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扶養内の退職手続き|健康保険と年金の届出と配偶者控除

扶養内の退職手続き|健康保険と年金の届出と配偶者控除のイメージ写真

配偶者の扶養に入るつもりで会社を辞めると、自分の会社の健康保険と厚生年金からは外れ、配偶者の側で手続きをすることになります。健康保険の扶養と税の配偶者控除は収入の数え方が違うので、同じ「扶養内」でも別々に考える必要があります。

扶養内の退職手続きは、配偶者の勤務先に「被扶養者(異動)届」を出すことから始まります。期限は事実発生から5日以内で、配偶者が事業主を通じて、退職証明書か離職票の写しを添えて提出する決まりです*1。健康保険の扶養は、これから先1年間の見込み収入が130万円未満かで決まり、雇用保険の失業給付も収入に入ります*1。税の配偶者控除は、その年1年間の合計所得で判定し、失業給付は所得に入りません*3*4。

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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

扶養内で退職したら配偶者の勤務先に5日以内に届け出る この記事の要約 扶養内の退職手続き 1 退職する 健康保険を外れる 2 書類を待つ 退職証明書か離職票 3 届け出る 配偶者の勤務先へ 被扶養者(異動)届は事実発生から5日以内*1 健康保険の扶養は見込み収入で決まり、失業給付も収入に入る*1 *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

この記事のポイント

  • 扶養に入る手続きは、配偶者が勤務先を通じて「被扶養者(異動)届」を出します。期限は事実発生から5日以内で、退職証明書か離職票の写しを添えます*1。
  • 健康保険の扶養は、これから先の年間の見込み収入が130万円未満かで決まります。雇用保険の失業給付も収入に入り、日額3,612円以上の基本手当が出始めたら扶養から外れます*1。
  • 税の配偶者控除は、その年1年間の合計所得で判定します。令和8年分は給与だけなら給与収入136万円以下で、失業給付は所得に入りません*3*4。

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1. 扶養内で退職したら配偶者の勤務先に届け出る

扶養内で退職したら、配偶者の勤務先に「被扶養者(異動)届」を出します。配偶者が事業主を通じて、事実発生から5日以内に提出します*1。

会社を辞めると、その会社の健康保険と厚生年金の資格は退職日の翌日に失われます。退職後の健康保険は、任意継続、国民健康保険、配偶者などが入っている健康保険の被扶養者のどれかを選んで、加入の手続きをしなければなりません*2。扶養内の退職手続きとは、このうち被扶養者になる道を選んだときの手続きのことです。

協会けんぽに加入している配偶者の扶養に入る場合は、配偶者が勤務先を通じて「被扶養者(異動)届」を日本年金機構に出します*1。届の様式は「国民年金第3号被保険者関係届」と一体になっていて、年金の手続きも同じ届で済みます*1。

配偶者が健康保険組合に入っている場合は、窓口が分かれています。年金のほうは「国民年金第3号被保険者関係届」だけを日本年金機構に出し、健康保険については配偶者の勤務先に問い合わせます*1。どちらに当たるかは配偶者の保険証や資格確認書に書かれた保険者の名前で分かるので、退職する前に配偶者に見てもらうと手続きが早く進みます。

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2. 健康保険の扶養と配偶者控除では収入の数え方が違う

「扶養内」という言葉は、健康保険の被扶養者と、税の配偶者控除の両方に使われます。2つは制度が別で、どの期間の収入を見るのか、失業給付を入れるのかが一致していません。退職した年は、片方では扶養に入れて、もう片方では外れることもあります。

被扶養者と配偶者控除の比べ方(令和8年分)

比べるところ健康保険の被扶養者税の配偶者控除
見る期間扶養に入る時点からの年間の見込み収入*1その年1月から12月までの合計所得*3
基準年間収入130万円未満(年齢や障害の有無で基準が上がる人もいる)*1合計所得62万円以下。給与だけなら給与収入136万円以下*3
失業給付収入に入る*1所得に入らない*4
手続き配偶者が勤務先を通じて5日以内に届け出る*1配偶者の年末調整か確定申告で申告する

健康保険の扶養で見る年間収入は、過去の収入ではありません*1。扶養に入る時点と、認定された日から先の年間の見込み収入で判断します*1。退職するまでに130万円以上の給与をもらっていても、退職後に収入の見込みがなければ、扶養に入れます。給与などの収入がある場合は、月額108,333円以下なら収入の条件を満たしています*1。

税の配偶者控除は、12月31日の現況で判定し、1年間の合計所得金額を見ます*3。退職する前にもらった給与もその年の所得に入るので、年の後半に退職した人は、配偶者控除の条件を超えていることがあります。

3. 失業保険を受けると日額3,612円以上で扶養から外れる

雇用保険の失業給付(基本手当)は、健康保険の扶養では収入として数えます*1。日額3,611円以下なら扶養の条件に収まり、日額3,612円以上の基本手当の支給が始まった場合は、扶養から外す届出が要ります*1。待機期間中は、収入の条件を満たしていれば扶養に入ることができます*1。

つまり、日額が3,612円以上の人は、待機期間中に扶養に入っても、支給が始まったら一度扶養を外れることになります。外れている間は、自分で国民年金の第1号被保険者の手続きをし*1、健康保険も国民健康保険などに切り替えなければなりません。基本手当の支給が終わって収入の条件を満たせば、雇用保険受給資格者証などの写しを添えて、もう一度扶養に入る届を出します*1。

基本手当の日額は、ハローワークで受け取る雇用保険受給資格者証に書かれています。扶養に入る前に日額が分からないときは、離職票を持ってハローワークで聞いてください。日額が分かれば、扶養に入ったままでよいのか、いったん外れるのかが決まり、届を出す時期も見えてきます。

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4. 退職から扶養に入るまでの届出の順

退職してから扶養に入るまでは、自分が受け取る書類と、配偶者が出す届が順につながっています。書類が届くのを待つ間に期限を過ぎないよう、次の順で進めます。

退職証明書か離職票の写しを添えて配偶者の勤務先に出す 退職する 翌日に資格を失う 書類を受け取る 退職証明書か離職票 届を出す 配偶者の勤務先へ 年金の届 協会けんぽは同じ届 被扶養者(異動)届は事実発生から5日以内に配偶者が出す*1

退職したことで収入の条件を満たす場合の添付書類は、退職証明書か雇用保険被保険者離職票の写しです*1。退職証明書は、退職した会社に請求すれば交付されます(労働基準法第22条)。離職票は、会社がハローワークで手続きをしたあとに届くので、退職日から少し日がかかります。

届を出せるのは、事実発生から5日以内に限られます*1。離職票を待っていると間に合わない場合は、先に退職証明書を会社に頼み、それを添えて出してください。配偶者の勤務先によっては独自の書類を求められることもあるので、退職日が決まった時点で、配偶者から勤務先の担当者に伝えてもらいます。

扶養内の退職手続きで書類がそろわないまま期限が近づいたら、配偶者の勤務先の担当者に、何が足りていないかをそのまま伝えます。退職証明書が先に届けば、離職票は後から出すように言われることもあり、担当者が提出の段取りを組んでくれます。

5. 配偶者控除は退職した年の給与も含めて判定する

令和8年分の配偶者控除は、配偶者の1年間の合計所得金額が62万円以下、給与だけなら給与収入が136万円以下の場合に受けられます*3。これは令和8年12月1日に施行され、令和8年分から適用される金額です*3。令和7年分の基準は、給与収入123万円以下でした*3。

合計所得が62万円を超えて133万円以下の人は、配偶者控除の代わりに配偶者特別控除が受けられます*3。控除額は最高で38万円で、配偶者の合計所得と、控除を受ける納税者本人の合計所得によって変わります*3。

退職した年の配偶者控除を受けるには、配偶者が年末調整のときに勤務先へ出す申告書に、自分のその年の合計所得の見積額を書いてもらいます。源泉徴収票に書かれた支払金額を配偶者に知らせておけば、見積額を出すときの手がかりになります。退職後に別の収入があれば、それも合わせて伝えてください。

失業給付は、配偶者控除の判定に使う合計所得金額に含める必要がありません*4。雇用保険法の規定で課税されない給付だからです*4。健康保険の扶養では収入に入る失業給付が、税では入らないので、2つを同じ物差しで測らないようにしてください。

6. 退職した年の自分の所得税は還付申告で精算する

年の途中で退職して年末調整を受けずに、給与から源泉徴収された所得税が納め過ぎになっているときは、確定申告をして還付を受けられます*5。これを還付申告といい、確定申告をする義務のない人でもできます*5。

還付申告書は、確定申告の期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます*5。退職した会社から届く源泉徴収票を手元に残しておき、翌年になってから申告します。源泉徴収票の源泉徴収税額が0円の人は、申告しても還付される所得税はありません*5。年の途中で退職した人への源泉徴収票は、退職の日以後1か月以内に交付しなければならないとされています*6。届かないときは、退職した会社の担当者に発行を頼んでください。

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7. よくある質問

Q1. 退職するまでに130万円以上稼いでいても扶養に入れますか?

A. 入れます。健康保険の扶養で見るのは退職前の給与ではなく、扶養に入ってから先の見込み収入です*1。

Q2. 失業保険をもらいながら扶養に入れますか?

A. 基本手当の日額が3,611円以下なら、受給中も扶養のままでいられます*1。日額3,612円以上なら、支給が始まった時点で扶養から外す届が要ります*1。

Q3. 扶養に入る届は自分で出すのですか?

A. 届を出すのは配偶者で、配偶者の勤務先を通じて日本年金機構に出します*1。自分は退職証明書か離職票の写しを用意して配偶者に渡します。

Q4. 国民年金の手続きは別に要りますか?

A. 協会けんぽなら、被扶養者(異動)届と同じ様式で年金の届も済みます*1。健康保険組合の場合は、年金の届だけを別に日本年金機構へ出します*1。

Q5. 配偶者控除はいつ申告しますか?

A. 控除を受けるのは配偶者なので、配偶者の勤務先の年末調整か、配偶者の確定申告で申告します。判定は12月31日の現況で行います*3。

8. まとめ:扶養内の退職手続きは5日以内の届と収入の数え方から

この記事のまとめ

  • 扶養に入るには、配偶者が勤務先を通じて被扶養者(異動)届を事実発生から5日以内に出す*1
  • 添付書類は退職証明書か離職票の写し*1
  • 健康保険の扶養は先1年間の見込み収入が130万円未満か。失業給付も収入に入る*1
  • 基本手当の日額3,612円以上の支給が始まったら扶養から外す届が要る*1
  • 令和8年分の配偶者控除は給与収入136万円以下。失業給付は所得に入らない*3*4
  • 年末調整を受けずに退職した年の所得税は、還付申告で精算できる*5

退職日が決まったら、退職した会社に退職証明書を頼んでください。あわせて配偶者に保険者の名前を見てもらい、5日以内に届が出せるよう日程を合わせます。

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出典・参考情報

*1 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き(日本年金機構・2026年9月更新)
*2 退職後の健康保険について(全国健康保険協会)
*3 No.1191 配偶者控除(国税庁・令和8年4月1日現在法令等)
*4 配偶者控除に関するQ&A Q4 雇用保険法上の求職者給付を受給している場合(国税庁)
*5 No.2030 還付申告(国税庁)
*6 No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等(国税庁)

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