新人の教育を任されたとき|渡す順番

新人の教育を任されたとき、何から教えるかで迷う場面があります。ただし、必要なのは教え方の工夫ではなく、渡すものと渡す順番を先に決めることです。場所・仕事・判断・記録という並びで渡していくと、新人自身も次に何を渡されるかが見えるようになります。ここでは、その順番の決め方を見ていきます。
新人教育で先に決めるべきは、渡すものと渡す順番です。教え方を工夫する前に、場所・仕事・判断・記録という並びを決めておくと、渡し忘れや説明の重複を防げます。
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この記事のポイント
- 新人教育で最初に整理するのは、教え方ではなく渡すものと渡す順番です
- 渡す順番は、場所を渡す→仕事を渡す→判断を渡す→記録に残す、という並びで整理できます
- 一般労働者の賃金は全国計で月340.6千円です*1。雇用形態が違っても、順番を決める進め方は変わりません
1. 新人への教え方より先に、渡す順番を決めます
新人教育で最初に必要なのは、教え方の工夫ではありません。何を渡すかという範囲と、どの順で渡すかという並びを先に決めることです。順番が決まっていれば、教え方が違っても次に何を渡されるかが分かります。
新人の教育を任されると、何をどう教えるかに気を取られがちです。ただし、困っているのは、教え方の巧拙ではありません。
困っているのは、次に何を渡されるかが分からないという状態です。渡す側が順番を決めていないと、新人は今日渡された内容がどこに位置づくのかを判断できません。
順番を決めるという作業は、教える技術とは別に進められます。教わる側の学び方に合わせて教え方を変える必要はなく、渡す範囲と順番を先に整理すれば、教え方が変わっても筋は保てます。
渡す順番が決まっていれば、担当が変わったときも引き継ぎやすくなります。本人にとっても、次に渡されるものが見える状態は、いまの位置を確かめる目印になります。
渡す順番が決まっていると、教える側が途中で変わったときの引き継ぎも進めやすくなります。担当者が代わっても、同じ並びに沿って渡していけば、抜けや重複を防げます。
分からない点や判断が難しい点が出てきた場合は、勤務先の上長や人事に確かめるという進め方があります。
この先では、渡すものを表で整理し、渡す順番を場面ごとに並べ、その場で答える進め方と順番を決めてから始める進め方を対比し、書き出すときの型、よくある質問という順に見ていきます。
2. 渡す順番が無いことが、迷いを生んでいると見えてきます
新人が実際に困っている場面を見ると、教え方が下手だったという例は多くありません。むしろ多いのは、渡した側の意図が伝わっていない場面です。
渡す側が順番を決めずに、思いついた順に伝えていくと、渡された内容がどの位置にあるのかを自分で組み立て直す必要が出てきます。この組み立て直しに時間がかかると、理解が遅いように見えてしまいます。
順番を決めるとは、渡すものを大きな単位に分け、その単位に並びをつけることです。場所を渡し、仕事を渡し、判断を渡し、記録に残す、という並びであれば、いまどの段階にいるかを自分で確かめられます。
この並びは、性格や学び方によって変える必要はありません。渡す側が最初に決めておけば、担当者が変わっても同じ並びを引き継げます。
渡す量を一度にまとめて渡す必要もありません。ひとつの場面を渡し終えてから次の場面に移るほうが、区切りが分かりやすくなります。
一般労働者の賃金は全国計で月340.6千円です*1。雇用形態や賃金の水準が違っても、渡す順番を決めるという進め方自体は変わりません。
渡す内容を書き出すときは、読み手を新人に絞って書くと、伝わりやすくなります。書き方に迷う場合は、読み手を決めてから書くという進め方もあります。
あわせて読みたい | ドキュメントが書けないとき|読み手を決めてから書く
3. 渡すものを表で整理します
渡すものを、4つに分けて整理します。
渡すもの・渡す目安・確かめる相手
| 渡すもの | 渡す目安 | 確かめる相手 |
|---|---|---|
| 働く場所と使う設備 | 一人で使える状態まで | 配属先の上長 |
| 担当する仕事の範囲 | 任せられる単位まで区切る | 教育を担当する先輩 |
| 判断してよい範囲 | 決めてよい範囲を明示する | 配属先の上長 |
| 分からないときの確認先 | 確認先を一つに決めておく | 教育担当者や人事 |
表の4項目は、渡す順に近い並びにしています。場所を渡すことは、新人がその後の仕事を覚える土台になります。
担当する仕事の範囲は、最初から全部を渡す必要はありません。任せられる単位まで区切ってから渡すと、今どこまで任されているかを把握しやすくなります。
判断してよい範囲を渡すときは、決めてよいことと確認が必要なことを分けて示します。範囲が曖昧なままだと、判断のたびに確認を挟むことになります。
分からないときの確認先は、渡す側が最初に一つ決めておきます。確認先が複数あると、どちらに聞けばよいか迷う場面が増えます。
表に書き出した内容は、口頭で伝えるだけでなく、メモや資料としても残せます。渡す内容を書き出しておくと、渡し忘れにも気づきやすくなります。
4項目のうち、どこから渡すかは次の項目で場面ごとに並べます。
あわせて読みたい | 引き継ぎ資料に何を残すか|後任が困らない順
4. 渡す順番を4つの場面で並べます
ここで、渡す順番を4つの場面に分けて並べます。新人に渡す内容は、この並びに沿って進めると把握しやすくなります。
4つの場面は、場所→仕事→判断→記録という並びにしています。最初に必要となるのは、仕事の内容より先に、働く場所と設備の使い方です。
場所を渡した後は、仕事を渡す段階に移ります。ここでも、すべてを一度に渡すのではなく、任せられる単位まで区切ってから渡す進め方があります。
判断を渡す段階では、自分で決めてよい範囲を示します。範囲を渡さずに仕事だけを渡すと、判断のたびに確認を挟むことになり、渡した側も対応する場面が増えます。
最後の記録に残すという段階は、渡した内容を後から確認できる形にする作業です。口頭で渡した内容も、メモや資料に残しておくと、後で読み返せます。
引き継ぎの資料に何を残すかという観点は、後任に渡す場合とも共通する部分があります。
担当が途中で変わる場合も、この並びがあれば、どこまで渡したかを次の担当者に伝えやすくなります。並びそのものを引き継ぐだけで、抜けを防げます。
4つの場面の順番は、状況によって入れ替えても大枠は保てます。次の項目では、順番を決めない進め方と、決めてから始める進め方を対比します。
5. その場で答える進め方と、順番を決めてから始める進め方を対比します
2つの進め方を並べて対比します。
2つの進め方は、どちらが優れているという話ではありません。渡す準備をいつ整えるかという違いです。
その場で聞かれたら答える進め方は、質問が出るたびに答える分、都度の負担は小さく見えます。ただし、聞かれなかった内容は渡らないまま残ることがあります。
順番を決めてから始める進め方は、渡す内容と並びを先に整理する分、始める前の準備に時間がかかります。ただし、渡した後に同じ説明を繰り返す場面は減ります。
どちらの進め方を選ぶかは、渡す側の状況によって変わります。渡す相手が一人か複数か、担当する仕事の幅がどれくらいかによっても、選び方は変わってきます。
実際に選べるのは、渡す前にどこまで順番を決めておくかという範囲です。全部を決め切らなくても、大きな並びだけ先に決めておく進め方もあります。
順番を先に決めたとしても、途中で並びを微調整することはできます。決めた並びを変えられないわけではなく、大枠を保ったまま調整する余地は残ります。
6. 渡す内容を書き出すときの3つの型を揃えます
渡す内容を書き出すときに使える型を、3つ示します。
渡す内容を書き出す3つの型
- 場面ごとに書き出す型:場所・仕事・判断・記録の場面ごとに要点を残します
- 相手ごとに整理する型:確認先や担当者を、渡す内容と紐づけて残します
- 順番を決めてから始める型:渡す前に大きな並びだけ決めておき、詳細は後から埋めます
場面ごとに書き出す型では、場所・仕事・判断・記録という場面ごとに要点を残します。渡す内容を場面で区切ると、渡し忘れにも気づきやすくなります。
相手ごとに整理する型では、確認先や担当者を、渡す内容と紐づけて残します。確認する相手が分かっていれば、渡した後の質問にも対応しやすくなります。
順番を決めてから始める型では、渡す前に大きな並びだけ先に決めておき、詳細は渡しながら埋めていきます。すべてを事前に完成させる必要はありません。
3つの型は、組み合わせて使うこともできます。渡す内容の量や、担当する仕事の幅に合わせて選べます。
組み合わせる例として、場面ごとに書き出した内容に、確認先を紐づけて残す進め方もあります。組み合わせ方に決まりはありません。
引き継ぎを受ける側にも、分からない点を形にするという共通する進め方があります。
型を決めたら、次の項目でよくある質問を見ていきます。
あわせて読みたい | 引き継ぎを受ける側の仕事|分からないを形にする
7. よくある質問|新人に渡す順番の相談先
Q1. 新人にどの順で渡すか迷ったときは、どう決めればよいですか。
A. まずは渡す内容を書き出し、場所・仕事・判断・記録のように大きな場面に分けます。分け方に迷う場合は、勤務先の上長や人事に確かめるという進め方があります。
Q2. 渡す順番は、教える側の経験によって変えたほうがよいのでしょうか。
A. 順番の決め方に一つの正解があるわけではありません。まずは渡す内容を書き出し、担当する仕事の範囲に合わせて並びを決めるという進め方があります。迷う点は勤務先の上長や人事に相談できます。
Q3. 渡す順番を決めても、教わる側の理解のペースに差がある場合はどうすればよいですか。
A. 並びを保ったまま、渡すタイミングだけを状況に合わせて調整するという進め方があります。判断に迷う場合は、勤務先の上長や人事に確かめておくと進めやすくなります。
Q4. これから新人教育を任される予定がある場合、事前に何を確認すればよいですか。
A. 受け入れの進め方や渡す範囲について、面接の場で聞いておくという進め方があります。入社前に確認しておくと、任された後の進め方を組み立てやすくなります。
8. まとめ:渡す順番は、書き出すことから始まります
この記事の要点
- 新人教育で最初に必要なのは、教え方の工夫ではなく渡す順番を決めることです
- 渡す順番は、場所→仕事→判断→記録という並びで整理できます
- 一般労働者の賃金は全国計で月340.6千円です*1。雇用形態が違っても、順番を決める進め方は変わりません
- 渡す内容を書き出すときは、場面ごと・相手ごと・順番を決めてから始める、3つの型を使い分けられます
- 迷う点や確認が必要な点は、勤務先の上長や人事に確かめるという進め方があります
渡すものを決めるとき、教え方の工夫から始める必要はありません。まず、渡す範囲と順番を書き出すことから始められます。渡す順番は、場所・仕事・判断・記録という並びで整理でき、状況に応じて前後させても大枠は保てます。順番を書き出す作業は、一度に完成させなくてもかまいません。渡しながら見直しても、大枠が決まっていれば進めやすくなります。分からない点や判断に迷う点が出てきたときは、勤務先の上長や人事に確かめるという進め方があります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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