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OSSへの貢献に許可は要るか|届け出の順番

OSSへの貢献に許可は要るか|届け出の順番のイメージ写真

OSSへの貢献やコードの公開は、転職の場面で実績として見られることがあります。ただしその前に確かめておきたいのは、会社の許可が要るかどうかという点です。業務で書いたコードか、業務時間外に自分で書いたコードか、業務で使っている公開物への修正かによって、確認する書面と届け出る先が変わります。順番に見ていきます。

許可が出るかどうかを先に判断しようとすると止まってしまいますが、確かめる順番を変えると進みます。最初に見るのは許可の有無ではなく、どの書面に何が書かれているかという点です。

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数字で見る貢献前の確認 この記事の要約 外に出すものの分類 3 パターン 本文2の図で整理 業務/業務時間外/公開物の修正 確かめる観点 4 項目 本文4の表で整理 権利・時間・届け出先・公開範囲 決めておく届け出先 1 本文5の図で整理 絞って1つに決める 許可の要否は、どの書面に何が書かれているかで変わります *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

この記事のポイント

  • OSSへの貢献に許可が要るかどうかは一律ではなく、出すものの種類によって確認する書面が変わります
  • 業務で書いたコード・業務時間外に書いたコード・業務で使っている公開物への修正では、確認する観点が異なります
  • 分からない点を1つに絞り、届け出る先を1つ決めておくと、確認がスムーズに進みます

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1. OSSへの貢献に許可が要るかは、出すもので変わります

OSSへの貢献に許可が要るかどうかは、一律には決まりません。業務で書いたコードか、業務時間外に自分で書いたコードか、業務で使っている公開物への修正かによって、確認する書面も届け出る先も変わります。まず出すものがどれに当たるかを見きわめることが出発点になります。

OSSへの貢献やコードの公開に関心を持つエンジニアは増えていますが、会社に届け出る前に確かめておきたいのは、許可が出るかどうかという結論よりも、どの書面に確認すべき記載があるかという点です。

就業規則には、職務専念義務や兼業に関する記載がある場合があります。加えて、職務発明や著作物の扱いについて別の規程が用意されている会社もあります。どの書面を見るべきかは会社ごとに異なるため、まず自社にどんな規程があるかを確認します。

外に出そうとしているものが、業務で書いたコードなのか、業務時間外に自分で書いたコードなのか、それとも業務で使っている公開物への修正なのかによって、確認する観点も変わります。次の項目で、この3つの分け方を整理します。

2. 外に出すものを3つに分けて確かめます

OSSへの貢献も、業務で使っている公開物への修正も、外に出すものの性質によって確認する内容が変わります。まず3つに分けて整理します。

外に出すものの分類 外に出すものは、どれに当たりますか 業務で書いたコード 権利の帰属を確認 業務時間外に書いたコード 設備・情報の利用を確認 業務で使っている公開物の修正 会社名を出す可否を確認 書面に書かれている届け出先によって、確認する相手が変わります

業務で書いたコードを外部に出す場合は、その成果物の権利がどこに帰属するかを、社内の規程で確認しておきたい点です。会社の業務として作成したものであれば、公開の可否も含めて確認する対象になります。

業務時間外に自分で書いたコードであっても、会社の設備や、業務で得た情報を使っていないかは別に確認しておきたい点です。使っていない場合でも、兼業に関する規程に記載があるかどうかは確かめておくと安心です。

業務で使っている公開物に修正を提案する場合は、会社名や所属を出すかどうかで確認先が変わることがあります。会社名を出さずに個人として提案する場合と、会社の名前で提案する場合とでは、確認する相手も変わります。

3つのどれに当たるかが、最初から明確に分かるとは限りません。個人で書き始めたコードが、途中から業務に関わる内容を含むようになる場合もあります。分類が変わったと感じた時点で、確認し直すという考え方もできます。

3つのうちどれに当たるかを先に決めておくと、次に確認する書面も絞りやすくなります。分からない場合は、複数に当たると考えて、範囲の広いほうから確認を始めておくと安心です。

業務時間外に書いたものを外に出す整理は、兼業の届け出とも重なる論点です。兼業の可否を確かめる進め方は、次の内容で扱っています。

あわせて読みたい | 兼業の可否を確かめる|求人票と就業規則の順番

3. 業務で書いたコードは権利の帰属を確認します

業務で書いたコードをOSSとして外部に公開する場合、最初に確認しておきたいのは、その成果物の権利がどこに帰属するかという点です。職務として作成したものであれば、権利の扱いについて別の規程が用意されている会社もあります。

権利の扱いを確認したあとは、業務時間の扱いも別に確認しておきたい項目です。届け出や公開の準備を業務時間の中で進めるのか、業務時間外に進めるのかによって、扱いが変わることがあります。

確認する順番としては、まず社内の規程に記載があるかどうかを自分で確かめ、記載を読んでも判断できない点が残れば、その点を上長や担当部署に確認する、という進め方が扱いやすくなります。規程の記載を読まずに口頭の確認だけで進めると、あとで記憶があいまいになることがあります。

確認した内容は、口頭のやり取りだけで終わらせず、メールなど残る形にしておくと、あとになって確認したかどうかが分からなくなる事態を避けられます。

許可を得て公開できた場合、その実績は転職の場面でも使える情報になります。実績の使い方については、次の内容で扱っています。

あわせて読みたい | 技術ブログの実績を転職で使う|置き場所を変える

4. 確かめる観点と書面の対応を並べます

DX推進人材が不足と回答した企業は85.5%、そのうち「大幅に不足」と回答した企業は50.1%です*1。社外の公開物に関わる場面が増えている背景として触れますが、この数字は企業側の人材の状況を示すものであり、OSSへの貢献に許可が要るかどうかを決めるものではありません。

ここでは、確かめておきたい観点と、それが書かれていることがある書面を4つに分けて整理します。

確認する観点と書面の対応

確かめる観点書かれていることがある書面
成果物の権利の帰属職務発明・著作物に関する規程
業務時間の扱い就業規則・兼業に関する規程
届け出の先情報セキュリティ・広報に関する規程
公開する範囲情報管理・公開物に関する規程

4つの観点は、どれも会社によって記載されている書面の名称や範囲が異なります。同じ名称の規程でも、書かれている内容の範囲が会社ごとに違うことがあるため、規程名だけで判断せず、実際の記載を確認します。

成果物の権利の帰属は、業務で作成したものかどうかによって扱いが変わることがあります。判断に迷う場合は、規程の記載を確認したうえで、担当部署に確認します。

業務時間の扱いは、届け出る内容が業務時間外の活動であっても、確認が必要になることがあります。兼業に関する規程がある会社では、そこに記載がある場合もあります。

届け出の先と公開する範囲は、確認する書面が複数にまたがることもあります。1つの書面だけを見て判断せず、関連する書面がほかにないかも確かめておくと安心です。

同じ公開物に何度も貢献する場合、初回に確認した内容がそのまま次回にも当てはまるとは限りません。修正する内容によっては、再度確認したほうが安全な場合があります。

5. 確認は3つの段階で進めます

確かめる観点が4つに分かれていても、進め方は3段階に整理できます。土台から順に進めると、迷いにくくなります。

確認から届け出までの3段階 先を決める 分からない点を確認したうえで、届け出る先 を1つ決めます。 疑問を絞る 規程を読んでも分からない点があれば、 1つに絞って確認します。 規程を読む 就業規則や関連する規程の記載を、 まず自分で確認します。 規程を読み、疑問を絞り、届け出る先を決める順に進めます

土台にあたる規程を読む段階では、就業規則や職務発明・著作物に関する規程、兼業に関する規程などのうち、自社に用意されているものを確認します。複数の書面にまたがることが多いため、思いつくものから読み始めます。

中段の疑問を絞る段階では、規程の記載を読んでも判断できない点を、1つに絞ります。複数の疑問をまとめて確認しようとすると、確認する相手が困ってしまうことがあります。

頂点の届け出る先を決める段階では、絞った疑問をもとに、どこに確認・届け出をするかを1つ決めます。上長で足りる場合もあれば、情報セキュリティの担当部署や広報の確認が必要になる場合もあります。

3段階は1回で終わるとは限りません。確認した結果、新たな疑問が出てくる場合は、疑問を絞る段階に戻ってから、もう一度届け出る先を決め直します。

この順番で進めておくと、規程の記載を確かめる前に届け出てしまい、あとから内容を直すという事態を避けられます。

6. 届け出るときに書く項目をそろえます

実際に届け出るときは、何を確認したかだけでなく、何を届け出るかも明確にしておくと、確認する側も判断しやすくなります。

届け出るときに書く項目

  • 貢献先の名称:どこに何を出すのかを、分かる範囲で書きます
  • 変更の概要:修正や追加の内容を、簡潔にまとめます
  • 公開する範囲:コードのみか、名前や所属も出すのかを書きます
  • 確認した書面:どの規程を確認したうえでの届け出かを添えます

届け出る項目をそろえておくと、確認する側も何を許可すればよいかを判断しやすくなります。曖昧なまま届け出ると、追加の確認が発生し、時間がかかることがあります。

貢献先の名称は、リポジトリ名やプロジェクト名など、分かる範囲で書きます。すべてを把握していなくても、届け出た時点で分かっている範囲で構いません。

変更の概要は、修正した箇所や追加した機能を簡潔に書きます。詳細な説明までは求められないことが多いですが、業務で得た情報に触れていないかは、この段階で自分でも確認しておきます。

公開する範囲は、コードだけを公開するのか、名前や所属も併せて出すのかによって、確認する内容が変わります。ここが決まっていないと、届け出を出したあとで範囲を広げたいときに、再度確認が必要になります。

初めて届け出る場合は、社内に手続きの型がまだなく、確認に時間がかかることがあります。2回目以降は、前回確認した内容を土台にできるため、進めやすくなる傾向があります。

届け出をきっかけに、業務では触れていない技術に関わる機会が生まれることもあります。技術に触れる機会の見きわめ方については、次の内容で扱っています。

あわせて読みたい | 新しい技術に触れられるか|決め方と周期を見る

7. よくある質問(Q&A)

Q1. 業務時間外に個人で書いたコードをOSSに公開する場合も、会社への届け出は必要ですか。

A. 会社の設備や業務で得た情報を使っているかどうかによって扱いが変わることがあります。就業規則や兼業に関する規程に記載がある場合があるため、まず自社の規程を確認します。

Q2. OSSへの貢献で会社名や所属を書く場合、確認する先はどこになりますか。

A. 会社名や所属の記載は、社外への発信に近い扱いになることがあります。情報セキュリティや広報の担当部署への確認を求める会社もあるため、規程の記載を確認します。

Q3. 業務で使っている公開物への修正を提案する場合、業務時間の扱いはどうなりますか。

A. 業務の一環として認められるか、業務時間外の活動として扱われるかは会社ごとに異なります。判断に迷う場合は、上長に確認したうえで進めます。

Q4. 届け出をしたあと、公開する直前にも確認したほうがよいですか。

A. 届け出た時点の内容と、実際に公開する内容が変わっている場合は、公開する前に改めて確認しておくと安心です。変更がなければ、届け出た内容のまま進めて構いません。

8. まとめ:OSSへの貢献は書面の確認から始めます

この記事の要点

  • OSSへの貢献に許可が要るかどうかは一律ではなく、出すものの種類によって確認する書面が変わります
  • 業務で書いたコード・業務時間外に書いたコード・業務で使っている公開物への修正では、確認する観点が異なります
  • 確認する観点は、成果物の権利の帰属・業務時間の扱い・届け出の先・公開する範囲の4つに整理できます
  • 規程を読んでも分からない点は1つに絞り、届け出る先を1つ決めておくと、確認の手順に迷いにくくなります
  • 判断に迷う点が残る場合は、規程の記載を確かめたうえで、法務や人事の窓口に確認します

OSSへの貢献は、許可が出るかどうかを先に判断しようとすると止まってしまいますが、出すものを3つに分けて考えると進みます。確かめる観点を整理し、分からない点を1つに絞ったうえで、届け出る先を1つ決めておくと、確認の手順に迷いにくくなります。判断に迷う点が残る場合は、規程の記載を確かめたうえで、法務や人事の窓口に確認しておくと安心です。

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