フォントの差異が出る求人|合わせるか諦めるかを決める
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

「私の画面では崩れています」という連絡から始まる仕事があります。同じファイルを見ているはずなのに、字の形も行の折れ方も違って見える。原因は自分の手元ではなく、連絡してきた相手のパソコンやスマートフォンの中にあり、こちらの作業だけでは直せません。求人票を読むときは、直せない場所がある仕事だという前提で、どこまで求められているかを確認する必要があります。
企業のテレワーク導入率は47.3%です*1。画面を見る相手が社内にいるとは限らず、それぞれ別のパソコンやスマートフォンを使っています。見え方の違いに向き合う仕事は、まず相手がどこにいるかを確かめるところから始まります。
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この記事のポイント
- 企業のテレワーク導入率は47.3%です。画面を見る相手が社内にいるとは限らないという前提を、この数字が裏づけます*1。
- 一般労働者の平均年齢は44.4歳です。見え方の違いをどこまで合わせるかという判断は、経験を積んだ層に回ってくる仕事です*2。
- 転職者数は2025年に330万人でした。新しい会社に移れば、それまで見えていなかった相手の環境に初めて向き合う場面が増えます*3。
1. フォントのずれは、直す場所が自分たちの外にあります。
フォントのずれを直す仕事は、届いた画面を映している相手の環境まで手を伸ばせない仕事です。一般労働者の平均年齢は44.4歳で*2、この判断を任されるのは、経験を積んだ層に多い仕事です。
「私の画面ではフォントが崩れています」という連絡は、送った側の作業が終わった後に届きます。同じファイルを開いているのに、字の形も行の折れ方も違って見える。原因は自分の手元ではなく、連絡してきた相手のパソコンやスマートフォンの中にあります。
直せない場所がある仕事だと分かった時点で、次にすることは原因を探すことではありません。フォントの崩れをどこまで追いかけるかを決めることです。指定したフォントを配って揃えてもらう、崩れても読める形に変える、そこは合わせないと決めて受け入れる。この3つのうち、どれを選ぶかは相手が社内か社外かで変わります。
求人票にこの仕事が書かれているときは、「帳票」「画面」という語と一緒に、使う人が社内か社外かを確認しておく必要があります。社内であれば指定して揃える手が通りますが、社外が相手だと、その手は使えません。
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2. 3つの手と、決めた後に残る仕事を並べます。
求人票にある「見え方の違いを合わせる」仕事には、実は3つの手があります。どれを選ぶかで、決めた後に残る仕事も変わります。
指定して揃える手は、配る相手が社内にいるときに通ります。同じフォントファイルを配布し、開く環境を揃えてしまえば、崩れそのものが起きなくなります。ただし配った記録を残さなければ、後から誰にいつ配ったかが分からなくなります。
崩れても読める形にする手は、渡すものを紙に変えるときに使います。印刷すれば、その時点の見え方が固定され、受け取る側の環境に左右されなくなります。画面のまま渡す場合には使えない手です。
そこは合わせないと決める手は、相手が社外にいて、環境を指定できないときに残る選択です。フォントが置き換わって多少見え方が変わっても、内容が伝わることを優先し、崩れを前提として受け入れます。決めた理由は残しておく必要があります。
どの手を選ぶかは、ひとりで決めきる話ではありません。要件を決める立場の人と、実際に画面を作る立場の人との間で、どこまで合わせるかを先に合意しておかないと、後から「そこまでは想定していなかった」というずれが生じます。
3. 「直しました」と言えない仕事だと知っておきます。
フォントの崩れを直す仕事は、直したという報告がしにくい仕事です。相手の環境を変えたわけではないので、次に別の相手から同じ連絡が来る可能性は残ります。
だからこそ、その都度どう判断したかを残しておく必要があります。指定して揃えたのか、読める形に変えたのか、合わせないと決めたのか。判断の記録がなければ、次に同じ連絡を受けた人が、また同じ検討を最初からやり直すことになります。
求人票でこの仕事を探すときは、「帳票」「画面」という語のそばに、使う人が社内か社外かを示す言葉があるかを見ます。社外の利用者が対象になっている求人ほど、合わせずに受け入れる判断の経験を求められます。
面談で確認するとよい問いは、「見え方の違いは、どこまで合わせる決まりですか」です。決まりがある会社なら、判断の軸をすでに持っています。決まりがない会社なら、その軸を作る仕事から始まります。
この判断は、ひとりだけで抱えるとは限りません。会社によっては、上長や品質を確認する窓口と一緒に決める運用があります。求人票に、その運用が書かれているかどうかも、確認しておく価値があります。
どちらの会社であっても、フォントの崩れそのものをゼロにする約束はできません。約束できるのは、どこまでやるかを決めて、その理由を説明できることだけです。
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4. 求人票の言葉から、対象の範囲を見分けます。
3つの手を、相手が社内か社外か、渡すものが画面か紙かで整理すると、選べる範囲がはっきりします。
【表1】相手と出力形態で、選べる手が変わります
| 相手 | 出力形態 | 選べる手 | 残る仕事 |
|---|---|---|---|
| 社内 | 画面 | 指定して揃える | 配った記録を残す |
| 社内 | 紙 | 崩れても読める形にする | 印刷版で運用を統一する |
| 社外 | 画面 | そこは合わせないと決める | 受け入れた理由を書き残す |
| 社外 | 紙 | 崩れても読める形にする | 印刷で渡す範囲を明示する |
転職者数は2025年に330万人でした*3。新しい会社に移るたびに、それまで担当していなかった利用者の環境に向き合う機会が生まれます。前の会社では社内向けの画面だけを見ていた人が、次の会社では社外の利用者を持つ求人に就くこともあります。
表の4つの組み合わせのうち、社外・画面の行だけが、環境を指定できません。求人票でこの行に当たる仕事を探すなら、合わせずに受け入れる判断をどう説明してきたかを、面談で聞いておくとよいでしょう。
同じ会社の中でも、扱う画面によって行が変わることがあります。社内向けの管理画面では指定して揃える手が使えても、その会社が運営する外部向けの画面では、そこは合わせないと決める手に切り替わります。求人票の1行だけを見て判断しないほうが安全です。
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5. テレワーク導入率から、環境が分かれる背景を見ます。
企業のテレワーク導入率を確認します。画面を見る相手が、どこに散らばっているかの背景になる数字です。
企業のテレワーク導入率は47.3%です*1。社内の全員が同じ場所で同じパソコンを使っているわけではなく、支給される機種も年式も揃っていない場合があります。フォントの崩れは、この散らばりの中で起きています。
導入率が高いほど、画面を見る相手の環境を1つに揃えることは難しくなります。指定して揃える手は、配る対象が少ないほど通りやすく、対象が広がるほど手間が増えます。
社外の利用者まで含めると、環境を数える対象はさらに広がります。テレワークの導入率が示しているのは、社内だけを見ても環境はすでに揃っていないという事実です。
6. 面談で確認する観点を整理します。
フォントの崩れをどこまで合わせるかを判断する仕事かどうかは、求人票だけでは分かりきらない部分があります。面談で確認しておく観点を整理します。
面談で確認しておきたい観点
- 対象の範囲:見え方を合わせる相手が、社内か社外かを確認します。
- 出力の形態:渡すものが画面のままか、紙に変えて渡すものかを確認します。
- 決まりの有無:見え方の違いをどこまで合わせるかという決まりが、すでに社内にあるかを確認します。
- 記録の残し方:指定して揃えた記録や、合わせないと決めた理由を、どこに残す運用かを確認します。
面談で「見え方の違いは、どこまで合わせる決まりですか」と聞くと、決まりの有無だけでなく、これまでどう判断してきたかも見えてきます。決まりがすでにある会社では、フォントの崩れに毎回同じ答えを出す必要がなく、判断の負担が軽くなります。
決まりがない会社では、その決まりを作る仕事から任されることもあります。求人票に「フォント」という言葉が直接書かれていなくても、「帳票」「画面」という語と一緒に使う人の範囲が書かれていれば、この仕事に近いと判断できます。
環境を尋ねても答えが変わらないこともあります。そのときは、そこは合わせないと決めた記録を、次にこの仕事を引き継ぐ人が読める場所に残しておくと、同じ検討を最初からやり直す時間を減らせます。
7. よくある質問(Q&A)
Q1. フォントの崩れは、こちらの作業で直せますか。
A. 直せません。崩れは、受け取る側の環境の中で起きています。こちらができるのは、指定して揃えてもらう、崩れても読める形に変える、そこは合わせないと決めて受け入れる、という3つの手を選ぶことです。
Q2. 社内向けの求人と社外向けの求人で、求められる判断は違いますか。
A. 違います。社内向けであれば、環境を指定して揃える手が通ります。社外向けであれば、環境を強制できないため、合わせないと決めて受け入れる判断が必要になります。
Q3. 印刷して渡すものであれば、見え方の違いを気にしなくてよいですか。
A. 気にしなくてよくなります。印刷した時点で見え方が固定されるため、受け取る側のパソコンやスマートフォンの環境には左右されません。画面のまま渡す場合には、この手は使えません。
Q4. 求人票のどの言葉を見れば、この仕事だと分かりますか。
A. 「帳票」「画面」という語と一緒に、使う人が社内か社外かを示す言葉が書かれているかを確認します。社外の利用者が対象であれば、合わせずに受け入れる判断の経験が求められます。
Q5. 社外の相手に、使っている環境を尋ねること自体はできますか。
A. 相手によっては可能です。取引先など限られた相手であれば、使っている環境を尋ねること自体は失礼にはなりません。ただし変更を強制はできないため、答えてもらった内容は記録として残す使い方になります。
8. まとめ:合わせるか、諦めるかを決めて説明します。
この記事の要点
- フォントの崩れは、受け取る側の環境で起きるため、こちらの作業だけでは直せません。
- 選べる手は3つです。指定して揃える、崩れても読める形にする、そこは合わせないと決める、のいずれかです。
- 企業のテレワーク導入率は47.3%です*1。画面を見る相手の環境は、会社の外にも広く散らばっています。
- 求人票では「帳票」「画面」という語と一緒に、使う人が社内か社外かを確認すると、この仕事に近いかどうかが見えてきます。
フォントのずれを扱う仕事は、直したと言い切れない仕事です。指定して揃えるのか、読める形に変えるのか、そこは合わせないと決めるのか。どれを選ぶにしても、決めた理由を残すところまでが仕事に含まれます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省「令和6年通信利用動向調査」(2025年公表)
*2 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
*3 総務省「労働力調査(詳細集計)2025年(令和7年)平均結果」(2026年公表)
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