顧客名をどこまで出せるか|線引きの在りか

顧客名を社外で出してよいかどうかは、感覚で決めることではなく、契約書や社内規程といった書面のどこかに基準が書かれています。実名のまま話せるのか、業種や規模の表現に置き換えるのか、公開されている事例があるかどうかも含めて、確かめる場所と聞く先を順に見ていきます。
顧客名を出せるかどうかを決めるのは、書面に書かれているかどうかという一点です。
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この記事のポイント
- 顧客名を出せるかどうかの線引きは、契約書や社内規程といった書面に書かれています
- 実名で出すか、業種や規模の表現に置き換えるかも、書面や社内の基準の中に表し方があります
- 判断が割れたときに聞く先は、法務・契約管理部門・直属の上長・広報など、確認先ごとに分かれています
1. 顧客名を出せるかどうかは、契約書と社内規程に書かれています
顧客名を社外で出せるかどうかを決めるのは、感覚や経験ではなく書面です。相手先と結んだ秘密保持契約や業務委託契約、勤務先が定める情報管理の規程のいずれかに、実名を出してよい範囲が書かれています。書面に記載が見つからない場合は、契約管理部門や上長に確認する手順が残っています。
取引先の名前を実名のまま話してよいのか、業種や規模の表現に置き換えるべきなのか。この線引きは思いつきで決めるものではなく、どこかの書面にすでに基準が書かれています。
基準が書かれている書面は、大きく3種類に分かれます。相手先と結ぶ秘密保持契約、業務委託契約や取引に付随する取り決め、そして勤務先自身が定める情報管理の規程です。どの書面に何が書かれているかは、取引の形や勤務先の運用によって変わります。
書面によっては、線引きの対象が名前だけに限られている場合と、契約金額や取引の内容にまで及んでいる場合とがあります。確かめるときは、対象がどこまでの情報を指しているかも合わせて読みます。名前は話せても、規模や金額に触れると範囲を超えることもあります。
一般労働者の平均年齢は44.4歳です*1。勤め先が変わる場面には年齢の幅があり、顧客名の線引きを確かめる場面も一度きりで終わるとは限りません。この数字は平均年齢を示すものであり、取引先の名前を出してよいかどうかを決めるものではありません。
書面を確かめる前に社内で名前を出してしまうと、あとから訂正するのは資料を作り直すよりも手間がかかります。記載が見つからない場合も、書かれていないから自由に出せるという意味にはなりません。確認先に聞くという次の手順が残っている状態です。
次の項目では、記載の有無と実名の可否という2つの軸で、状況をどう位置づけられるかを整理します。
2. 実名で出すか置き換えるかを、2軸で位置づけます
取引先の名前を実名で出せるかどうかは、書面に記載があるかどうかと、実名か置き換えかという2つの軸で位置づけられます。
記載が見つからないまま実名で話そうとしている位置にいる場合は、話す前に確認先へ聞く手順を挟むと、あとからの訂正を避けられます。
書面に記載がある位置では、書かれた範囲の中で実名を出せます。範囲の外に出る内容を話す場合は、その部分だけ改めて確認します。
置き換えで話す位置は、記載が見つからない間の扱いとしても、書面が置き換えを指定している場合の扱いとしても使えます。どちらの理由で置き換えているかは、区別して覚えておくと後で説明しやすくなります。
自分がどの位置にいるかは、話す予定が決まった段階で確認しておくと、話す直前に位置がずれていたと気づく事態を避けられます。
この位置は一度決まったら固定されるわけではありません。事例集への掲載が新たに決まるなど、書面や取り決めが更新されれば、同じ取引先でも位置は変わります。話す機会が来るたびに、位置が変わっていないかを確認し直します。
3. 確かめることと確かめる先を並べます
書面のどこに何が書かれているかを、確かめる項目ごとに並べます。
確かめる項目と確認先
| 確かめること | どこで確かめられるか |
|---|---|
| 記載のある書面 | 秘密保持契約・業務委託契約・情報管理の規程 |
| 実名で出せる範囲 | 相手先と結んだ契約の秘密保持条項 |
| 置き換えて出す表し方 | 社内の契約管理部門が使う言い換えの基準 |
| 判断が割れたときの確認先 | 法務・契約管理部門・直属の上長・広報 |
顧客名を出せるかどうかを確かめる項目は、大きく4つに分かれます。どの書面を見るか、実名の範囲、置き換えの表し方、そして判断が割れたときの確認先です。
記載のある書面は、相手先と結ぶ秘密保持契約や業務委託契約、勤務先の情報管理規程のいずれかにあります。どの書面が該当するかは、取引の形や勤務先の運用によって変わります。
実名で出せる範囲は、契約の秘密保持条項が起点になります。書面に置き換えの指定がある場合は、その指定が表し方の基準になります。
置き換えて出すときの表し方について、書面に指定がない場合は、社内の契約管理部門に相談して基準を確認できます。
判断が割れたとき、つまり書面を読んでも実名の可否がはっきりしないときは、法務や契約管理部門、直属の上長、広報のいずれかが確認先になります。窓口は勤務先によって異なります。
確かめる書面が複数見つかり、内容が食い違う場合もあります。そのときは、どちらが優先されるかを自分で決めず、契約管理部門に確認して優先順位を出してもらうと、あとから食い違いに気づく事態を避けられます。
確認先に聞いても、その場で許可が下りないこともあります。許可そのものの申請の進め方は、別に確かめる道筋があります。
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4. 転職の選考で名前に触れる場面も、確かめ方は同じです
経歴を説明する場面でも、取引先の名前に触れることがあります。話し方を工夫する前に確かめておきたいのは、その名前が書面のうえでどう扱われているかです。
選考の場は初めて会う相手に説明する場面であり、社内の会議とは前提が違います。ただし、名前を出せるかどうかの基準そのものは、社内で話すときと選考で話すときとで変わりません。契約や規程に書かれた範囲は、話す相手が誰であっても同じです。
退職や転職が決まった後は、確認できる相手が変わることもあります。在職中に確認しておいた内容は、退職後も参照できる形で残しておくと、選考の場で聞かれたときに慌てずに済みます。情報の返し方や残し方の整え方は、別に確かめる道筋があります。
在職中に確認した書面が、退職後にも同じ内容で通用するかどうかも、確かめておきたい点です。退職の手続きのなかで、契約管理部門や人事に確認する先が残っています。
業種や規模に置き換えて話す場合も、置き換え方を自分で考え出す必要はありません。書面や契約管理部門が示す基準に沿って表すことができます。
確かめる場所と聞く先が分かっていれば、場面が変わっても対応の仕方は変わりません。
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5. 確かめて話すまでの流れは4つの地点に分かれます
書面を探すことから確認は始まり、話す形が決まるまでを4つの地点に分けられます。
書面を探すことから確認は始まります。取引先に関係する書面が複数ある場合は、どれが該当するかをまず絞り込みます。
記載を読む段階では、実名を出してよい範囲が書かれているか、業種や規模への置き換えが指定されているかを確認します。書かれている表現と違う言い方をしないように、記載された文言をそのまま基準にします。
記載が見つからない、あるいは読んでもはっきりしない場合は、確認先に聞く地点に進みます。窓口は法務、契約管理部門、直属の上長のいずれかになります。
決まった形で話す地点に着いたら、その形を、先に決めておいた場面だけでなく、その後に出てくる別の場面でも使います。場面が変わるたびに確認し直す必要はありません。
4つの地点は一方通行ではありません。話す直前になって記載を読み直したくなったときは、前の地点に戻って構いません。
6. 公開されている事例の有無も、確かめる項目に入ります
取引先の名前が既に公開されている事例があるかどうかも、確かめておきたい項目です。
確かめる先の整理
- 事例集・導入実績の公開状況:勤務先や取引先が、名前を出した事例をすでに公開しているかを確認します
- 契約管理部門への確認:秘密保持契約の範囲や、置き換えの基準を契約管理部門に確認します
- 広報への確認:社外に出す文章の表現を広報が確認する運用になっているかを確かめます
顧客名が、勤務先や取引先自身の事例集やプレスリリースにすでに公開されている場合があります。公開されている事例があれば、その範囲までは実名で話せる根拠になります。
公開されている事例の有無を確かめる先は、社内の契約管理部門や広報です。どちらが窓口になるかは勤務先によって異なるため、まずは規程や社内の案内を確認します。
契約管理部門は、秘密保持契約の範囲や、置き換えの基準を把握している窓口です。書面を読んでも判断が割れる場合は、この部門に確認すると基準が明確になります。
広報は、社外に出す文章表現そのものを確認する窓口です。話す内容だけでなく、資料や記録に残す表現も含めて確認できます。
契約や規程は更新されることがあります。以前に確認した内容のまま話すのではなく、話す機会が来るたびに最新の書面を確認し直すと、内容が変わっていた場合にも対応できます。
社外での発信に許可が必要な場面は、取引先の名前に限りません。他の活動でも、確認先が分かれていることがあります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 顧客名は、実名のまま話してよいのですか。
A. 顧客名を実名で話せるかどうかは、秘密保持契約や情報管理の規程に記載があるかで決まります。記載が見つからない場合は、契約管理部門や上長に確認する手順が残っています。
Q2. 業種や規模に置き換えるときの表し方に、決まりはありますか。
A. 書面に置き換えの指定がある場合は、その指定に沿います。指定がない場合は、社内の契約管理部門や広報が使っている基準を確認します。
Q3. 取引先の名前が、事例集やプレスリリースで公開されている場合はどうなりますか。
A. 公開されている範囲までは、実名で話せる根拠になります。ただし公開範囲を超える内容に触れる場合は、別に確認が必要です。
Q4. 契約書や規程を確認しても、実名の可否がはっきりしない場合はどうしますか。
A. 法務、契約管理部門、直属の上長、広報のいずれかに確認します。窓口は勤務先によって異なるため、まず社内の案内で確認先を調べます。
8. まとめ:顧客名の線引きは、書面と確認先で決まります
この記事の要点
- 顧客名を実名で出せるかどうかは、秘密保持契約・業務委託契約・情報管理の規程のいずれかに書かれています
- 記載が見つからない場合は、書かれていないから自由に話せるという意味ではなく、確認先に聞く手順が残っています
- 業種や規模に置き換えて話すときの表し方は、書面の指定か、社内の契約管理部門が持つ基準に沿います
- 取引先の名前が事例集やプレスリリースで公開されている場合は、その範囲までが実名で話せる根拠になります
- 判断が割れたときの確認先は、法務・契約管理部門・直属の上長・広報のいずれかです
顧客名を社外で出せるかどうかは、感覚ではなく書面で確かめられます。記載のある書面を探し、範囲を読み、記載が見つからない場合や判断が割れる場合は確認先に聞く。この4つの地点を順に踏めば、選考の場でも社内の場でも、同じ確かめ方で対応できます。
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