社会保険の加入条件|10人以下の場合も法人なら加入できる

社会保険に入れるかどうかは、従業員の数ではなく、応募先が法人か個人の事業所かで決まります*1。株式会社などの法人なら、社員が数人の会社でも、事業主だけの会社でも厚生年金保険の適用を受けます*1。
そのため、会社の規模だけで加入をあきらめる必要はありません。人数が条件に出てくるのは個人の事業所のほうで、常時5人以上という線が引かれています*1。最初に見るのは法人かどうかです。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 株式会社などの法人の事業所は、事業主のみの場合を含めて厚生年金保険の適用事業所です*1。従業員が10人以下でも、この決まりは変わりません。
- 個人の事業所は、従業員が常時5人以上いるときに適用事業所となります*1。農林漁業やサービス業などは、この決まりから除かれています*1。
- 被保険者になるのは、適用事業所に常用的に使用される70歳未満の人です*1。日々雇用や短い期間を定めた働き方は、ここから外れます*1。国籍や性別、年金を受け取っているかどうかは関わりません*1。
1. 社会保険加入条件は法人か個人かで決まる
従業員が10人以下でも、株式会社などの法人であれば厚生年金保険の適用事業所です*1。人数を数えるのは個人の事業所に限られ、法人にその決まりはありません。日本年金機構は、法人の事業所を事業主のみの場合を含めて適用事業所に挙げています*1。
実際、求人票に並んだ従業員の数をいくら数えても、加入できるかどうかは決まりません。決まるのは事業所の側で、人数が条件に入るのは個人の事業所だけです*1。法人の求人なら、社員が少なくても厚生年金保険に入れます。
そのため、社員が10人以下と書かれた求人を、最初から候補の外に置く必要はありません。ただし、個人の事業所のときだけは、常時5人以上という条件が付きます*1。業種によっては、その人数を満たしていても決まりから外れます*1。どちらにあたるかで、読む場所は別々です。
つまり、社会保険の加入条件は会社の側で先に決まり、そのあとで働く人の側を見ます。会社の側が適用事業所にあたらなければ、どれだけ長く働いても被保険者にはなりません*1。逆に適用事業所であれば、規模が小さくても加入の話が進みます。
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2. 法人の事業所は事業主だけでも適用事業所になる
まず、応募先が株式会社などの法人かどうかを読んでください。法人の事業所は、働く人が事業主だけであっても厚生年金保険が適用されます*1。従業員を雇っていない会社でも同じで、雇った人数が増えても結論は動きません。
実際に迷うのは、個人の事業所の求人を見たときです。個人の事業所では、従業員が常時5人以上いるかどうかで適用の有無が分かれます*1。5人未満なら、この決まりからは外れます。
ただし、法人かどうかは会社の側の条件にすぎません。働く人が被保険者になるかどうかは、そのうえで別に決まります*1。求人票に社会保険の記載があるかどうかも、応募の前に読んでおきます。
そのため、社員数の欄だけを見て候補を外すのは、応募できる求人を自分で減らすのと同じです。法人が出している求人であれば、規模にかかわらず適用事業所にあたります*1。加入の時期が気になるときは、採用の担当者に面接で聞いてください。
一方、個人の事業所の求人でも、社会保険がまったく無いとは限りません*1。人数や業種によって適用が決まるため、求人票の文面だけでは分からないこともあります。気になる求人は、応募の前に採用の窓口へ確認してください。
3. 個人の事業所は常時5人以上から適用される
個人の事業所とは、株式会社などの法人ではない事業主が営む事業所を指します。ここでは、常時5人以上の従業員がいるときに適用事業所となります*1。ただし農林漁業やサービス業などは、この決まりから除かれています*1。
ただし、除かれる業種の側にも動きがありました。令和4年10月からは、弁護士や税理士のように法律や会計に関わる仕事の事務所も加わりました*1。常時5人以上の従業員を雇用している個人の事務所であれば、適用を受ける事業所とされています*1。
一方、従業員が5人未満の個人の事業所は、そのままでは適用事業所にあたりません*1。求人票の社名だけでは、法人か個人かの見分けがつかないこともあります。分からないときは、面接で加入の有無を聞いてください。
つまり、個人の事業所では、人数と業種の両方で適用が決まります*1。どちらか一方だけを読んでも答えは出ないため、求人票では業種の欄もあわせて見ます。法人の求人には、この手間がかかりません。
4. 従業員の半数以上が同意すれば申請できる
法人か個人かという条件と、常時5人以上という人数の条件を重ねると、当てはまる場所が決まります。適用事業所から外れるのは、個人の事業所で5人未満のときと、業種が除かれているときです*1。法人であれば、人数にも業種にも左右されません*1。
ただし、ここに当てはまったとしても、そのまま終わりではありません。従業員の半数以上が適用事業所になることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けると、加入できるようになります*1。この形の事業所は任意適用事業所と呼ばれています*1。
実際、適用の対象は少しずつ広がってきました。2029年10月からは、常時5人以上の個人の事業所が全業種で対象に入ります*2。ただし、その時点で既にある事業所は当分の間、対象外とされています*2。応募を考えている会社が個人の事業所なら、ここは覚えておきます。
そのため、いま5人未満だからといって、その会社を候補から落とす理由にはなりません。従業員が増えて常時5人以上になれば、個人の事業所でも適用事業所となります*1。半数以上の同意という入り口も残されています*1。
5. 被保険者になるのは70歳未満で常用的に使用される人
会社の側の条件が整ったら、次は働く人の側です。適用事業所で常用的に使用される70歳未満の人は、厚生年金保険の被保険者となります*1。常用的に使用されるとは、日々雇用や短い期間を定めた働き方にあたらないことを指します。国籍や性別、年金を受け取っているかどうかは関わりません*1。
厚生年金保険の被保険者になる人*1
| 働き方 | 厚生年金保険での扱い |
|---|---|
| 適用事業所に常用的に使用される70歳未満の人 | 被保険者になります |
| 日々雇用される人 | 被保険者となりません |
| 2か月以内の期間を定めて雇用される人 | 被保険者となりません |
| 季節的な業務に4か月以内で使用される人 | 被保険者となりません |
| 臨時的な事業に6か月以内で使用される人 | 被保険者となりません |
ただし、表の下に並ぶのは、期間を区切った短い働き方です*1。正社員の求人に応募して入社するなら、こちらには当てはまりません。読むのは表のいちばん上の行です。
そのため、従業員の少ない会社でも、正社員として採用されるなら厚生年金保険に加入します。会社が適用事業所であることと、働く人が常用的に使用されることの両方がそろう形です*1。どちらかが欠けたままでは加入になりません。
一方、70歳をむかえた後は、生年月日を基準に被保険者から外れます*1。この年齢の条件は、働き方や会社の規模によって変わるものではありません。
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6. 応募の前に求人票と労働条件の書面を読む
応募の前に読むのは、会社が法人か個人かという点と、書面での社会保険の扱いです。どちらも求人票と労働条件の書面から読み取れます。読む場所を決めておくと、面接で聞くことも絞れます。
応募の前に読むところ
- 法人か個人か:株式会社などの法人であれば、従業員の人数は関わりません*1
- 従業員の数:個人の事業所のときだけ、常時5人以上かどうかを見ます*1
- 書面の記載:求人票と労働条件の書面に社会保険の記載があるかを読みます
- 相談先:分からないことは年金事務所に聞きます
ただし、書面に記載が無いことと、加入できないことは同じではありません。個人の事業所で5人未満でも、同意と申請という入り口が残っています*1。応募を見送る前に、年金事務所へ聞いてみてください。
そのため、社員数の少なさを理由に応募をやめる前に、会社が法人かどうかを読み取ります。法人であれば、そこから先は働く人の側の条件だけです*1。個人の事業所なら、常時5人以上かどうかと、同意と申請の有無を聞きます。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 社会保険加入条件は従業員が10人以下だと変わりますか
A. 会社が法人なら入れます*1。法人の事業所は、社員を雇っていなくても適用を受けるため、従業員の数は条件に入っていません*1。人数だけを理由に応募をやめる必要はありません。
Q2. 個人の事業所で5人未満のときはどうなりますか
A. そのままでは適用事業所にあたりません*1。ただし、従業員の半数以上の同意があり、事業主の申請に厚生労働大臣の認可が下りれば加入できます*1。応募の前に、加入の有無を面接で聞いておきます。
Q3. 年金を受け取りながら働くときも加入しますか
A. 年金を受け取っていても、加入の条件は変わりません*1。国籍や性別でも差はつかず、条件になるのは年齢だけで、70歳未満かどうかで分かれます*1。
Q4. 求人票に社会保険の記載が無いときはどうしますか
A. まず労働条件の書面を読みます。それでも社会保険の記載が見つからないときは、年金事務所へ問い合わせてください。法人か個人かと従業員の数で答えが変わるため、社名と人数を手元に置いて聞きます。聞いた答えは書き留めておきます。
Q5. 面接では何を聞けばよいですか
A. はじめに聞くのは、会社が適用事業所にあたるかどうかです*1。個人の事業所であれば、従業員の人数と業種もあわせて聞きます。答えが分かれたときは、年金事務所で確認します。
8. まとめ:従業員が10人以下でも法人なら入れる
この記事のまとめ
- 加入の線は従業員の数ではなく、事業所が法人か個人かで引かれます*1
- 株式会社などの法人の事業所は、事業主のみの場合を含めて厚生年金保険の適用事業所です*1
- 個人の事業所は、従業員が常時5人以上いるときに適用事業所となります*1
- 5人未満の個人の事業所でも、従業員の半数以上の同意と事業主の申請で適用事業所になれます*1
- 被保険者になるのは、適用事業所に常用的に使用される70歳未満の人です*1
そのため、10人以下という社員数だけで応募先を外す必要はありません。社会保険の加入条件を決めるのは人数ではなく、会社が法人にあたるかどうかです。求人票と労働条件の書面に社会保険の記載を探してから、面接で聞くことを決めてください。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 日本年金機構「適用事業所と被保険者」(2026年確認)
*2 厚生労働省「年金制度改正法の主な改正内容」(令和7年6月20日公布/2026年確認)
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