持ち出しが禁止の作業|線引きと代わりの手順

情報システムの保守や、取引先のデータを扱う作業では、端末やデータそのものを社外に持ち出せない場面があります。ここで役に立つのは、持ち出しが禁止されているかどうかを気にかけることではなく、線引きがどの書面に書かれているかを確かめることです。線引きが書かれる場所と、代わりに用意されている手順を順に見ていきます。
線を引くのは規程であり、確かめる順番を変えると迷いが減ります。確かめる観点を4つに分けて見ていきます。
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この記事のポイント
- 持ち出しが禁止の作業に当たるかどうかは、情報取扱の規程や取引先との取り決めなど、複数の書面のどこに線が引かれているかで決まります
- 線引きが書かれている場合は、代わりの手順が同じ書面か、関連する作業手順書に用意されていることがあります
- 書面を読んでも分からない点が残る場合は、確認先を1つ決めておくと、疑問が生じたときに迷わず進められます
1. 持ち出しが禁止の作業には、線引きが規程にあります
端末やデータを社外に出せない作業があるとき、それが持ち出し禁止の対象に当たるかどうかは、規程のどこかに線として引かれています。線引きは作業ごとに一律ではなく、扱う情報の種類や取引先との取り決めによって、当てはまる書面が変わります。まず自分の作業がどの書面の範囲に入るかを確かめることが、最初の一歩になります。
情報システムの保守や、取引先のデータを扱う作業では、端末やデータそのものの持ち出しが制限される場面があります。制限の有無や範囲は、会社が個別に判断しているわけではなく、情報取扱に関する規程や取引先との取り決めに、あらかじめ書かれていることが多くあります。
対象になる作業は、扱う情報の機密性や、取引先との契約内容によって範囲が変わります。同じ部署の中でも、担当する作業によって当てはまる範囲が異なることもあります。
線引きがどこに書かれているかを確かめずに進めると、本来は制限されていない作業まで控えてしまったり、確認すべき点を見落としたりすることがあります。次の項目で、線引きを確かめる順番を整理します。
対象になるかどうかの確認は、入社した時点だけで終わるものではありません。部署を異動したときや、新しく担当する取引先が変わったときにも、確認する内容は変わることがあります。同じ会社に在籍していても、担当する業務が変われば、当てはまる書面や範囲も変わります。
2. 確かめる順番は、規程を読むことから始まります
持ち出しが禁止の作業かどうかを確かめる際、最初に迷うのは、どの書面を見ればよいかという点です。ここでは、確かめる順番を4段に分けて整理します。
最初の段階は、情報取扱の規程や取り決めに、対象となる範囲がどう書かれているかを読むことです。規程には、対象となる情報の種類や、制限される行為の範囲が明記されていることがあります。
線引きを読んだら、自分が担当している作業がどちら側に入るかを当てはめます。同じ業務でも、扱う情報の種類によって当てはまる範囲が変わることがあるため、作業の内容ごとに確認しておくと安心です。
対象に入る場合は、代わりに用意されている手順を確かめます。手順が見当たらない、あるいは書かれている内容だけでは判断できない場合は、最後の段階として窓口に確認します。
3. 線引きが書かれる場所を4つに分けます
持ち出しが禁止の作業に当たるかどうかを確かめる際に、見ておきたい書面は1つではありません。ここでは、線引きが書かれる場所を4つに分けて整理します。
線引きが書かれる場所と、そこから読み取れること
| 書かれる場所 | そこから読み取れること | 代わりの手順との関係 |
|---|---|---|
| 情報取扱の規程 | 対象となる情報の種類と、社外に持ち出しが制限される範囲 | 制限される作業ごとに、代替の手順が示されていることがあります |
| 貸与の案内 | 貸与される端末やデータの扱いに関する条件 | 端末を介した扱いに関する条件が、あわせて書かれていることがあります |
| 取引先との取り決め | 取引先のデータや、取引先の設備に関する制限 | 取引先ごとに、範囲や代わりの手順が別に定められていることがあります |
| 作業手順書 | 日々の作業のうち、社外に出さずに進める手順 | 制限を避けるために用意された、具体的な作業の進め方が書かれています |
情報取扱の規程には、持ち出しが制限される情報の種類や、対象となる行為の範囲が書かれていることが多くあります。規程の名称は会社によって異なりますが、情報セキュリティに関する規程としてまとめられている場合があります。
貸与の案内には、端末の扱いに関する条件が書かれています。端末そのものの扱いに条件がある場合、その条件は貸与の案内のほうに書かれていることがあり、情報取扱の規程とは別に確認しておきたい書面になります。端末の扱いについては、別の記事で扱っています。
取引先との取り決めは、自社の規程とは別に確認しておきたい書面です。取引先のデータを扱う作業では、取引先ごとに範囲が定められている場合があり、自社の規程よりも取引先の取り決めのほうが範囲が狭いこともあります。
作業手順書は、規程よりも改定される頻度が高い書面です。使うツールや手順が変わるたびに更新されることがあるため、確認した内容がいつの版かもあわせて見ておくと安心です。
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4. 情報取扱の規程には、線引きの背景も書かれています
規程が線を引く背景には、扱う情報が外部に漏れた場合の影響の大きさがあります。規程は会社が思いつきで定めているものではなく、扱う情報の重要度に応じて範囲が決められています。
在宅勤務など、離れて働く場面が多い職種ほど、持ち出しの線引きを先に読む意味があります。情報通信業のテレワーク実施率は56.3%、正社員全体では22.5%です*1。この数字は働く場所の実施率を示すもので、持ち出しの線引きを決めるものではありません。
扱う情報の重要度は、関わる業務によって一律ではありません。個人情報を含むデータを扱う業務と、社内向けの資料だけを扱う業務では、同じ会社の中でも線引きの厳しさが異なることがあります。
線引きの厳しさが変わっても、確かめる進め方そのものは変わりません。規程に書かれた範囲を確認し、代わりの手順があるかを見て、分からない点は窓口に確認する。この順番は、扱う情報の重要度にかかわらず共通しています。
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5. 書面と代わりの手順の有無で、状況を4つに整理します
ここでは、線引きが書面で示されているかどうかと、代わりの手順が用意されているかどうかを、2つの軸で整理します。
持ち出しが禁止の作業についても、この2つの軸で確かめる観点は変わりません。線引きと手順のどちらも書面にある状態であれば、疑問が生じたときに書面の記載を根拠にして確認しやすくなります。
線引きはあっても手順が書かれていない状態や、手順はあっても線引きが明確でない状態では、確かめられる範囲に限りがあります。その場合は、規程を扱う部署や、作業手順書を管理している窓口に、残りの部分を確認する進め方があります。
どの状態に当てはまるかは、扱う作業や取引先によって異なります。まずは自分が確認できる書面がどこまであるかを、前の項目で扱った4つの場所から探してみることが、整理の出発点になります。
線引きも手順もない状態に当たる場合は、まず情報取扱の規程を扱う部署に、対象になるかどうかを確認する連絡を入れることが、次に取れる行動になります。連絡した内容は、メールなど記録が残る形にしておくと、あとで振り返りやすくなります。
6. 確かめる際は、規程・案内・取り決めを順に見ます
対象になる作業かどうかを確かめる際に、優先して見ておきたい3つの書面を整理します。
確かめておきたい3つの書面
- 情報取扱の規程:持ち出しが制限される情報の種類と、対象となる行為の範囲についての記載が含まれていることがあります
- 貸与の案内:貸与される端末やデータの扱いに関する条件についての記載が含まれていることがあります
- 取引先との取り決め:取引先のデータや設備を扱う作業について、範囲や条件についての記載が含まれていることがあります
3つの書面は、会社によって名称や構成が異なりますが、持ち出しに関する記載は、情報セキュリティに関する規程にまとめられていることが多くあります。
書面を確かめる際は、最初から全文を読み込む必要はありません。対象となる情報の種類、制限される行為の範囲、代わりの手順の3点に絞って、該当する条文を探す進め方で十分です。
記載を読んでも分からない点が残る場合は、担当する部署に確認する窓口が用意されていることが一般的です。窓口を確かめておくと、疑問が生じたときに確認先で迷わずに済みます。
確認先を通じて手続きが必要になる場面は、書面の確認以外にも起こります。日々の作業でどこまでの権限が必要になるかも、事前に確かめておきたい観点の一つです。
3つの書面をひととおり確認したあとも、担当する取引先が変わるなど状況が変わった際には、あらためて確認し直す姿勢が役に立ちます。
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7. よくある質問|線引きを確認しておきたいこと
Q1. 持ち出しが禁止の作業かどうかは、どこを見れば分かりますか。
A. 情報取扱の規程や取引先との取り決めなど、複数の書面のどこかに、対象となる情報の種類と範囲が書かれています。まずは自分が担当する作業に関係する書面を確認する方法があります。
Q2. 規程を読んでも、自分の作業が対象かどうか判断できない場合はどうすればよいですか。
A. 記載を読んでも判断できない点は、規程を管理している部署や、作業手順書を扱う窓口に確認する方法があります。判断に迷う場合は、範囲の広いほうに当てはまると考えて確認を始める進め方もあります。確認したい相手が上司か管理部署かで迷う場合は、規程を管理している部署に直接確認するほうが、記録が残りやすくなります。
Q3. 代わりの手順が見当たらない場合、どうすればよいですか。
A. 作業手順書に記載がない場合は、担当する部署に確認する窓口が用意されていることが一般的です。手順が整っていない状態のまま進めるのではなく、確認してから進める方法が確実です。
Q4. 情報取扱に関する規程は、入社後に見直されることがありますか。
A. 情報セキュリティに関する規程は、改定されることがあります。見直しの周期は会社によって異なるため、確認した内容がいつの時点のものかもあわせて確かめておくと、後から見比べやすくなります。
8. まとめ:持ち出しの線引きは、書面で確かめます
この記事の要点
- 対象になる作業かどうかは、情報取扱の規程や取引先との取り決めなど、複数の書面のどこに線が引かれているかで決まります
- 線引きが書かれる場所は、情報取扱の規程・貸与の案内・取引先との取り決め・作業手順書の4つに大きく分かれます
- 線引きが書面で示され、代わりの手順まで用意されているかどうかで、確認できる度合いが変わります
- 書面を読んでも分からない点は、規程を管理する部署や作業手順書の窓口に確認する先があります
持ち出しが禁止の作業かどうかを確かめる際に効くのは、対象かどうかを推測することではなく、線引きがどこに書かれているかを探すことです。情報取扱の規程、貸与の案内、取引先との取り決め、作業手順書といった書面を確かめ、分からない点が残れば担当する部署に確認する。この手順を踏めば、判断をはっきりしない状態のままにしておく必要はありません。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
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