものが、制度として存在しない企業も含まれた数字です。
転職を選択肢に入れて働き方を選び直すなら、求人票に書かれた制度名だけでなく、直近にその制度を使って復帰した人がいるかどうかを、面談で確認する項目に加える必要があります。
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2. 在宅勤務を選べる企業は、半数に届いていません。
復帰後の働き方の選択肢のうち、在宅勤務がどれだけの企業に用意されているかを確認します。
総務省の通信利用動向調査では、テレワークを導入している企業の割合は50.1%でした*1。企業ごとに対象範囲は異なり、育休から復帰する人が対象に含まれるかどうかは、この数字だけでは判断できません。
導入している企業の中でも、対象を全社員にしているか、一部の部署に限っているかは企業によって異なります。求人票の「リモートワーク可」という表記だけでは、その内訳までは読み取れません。
短時間勤務や時差出勤は、テレワークの導入状況とは別に運用されている制度です。在宅勤務が無い企業でも時差出勤や短時間勤務は選べる場合があり、逆の組み合わせもあります。
求人票に「リモートワーク可」とだけ書かれている場合、対象者の範囲や運用の実態までは読み取れません。面談で対象範囲を確認する項目として持っておく必要があります。
3. 2025年10月の育児・介護休業法改正で加わった柔軟な働き方の措置
在宅勤務を用意する企業が半数に届かない現状に対し、2025年10月1日に施行された育児・介護休業法の改正で、テレワークは法律上の選択肢に加わりました*4。対象は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者です。育児休業から復帰する時期と重なる労働者も、この対象に含まれます。
事業主は、次の5つの措置から2つ以上を選んで用意する義務を負います*4。
- 始業時刻等の変更
- テレワーク等(月10日以上利用できること)
- 保育施設の設置運営等
- 養育両立支援休暇の付与(年10日以上)
- 短時間勤務制度(1日の所定労働時間を原則6時間とすること)
労働者は、事業主が用意した措置の中から1つを選べます*4。テレワーク等はこの5つのうちの1つであり、事業主が選ばなければ、育児休業からの復帰後に在宅勤務を申し出る根拠にはなりません。
とくに役立つのは、個別の周知と意向確認の期限です。事業主は、3歳未満の子を養育する労働者に対し、子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間に、選んだ措置の内容や申出先を個別に周知し、利用の意向を確認する義務を負います*4。「聞かれるのを待つ」のではなく、3歳の誕生日の1か月前までに案内が来ると、あらかじめ分かります。
3歳未満の時期については、短時間勤務制度の代替措置としてテレワークが追加されました*4。短時間勤務を選びにくい事情がある場合も、テレワークで対応できます。
法律が定めるのは、事業主が2つ以上の措置を用意することまでです。テレワークが必ず選ばれるとは限らないため、求人票や面談で、自社がどの措置を選んでいるかを見ておく必要があります。育児休業からの復帰を控えているなら、法律で決まっている範囲を先に押さえたうえで、自社の運用を見ておくと話が早く進みます。
4. 復帰後の配属は、休業前の合意と復帰後で変わることがあります。
育児休業を取る前に、上司や人事と復帰後の配属について話し合う機会が用意されている場合があります。ただし、その内容が復帰の時点でそのまま実行されるとは限りません。
休業している間に、所属していた部署の体制が変わることがあります。担当していた業務が他の人に引き継がれ、同じ役割に戻れない場合や、別のチームへの異動を打診される場合もあります。
配属が変わること自体は、悪い話とは限りません。短時間勤務や時差出勤との相性を踏まえて、業務量を調整しやすいチームに移る提案がされることもあります。
問題は、こうした配属の決め方が企業によって明文化されているかどうかです。復帰前の面談で誰が最終的な配属を決めるのか、本人の希望がどこまで反映されるのかを確認しておくと、復帰後に想定と違う配属を告げられたときの受け止め方が変わります。
転職を選択肢に入れる場合も、応募先の企業が復帰後の配属をどう扱っているかは、面接で確認できる項目です。休業からの復帰実績がある企業であれば、配属の決め方について具体的な説明を持っている場合があります。
説明が曖昧なまま採用面接が進む場合は、配属の決め方そのものがまだ仕組みとして固まっていない可能性があります。曖昧さの理由を確認したうえで、判断材料に加えることができます。
配属の決め方を尋ねる相手も、1人に絞らないほうが安全です。人事から聞いた説明と、配属予定の部署の責任者から聞いた説明にずれがあれば、そのずれ自体が運用の実態を示す手がかりになります。
5. 選べる働き方を、制度の型で比べます。
育休から復帰するときに候補になる働き方を、短時間勤務・在宅勤務・時差出勤の3つに分けて比べます。
【表1】復帰後の働き方と、確認したい点
| 働き方 | 内容 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 短時間勤務 | 所定労働時間を短縮して勤務します | 対象となる子の年齢や、短縮できる時間の上限 |
| 在宅勤務 | 出社せず自宅などで勤務します | 対象者の範囲と、出社が必要になる頻度 |
| 時差出勤 | 始業・終業の時刻をずらして勤務します | 変更できる時刻の幅と、申請の頻度 |
3つの働き方は、それぞれ根拠となる制度が異なり、対象となる子の年齢や運用の細かさも変わります。表の「確認したい点」は、求人票や面談で聞かないと分からない部分です。
働き方は1つだけを選ぶとは限りません。時差出勤と短時間勤務を組み合わせる運用や、在宅勤務と短時間勤務を組み合わせる運用など、企業によって組み合わせ方が異なります。組み合わせられるかどうかも、確認する価値のある項目です。
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6. 取得実績の公開有無で、確認の道筋が分かれます。
育休からの復帰実績がどこで分かるかは、企業によって公開の状況が異なります。
採用ページに育休の取得率や復帰率を数字で公開している企業では、その数字がいつ時点のものかを確認します。数年前の数字のまま更新されていない場合もあるため、直近の実績かどうかを面談で尋ねる価値があります。
数字を公開していない企業でも、復帰の実績が無いとは限りません。人事担当者や配属予定の部署の責任者に、直近で育休から復帰した人がいるか、その人がどの働き方を選んだかを具体的に尋ねると、公開情報より詳しい内容が得られる場合があります。
面接の場で聞きにくいと感じる場合は、カジュアル面談や職場見学の機会を使う方法もあります。配属予定の部署に直接尋ねることで、全社の平均ではなく、実際に働くことになるチームの実態に近づけます。
確認して分かった内容が期待と違っていても、それ自体が判断材料になります。復帰後の働き方を選べる範囲が狭い企業だと分かれば、他の求人と比べる基準がその時点で1つ増えます。
7. 求人票と面談で確かめる項目を整理します。
育児休業からの復帰を控えて転職を検討するときに、求人票と面談で確かめておきたい項目を整理します。
復帰後の働き方を確かめる項目
- 制度の対象範囲:短時間勤務・在宅勤務・時差出勤のうち、誰が対象になるかを確認します。
- 直近の利用実績:制度が実際に使われた実績があるか、いつ時点の実績かを確認します。
- 復帰後の配属方針:配属を誰がどう決めるか、本人の希望がどこまで反映されるかを確認します。
- 制度の組み合わせ:短時間勤務と時差出勤など、複数の制度を組み合わせられるかを確認します。
4つの項目は、どれか1つを確認しただけでは全体像が見えません。制度の対象範囲が広くても、直近の利用実績がなければ、実際に運用されるかどうかは分からないままです。
2025年の転職者数は330万人です*2。育児休業からの復帰を機に転職を検討する人も、この人数の中に含まれています。転職は珍しい選択ではなく、確認すべき項目を先に整理しておくことで、比較の基準がぶれにくくなります。
求人票に書かれた制度名だけを見て応募先を決めると、対象範囲や利用実績の確認が後回しになります。面談の早い段階で4つの項目を尋ねることを、あらかじめ決めておくと聞き漏らしを防げます。質問の順番を決めておけば、限られた面談時間の中でも聞き漏らしを防ぎやすくなります。
確認した内容を複数の求人で並べると、働き方を選べる範囲の違いが具体的に見えてきます。制度の名前がそろっていても、運用の実態は企業ごとに異なります。
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8. よくある質問(Q&A)
Q1. 育休から復帰したときに、在宅勤務を希望しても認められないことはありますか。
A. あります。在宅勤務は企業ごとに導入の有無や対象範囲が異なり、導入していない企業では希望しても選べません。求人票や面談で導入の有無を先に確認する必要があります。
Q2. 短時間勤務と時差出勤は、同時に申請できますか。
A. 企業によって異なります。両方を組み合わせられる運用もあれば、どちらか一方しか選べない運用もあるため、組み合わせの可否を面談で確認しておく必要があります。
Q3. 復帰後の配属先は、事前に確定させておくべきですか。
A. 確定できるとは限りません。休業中に部署の体制が変わることがあるため、誰が配属を決めるのか、本人の希望がどこまで反映されるのかという決め方を確認しておくほうが実用的です。
Q4. 取得実績が公開されていない企業は、避けたほうがよいですか。
A. 公開の有無だけでは判断できません。数字を公開していなくても、人事や配属予定の部署に直接尋ねれば、直近の復帰事例が分かる場合があります。
Q5. 転職先を選ぶときに、実務経験は何年あれば評価されますか。
A. 目安は実務3年です。育休からの復帰を挟んでいても、それまでの実務経験の厚みが評価の基準になります。3年未満でも、複数の技術を掛け合わせた経験があれば評価される場合があります。
9. まとめ:制度でなく運用を確かめて選びます。
この記事の要点
- テレワークを導入している企業の割合は50.1%です*1。在宅勤務という選択肢自体、すべての企業にあるとは限りません。
- 復帰後の配属は休業前の話し合いだけでは決まらず、誰がどう決めるかという運用の仕組みを確認する必要があります。
- 取得実績は、公開されている数字だけでなく、人事や配属予定の部署に直接尋ねることでも確認できます。
- 2025年の転職者数は330万人です*2。育児休業からの復帰を機に働き方を選び直す転職は、珍しい選択ではありません。
育児休業から戻るときの働き方は、制度の名前がそろっているかではなく、対象範囲・利用実績・配属の決め方という運用の中身で変わります。求人票と面談で確かめる項目を先に持っておくことが、復帰後の働き方を自分で選ぶための土台になります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省「通信利用動向調査」(2026年公表)
*2 総務省「労働力調査(詳細集計)2025年平均結果」(2026年公表)
*3 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
*4 厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」(2025年公表)
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