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退職交渉が難航する3つの理由は引き止め・日程・有給消化

退職交渉が難航する3つの理由は引き止め・日程・有給消化のイメージ写真

「前向きに検討する」とだけ言われたまま、退職の話が次の面談へ持ち越されることがあります。退職交渉が難航するときに詰まっているのは、引き止め・退職日の日程・有給消化の3つです。どれで止まっているかによって、次に出す言葉は変わります。

退職の申し入れは、原則として2週間前までに行うと民法で定められています*1。ただし同じ案内には、就業規則の退職手続も調べたうえで進めるほうがもめにくいと書かれています*1。期間を持ち出す前に見分けたいのは、どこで話が止まったのかです。

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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

退職を切り出した後に話が止まる場所は3つに分かれる この記事の要約 左から右へ進む 1 退職を伝える 上司に申し出る 2 返事が来ない 条件が付く 3 止まる場所 会社の言葉で見る 4 3つに分ける 引き止め・日程・有給 上司の言葉がどれに近いかで止まった場所が決まります 止まった場所ごとに次へ出す言葉を変えます *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

この記事のポイント

  • 退職交渉が止まる場所は3つです。引き止め・退職日の日程・有給消化のどれなのかで、こちらが次に出す言葉が変わります。
  • 退職の申し入れから2週間で労働契約は終わると案内されています*1。ただし同じ案内は就業規則の手続も守るよう促しており、期間だけで押し切る話にはなりません*1。
  • 退職前の有給消化について、会社は休みを認めるほかないと書かれています*2。退職とともに年次有給休暇の権利が消えるため、休みをずらす先の日が残らないからです*2。

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1. 退職交渉が止まるのは引き止め・日程・有給消化の3つ

退職交渉が前に進まないときは、引き止めか、退職日の日程か、有給消化のどれかで話が止まっています。3つは詰まる場所が違うので、同じ頼み方を何度繰り返しても動きません。退職の申し入れから2週間で労働契約は終わると、民法にもとづいて案内されています*1。ただし就業規則にも退職の手続が置かれているため、社内の手順をたどりながら話を戻します*1。

そのため、最初に見るのは切り出し方ではなく、どこで会話が止まったかです。退職の意思をもう一度伝え直しても、日付で詰まっている上司には響きません。逆に日付の案だけを並べても、慰留したい上司の返事は保留のままです。止まった場所に合う手を出すと、会話は動き出します。

一方で、止まる側にも事情があります。引き継ぎの相手が決まっていない、人を抜けない時期に当たっているといった話です。会社を敵と見なして押し切ると、引き継ぎの相談そのものが進みません。相手の事情を言葉にしてから、こちらの希望を置きます。

2. 会社から返ってきた言葉で止まった場所を切り分ける

まず、上司から返ってきた言葉をそのまま書き留めます。言い回しは職場ごとに違っても、返事の行き先は3つしかありません。慰留の言葉なら引き止め、日付への異議なら退職日の日程、休みへの異議なら有給消化です。どれに近いかで、次の一手が決まります。

実際、同じ「考え直してほしい」でも、後ろに続く言葉で行き先が変わります。「後任が決まるまで」と続けば日付の話で、「有給は全部は無理だ」と続けば休みの話です。前半だけを聞いて引き止めだと決めてしまうと、打ち手がずれます。最後まで聞いてから分けます。

会社の返事で止まった場所が引き止めか日程か有給消化に分かれる 上司から最初に返ってきた言葉はどれに近いか 「もう少し考えてほしい」 引き止めで止まっています 「その日では無理だ」 退職日の日程で止まっています 「休みは全部は使えない」 有給消化で止まっています 返ってきた言葉ごとに次へ出す言葉を変えます

そのため、返事は聞いた日ごとにメモへ残しておいてください。日付と言われた言葉が並ぶと、話が止まった地点がはっきりします。記録は、あとで相談先へ事情を説明するときにもそのまま使えます。書き留めるのは、責めるためではありません。

ただし、記録を取ることと押し切ることは別です。相手の言い分を書き残すのは、次に出す言葉を選ぶためです。止まった場所が分かった時点で、こちらから具体案を出します。相手が挙げた事情を短く言い直してから、案を置いてください。

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3. 引き止めで止まるのは退職の意思が揺れて見えるとき

引き止めで止まっているときは、退職の意思が相手から揺れて見えています。返事を保留されるのは、まだ翻意の余地があると読まれているからです。ここで条件の話に乗ると、退職の相談は待遇の相談へすり替わります。伝える中身は変えず、同じ返事を続けます。

実際、退職願は合意退職の申し込みにあたり、会社の承諾があるまでは撤回できると考えられています*1。同じ案内は、退職の意思表示が容易には撤回を認められないため、慎重に決めるよう促してもいます*1。出す前に決めきることが、引き止めへの一番の備えです。迷いが残る間は出しません。

そのため、引き止めの席では理由を長く説明しないでください。昇給や配置換えの提案が出ても、その場で受けも断りもせず、退職の意思は変わらないと一言で返します。説明が長いほど相手は条件を足す余地を探すので、短い返事を繰り返すほうが早く終わります。

ただし、返事が遅い原因は慰留だけではありません。上司ひとりでは決められず、人事や役員の承認を待っている職場もあります。どなたの承認が必要ですかと尋ねると、待つ相手と残りの手順がはっきりします。相手が分かれば、催促の宛先も決まるのです。

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4. 先に読む就業規則と次に上司へ出す言葉

止まった場所が分かったら、先に就業規則を開きます。退職の申し出をいつまでに出すか、書式は退職届か所定の様式か、引き継ぎについて何が載っているかを読みます。就業規則に書かれていない事柄は、話し合いで決める余地が残る部分です。読んでから話すと、希望が通りやすくなります。

そのため、上司へ出す言葉は就業規則を読んだあとに組み立てます。規則にある期日を守った日付を先に置き、そのうえで引き継ぎの案を添えてください。逆から話すと、日付の根拠を聞かれて話が戻ってしまうのです。読む先と出す言葉は、止まった場所ごとに変わります。

先に読む就業規則の箇所と次に上司へ出す言葉 先に読む就業規則の箇所 退職の申し出は何日前までか 退職届の様式と提出先はどこか 引き継ぎについて何が載っているか 有給休暇の申請の出し方はどう書いてあるか 次に上司へ出す言葉 退職の意思は変わりませんと伝える 規則に合う退職日の候補を出す 引き継ぎの書き出しを見せる 有給消化の希望日を紙で出す 読む先と出す言葉がそろうと話が前へ動きます

たとえば、申し出の期日が就業規則にあるなら、その日付を自分から出します。相手が挙げた期日と自分の案がそろえば、日付の話はそこで終わりです。そろわないときは、どこが合わないのかを短く聞いてください。合わない箇所が分かれば、次の案が作れます。

ただし、就業規則にない事柄まで規則のせいにはできません。引き継ぎの期間や後任を誰にするかが載っていないなら、そこは相談で決める部分です。規則にあることと相談で決めることを分けると、話が混ざりません。分けてから、日付の案を出します。

5. 退職日の日程がまとまらない背景にある会社側の事情

退職日の日程で止まるときは、日付そのものより、その日までに片付かない仕事が引っかかっています。引き継ぎを渡す相手がいない、繁忙期に人を抜けない、就業規則の申し出時期に合わない。上司が挙げた事情がこのどれなのかで、こちらが出す案は変わります。

そのため、日付を少しでも早くと押すのではなく、その日までに終わらせる形を見せてください。誰に何を渡すか、残る作業は何かを書き出して持っていくと、相手は日付を検討できます。空欄のまま日付だけを頼まれても、相手は動けません。下の表は、上司から挙がる事情ごとに、先に聞くことと出せる案を並べたものです。

日程が止まる事情と出せる案

会社側から挙がる事情先に聞いておくことこちらから出せる案
引き継ぎを渡す相手がいない後任を決めるのは誰か手順書の目次を先に渡す
繁忙期に人を抜けない山が終わるのはいつか山の直後を退職日の候補にする
就業規則の申し出時期に合わない申し出はいつまでか規則に合う日付を自分から出す

実際、退職日の候補は幅を持たせて出すほうが決まりやすくなります。希望する日と、引き継ぎが終わる見込みの日を並べて示すと、相手は選べます。片方しか出さないと、可否の返事しか返ってきません。選べる形にして渡します。

ただし、日程の相談と退職そのものの可否は別の話です。日付が決まらないことを理由に、退職の意思まで保留にされるなら、止まっている場所は日程ではなく引き止めに戻っています。その場合は、退職を取りやめる気はないとあらためて伝えてから日付を置いてください。混ざったまま話すと長引きます。

6. 退職前の有給消化は会社が日をずらせない

有給消化で止まるのは、休む日をいつにするかで折り合いがつかないときです。年次有給休暇は、原則として働く人が請求した時季に与えなければならないと定められています*2。ただし、その日に休まれると事業の正常な運営を妨げる場合、会社は休みの日をほかの日へずらす権利(時季変更権)を使えます*2。退職前は、この前提が変わります。

退職前の有給消化をめぐる決まり

  • 年次有給休暇は、原則として働く人が請求した時季に与えなければならないと定められています*2。休む日を決めるのは、まず働く側です。
  • その日に休まれると事業の正常な運営を妨げる場合は、会社が休みの日をほかの日へずらせます*2。年末など業務が忙しい時季や、同じ時期に多数の希望が重なった場合が例に挙がっています*2。
  • 退職で年次有給休暇の権利が消えるため、退職日より後へずらす先の日が残りません*2。そのため退職前の消化は、会社が認めるほかないと書かれています*2。
  • 就業規則に申請の出し方が載っているなら、その形で希望日を出します。口頭だけで頼むと、記録が残りません。

そのため、有給消化でもめたときに持ち出すのは、権利の主張ではなく日取りの相談です。退職日までに何日分が残るのかを数え、引き継ぎの予定と並べて出します。残りの日数と引き継ぎの終わりが重なるなら、退職日を動かす相談もできます。数えてから話してください。

ただし、休む日をどこに置くかには相談の余地が残ります。引き継ぎの山と重ならない並べ方を自分から出すと、話はまとまりやすくなります。それでも日取りが決まらないときは、都道府県労働局の総合労働相談コーナーで相談できます*3。ひとりで抱えず、外の窓口も使えます。

7. よくある質問(Q&A)

Q1. 退職交渉が長引いたとき退職日はどうなりますか

A. 退職を申し出てから2週間が過ぎれば、労働契約は終了すると書かれています*1。就業規則に申し出の時期が載っているなら、その日付に合わせて出すほうがもめません*1。期間だけを盾にすると、引き継ぎの相談まで止まります。日付と引き継ぎの案は一緒に出してください。

Q2. 引き止められて退職願を出し直すよう言われました

A. 会社が承諾する前であれば、いったん出した退職願を取り下げる余地があると案内されています*1。ただし退職の意思表示は軽く扱えないとも書かれているため、出し直しを重ねる進め方はすすめられません*1。迷いがあるなら、出す前に決めきってください。決めたあとは、同じ返事を続けます。

Q3. 有給を全部使ってから辞めたいと伝えたら断られました

A. 退職前の消化については、会社が認めるほかないと書かれています*2。退職とともに年次有給休暇の権利が消え、休みをずらす先の日が残らないためです*2。断られたときは、希望日を書いて出し直し、引き継ぎの予定も一緒に見せてください。日取りの相談としてまとめ直すと進みます。

Q4. 会社と話が進まないまま日だけが過ぎています

A. 話が止まったままのときは、都道府県労働局に置かれた窓口である総合労働相談コーナーへ相談できます*3。退職についての案内でも、この窓口と労働基準監督署が相談先として挙げられています*1。相談の前に、言われた言葉と日付をそろえて書き出してください。記録があると、事情が早く伝わります。

8. まとめ:退職交渉が止まった場所から先に動かす

この記事のまとめ

  • 退職交渉が難航するときは、引き止めか、退職日の日程か、有給消化のどれかで止まっています。同じ頼み方を繰り返しても、詰まった場所は動きません。
  • 上司から返ってきた言葉を書き留めると、止まった場所が分かります。前半だけで決めず、最後まで聞いてから分けます。
  • 退職の申し入れから2週間で労働契約は終わると案内されています*1。ただし就業規則の退職手続も調べたうえで進めるほうが、もめにくくなります*1。
  • 退職前の有給消化は、退職で年次有給休暇の権利が消えるため、会社が認めるほかないと書かれています*2。休む日をどこに置くかは、引き継ぎと並べて相談します。

どこで止まっているかが分かれば、打つ手は絞れます。言われた言葉を書き出すところから始めてください。

退職の手続と並行して、次の勤め先を見ておく

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※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。

出典・参考情報

*1 厚生労働省「確かめよう労働条件」退職、解雇、雇止めなど(2026年確認)
*2 厚生労働省「確かめよう労働条件」年次有給休暇(2026年確認)
*3 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(2026年確認)

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