退職交渉の完了とは|会社の承認か14日の経過で退職になる

上司へ退職を申し出たあと、どこまで進めば話がついたのかが見えにくくなります。「退職交渉の完了」は働く側が使う言い方で、法令にも就業規則にも出てきません。厚生労働省が示すモデル就業規則の規定例では、会社の承認と日数の経過が、退職の区切りとして書かれています*1。
退職が決まるのは、会社から承認の返事が返ったときです。承認がないままでも、申し出た日から14日が過ぎれば退職となります*1。話がついたといえるのは、そこに退職日がそろったときです。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 「退職交渉の完了」は法令にも就業規則の規定例にも無い言葉で、辞める本人が区切りを言い表すときに使います。規定例が退職になる時点として挙げるのは、会社の承認と、退職願を出してからの日数の経過です*1。
- 会社が承認しないままでも、申し出から原則14日が過ぎれば退職となります*1。会社の承諾があるまでは退職願を撤回できると考えられているため、承諾の前と後で扱いが変わります*2。
- 終わったといえるのは、承認の返事と退職日の両方がそろったときです。口頭だけでは日付が残らないため、退職日と最終出社の日はメールか書面で受け取ります。
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1. 退職交渉の完了にあたるのは承認か日数の経過
退職交渉の完了という区切りは、法令にも就業規則の規定例にもありません。厚生労働省のモデル就業規則は、会社が承認したときと、退職願を出して就業規則に定めた日数が過ぎたときを、退職になる時点として挙げています*1。会社の承認がなくても、退職の申出をした日から起算して原則として14日を経過したときは退職となります*1。この14日は民法第627条第1項の定めです。
まず、規定例の第52条は、退職となる場合を4つ挙げています*1。期間を定めずに雇われている人に関わるのは、そのうちの1つ目だけです。残りの3つは、期間を定めて雇われていてその期間が終わったとき、休職の期間が終わっても休職の理由が続いているとき、死亡したときです*1。自分がどれに当てはまるかを先に見ておきます。
そのため、1つ目に当たるかどうかは、会社の返事で決まります。承認が返れば、退職はその日に決まっています。返事がまだなら、退職願を出した日から日数を数える話に移ります。数える起点は、提出した日です。勤め先の就業規則を開いて、日数がどう書かれているかを見ておきます。
ただし、モデル就業規則はあくまで規定例で、勤め先の就業規則そのものではありません*1。日数の欄は空いており、何日と書くかは会社が決めます*1。だから、退職になる時点を知るには、自分の会社の規則を開く必要があります。開くのは、退職について書いた条文です。
2. 申し出から退職日までに通る4つの時点
実際、退職の話は、申し出た日から退職日まで何度か区切りを通ります。最初の区切りは承認の返事で、ここで退職が決まります*1。そのあとに来るのが最終出社の日で、最後が退職日です。どの日付が決まっていて、どれがまだなのかを書き出しておきます。起点は、退職願を出した日です。
ただし、承認の返事が口頭だけで返ることがあります。その場合でも退職は決まりますが、あとから日付をたどるものが手元に残りません。退職日と最終出社の日は、書面かメールのどちらかで受け取っておきます。受け取る形は、自分から頼んでかまいません。頼むときは、決まった日付をそのまま書いて送ります。
たとえば、最終出社の日は最後に出社する日で、退職日は雇用が終わる日です。呼び名が違うので、どちらの日付なのかを言葉にしてから決めます。次の職場へ伝えるのは、雇用が終わる退職日のほうです。取り違えると、入社できる日がずれます。
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3. 会社の承諾が返ると退職願は撤回できなくなる
一方、承認の返事には、退職が決まること以外の意味もあります。厚生労働省は、合意退職の申し込みのために退職願を提出した場合には、会社の承諾があるまではそれを撤回することが可能と考えると説明しています*2。裏返すと、承諾が返った時点から先は撤回できません。撤回できる時間は、承諾までの間だけです。
ただし、撤回を勧める話でも、思いとどまらせる話でもありません。同じ案内のなかで厚生労働省は、退職の意思表示は容易には撤回が認められないので、慎重に検討したうえで行うことが大切でしょうとも書いています*2。読む側が使えるのは、承諾の前と後で扱いが変わるという点だけです。だから、返事が返ったかどうかを見ます。
実際、承認の返事が返らないまま日が過ぎることもあります。その場合に数えるのは、退職願を提出した日からの日数です。承認が無いときの区切りは14日で、そこを越えた日に退職となります*1。数え間違えないよう、提出した日を控えておきます。
だからこそ、日数を数えている間も、勤め先の決まりから外れないようにします。厚生労働省は、就業規則で退職の手続がどうなっているかを見たうえで、ルールを守った手続をとることが、トラブル防止のためには重要だと書いています*2。日数が過ぎるのを待つ話と、決められた手順を踏む話は別です。読むのは、退職の条文と提出先です。
4. 承認が返ったかと退職日が決まったかで4通りに分かれる
そのため、承認の返事と退職日は、分けて見ます。返事が返っても退職日が決まらないままのことがあり、逆に退職日だけ先に決まる場合もあるのです。2つを分けて置くと、いま自分がどこにいるかが見えてきます。退職交渉の完了といえるのは、両方がそろったときだけです。
逆に、そろっていない3つでは、どこかが欠けたままです。承認が返っていないなら、返事をいつもらえるかを上司へ聞きます。退職日が決まっていないなら、候補の日を出して決めてもらいます。動かすのは、欠けているほうだけです。
つまり、埋まっていないほうから手をつけます。承認が返っていない段階で退職日の相談を重ねても、決める相手の返事が先に要ります。承認が返っているなら、残っているのは日付だけです。先に埋めるのは、承認のほうです。
5. 口頭だけの合意では退職日が記録に残らない
ただし、承認が返っても、手元に何も残らなければ日付を示せません。残るのは、日付が書かれたものだけです。口頭の合意はその場では成り立ちますが、言葉は記録になりません。何が手元にあるかを並べておきます。
残るものと、無いときに困ること
| 手元に残るもの | そこから分かること | 無いときに困ること |
|---|---|---|
| 承認が書かれたメール | 会社が承認した日が残ります | いつ承認されたかを示せません |
| 退職日を書いた書面 | 雇用が終わる日が決まります | 次の入社日を伝えられません |
| 最終出社の日の連絡 | 最後に出社する日が分かります | 出社の予定を立てられません |
| 退職証明書 | 求めれば交付されます*1 | 退職した事実を書いたものがありません |
実際、退職証明書は、退職したあとに求めれば交付されます*1。会社には、求められた内容について証明書を交付する義務があります(労働基準法第22条第1項)*1。在職中に受け取る書類ではありません。退職日までは、承認のメールと退職日を書いた書面でそろいます。
そのため、受け取る形は、あとから読み返せるものにしておきます。メールなら、送った日付がそのまま記録に残っています。書面なら、退職日と最終出社の日が1枚にまとまっています。どちらか片方があれば済みます。
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6. まだ終わっていないと分かる場面は4つ
つまり、終わっていない側から見たほうが早い場合もあります。次の4つのどれかに当てはまるうちは、退職はまだ決まっていません。口頭で前向きな言葉があっても、区切りとは別の話です。
終わっていないと分かるとき
- 退職日が決まっていない:承認の返事があっても、雇用が終わる日が決まっていなければ、次の職場へ伝える日付が出ません。退職日の候補を出して、決めてもらう段階です。
- 承認の返事がまだ無い:退職願を出したあと、会社から承認も断りも返らない状態です。提出した日から日数を数えて、いまが何日目かを見ます。
- 口頭だけで何も残っていない:承認の言葉はあったのに、日付が書かれたものが手元にありません。メールで退職日と最終出社の日を送り、返信をもらいます。
- 退職の条文をまだ読んでいない:退職願を出してから何日で退職になるかは、会社ごとに書かれています*1。就業規則を開いて、日数の書き方を見ておきます。
そのため、4つとも当てはまらないなら、退職交渉の完了と呼べる状態です。承認が返り、退職日が決まり、日付が書かれたものが手元にあります。ここまで来れば、次の職場へ入社できる日を伝えられます。渡すのは、その退職日です。
実際、4つのうち残っているものがあるなら、次に動かすのは1か所だけです。返事が無いなら返事を、日付が無いなら日付を、記録が無いなら記録を先に取りに行きます。規則を読んでいないだけなら、条文を開けば済む話です。近い1つから片づけます。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 退職交渉の完了は法令で決まっていますか
A. 決まっていません。法令にあるのは、申し出た日から数えて原則14日で退職になるという定めのほうです*1。完了という呼び方は、辞める本人が話のまとまりを言い表すために使われています。
Q2. 承認の返事が口頭だけのときはどうしますか
A. 退職日と最終出社の日を書いて、上司へメールで送ります。内容に間違いがなければ、その返信が日付の記録として残ります。口頭の承認を疑う書き方にする必要はありません。
Q3. 承認の返事が無いまま14日が過ぎたら退職になりますか
A. はい。申し出から14日を過ぎたときは、会社が承認しないままでも退職となります*1。ただし、就業規則に書かれた手続を飛ばしてよいという意味ではありません*2。日数だけで押し切る話にはしません。
Q4. 退職願は出したあとに撤回できますか
A. 会社の承諾が返る前であれば可能と考えられています*2。承諾が返ったあとは、撤回は認められません。ただし、出すかどうかは慎重に決めたほうがよいとも書かれています*2。
Q5. 就業規則に退職の日数が書かれていないときはどうなりますか
A. その場合は、民法第627条第1項が残ります*1。申し出の日から数えて原則14日が経過すれば、承認の返事を待たずに退職となります*1。条文が見つからないなら、就業規則をどこで読めるのかを会社へ聞きます。
8. まとめ:承認か日数の経過で退職になる
この記事のまとめ
- 「退職交渉の完了」は法令にも就業規則の規定例にも無い言い方で、辞める本人が区切りを言い表すために使っています。
- 規定例が退職になる時点として挙げるのは、会社が承認したときと、退職願を出してから決められた日数が過ぎたときです*1。
- 会社が承認しないままでも、申し出から原則14日が過ぎれば退職となります*1。
- 会社の承諾があるまでは退職願を撤回できると考えられており、承諾が返ると撤回はできません*2。
- 終わったといえるのは、承認の返事と退職日の両方がそろい、日付が書かれたものが手元にあるときです。
最後に、次の職場へ日付を伝えるのは、承認と退職日がそろってからにします。就業規則に書かれた退職の手続を開いておけば、いま何が抜けているかが分かります*2。残っているのは、日付をそろえる作業だけです。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「モデル就業規則」第52条(退職)とその解説(2026年確認)
*2 厚生労働省「確かめよう労働条件」退職、解雇、雇止めなど(2026年確認)
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