退職理由をどう答えるか|事実の並べ方

退職理由をどう答えるかで迷うとき、多くの人は前職への評価をどう言えば失礼にならないかを考えます。実際に整理できるのは、良し悪しの評価ではなく、そこで何があったかという事実と、次はどう変えたいかという希望です。
ここで軸に置くのは、評価の言葉を事実の言葉に置き換える考え方です。会社の対応や制度そのものの是非には立ち入らず、話し方の整理に絞って進めます。
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この記事のポイント
- 退職理由は、前職への評価ではなく、何があったかという事実と、次に変えたいことを分けて話すと整理できます
- テレワークを導入している企業の割合は47.3%です*1。働く場所を変えたいという希望は、いまは確かめられる条件になっています
- 評価の言葉を事実の言葉に置き換えると、担当する範囲・働く場所と時間・関わる人の並び・評価の決まり方の4つで説明できます
1. 退職理由は、評価ではなく事実で答えられます
退職理由は、前職への評価を述べるものではなく、そこで何があったかという事実と、次はどう変えたいかという希望を分けて話すことで答えられます。良し悪しを判断する言葉を使わなくても、担当していた業務や決め方の実態を事実として伝えれば、退職理由は十分に伝わります。
どう答えるかで迷う場面の多くは、前職への評価をどう言えば失礼にならないかを考えるところから始まります。実際に整理できるのは、良し悪しの評価ではなく、そこで何があったかという事実です。
評価の言葉には、良い・悪いの判断が入ります。判断が先に立つ言い方は、話している本人の受け取り方が前提になり、聞く側には伝わり方が変わることがあります。
事実の言葉は、判断を挟まずに、何がどう決まっていたかを述べます。担当していた業務の範囲、働く場所や時間、関わる人の並び、評価の決まり方は、いずれも事実として言い切れる内容です。
退職理由を事実で答えると、面談で深掘りされた場合にも、同じ内容をそのまま詳しく話すことができます。評価の言葉は、深掘りされるほど印象の話になりやすくなります。
事実として話す内容は、良し悪しの評価を含まないため、前職がどこであっても同じ形で使えます。転職先が変わっても、担当していた業務や決め方の実態という骨格は保たれるので、話すたびに言葉を選び直す必要が少なくなります。
2. 評価で話す言い方と、事実で話す言い方の違い
退職理由を話すとき、評価の言葉と事実の言葉のどちらを選ぶかで、伝わる内容が変わります。
評価で話す言い方は、前職の良し悪しを判断する形になります。判断が入ると、聞く側は前職への不満として受け止めることがあります。
事実で話す言い方は、判断を挟まずに、何がどう決まっていたかを述べる形になります。同じ出来事でも、判断の言葉を外すだけで、聞こえ方は変わります。
たとえば「決め方が誰にあるか分からなかった」という言い方は、良し悪しを述べていません。誰が決めていたかという事実を述べているだけです。ここから、次はどう決まる形を望むかという希望につながります。
評価の言葉が先に出てくるのは自然なことです。そこから、判断の部分を外して、何があったかという事実だけを残す作業をすれば、話す内容は整理できます。
退職理由を話す相手は、前職を知らない相手です。前職の評価そのものより、次にどう働きたいかを事実から伝えるほうが、相手にとっても判断しやすい材料になります。
評価の言葉をすべて禁止する必要はありません。感じたことを事実に置き換える作業に慣れるまでは、まず心の中で評価の言葉を思い浮かべ、そこから判断の部分だけを外すという手順で進めても構いません。
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3. 変えたいことを、事実として言い換える表
変えたいことを4つに分け、それぞれ事実としてどう言えるかを整理します。
【表1】変えたいことと、事実として言えること
| 変えたいこと | 事実として言えること |
|---|---|
| 担当する範囲 | 担当していた業務の範囲が、誰の判断でいつ決まっていたかを言えます |
| 働く場所と時間 | 勤務地や稼働時間が、誰の判断でどう決まっていたかを言えます |
| 関わる人の並び | 誰と誰の間で仕事を進めていたか、その並びを言えます |
| 評価の決まり方 | 評価が、どの時点で誰の判断によって決まっていたかを言えます |
表の左列は、変えたいと感じやすい4つの領域です。右列は、それぞれについて事実として言える内容にあたります。
担当する範囲は、任される仕事がどう決まっていたかという事実です。良い・悪いではなく、決める人が誰だったかを述べれば、次にどう変えたいかにつながります。
働く場所と時間についても、同じように事実で述べられます。出社か在宅か、勤務時間の決め方がどうなっていたかは、判断ではなく実態の話です。
関わる人の並びは、誰の指示を受けて、誰と連携していたかという構造の話です。人物への評価ではなく、並びそのものを述べれば、変えたい形も伝えやすくなります。
評価の決まり方は、基準がいつ誰によって示されていたかという事実です。基準が見えにくかったという事実は、良し悪しの判断とは別のものとして話せます。
4つのうち、話す際にすべてを使う必要はありません。自分が変えたいと感じている領域を1つか2つ選び、そこに絞って事実を述べるほうが、内容がまとまります。
4つの領域は、重なって当てはまることもあります。担当する範囲の変更が、評価の決まり方にも影響していた場合は、どちらから話し始めても構いません。話しやすいほうを選んでください。
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4. 関わる人の並びも、事実で説明できます
人との関わりに触れる場面では、特に評価の言葉が出やすくなります。「合わなかった」という言い方は、判断が先に立ちます。
事実として言えるのは、誰の指示を受けて、誰と連携して仕事を進めていたかという並びです。判断ではなく、構造として述べられます。
たとえば、決裁の窓口が複数あり、確認の順番が定まっていなかったという状態は、事実として述べられます。誰が良い・悪いという話にはなりません。
働き方についても同じです。出社が前提だったか、在宅を選べる余地があったかは、良し悪しではなく、選べる幅がどうだったかという事実です。働き方の希望に触れる場合も、選べる幅がどう変わったかという事実に絞ると伝わりやすくなります。
並びを事実で述べると、次にどんな並びを希望するかも、同じ言葉の続きとして話せます。評価から入ると、この続きが不満の解消に見えてしまいますが、事実から入ると働き方の選択に見えます。
面談で人間関係に話が及んだときは、感情の説明よりも、誰がどこまで決めていたかという構造の説明を先に置くと、話が整理された印象になります。
構造として述べる話し方は、次の職場で同じ並びを避けたいという希望にもつながります。誰の判断で仕事が決まる形を望むかを合わせて伝えれば、次の職場選びの基準としても具体的に伝わります。
5. 言葉を事実の側に寄せていく目盛り
評価の言葉と事実の言葉は、どちらか一方だけを使うものではありません。話しているうちに、評価の言葉が混ざることもあります。
大切なのは、最初に置く言葉を事実に寄せておくことです。判断を述べる言い方ではなく、決裁までにかかっていた期間のような、決め方や状況の説明を先に置くと、続く話も事実の側に寄っていきます。
退職理由を話す準備をする際は、書き出した言葉のうち、判断が入っている部分を先に見つけて、決め方や状況の説明に置き換える作業から始めると進めやすくなります。
置き換えが難しい部分が残っても、無理にすべてを事実に変える必要はありません。判断の言葉が少し混ざっていても、事実の部分が多ければ、伝わり方は大きく変わります。
6. 事実で話すために、先に用意しておきたい3つ
事実で話す準備として、先に用意しておきたいことを3つに絞ります。
事実で話す前に用意しておきたい3つ
- 変えたい領域を1つに絞る:担当する範囲・働く場所と時間・関わる人の並び・評価の決まり方のうち、話す領域を先に決めます
- 決め方の事実を1つ挙げる:良し悪しではなく、誰がいつ何を決めていたかを、具体的な場面で1つ思い出します
- 次に望む決め方を言葉にする:変えたい領域について、次はどう決まる形を望むかを、短い言葉にしておきます
3つを順番に用意しておくと、退職理由を聞かれた場面で、評価の言葉に流れずに話し始めることができます。
領域を絞らずに話し始めると、複数の不満を並べる形になりやすく、聞く側には評価の話として伝わります。1つに絞ることが、事実として話す入り口になります。
決め方の事実は、具体的な場面であるほど伝わります。判断を述べる言い方ではなく、ある業務の担当が決まる際に誰の判断だったかが分からなかったという場面を、1つ思い出しておきます。
次に望む決め方は、抽象的な希望よりも、具体的な決め方の形で言葉にしておくと、面談で聞かれたときにも同じ言葉でそのまま話せます。
3つの準備は、面談の直前に一度で仕上げる必要はありません。日をおいて見直すと、最初に選んだ場面より、事実として言い切れる場面が見つかることもあります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 退職理由で、前職の悪い点を話してはいけませんか。
A. 良し悪しの判断を述べる形は避けたほうが伝わりやすくなります。悪い点そのものではなく、何が事実として決まっていたかを述べれば、同じ内容でも判断を挟まずに話せます。
Q2. 事実だけを話すと、退職理由が弱く聞こえませんか。
A. 弱く聞こえるとは限りません。何が決まっていたかという事実と、次にどう変えたいかという希望を分けて話せば、判断の言葉がなくても内容は具体的に伝わります。
Q3. 働き方を変えたいことも、退職理由として話せますか。
A. 話せます。出社か在宅か、勤務時間がどう決まっていたかという事実を述べたうえで、次にどんな決まり方を望むかを添えれば、働き方の希望も事実の話として伝わります。
Q4. 面談で深掘りされたとき、どこまで事実を話せばよいですか。
A. 聞かれた範囲に答える形で構いません。決め方や状況について、具体的に説明できる事実を1つ持っておけば、深掘りされても同じ言葉で答えられます。
8. まとめ:事実と希望を分けて話せば、退職理由は伝わります
この記事の要点
- 退職理由は、前職への評価ではなく、何があったかという事実と、次に変えたいことという希望に分けられます
- 評価の言葉は前職の良し悪しの話になり、事実の言葉は変えたい仕事の話になります
- 変えたいことは、担当する範囲・働く場所と時間・関わる人の並び・評価の決まり方の4つに整理できます
- 話し方は、判断の言葉を決め方や状況の説明に置き換えるほど、事実の側に寄っていきます
- 事実で話す準備は、変えたい領域を1つに絞り、決め方の事実と次に望む決め方を言葉にすることから始められます
退職理由は、前職の良し悪しを評価する言葉ではなく、そこで何があったかという事実と、次はどう変えたいかという希望に分けて話せます。担当する範囲、働く場所と時間、関わる人の並び、評価の決まり方のいずれかを1つ選び、事実から話し始めてみてください。
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出典・参考情報
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