リモートワークだと出世できない?昇進の評価と管理職の仕事

リモートワークだから出世できないと決まっているわけではありません。評価の方法は会社ごとに異なり、厚生労働省のガイドラインは出社していることだけで高く評価するのは適切でないとしています*1。違いが出るのは評価の決まり方なので、入社前に聞けば判断できます。
ガイドラインは法令ではなく、罰則はありません*1。そのため実際の運用は会社によって違い、求人票だけでは評価の仕組みまで読めません。面接で使える質問の例も挙げます。
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この記事のポイント
- 出世できるかどうかは、リモートワークかどうかではなく、会社ごとの評価の方法で変わります。評価は会社が工夫して行うのが基本だと、厚生労働省のガイドラインは示しています*1。
- 出社の頻度が本人に委ねられている職場で出社者を優遇する評価は、ガイドラインが適切でないとしている点です*1。時間外のメールに応じなかったことを理由にした不利益な評価も同じです*1。
- 入社前に聞くのは、評価の項目、昇進に必要な水準、管理職の働く場所の3つです。質問は面接の最後の逆質問で使えます。
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
リラシクの強み
リモートワークのまま昇進を目指すなら、応募の段階で出社の条件を絞っておくと面接の話が早く進みます。リラシクの求人は、「週1日以上の出社」「社内イベントでの出社可能性あり」などの条件で絞り込めます。
内定後の条件交渉では、リモートワークに入る時期の交渉もエージェントが手伝います。評価と昇進の決まり方を聞いたあとで、入社の時期を相談する場面にも使えます。
1. 出世できないと決まっているわけではない
リモートワークを理由に出世できなくなると決まってはおらず、昇進の見られ方は会社ごとの評価の仕組みで決まります。厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(以下、ガイドライン)は、人事評価は企業が手法を工夫して行うのが基本としています*1。上司が部下に求める内容と水準を先に具体的に示すことも、望ましいとされています*1。評価の項目と昇進の条件を入社前に聞けば、昇進を目指せる会社かを判断できます。
テレワークは顔を合わせない働き方なので、業務の進み具合や成果を出す過程の能力を上司が把握しにくい面があるとの指摘があります*1。ガイドラインはこの指摘を挙げたうえで、評価は会社が工夫して適切に行うものとしています*1。把握しにくいことは、評価をしない理由として挙げられていません。
昇進に差がつくかどうかは、評価の仕組みと、その仕組みが実際に使われているかの2つで分かれます。評価の仕組みは求人票や面接で聞けますが、実際に使われているかは入社してみないと分かりません。そのため入社前にできるのは、評価と昇進の条件を、言葉と書面で先に聞いておくことです。
テレワークの広がりは業種で違います。雇用型テレワーカーの割合は全国で25.2%、情報通信業では74.1%です*3。同じテレワークの求人でも、出社している人が多い職場かどうかは会社で違います。出社者の多い職場に在宅で入るなら、評価の仕組みを先に聞いておく意味が大きくなります。
2. 評価の決まり方は会社ごとに違う
出社が中心の会社でも、フルリモートの会社でも、評価の方法を決めるのは会社です。下の図は、出社中心からフルリモートまで、どの働き方の会社でも評価と昇進の決まり方を入社前に聞くことを示しています。
ガイドラインは、テレワークの実施頻度が労働者に委ねられている場合などに、出社者を高く評価することは適切な人事評価とはいえないとしています*1。この指摘が当てはまるのは、出社するかどうかを本人が選べる職場です。出社日が会社に決められている職場では、出社日の働きぶりが評価に入ることは別の話になります。
出社中心の会社でもフルリモートの会社でも、聞く質問は変わりません。評価の項目は何か、昇進に必要な水準は示されるか、昇進した人はどこで働いているかの3つです。働き方の違いは、評価の仕組みの良し悪しとは別のものです。
出社が多い会社を選ぶ場合も、フルリモートの会社を選ぶ場合も、聞いた答えは求人票の出社条件と並べると比べやすくなります。
あわせて読みたい | ハイブリッド勤務の出社日は誰が決める?在宅との割合
3. ガイドラインが挙げる評価の点と入社前の質問
ガイドラインの人事評価の項目から、昇進に関わる点を5つ取り出し、入社前に聞く質問と対応させました。
ガイドラインが挙げる評価の点と入社前に聞くこと
| 評価の点 | ガイドラインの内容 | 入社前に聞くこと |
|---|---|---|
| 評価の基本 | 手法の工夫は企業が担い、適切に実施することが基本*1 | 評価の項目と、評価する人は誰か |
| 求める内容と水準 | 上司が部下に求める内容や水準をあらかじめ具体的に示す*1 | 昇進に必要な水準は、文書や面談で先に示されるか |
| 行動面や意欲の評価 | 評価する場合は、評価の方法を見える化して示すことが望ましい*1 | 勤務態度の評価は、何を見て行うか |
| 出勤を理由にした評価 | 実施頻度が労働者に委ねられている場合などに、出勤を理由に高く評価するのは適切でない*1 | 出社の頻度は評価に入るか |
| 時間外の連絡 | 時間外のメール等に対応しなかったことを理由にした不利益な評価は適切でない*1 | 時間外の連絡への対応は評価に入るか |
評価の基本、求める内容と水準、行動面や意欲の評価の3つは、上司が評価の中身を先に示すことに関わる点です。昇進の面接で何を聞かれるかを入社前に知りたいなら、求める水準と評価の方法が文書になっているかを聞くのが近道です。文書があれば、昇進に必要なことを入社前に読めます。
出勤を理由にした評価と時間外の連絡の2つは、評価の根拠として適切とはいえないとされている点です*1。出勤の有無と時間外の連絡は、仕事の成果とは別のものです。会社が実際にこの点を守っているかは、入社前に聞かなければ分かりません。
「入社前に聞くこと」の列は、そのまま面接の質問にできます。答えが返ってきたら、その場で書き留めておきます。複数の会社の答えを並べると見えてくるのは、評価の項目の細かさと、昇進の条件を文書で示すかどうかの違いです。
4. 管理職がリモートで仕事を進める工夫
管理職の仕事は、部下の評価、業務の割り振り、指示の出し方に分けられます。ガイドラインは、指示の出し方の例として、仕事の進め方で最初に大枠の方針を示し、部下が自律的に進められるようにすることを挙げています*1。細かい手順を逐一伝えるのではなく、目的と範囲を先に渡して、途中の進め方は部下に任せる形です。リモートで働く部下は上司にすぐには話しかけられませんが、大枠の方針が先にあれば、聞かずに進められる範囲が広がります。
管理職自身の力を上げる取り組みとして、ガイドラインは管理職のマネジメント能力の向上を望ましいとし、管理職へのマネジメント研修を例にしています*1。管理職を目指すなら、この研修が会社にあるか、管理職に上がる前後に受けられるかも、入社前に聞けます。研修の有無は、昇進のあとに必要な準備を会社がどこまで用意しているかを知る手がかりです。
業務の割り振りでは、オフィスに出勤する労働者だけに業務が偏らないよう留意することが必要だと、ガイドラインは会社に求めています*1。重要な仕事が出社している人に集まると、在宅の人は成果を出す機会そのものが減ります。管理職の側から見れば、仕事の割り振りを出社の有無で決めていないかが、チームの評価の公平さを左右する点です。
評価をする側に回ったときは、部下に求める内容や水準を先に具体的に示します*1。行動面や意欲を評価するなら評価の方法も示し*1、出社している部下を出社だけで高く評価しないことも含まれます*1。ここまでが、ガイドラインに沿って管理職が行う評価の仕事です。
ガイドラインの範囲を実際の運用に置き換えた例を挙げます。これは筆者の例で、ガイドラインの文面そのものではありません。期のはじめに、部下と評価の項目と水準を文書にして共有します。期の途中で達成状況を話す場を設ければ、顔を合わせる機会が少ない働き方でも、評価の根拠を部下と上司で揃えられます。
5. 入社前に聞く評価と昇進の質問例

質問は、評価、昇進、管理職の3つに分けると準備しやすくなります。評価では何を見て誰が評価するのか、昇進では必要な水準が文書で示されるか、管理職ではその人たちがどこで働いているかを聞きます。どれも、会社が答えを持っていれば短く答えられる質問です。
以下の質問文は筆者の例です。評価の仕組みは、「評価の項目はどのようなもので、どなたがどの時期に評価しますか」と尋ねます。項目と評価する人と時期の3つを一度に聞くと、仕組みが文書になっているかが分かります。「上司が見て決めます」という答えだけなら、水準は示されていません。
昇進は、「昇進に必要な水準は、文書や面談で事前に教えていただけますか」と尋ねます。水準が先に示されるなら、上司が求める内容や水準を具体的に示す運用に近い会社です*1。さらに「直近で昇進された方は、どこで働いていましたか」と聞くと、在宅の社員が昇進した例があるかも分かります。
出社の扱いは、「出社の頻度が人によって違う場合、評価に影響する点はありますか」と尋ねます。出社日が決まっている職場か、頻度を本人が選べる職場かも、この質問で分かるところです。答えが「出社している人のほうが仕事を見てもらいやすい」という内容なら、在宅中心では昇進に差がつく運用を疑います。
管理職の働き方は、「管理職の方は、どこで、週にどのくらい出社していますか」と尋ねます。管理職が出社中心で、一般の社員が在宅中心なら、管理職の目に触れる機会が違う働き方です。逆に管理職も同じ頻度で在宅なら、評価は成果や共有された水準で行われる前提で組まれていると考えられます。
答えを聞いたあとは、書き留めた内容を、求人票にある「週1日以上の出社」などの条件と見比べます。食い違いがあったときは、内定後の条件交渉で聞き直す場面です。内定後の面談なら、評価の項目を書面で示してもらえるかも頼めます。
あわせて読みたい | リモートワークの逆質問|出社頻度と評価の聞き方の例文
6. よくある質問
Q1. リモートワークだと昇進が遅れると決まっていますか?
A. 決まっていません。人事評価は、企業が手法を工夫して適切に実施することが基本とされています*1。評価の項目と昇進の条件は会社ごとに違うので、入社前に聞きます。
Q2. 出社している人のほうが高く評価されることはありますか?
A. 運用は会社ごとに違います。ガイドラインは、出社者を出社を理由に高く評価することを適切とはいえないとしています*1。出社の頻度が評価に入るかは、面接で聞く項目です。
Q3. 管理職を目指すなら出社が必要ですか?
A. 会社ごとに違います。管理職の人がどこで、週にどのくらい働いているかと、昇進の条件に出社が入っているかを、面接で聞きます。
Q4. 時間外のメールに返信しないと評価が下がりますか?
A. ガイドラインは、時間外、休日、深夜のメール等に対応しなかったことを理由にした不利益な人事評価を適切とはいえないとしています*1。時間外の連絡への対応が評価項目に入るかどうかは、面接で聞けます。
Q5. 子育て中にテレワークを選ぶと昇進で不利益を受けますか?
A. 育児・介護休業法は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者への措置の1つに在宅勤務等を挙げ、その申出などを理由とする不利益な取扱いを禁じています*2。この規定の対象は、措置の申出をした子育て中の労働者です。
Q6. 評価と昇進の決まり方は面接のどの場面で聞けばよいですか?
A. 面接の最後の逆質問か、内定後の面談で聞けます。評価の項目、昇進に必要な水準、管理職の働く場所の3つに分けて聞くと整理しやすくなります。
7. まとめ:評価の決まり方を入社前に聞く
この記事のまとめ
- リモートワークで出世できるかは、会社ごとに違う評価の方法で変わる
- 人事評価は企業が手法を工夫して適切に実施することが基本とされている*1
- 出勤していることを理由に高く評価するのは適切とはいえない*1
- 管理職は最初に大枠の方針を示し、業務が出社者に偏らないよう割り振る*1
- 入社前に、評価の項目と昇進に必要な水準と管理職の働く場所を聞く
応募先を選ぶときは、求人票の出社条件を見たうえで、面接の逆質問に評価の項目と昇進に必要な水準を入れてください。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(厚生労働省・令和3年3月25日)
*2 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(e-Gov法令検索)
*3 令和7年度テレワーク人口実態調査(国土交通省)
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