離職率の調べ方と限界|面接で聞く分

離職率という言葉は、転職先を選ぶときによく目にします。ただ、実際に調べてみると、同じ会社について書かれた数字が資料によって違って見えることがあります。原因は数字そのものではなく、母数・期間・対象という定義の違いです。定義を確かめずに数字だけを比べると、実際とは違う印象を持つことになります。まず、どこに載っているかと、そこから読み取れる範囲を分けて見ていきます。
離職率を確認するときに大事なのは、数字の大きさではなく、その数字が何を数えているかという点です。母数・期間・対象を確かめたうえで、確かめられない部分は面接で聞く質問に回すと、比較できないまま数字だけを追いかける状態を避けられます。
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この記事のポイント
- 離職率は複数の場所に載っていますが、母数・期間・対象の定義は資料ごとに異なります
- 数字だけを比べても、同じ基準で比べているとは限りません
- 資料から読み取れない部分は、面接で聞く質問に言い換えておくと確認が進みます
1. 離職率は資料に載っていても、比較には定義の確認が要ります
離職率という数字自体は、求人票や企業の公開資料など、複数の場所で目にすることができます。ただし数字が見つかることと、他社と比べられることは同じではありません。同じ言葉でも、算出のもとになる人数(母数)、対象にした期間、対象にした社員の範囲は資料ごとに異なります。この3つが揃わないまま数字だけを並べると、実際より高く見えたり低く見えたりする可能性があります。まず数字を探す前に、何が分かれば比較できるのかを整理します。
転職活動のなかで離職率を確認しようとする場面は、求人票を読むときだけではありません。企業の公開資料を見るとき、面接で説明を受けるときにも、この言葉に触れることがあります。触れる場面が複数あるからこそ、それぞれの場面で示される数字の性質が違うことに気づきにくくなります。
たとえば同じ会社について、ある資料では低い数字が示され、別の資料では高い数字が示されているように見えることがあります。これは数字の誤りではなく、対象にした期間や社員の範囲が違うために起きます。数字を見た瞬間に良し悪しを判断するのではなく、まず何を数えた数字なのかを確かめる姿勢が必要です。
同じ数字であっても、探す場所を増やすほど比較が正確になるわけではありません。複数の資料を集めても、どの資料にも母数や期間の記載がなければ、比べられる材料は増えないままです。数を集めることよりも、1つの資料に書かれている定義を丁寧に読み取るほうが、比較の土台としては役に立ちます。
ここでは、数字が載っている場所を4つに分けたうえで、そこから読める内容と読めない内容を整理します。読めない部分は、面接で聞く質問に言い換える形まで扱います。
2. 確かめる手順を4段に分けます
この確認作業は、数字を見つけた時点で終わりではありません。見つけた数字が比較に使えるかどうかは、その先の3段階を踏んで初めて分かります。手順を踏まずに数字だけを転記すると、後で比較の土台がないことに気づきます。
最初の段階である資料を見る作業は、求人票だけに限りません。企業のサイトや採用ページ、公開されている統計など、探す先は複数あります。探し先そのものの並べ方は、別の内容で扱っています。
2段目の定義を確かめる作業では、離職率という数字の母数(何人を対象にしたか)、期間(1年か、それより長いか)、対象(正社員か、雇用形態を問わないか)を、資料の注記や脇の説明から探します。注記が見当たらない場合は、その時点で定義が分からない数字として扱います。
定義についての注記が、資料のどこにも見当たらないこともあります。その場合は「注記がない」という事実そのものを書き出しておきます。何が分からないかをはっきりさせておくと、次の面接で聞く質問に直す作業がスムーズに進みます。注記がないことも、1つの手がかりとして扱えます。
3段目・4段目は、読めない部分をそのまま放置せず、次の行動に変える作業です。書き出した疑問をそのまま面接に持ち込めば、確認できなかった部分を減らせます。次の項目では、この数字が載る場所ごとに、読めることと読めないことを具体的に並べます。
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3. 離職率が載る場所と、読める範囲を並べます
同じ言葉でも、載っている場所によって読める範囲が変わります。4つに分けて、そこから分かることと分からないことを整理します。
載る場所と、そこから読めることの対応
| 載っている場所 | そこから読めることと読めないこと |
|---|---|
| 企業が公開する資料 | 数字そのものは示されますが、母数・期間・対象の注記がない場合は範囲を読み取れません |
| 求人の記載 | 数字が載る場合もありますが、算出方法までは載らないことが多く、記載の順番を別に確かめる必要があります |
| 公的な統計 | 業種や職種の単位でまとめられ、個別の企業にそのまま当てはめることはできません |
| 面接での説明 | 担当者の言葉で聞けますが、資料と同じ定義で答えているかは、その場で確かめる必要があります |
表を見ると、同じ言葉が使われていても、載っている場所によって読み取れる範囲がかなり違うことが分かります。企業が公開する資料は数字そのものが載っていても、注記がなければ母数や期間を確認できません。
求人の記載についても同じことが起こります。数字が載っていても算出方法までは載らないことが多く、求人票のどこに何が書かれているかを順番に確かめる作業が別に必要になります。
同じ職種であっても、企業が公開する資料と公的な統計とでは、対象にする範囲の大きさがそもそも違います。1つの会社に絞った数字と、業種全体をまとめた数字を並べて比較すると、規模の違いをそのまま数字の違いとして取り違えることになります。表の4つの場所は、範囲の大きさも異なると理解しておきます。
公的な統計は、業種や職種の単位でまとめられているため、個別の企業の状況をそのまま示すものではありません。統計の数字を、応募先の会社の数字として読み替えることはできません。
面接での説明は、担当者の言葉で直接聞ける点が資料とは違います。ただし、その場で示される数字が、資料に載っている数字と同じ定義で答えられているかどうかは、聞き方を工夫しないと分からないままになります。
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4. 募集の動きという背景も、参考として触れておきます
離職率の話からは少し離れますが、募集の動き方についても触れておきます。情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1。募集が動いている職種では、人の出入りがあること自体は珍しくないという背景として見ておく数字です。
この数字は募集の状況を示すもので、特定の会社の離職率を示すものではありません。数字が大きいからといって、応募先の会社の状況を断定することはできません。背景として知っておく程度にとどめます。
背景を知ったうえでも、応募先について確かめたいのは、その会社自身の数字と、その数字の定義です。募集の動きを示す数字と、個別の会社の数字を混同しないことが大切です。
5. 数字だけの読み方と、定義とあわせた読み方を比べます
同じ離職率という数字を目の前にしても、見方によって受け取る印象は変わります。数字だけを見る読み方は、高いか低いかをその場で判断し、資料をまたいで数字をそのまま比べてしまいます。
定義とあわせて見る読み方は、母数・期間・対象をまず確認し、それが分からない数字は比較の対象から外します。手間はかかりますが、実際と違う印象を持つ可能性を減らせます。
たとえば同じ資料を見て、片方は「入社2年目までの離職が中心」という注記に気づき、もう片方はそれに気づかず全体の数字として受け取ったとします。同じ資料を読んでいても、確認する順番と読み取る姿勢によって、その後の判断材料は変わってきます。
どちらの読み方を選ぶかで、同じ資料からでも得られる結論は変わります。数字だけを見る読み方を続けていると、比べられない数字を比べたつもりになってしまいます。
6. 読めない部分を、面接で聞く質問に直します
資料から読み取れない部分をそのままにせず、面接で聞く質問に言い換えておくと、確認が進みます。
面接で聞く質問の例
- 母数:数字を出すときの分母は、社員数全体ですか、それとも一部の区分に限っていますか
- 期間:この数字は直近1年のものですか、それとも複数年をまとめたものですか
- 対象:正社員だけの数字ですか、雇用形態を問わない数字ですか
- 算出方法:去年までと同じ数え方ですか、数え方を変えた年はありますか
面接で聞く質問に直すときは、資料を見た時点で分からなかった点をそのまま質問文にするだけで十分です。曖昧にせず、母数・期間・対象という3つの軸に沿って聞くと、担当者も答えやすくなります。
離職率について質問することに、ためらいを持つ必要はありません。定義を確かめる質問は、入社後の働き方を確認する質問と同じ位置づけにあります。試用期間の間に確かめられることもあるため、その視点は別の内容で扱っています。
その場で答えが出ない質問もあります。担当者が数字の出し方を把握していない場合は、後日の回答を依頼しておくと、資料に頼らずに定義を確認できます。
質問の順番にも工夫の余地があります。答えやすい質問から始め、答えにくそうな質問は最後に回すと、限られた面接の時間のなかでも、聞きたい点を漏らさずに確認しやすくなります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 離職率が資料に載っていない場合は、どうすればよいですか。
A. 面接や説明会の場で確認する方法があります。数字を出せない事情がある場合もあるため、答えられる範囲で構わないと伝えたうえで聞くと、確認しやすくなります。
Q2. 同じ会社でも、資料によって数字が違って見えるのはなぜですか。
A. 母数・期間・対象のいずれかが異なっている可能性があります。数字そのものが誤っているとは限らないため、まずどの資料がどの定義で数えているかを確かめます。
Q3. 面接でこの数字の定義を聞くと、印象が悪くなりますか。
A. 定義を確認する質問は、働き方を具体的に確かめる質問の一つです。母数や期間を尋ねることは、入社後の見通しを立てるための確認であり、通常の質問の範囲に収まります。
Q4. 公的な統計の離職率を、応募先の会社の数字として使ってもよいですか。
A. 業種や職種単位の統計は、個別の会社の数字とは対象が異なります。参考として背景を知る材料にはなりますが、応募先の会社自身の数字の代わりにはなりません。
8. まとめ:場所ごとに読み方を確かめます
この記事の要点
- 離職率は企業が公開する資料・求人の記載・公的な統計・面接での説明という複数の場所に載っています
- 同じ数字でも、母数・期間・対象という定義が資料ごとに異なるため、そのままでは比較できません
- 数字だけを見る読み方ではなく、定義とあわせて見る読み方に切り替えると、実際との違いを減らせます
- 資料から読み取れない部分は、面接で聞く質問に言い換えておくと、確認が進みます
- 募集の動きを示す数字と、個別の会社の数字は別のものとして扱います
離職率という数字は、探せば複数の場所で見つかりますが、比べるために必要なのは数字の大きさではなく、その数字が何を数えているかという定義です。母数・期間・対象を確かめ、読み取れない部分は面接で聞く質問に言い換えておくと、資料だけでは分からない範囲を減らしながら、応募先を確かめていくことができます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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