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転職で年末調整の還付が多い|基礎控除は1年分の全額

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転職した年の年末調整で還付が多いのは、基礎控除などの所得控除が、働いた月数に関係なく1年分の全額で引かれるからです*1。毎月の給与から引かれた所得税の合計が1年分の税額より多ければ、その差額が還付されます*3。令和8年分は引上げ後の基礎控除で12月に計算し直すので、還付がさらに増える人もいます*4。

年末調整とは、1年分の所得税を計算し直し、毎月引かれた額との差を精算する手続です。所得控除は、所得から差し引いて税額を小さくする控除のことです。前の会社の源泉徴収票を今の会社へ出さないと、年末調整は受けられません*1。

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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

前職の給与も合わせて12月に精算するまで この記事の要約 12月に今の会社が1年分を計算し直す 1 給与を合計 前職と今の会社の分 2 控除は全額 1年分を差し引く 3 差額を還付 引かれた額が多い分 前職の源泉徴収票が無いときは確定申告で精算する 基礎控除は働いた月数で割らず1年分を差し引く *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

この記事のポイント

  • 基礎控除や扶養控除などの所得控除は、所得のあった月数で割って減らさず、全額が差し引かれます*1。4月に入社した人でも、差し引く控除は1年分の額です。
  • 源泉徴収(給与から所得税を先に引いておくこと)の合計が1年分の税額より多いと、差額が還付されます*3。少ないときは差額が徴収され、年末調整をする月の給与から引かれます*3。
  • 令和8年分は、引き上げた基礎控除を使って12月に1年分を計算し直す年です*4。11月までに給与から引かれた額は改正前の計算のままなので、その差も12月の精算に含まれています*4。

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1. 転職した年に還付が多くなる理由

年の途中で転職した人の年末調整で還付が多くなるのは、基礎控除などの控除が働いた月数で割られず、全額認められるためです*1。源泉徴収の1年間の合計は、1年間に納めるべき税額と一致するとは限りません*2。年末調整で計算した1年分の税額を年調年税額といい、源泉徴収の合計のほうが多ければ差額が還付されます*3。反対に少なければ、差額を給与から徴収します*3。

3月に学校を卒業して4月から就職した人も、控除は所得のあった月数に応じて割らず、全額が認められています*1。転職した人も年の途中で就職した人にあたり、前の会社と今の会社の給与を合わせた所得から、基礎控除を1年分差し引きます*1。退職から入社までに給与の無い月があった人は、その月の分だけ1年の給与が少なくなります。給与の無い月があっても、差し引く控除は1年分から減りません。

たとえば4月に入社した人は、1月から3月までの給与を前の会社で、4月から12月までの給与を今の会社で受け取っています。今の会社の年末調整では、この2つを合わせた給与を1年の所得として扱います*1。差し引く基礎控除や扶養控除は、今の会社で働いた月の分ではなく1年分です*1。

ただし、転職で年末調整の還付が多くなるのは控除が全額認められるときの仕組みで、転職したすべての人に当てはまるわけではありません。源泉徴収の合計が年調年税額を下回った人や、年末調整を終えてから扶養親族が減った人は、追加で徴収されます*3*5。そのため、還付か徴収かは、控除の額と引かれた所得税の合計を並べて計算するまで分かりません。

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2. 前の会社の源泉徴収から12月の年末調整まで

前の会社で「扶養控除等(異動)申告書」を出して給与を受けていた人は、その給与も含めて今の会社で年末調整を受けます*1。「扶養控除等(異動)申告書」は、年末調整を受ける人が勤め先へ出す申告書です*2。前の会社で支払われた給与の額と、源泉徴収された所得税や社会保険料の額は、前の会社から受け取った源泉徴収票などで確認します*1。

転職した年の所得税が精算されるまで 前の会社 毎月の給与から源泉徴収 退職 源泉徴収票を受け取る 今の会社 源泉徴収票を出す 12月 年末調整で差額を還付か 徴収 前職と今の会社の給与と税額を合わせて1年分を計算し直す

つまり、源泉徴収票は、前の会社で引かれた税額を今の会社へ伝える書類です。今の会社は、2つの会社の給与を合わせた1年分の所得から所得控除を全額差し引き、年調年税額を出します*1。そのうえで、2社で引かれた源泉徴収の合計と年調年税額を比べ、差額を還付か徴収で精算します*3。

退職のときに受け取る源泉徴収票には、その年に前職で受け取った給与と引かれた所得税の額が書かれています*1。今の会社は、この額を自社で払った給与と足し合わせて1年分の所得を出す計算です*1。退職から12月までに間が空く人は、受け取った源泉徴収票をなくさないよう手元に保管しておきます。

3. 前職の源泉徴収票が無いときは確定申告で精算

ただし、前の会社の給与や源泉徴収された税額を源泉徴収票などで確認できないときは、今の会社は年末調整を行えません*1。その場合は、本人が確定申告で1年分の税額を精算します*1。確定申告とは、1年分の所得と税額を自分で計算して税務署へ申告する手続です。

そのため、転職で年末調整の還付や徴収を12月に済ませたい人は、前職の源泉徴収票を今の勤め先へ渡しておく必要があります。年の途中で2回以上転職した人は、前の会社ごとに源泉徴収票を出してください*1。前の会社の給与を含めずに計算した税額は1年分の計算になっていないので、今の会社の給与だけで年末調整を済ませることはできません*1。

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4. 令和8年分の基礎控除は88万円から104万円へ

令和8年分は基礎控除が引き上げられました*4。合計所得金額(1年間の所得を合計した額)が489万円以下の人の基礎控除は104万円です*4。改正前の令和8年分の計算では、合計所得金額132万円超336万円以下の人は88万円でした*4。

合計所得金額132万円超336万円以下の人の基礎控除(令和8年分) 改正前の計算 88万円 改正後 104万円 12月の年末調整で引上げ後の104万円を使って計算し直す *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

11月までの源泉徴収は変わらず、引上げの分は12月の年末調整でまとめて精算されます*4。改正前に88万円だった人は、12月の年末調整で104万円を差し引いて1年分を計算します*4。令和8年分に転職で年末調整の還付が増えることがあるのは、この引上げ分が12月の計算に入るためです。

11月までの給与明細で引かれている所得税は、改正前の計算による額です*4。引上げの分が給与明細に出てくるのは、12月の年末調整の精算からになっています*4。11月までの給与明細だけを見て、基礎控除の引上げが反映されていないと考える必要はありません。

あわせて読みたい | 年末調整は2026年に何が変わる?国税庁が挙げる基礎控除の引上げ

5. 還付か徴収かが分かれる4つの場合

年末調整の結果は、1年間に引かれた所得税の合計と年調年税額のどちらが多いかで分かれます*3。ほかに、年末調整の後に扶養親族が減ったときと、前職の源泉徴収票で金額を確認できないときも扱いが変わります*1*5。表の4つのうち還付になるのは、源泉徴収の合計が多い場合です。

年末調整で還付か徴収かが分かれる4つの例

場合何が起きるか根拠
源泉徴収の合計が年調年税額より多い差額が還付される*3
源泉徴収の合計が年調年税額より少ない差額が給与から徴収される*3
年末調整の後に扶養親族が減った年末調整をやり直して不足額を徴収する*5
前職の源泉徴収票で金額を確認できない年末調整ができず確定申告で精算する*1

差額が徴収されるときは、年末調整をする月の給与から引かれます*3。その月の給与で引ききれない分は、その後の給与から順に引かれる決まりです*3。12月の給与明細で所得税が多く引かれていたら、年末調整で不足額を徴収された可能性があります。

一方、年末調整の後、12月31日までに扶養親族が減ったときは、申告書を出して年末調整をやり直し、不足する税額を徴収します*5。扶養親族が増えたときもやり直しができ、やり直さなかったときは本人が確定申告で還付を受けられます*5。扶養親族の数が年末までに変わったら、早めに今の会社の担当者へ伝えてください。

6. 年末調整の前に今の会社へ出す書類

今の会社で年末調整を受けるには、前職の源泉徴収票と「扶養控除等(異動)申告書」の2つを出します*1*2。保険料などの控除を受ける人は、その証明書も会社の案内に沿って用意します。前職の源泉徴収票が抜けると年末調整そのものができないので、最初にそろえておくと安心です*1。

転職した年の年末調整で今の会社に出す源泉徴収票と申告書

  • 前の会社の源泉徴収票:前職で受け取った給与と引かれた税額を、今の会社の年末調整に含めるために使います*1。2社以上で働いた人は、前の会社ごとの源泉徴収票を出してください。
  • 「扶養控除等(異動)申告書」:今の会社に出していないと、その会社で年末調整を受けられません*2。年末調整の後に扶養親族が減ったときも、この申告書を出し直します*5。
  • 生命保険料控除などの証明書:保険料の控除を受ける人は、会社の案内に沿って出します。どの証明書が要るかは、今の会社から届く年末調整の案内に書かれています。

7. よくある質問

Q1. 還付が多いのは計算の間違いですか?

A. 計算の間違いとは限りません。年の途中で転職した人は、所得控除を月数で減らさず1年分の全額を差し引くので、還付が多くなることがあります*1。金額に心当たりが無いときは、会社に計算の内訳を尋ねてください。

Q2. 追加で所得税を引かれたのはなぜですか?

A. 毎月の源泉徴収を足した額が年調年税額に届かないと、差額が給与から徴収されます*3。12月31日までに扶養する親族の数が減ったときも、年末調整をやり直して不足した税額が徴収されます*5。どちらにあたるかは、今の会社で年末調整の内訳を見せてもらってください。

Q3. 前職の源泉徴収票が届かないときはどうなりますか?

A. 前職の金額が分からないままだと今の会社では年末調整ができず、自分で確定申告をして精算します*1。源泉徴収票が届かないときは、退職した会社に送付を依頼してください。

Q4. 4月から働き始めた人も基礎控除は1年分ですか?

A. 差し引くのは1年分の全額です*1。働き始めた月が遅くても、基礎控除や扶養控除を月数に応じて減らすことはありません*1。

Q5. 年末調整の後に扶養親族が増えたときはどうすればよいですか?

A. 今の会社で年末調整をやり直してもらえます*5。やり直さなかったときも、本人が確定申告をすれば還付を受けられます*5。

Q6. 令和8年分は誰でも基礎控除が104万円ですか?

A. 104万円になるのは、合計所得金額が489万円以下の人です*4。489万円を超える人は、104万円とは別の額の基礎控除で1年分を計算します。

Q7. 前の会社で引かれた社会保険料も年末調整に入りますか?

A. 前の会社で引かれた社会保険料の額も、所得税の額と一緒に源泉徴収票などで確認し、今の会社の年末調整に含めます*1。源泉徴収票を出すと、2社分の社会保険料を合わせた額で1年分の税額を計算できます*1。

8. まとめ:転職した年の年末調整で還付が増えるとき

転職した年の年末調整で押さえること

  • 所得控除は、働き始めた月に関係なく1年分が差し引かれます*1。
  • 源泉徴収の合計が年調年税額を上回った分は還付され、下回った分は徴収されます*3。
  • 前の会社の源泉徴収票が無いと、今の会社では年末調整ができません*1。
  • 令和8年分は、基礎控除の引上げ分も12月の計算に含まれています*4。
  • 年末調整の後に扶養親族が減ったときは、やり直しで不足した税額が徴収されます*5。

前の会社の源泉徴収票がまだ手元に無い人は、年末調整の前に前の会社へ発行を頼んでください。

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出典・参考情報

*1 国税庁 タックスアンサー No.2674 中途就職者の年末調整
*2 国税庁 タックスアンサー No.2662 年末調整のしかた
*3 国税庁 タックスアンサー No.2675 年末調整の過不足額の精算
*4 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」Ⅰ 昨年と比べて変わった点
*5 国税庁 タックスアンサー No.2671 年末調整の後に扶養親族等の人数が異動したとき

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