賞与がない会社は損?月給で見る判断基準と選び方

求人票に「賞与なし」の4文字を見つけて、ブラウザを閉じた経験はありませんか。
「ボーナスがない=ブラック」。そんなふうに、無意識のうちに線を引いている人は少なくありません。けれど、一度立ち止まってみてください。あなたが本当に比べたかったのは、賞与の有無でしたか。それとも、1年間で手元に残る金額と、毎日の働きやすさだったでしょうか。
実は、賞与がない会社は違法ではありません。むしろ、月給ベースや年俸制で「賞与なし」を採用している優良企業も存在します。この記事では、賞与がない会社の実態を公的データで確認しながら、「損か得か」を判断する正しいモノサシをお伝えします。
この記事のポイント
- 「賞与なし」は労働基準法上、違法ではありません。賞与は法律で義務化されていない給与制度です
- 厚生労働省の最新調査では、賞与を支給しない企業も一定数あり、決して特殊なケースではありません
- 賞与あり・なしを比較するときは「年収総額」と「月給の安定性」で見るのが正しい判断基準です
- 月給ベース・年俸制を採用する企業の中には、リモートワーク対応の正社員求人を出している会社も多数あります
賞与がない会社は違法ではない|まず知っておきたい基本ルール
「賞与なし」と書かれた求人を見ると、つい不安になります。けれど、法律のルールを知れば、その不安の多くは解消します。
賞与(ボーナス)は、労働基準法で支給が義務付けられている給与ではありません。厚生労働省は、賞与について「定期または臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないもの」と定義しており、就業規則や労働契約で定めがなければ、会社は支給する義務を負いません。つまり、賞与の有無は各企業の経営判断に委ねられています*1。
ただし注意点もあります。就業規則や労働契約に「賞与を年2回支給する」と明記されている場合は、それは賃金の一部として支払い義務が発生します。入社時に交わした書面に何と書かれているかが、ここでの分かれ目です。
「賞与なし」の3つのパターン
賞与がない会社といっても、その中身は同じではありません。求人を読むときは、次の3パターンのどれに該当するかを見極める必要があります。
| パターン | 内容 | 給与設計上の意味 |
| ① 完全に賞与なし(月給ベース) | 月給×12ヶ月分が年収のすべて | 年収を月割りで安定的に支払う設計 |
| ② 年俸制(賞与は年俸の一部に内包) | 年俸を12〜16分割して支払う | 賞与に見える支給があっても、実態は年俸の按分 |
| ③ 業績連動型(支給は会社次第) | 会社の業績次第で出ることもある | 「支給実績による」と書かれることが多い |
「賞与なし」と書かれていても、①と②は安定して年収が確定する設計です。一方、③は表現の問題で「賞与なし」とは書かれていなくても、実態として支給がほぼゼロというケースもあります。ラベルではなく、年収の内訳で判断するのが正解です。
ここまで読んで「では、実際にどれくらいの会社が賞与を出していないのか」が気になってきたかもしれません。データで確認していきましょう。
賞与がない会社はどれくらいある?データで見る実態

公的調査でわかる「賞与なし企業」の割合
厚生労働省「令和5年 就労条件総合調査」によると、賞与(年末賞与・夏季賞与)の支給状況は企業規模・業種によって大きな差があります*2。編集部調べでは、賞与なしの企業は中小企業・スタートアップ・外資系・一部のIT企業に多く見られます。特にIT・Web系のスタートアップでは「賞与なしの代わりに月給を高めに設定する」「年俸制で運用する」という給与設計が一般的になりつつあります。
業種別の傾向
| 業種傾向 | 賞与の慣行 |
| 大手製造業・金融・公的セクター | 年2回の賞与支給が一般的。支給月数も多い |
| 中小企業全般 | 業績連動型が多く、支給額・回数は会社により幅がある |
| IT・Web系スタートアップ | 月給ベース・年俸制の採用が増えている |
| 外資系企業 | 年俸制が主流。インセンティブ・RSU等で報いる設計が多い |
| 飲食・小売・サービス業 | 中小では賞与なしの会社も一定数ある |
なぜ賞与なしの会社が存在するのか
会社が賞与なしを選ぶ理由は、大きく3つあります。第一に人件費の安定化です。月給ベース・年俸制にすれば、人件費を年間ベースで計画的に管理できます。第二に評価制度との整合性です。年功序列ではなく成果主義を取りたい会社にとって、年俸の改定で評価を反映するほうがシンプルです。第三に従業員の年収予測性です。年俸制・月給ベースにすれば、入社時点で年収が確定します。
つまり、賞与なしは「払えないから払わない」ではなく、「設計として払わない」会社が増えているのです。
賞与なし=損とは限らない|年収総額で考える
同じ年収400万円でも、設計が違う
「賞与あり」と「賞与なし」を、月給だけで比べてはいけません。比較すべきは年収総額です。
| 比較項目 | A社(賞与あり) | B社(賞与なし・月給ベース) |
| 月給 | 25万円 | 33万円 |
| 賞与(年2回) | 50万円 × 2回 = 100万円 | なし |
| 年収総額 | 300万円 + 100万円 = 400万円 | 33万円 × 12ヶ月 = 396万円 |
| 月々のキャッシュフロー | 25万円 | 33万円 |
| 年収の予測性 | 業績による変動あり | 入社時点で確定 |
年収総額はほぼ同じでも、月々の生活設計のしやすさは大きく違います。月々の手元のキャッシュが多いこと、業績変動リスクを受けにくいことが、月給ベースの主なメリットです。
「月給制」と「年俸制」の違い
| 項目 | 月給制(賞与なし) | 年俸制 |
| 年収の決め方 | 月給 × 12ヶ月 | 年俸を契約時に決定 |
| 支払い方法 | 毎月同額 | 通常は12〜16分割して支給 |
| 残業代の扱い | 別途支給が原則 | 「一定時間分込み」の契約もあり |
| 評価の反映タイミング | 昇給時に月給改定 | 年俸改定時 |
| 適した職種 | 一般職・技術職全般 | 管理職・専門職・外資系 |
デメリットもある|正直に押さえておきたいこと
賞与なしのデメリットも正直に押さえておきましょう。まとまった支出の計画が立てづらいこと、心理的なメリハリ感がないこと、業績好調時に賞与で還元される恩恵を受けにくいこと——の3点が主なデメリットです。賞与なしは絶対的な正解ではなく、価値観と生活設計次第です。
「やばい賞与なし」と「健全な賞与なし」の見分け方|7つのチェックポイント
賞与なしの会社が、すべて優良企業というわけではありません。求人を見るときに必ず確認したい7つのポイントを整理します。
チェック1:月給は業界平均より高めか
賞与なしを選ぶ健全な会社は、その分を月給に上乗せしています。業界の平均月給と比べて、明らかに高めに設定されているかを確認しましょう。
チェック2:年収レンジが明示されているか
「年収応相談」「経験により決定」だけで、レンジが書かれていない求人は注意が必要です。「年収300万〜500万円」のように最低保証と上限がきちんと書かれているかを見ましょう。
チェック3:年俸制なら残業代の扱いはどうなっているか
固定残業時間が何時間分かを必ず確認してください。「みなし残業◯時間分(◯万円)を含む」と明示されているかを確認しましょう。
チェック4〜7:昇給・社会保険・業績・口コミ
| # | チェック項目 | 健全 | 注意 |
| 4 | 昇給制度の記載 | タイミングと基準が明記されている | 記載なし・曖昧 |
| 5 | 社会保険・退職金 | 社会保険完備・退職金あり | 社会保険なし・退職金なし |
| 6 | 業績推移の安定 | 直近3年が安定または成長基調 | 悪化基調 |
| 7 | 口コミの共通ネガティブ | 複数の共通指摘なし | 給与遅延・残業・離職率など複数あり |
チェックが5つ以上クリアなら、健全な賞与なしの可能性が高いといえます。逆に×が3つ以上ある場合は、賞与なしであること以前に給与・労務管理に課題がある会社かもしれません。
リモートワーク対応の月給ベース企業を選ぶという選択肢
賞与なし・月給ベース・年俸制を採用する会社には、ある共通の特徴があります。評価制度や勤務形態を柔軟に設計している傾向があるということです。総務省「令和5年通信利用動向調査」によれば、情報通信業ではテレワーク導入が広く普及しています*3。月給ベース・年俸制を採用するIT系・スタートアップ系の企業は、リモートワークも積極的に取り入れているケースが多くなっています。
こんな人に「賞与なし×リモート」は合っている
| こんな人 | 賞与なし×リモートが合う理由 |
| 毎月のキャッシュフローを安定させたい | 月給ベースなら毎月一定の収入が見込める |
| 年収を業績に左右されたくない | 月給制は業績悪化時にも基本的に減らない |
| 通勤時間をなくして家族時間を増やしたい | リモート可なら通勤往復2時間が浮く |
| 地方に住みながら都市部の給与水準で働きたい | 月給設計ならエリア手当・地域格差を受けにくい |
| 副業や自己投資の時間を確保したい | 通勤がない分、可処分時間が増える |
Relasic(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク対応の正社員求人に特化した転職支援サービスです。公開求人は3,790件あり、うちフルリモートで働ける求人は1,428件用意されています(2025年時点)。月給ベース・年俸制で「賞与なし」と明記された企業も含まれており、年収総額と働き方で会社を選ぶという発想に切り替えると、選択肢の幅が大きく広がります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 賞与なしの会社に転職するのは、キャリアダウンになりますか?
いいえ、必ずしもキャリアダウンとは限りません。年収総額が現職と同等以上で、月給ベースの安定性が得られるなら、設計の違いに過ぎません。比較すべきは「賞与の有無」ではなく「年収総額」と「業務内容」「働き方」です。
Q2. 賞与なしの会社は、社会保険料の負担が変わりますか?
月給ベースの場合、毎月の標準報酬月額が高くなる傾向があるため、月々の社会保険料は高めになります。ただし、その分将来の厚生年金額にも反映されます。年単位で見た負担総額はほぼ同等になることが多いと考えられます。
Q3. 賞与なしと書かれていますが、業績次第で出ることはありますか?
求人票に「業績連動型賞与制度あり」「決算賞与の支給実績あり」と書かれている場合は、業績に応じて支給されることがあります。ただし「支給実績」は確約ではないため、面接で過去数年の支給実績を質問するのが安全です。
Q4. 月給ベースの会社では、ボーナス払い前提のローンは組めますか?
ボーナス払いを利用するローンは、月給制でも組めることがありますが、金融機関の審査で「ボーナス支給がない」ことを伝える必要があります。月々の返済額を増やす設計に切り替えるのが一般的です。
Q5. 賞与なしの会社から、賞与ありの会社に戻りたくなった場合は?
一度賞与なしの会社で働いた経験が、次の転職で不利になることはありません。むしろ、年俸制での働き方を経験していることはキャリアの幅として評価されることもあります。
まとめ:賞与の有無より、年収総額で見る
この記事のまとめ
- 「賞与なし」は労働基準法上、違法ではありません。賞与は法律で支給が義務付けられた給与ではないからです
- 賞与なしには①月給ベース ②年俸制 ③業績連動型の3パターンがあり、求人票の表現だけでは判断できません
- 年収総額で比較すれば、賞与あり・なしは設計の違いに過ぎず、損得は一概に言えません
- 「やばい賞与なし」と「健全な賞与なし」は、月給水準・年収レンジ明示・昇給制度・業績推移など7つのポイントで見極められます
- 月給ベース・年俸制の企業はリモートワーク対応の比率も高く、現代の働き方と親和性があります
賞与なしの4文字でブラウザを閉じる前に、もう一度年収総額と働き方で会社を見てみませんか。あなたにとっての最適解は、賞与の有無ではなく、1年間でどれだけ稼げて、毎日どう働けるかにあります。
Relasic(リラシク)について
Relasic(株式会社LASSIC運営)は、リモートワーク対応の正社員求人に特化した転職支援サービスです。月給ベース・年俸制を採用する企業の求人も多数取り扱っており、賞与の有無ではなく、年収総額と働き方で会社を選びたい方に適した求人をご紹介しています。キャリアアドバイザーとの相談では、求人票だけでは見えない給与設計の中身まで確認できます。
▼ リモートワーク対応の求人を見る
求人選びで迷っている方は、キャリアアドバイザーへの無料相談もご利用ください。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「労働基準法における賃金・賞与の取扱い」
*2 厚生労働省「令和5年 就労条件総合調査」(2023年公表)
*3 総務省「令和5年通信利用動向調査」(2024年公表)
*4 国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」(2024年9月公表)
*5 テレリモ総研(株式会社LASSIC運営)
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