エンジニアの出戻り転職は甘えではありません

以前勤めていた会社に戻る「出戻り転職」を、妥協や後退だと感じてためらう人がいます。しかし転職による賃金の変化を見ると、増加した人の割合がもっとも多いという結果が出ています。
この記事が中心に置くのは、出戻り転職を判断する材料です。出戻りならではの利点と、事前に確認しておきたい点をあわせて示します。
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この記事のポイント
- 出戻り転職は妥協ではなく、選択肢の一つとして検討する価値があります
- 転職で賃金が『増加』した人は40.5%で最多。『減少』は29.4%、『変わらない』は28.4%です*1
- 出戻りを検討する際は、以前辞めた理由がすでに解消されているかどうかが最初の判断基準になります
1. 出戻り転職は妥協ではなく、選択肢の一つです
以前勤めていた会社に戻る出戻り転職を、妥協や後退だと感じる人がいます。しかし厚生労働省の調査では、転職による賃金の変化で『増加』した人の割合が40.5%と最も多く、『減少』の29.4%を上回っています*1。出戻りも、数ある転職の選択肢の一つとして検討する価値があります。
出戻り転職には、「一度辞めた場所に戻るのは格好が悪い」「前に進めていないのではないか」といった心理的な抵抗感がつきまといます。この抵抗感は、実際のデータに基づくものというより、周囲の目を気にする気持ちから生まれていることが多いものです。
厚生労働省の雇用動向調査では、転職入職者のうち賃金が「増加」した割合は40.5%で、前年より3.3ポイント上昇しています*1。この数字は転職全体を対象にした集計であり、出戻りに限定したデータではありません。それでも、転職そのものが賃金の面で一方的に不利になるわけではないという状況は、出戻りを検討する際の判断材料の一つになります。
出戻りを妥協だと決めつける前に、まずは選択肢の一つとして並べて考えてみる価値があります。ただし、以前の勤務先に戻ることが誰にとっても良い選択とは限りません。以前辞めた理由が今も残っているかどうかを見極める作業が欠かせません。
出戻りを検討する場面では、以前の勤務先だけに視野を絞る必要はありません。テレワーク中心の求人など、他の選択肢とあわせて比較したうえで判断すると、後悔の少ない結論に近づきます。
「一度辞めた場所には戻りにくい」という感覚は、周囲の目を気にする気持ちから生まれやすいものです。しかし出戻りを受け入れるかどうかを決めるのは、周囲の印象ではなく、自分がその環境でもう一度働けるかどうかという判断です。
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2. 転職で賃金が上がった人は40.5%で最多です
厚生労働省の雇用動向調査(令和6年)によると、転職入職者のうち賃金が「増加」した割合は40.5%で、前年より3.3ポイント上昇しました*1。一方「減少」した割合は29.4%で、前年より3.0ポイント低下しています。「変わらない」は28.4%でした。
増加の割合が減少の割合を11.1ポイント上回っており、転職によって賃金が下がるとは限らないことを示す資料になります。ただし、この数字は転職全体を対象にした集計であり、業種や職種、転職先の状況によって結果は変わります。
この数字が示しているのは、出戻り転職が有利であるという保証ではありません。転職という選択肢そのものが、賃金の面で一方的に不利になるわけではないという状況です。出戻りを検討する際も、思い込みだけで判断せず、こうした状況を踏まえたうえで考えてみてください。
賃金の変化は、転職先の業種や職種、そして交渉の仕方によっても結果が変わります。40.5%という数字はあくまで全体の傾向であり、個々の転職先で同じ結果になるとは限りません。
3. 出戻りを検討するときに分かれる、2つの視点
出戻りには、初めて転職する場合にはない利点があります。社内のシステムや業務の流れ、当時の人間関係をすでに知っているため、立ち上がりが速い傾向があります。まったく知らない環境に飛び込むのと比べれば、慣れるまでの時間は短くて済みます。
ただし、この利点は「以前辞めた理由が解消されている」ことが前提になります。人間関係の問題で辞めた場合、当時の上司や同僚がまだ同じ立場にいるのであれば、同じ問題が再び起きる可能性があります。
解消されているかどうかが分からない場合は、判断を急がず、当時の同僚や知人を通じて今の状況を調べることも一つの方法です。組織の体制や評価の仕組みが変わっていることも珍しくありません。
理由が解消されているという確信が持てない段階で戻ることを決めてしまうと、同じ理由で再び転職を考えることになりかねません。焦らず、状況を確かめてから判断してください。
業務内容そのものへの不満で辞めた場合は、担当する部署や役割が当時と同じかどうかも確認しておきたい点です。同じ業務に戻るのであれば、当時と何が変わったのかを具体的に把握しておく必要があります。
4. 出戻り転職のメリットと確認したい点
出戻り転職ならではのメリットと、あわせて確認しておきたい点を観点ごとに整理します。
【表1】出戻り転職のメリットと確認したい点
| 観点 | 出戻りのメリット | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 立ち上がりの速さ | 社内システムや業務の流れをすでに知っている | 当時と組織体制が変わっていないか |
| 人間関係 | 面識のある同僚や上司がいる場合がある | 当時の人間関係が今も同じとは限らない |
| 評価 | 以前の実績や実力を知られている場合がある | 評価する側の担当者が入れ替わっている可能性がある |
3つの観点はいずれも、良い面と確認したい面が表裏の関係にあります。以前の実績を知られていることは有利に働く場合がありますが、評価する側の担当者が変わっていれば、その利点はそのまま活かせません。
出戻りを決める前に、社内の状況がどう変わったかを可能な範囲で調べておくと、入社後の見え方のずれを減らせます。当時の同僚とのつながりが残っていれば、非公式な形で近況を聞いておくことも有効です。
メリットと確認したい点のどちらか一方だけを見て判断すると、入社後に見え方のずれが生じやすくなります。両方を並べたうえで、総合的に判断することが遠回りの少ない進め方です。
とくに評価の観点は見落とされやすい部分です。以前の実績を知っているのが当時の上司だけだった場合、その上司が異動や退職でいなくなっていれば、実績を前提にした評価は期待しにくくなります。
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5. 出戻り転職で見られやすい4つのポイント
出戻り転職では、初めての転職とは違う観点で見られることがあります。
出戻り転職で見られやすい4点
- 辞めた理由:当時辞めた理由が、今はどう変わったかを聞かれることがあります
- 離れていた期間の経験:他社や他分野でどんな経験を積んだかが問われます
- 戻る意欲の具体性:なぜ今このタイミングで戻りたいのかを言葉にできるかが見られます
- 組織への適応:以前と変わった体制やメンバーに合わせられるかが見られます
辞めた理由については、当時の状況をただ説明するだけでなく、その理由が今はどう変わったのかまでセットで話せると、聞き手の受け取り方が変わります。
離れていた期間の経験は、出戻りだからといって軽視されるものではありません。他社や他分野で積んだ経験は、以前の職場にはなかった視点として評価される場合があります。
戻る意欲の具体性と組織への適応は、面接の場で確認されやすい部分です。以前の職場を懐かしむ気持ちだけでなく、今の組織にどう関わっていきたいかを具体的に話せるよう準備しておくとよいでしょう。
4つのポイントは、どれか一つが突出していれば十分というものではありません。それぞれについて短くてもよいので、自分の言葉で説明できる状態にしておくと、面接の場で慌てずに答えられます。
6. 出戻り先の情報は、当時と今の違いに注目する
出戻りを検討する際にもっとも起きやすい思い込みは、「以前いた場所だから状況は分かっている」という前提です。組織の体制、評価の仕組み、メンバー構成は、離れていた期間のあいだに変わっていることが珍しくありません。
当時の記憶をそのまま前提にせず、今の状況がどう変わったかに注目して情報を集め直すことが、出戻りを判断するうえでの基本になります。可能であれば、在籍している知人や元同僚に、変わった点を具体的に聞いてみてください。
出戻りは選択肢の一つであって、唯一の答えではありません。以前の勤務先にこだわらず、テレワーク中心の求人を含めて他の選択肢とあわせて比較することで、当時と今の違いをより客観的に判断できるようになります。
戻ると決めた場合も、当時と変わらない前提で臨むのではなく、変わった部分に合わせて自分の関わり方を調整していく姿勢が、入社後の適応を早めます。
情報を集める段階では、良い変化だけでなく、都合の悪い変化も含めて把握しておくことが大切です。組織の体制が当時より厳しくなっている、あるいは以前よりも役割が縮小しているといった話が出てきた場合も、正直に受け止めたうえで判断材料に加えてください。
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 出戻り転職は転職市場で不利になりますか?
A. 出戻りだからといって一律に不利になるわけではありません。ただし、以前辞めた理由が解消されているかどうかは必ず問われます。
Q2. 転職で賃金は本当に上がりますか?
A. 厚生労働省の調査では、転職入職者のうち賃金が「増加」した割合は40.5%で最も多い結果です*1。ただし「減少」した人も29.4%おり、必ず上がるとは限りません。
Q3. 出戻りを判断する基準は何ですか?
A. 以前辞めた理由が解消されているかどうかが、最初の判断基準になります。
Q4. 出戻り以外にリモートワーク中心の転職も検討できますか?
A. できます。以前の勤務先にこだわらず、テレワーク中心の求人もあわせて比較検討する方法があります。
Q5. 面接で出戻りの理由をどう説明すればよいですか?
A. 離れていた期間に何を得たか、なぜ今戻りたいのかを具体的に説明することが大切です。
Q6. 出戻りを断られることはありますか?
A. あります。組織の体制や欠員の状況によっては、出戻りを希望しても受け入れが難しい場合があります。可能性の一つとして考えておいてください。
8. まとめ:出戻りは妥協ではなく選択肢の一つ
この記事の要点
- 出戻り転職は妥協ではなく、数ある転職の選択肢の一つとして検討する価値があります
- 転職で賃金が『増加』した人は40.5%で最多。『減少』は29.4%、『変わらない』は28.4%です*1
- 出戻りの判断基準は、以前辞めた理由がすでに解消されているかどうかです
- 出戻りの利点は立ち上がりの速さですが、組織体制や人間関係の変化は必ず確認します
- 以前の勤務先にこだわらず、テレワーク中心の求人など他の選択肢とあわせて比較できます
出戻り転職を妥協だと決めつける必要はありません。転職による賃金の変化を見ても、増加した人の割合が最も多いという結果が出ています。大切なのは、以前辞めた理由が今も残っているかどうかを見極めることです。理由が解消されているのであれば、出戻りは立ち上がりの速さという利点を持つ有力な選択肢になります。解消されていない、あるいは分からない場合は、判断を急がず状況を調べたうえで、他の選択肢とあわせて比較してみてください。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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