退職後の健康保険証はどうする?資格確認書は会社に返す

退職後の健康保険証は、資格確認書(いまの健康保険証にあたる書類)なら会社に返します*1。令和7年12月1日まで使えた従来の健康保険証は、会社ではなく自分で廃棄します*2。資格確認書で受診できるのは退職日までで、翌日からは使えません*3。
翌日以降に使うと、全国健康保険協会(協会けんぽ)が負担した医療費を後で返します*3。マイナ保険証(健康保険証の利用登録をしたマイナンバーカード)は、会社に返しません*1。新しい保険の情報が反映される前に受診する日は、窓口でそのことを伝えてください*3。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 資格確認書は退職日まで受診に使えます*3。退職したら、本人と家族(被扶養者)の分を会社の事務担当者へ返します*1。
- 退職日の翌日以降に前の保険で受診すると、協会けんぽが負担した7〜9割の医療費を後で返します*3。国民健康保険などに入ったあとでも、窓口で使えたときでも、返す必要は変わりません*3。
- 従来の健康保険証は令和7年12月2日から使えず、自分で廃棄します*2。マイナンバーカードは返す一覧に入っておらず、会社には渡しません*1。
1. 退職後の健康保険証は資格確認書なら会社へ返す
退職したら、手元の資格確認書は勤め先の事務担当者へ返します*1。時期は速やかに、方法は担当者が指定したとおりです*1。受診に使えるのは退職日までで、退職日の翌日からは前の保険の資格では受診できません*3。従来の健康保険証は会社には返さず、各自で廃棄してください*2。
従来の健康保険証が受診に使えなくなったのは、令和7年12月2日からです*2。それ以降の受診には、マイナ保険証を使うか、協会けんぽから届いた資格確認書を使います*2。資格確認書は12月2日を過ぎても引き続き使える書類で、使えなくなったのは従来の健康保険証のほうだけです*2。そのため、退職後の健康保険証をどうするかは、手元にあるのが資格確認書かどうかで決まります。
具体的には、返した資格確認書は、会社が被保険者資格喪失届(従業員が保険の資格を失ったことを届け出る書類)に添えて日本年金機構へ出します*1。そのあと日本年金機構から協会けんぽへ戻されるので、本人が協会けんぽへ送る必要はありません*1。返す手続きのうち本人がすることは、事務担当者へ渡した時点で終わります。
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2. 資格確認書で受診できるのは退職日まで
在職中の資格確認書が使えるのは、退職日の当日までです*3。たとえば3月20日に退職した人は、3月21日以降はそれまでの保険の資格で受診できません*3。退職日の翌日に通院の予定がある人は、その日にどの保険で受診するかを退職前に考えておいてください。
ただし、入社日が退職日の翌日でない人は、そのあいだに入る保険を選ぶ必要があります。退職前の保険を続けるか、国民健康保険に入るか、家族が入っている健康保険の扶養に入るかで、申し込む窓口が変わります。どれを選んでも、前の会社の資格確認書を使える日が延びることはありません*1。
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3. 退職日の翌日以降の受診は医療費の7〜9割を後で返還
退職日の翌日以降に、それまでのマイナ保険証や資格確認書で受診すると、協会けんぽが負担した医療費を後日返します*3。返す額は、総医療費のうち協会けんぽが払った7〜9割の部分です*3。退職後に国民健康保険や健康保険組合などへ入っていても、この返還はなくなりません*3。
本人が退職すると、扶養に入っている家族が持つ資格確認書も使えなくなります*1。退職日の翌日以降に家族がその資格確認書で受診すれば、その医療費も本人の受診と同じく協会けんぽへ返すことになります*3。家族には、退職日と、その翌日から資格確認書を使えないことを先に伝えておいてください。
そのため、退職日の翌日からは、手元に残った資格確認書を受診に出さないようにしてください。財布に入れたままにしておくと、急な受診のときにいつものように出してしまいやすくなります。会社に返すまでは、ほかのカードと分けて保管しておくと取り違えを防げます。
4. マイナ保険証は返さず従来の健康保険証は自分で廃棄
退職後の健康保険証として会社に返すのは、本人と家族(被扶養者)の資格確認書だけではありません*1。高齢受給者証、特定疾病療養受療証、限度額適用認定証、限度額適用・標準負担額減額認定証も、手元にあれば一緒に返します*1。どれも、交付を受けた人だけが持っている証です。日本年金機構はこれらを「資格確認書等」とまとめて呼び、退職した後は使えないとしています*1。
これに対して、マイナンバーカードは日本年金機構が挙げる返すものの一覧に入っていません*1。カードそのものは勤め先の保険の書類ではないので、退職後も手元に持っておきます。入社先の保険に入れば、その保険の情報もこのカードに反映されます*3。資格確認書を持たずにマイナ保険証で受診してきた人は、高齢受給者証などが手元に無ければ、会社に返すものは何もありません。
一方、従来の健康保険証はすでに受診に使えず、協会けんぽは自分で廃棄するよう案内しています*2。会社に返す一覧には入っていないので、退職の書類と一緒に出す必要はありません*1。手元に残っているなら、資格確認書と取り違えないうちに処分しておいてください。
5. 退職月の月末まで使えるなど3つの思い込み
協会けんぽの宮城支部は、就職や退職のときに間違えやすい例として次の3つを挙げています*3。いずれも、退職日の翌日以降に前の保険の資格で受診するか、資格確認書を手元に残したままにする例です。
間違えやすい3つの例と協会けんぽの案内
| 間違えやすい例 | 協会けんぽの案内 | 退職前にしておくこと |
|---|---|---|
| 退職した月の月末まで使えると思っていた | 使えるのは退職日まで。翌日から月末までの受診も、前の保険の資格では受けられない*3 | 退職日の翌日以降の通院は、次の保険で受ける予定にしておく |
| 勤め先から返すよう言われなかった | 言われていなくても、期限の切れた資格確認書は速やかに勤め先へ返す*3 | 退職の書類と一緒に、本人と被扶養者の分を事務担当者へ渡す |
| 医療機関の窓口で使えた | 窓口で受け付けられても、資格を失ったあとの受診なら協会けんぽが負担した医療費を後で返す*3 | 新しい保険が反映される前の受診は、受付でそのことを伝える |
実際、気づきにくいのは3つ目の「窓口で使えた」です。就職や退職で加入の情報が変わっても、新しい情報はすぐには反映されないことがあります*3。そのため窓口で受け付けられることがありますが、退職日の翌日以降の受診なら、協会けんぽが負担した分は後で返すことになります*3。
6. 入社先の保険が反映される前の受診は医療機関に伝える
入社先の保険の情報がマイナ保険証に反映されるのは、日本年金機構が資格取得届などを受け付けてから2〜5営業日ほど後です*3。資格取得届は新しい保険に入るための届け出で、受け付けが済むまでは入社後でも新しい情報がマイナ保険証に出ません。その間に受診するときは、窓口で次のように進めてください。
新しい保険が反映される前に受診するとき
- 受付で、新しい保険の情報が入ったマイナ保険証も新しい資格確認書もまだ無いと伝える*3
- 求められたら、医療費をいったん10割で支払う*3
- 領収書と、診療の内訳を記した診療報酬明細を受け取って保管する*3
- あとで医療機関か加入した健康保険から払い戻しを受ける*3
- 新しい情報が反映されたマイナ保険証か新しい資格確認書がそろったら、それで受診する*3
退職日の翌日に入社する人でも、入社したその日に新しい情報が反映済みとは限りません*3。反映までの日数は届け出の受け付けから数えるので、届け出が遅れるほど、新しい情報が出る日もあとにずれます*3。通院の予定がある人は、入社先の事務担当者に資格取得届をいつ出すかを聞いておくと、反映される日の見当がつきます。
いったん10割を払っても、その全部が自分の負担として残るわけではありません*3。払い戻しを受ける先は、受診した医療機関か、加入した健康保険のどちらかです*3。加入した健康保険へ申し込む払い戻しは療養費と呼ばれ、申請には領収書と診療報酬明細が要ります*3。どちらで受けるかが決まるまでは、領収書も明細も捨てずに残してください。
7. 退職後の健康保険証でよくある質問
Q1. 期限が切れた資格確認書は自分で捨ててもいいですか?
A. 捨てずに勤め先へ返してください*3。自分で廃棄するのは、もう受診に使えない従来の健康保険証だけです*2。資格確認書は会社から日本年金機構を通って協会けんぽへ戻るので、本人の手で処分するものではありません*1。
Q2. 資格確認書は郵送で返してもいいですか?
A. 事務担当者が郵送を指定していれば、郵送で返します*1。返し方は事業所の担当者が指定した方法に合わせることになっているので、手渡しか郵送かは担当者の案内に従ってください*1。退職日を過ぎても案内が無いときは、退職の書類をやり取りする担当者に返し方を尋ねてください。
Q3. 家族(被扶養者)の資格確認書も返しますか?
A. はい、本人の分と一緒に会社へ返します*1。返す一覧には、本人の分に並んで被扶養者の分も入っています*1。家族が持っている分も、退職日を過ぎたら受診に使わずに集め、本人の分とまとめて渡してください。
Q4. 退職日の当日に受診するときは資格確認書を使えますか?
A. 使えます*3。期限は退職日の当日を含むので、その日の受診はそれまでの保険で受けられます*3。担当者から先に返すよう言われているときは、当日の受診の予定を伝え、受診のあとで渡せるかを相談してください。
Q5. マイナ保険証で受診していた人は退職後もそのまま使えますか?
A. 退職日の翌日からは、前の保険の情報のままでは受診に使えません*3。入社先の保険に切り替わったあとも、新しい情報がまだ反映されていない日があり、そのまま受診すると協会けんぽが払った分を後で返します*3。反映される前の受診は、受付で新しい保険に切り替わる途中だと伝えてください*3。
Q6. 次の会社も協会けんぽなら退職後も前の資格確認書を使い続けられますか?
A. 使い続けられません*1。次の会社が同じ協会けんぽでも、前の会社にいたときの資格確認書は退職すると使えなくなります*1。入社先の保険で受診するときは、新しい情報が反映されたマイナ保険証か、新しい資格確認書を使います*3。
Q7. 限度額適用認定証は退職後も手元に置いていいですか?
A. 手元に残さず、資格確認書と一緒に会社へ返すことになっています*1。限度額適用認定証も日本年金機構が返すものとして挙げている証の1つで、退職した後は使えません*1。高齢受給者証や特定疾病療養受療証を持っている人も、まとめて事務担当者へ渡してください*1。
8. まとめ:退職日の翌日からは前の資格確認書を使わない
退職後の健康保険証ですること
- 資格確認書は退職日まで使い、退職したら本人と被扶養者の分を会社へ返す*1*3
- 高齢受給者証や限度額適用認定証なども、手元にあれば一緒に返す*1
- 従来の健康保険証は会社に返さず、自分で廃棄する*2
- 家族にも、退職日の翌日から資格確認書を使えないことを伝える*1
- マイナンバーカードは返さず、入社先の保険が反映される前の受診は医療機関に伝える*1*3
つまり、前の資格確認書は退職日の当日までの受診にしか使えず、翌日以降に使った分は、協会けんぽが負担した7〜9割を返す必要があります*3。退職日と入社日が決まったら、そのあいだに通院の予定が無いかを先に見ておいてください。
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出典・参考情報
*1 日本年金機構「資格確認書等の返納手続き」
*2 全国健康保険協会(協会けんぽ)「令和7年12月1日をもって、健康保険証が使用できなくなります」
*3 協会けんぽ宮城支部「《就職、退職》マイナ保険証や資格確認書の使用について」
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