失敗を持ち寄る場はあるか|在りかを見る

エンジニアの職場で、うまくいかなかったことを持ち寄る場が用意されているかどうかは、定例の議題や書いて残す場所の有無によって見えてきます。障害報告書の書き方や手戻りが起きる場所、通知の基準は別の記事で扱っているため、ここでは持ち寄る場の在りかと、残る形に絞って見ていきます。
失敗を持ち寄る場があるかどうかを分けるのは、話す内容の重さではなく、定例の中に、その時間が含まれているかという設計です。
Relasic(株式会社LASSIC運営)|リモートワーク対応の転職支援
この記事のポイント
- 失敗を持ち寄る場があるかどうかで効くのは、話す人の性格ではなく、定例の議題にその時間が含まれているかという設計です
- 書いて残す場所があるかどうかで、後から辿れる形になるかどうかが変わります
- 社内の仕組みを整える人手が十分でない職場では、持ち寄る場が用意されていないこともあります。DX推進の人材が不足していると答えた企業は85.5%、そのうち「大幅に不足」と答えた企業は50.1%です*1。ただし、この数字は企業側の人材の状況を示すものであり、持ち寄る場の有無を示すものではありません。
1. 失敗を持ち寄る場は、位置と残る形で見えてきます
失敗を持ち寄る場があるかどうかを分けるのは、話す人の性格ではなく、定例の議題にその時間が含まれているかという設計です。場の有無は求人票の記載だけでは判断しにくく、面接で尋ねて分かることになります。
エンジニアの職場では、うまくいかなかったことが起きたあと、それを一人で抱えるか、誰かに持ち寄るかという分かれ道があります。この分かれ道を作っているのは、話す人の性格や度合いではなく、職場側が用意している場の設計です。
場が用意されているかどうかを分けるのは、定例や1on1といった既存の枠の中に、うまくいかなかったことを話す時間が含まれているかどうかです。新しく枠を作る必要はなく、既にある時間の使い方として組み込まれているかがポイントになります。
既存の枠には、スプリントの終わりに置かれるふりかえりや、月に一度の定例など、いくつかの形があります。どの枠に組み込まれているかは職場ごとに異なり、枠自体が無い場合もあります。
場があっても、話した内容がその場限りで終わるか、後から見返せる形で残るかは別の話です。位置の有無と、残る形の有無は、それぞれ別に確かめておく必要があります。
転職を考える際、この2点は求人票からは見えにくく、配属されてから分かる部分でもあります。事前にどこまで見通せるかは、面接で尋ねる内容にかかってきます。
ここから先は、確かめる観点を表で整理し、場の有無による見る先の分岐、残る形の見え方、観点どうしの積み上げの関係、求人票と面接での見る先の順に見ていきます。
2. 持ち寄る場の有無は、4つの観点に分かれます
失敗を持ち寄る場があるかどうかを、1つの基準で判断するのは難しく、観点を分けて見ていくと整理しやすくなります。
4つの観点を、どこで確かめられるかとあわせて表にまとめます。
確かめること・どこで確かめられるかの対応
| 確かめること | どこで確かめられるか |
|---|---|
| 持ち寄る場の有無 | 定例や1on1の議題に、うまくいかなかったことを話す時間が含まれているかどうかです |
| 書いて残す場所 | 話した内容が、後から読み返せる場所に記録されているかどうかです |
| 名前の扱い | 誰が起こしたかを記さない形で書かれているかどうかです |
| 次に活かす先 | 書いた内容が、次の何かに使われる先まで決まっているかどうかです |
表の4行は、失敗を持ち寄る場について確かめておきたい観点を、上から順に並べたものです。上の観点ほど場そのものの有無に近く、下の観点ほど残った後の扱いに近くなります。
4つを面接で一度にすべて尋ねようとすると、聞き漏らしが起きやすくなります。上の行から順に尋ねていくと、途中で答えが得られない場合でも、どこまで確かめられたかが自分で分かります。
持ち寄る場の有無は、定例や1on1の議題として組み込まれているかどうかで決まります。特別な会議を新設しているかではなく、既存の枠の中に時間が含まれているかが分かれ目です。
書いて残す場所は、口頭で話すだけで終わるか、後から読み返せる場所に記録されるかの違いです。記録の有無によって、同じ内容でも後から辿れるかどうかが変わります。
名前の扱いは、誰が起こしたかを記す形か、記さない形かの違いです。記さない形になっているかどうかは、書かれた記録そのものを見るか、書き方について尋ねるかで分かります。
次に活かす先は、書いた内容がそのまま残るだけか、次の何かに使われる先が決まっているかの違いです。先が決まっているかどうかは、記録の使われ方について尋ねると見えてきます。
あわせて読みたい | 障害報告書に何を残すか|後から辿れる形に
3. 場が用意されているかどうかで、進む先が変わります
失敗を持ち寄る場があるかどうかによって、次に確かめる内容も変わります。
場が用意されている場合は、その先で書いて残す場所があるか、名前を出さない形になっているか、次に活かす先が決まっているかを見ていくことになります。場があること自体は、出発点にすぎません。
場が見つからない場合は、新しい枠を求める前に、定例や1on1といった既存の枠に持ち込める余地があるかを見ていくことになります。既存の枠の使い方次第で、話す時間を確保できることもあります。
どちらに分かれるかは、配属される前には分かりにくい点です。求人票の記載だけで判断せず、面接で尋ねておくと、入社後の見立てがつきやすくなります。
場が用意されていると思い込んで配属された後に、実際には無かったという落差が生じることもあります。見立てを誤らないためにも、面接の段階で分岐のどちら側かを確かめておく価値があります。
4. 書いて残す場所は、後から辿れるかどうかを分けます
うまくいかなかったことを話す場があっても、その内容がその場だけで終わるか、後から読み返せる場所に残るかは別の話です。口頭で共有されるだけの職場では、時間が経つと同じ内容を覚えている人がいなくなります。
書いて残す場所がある職場では、話した内容が記録として蓄積されます。記録が蓄積されると、同じ内容を何度も口頭で説明する必要がなくなり、後から入った人でも読み返すことができます。
名前を出さない形になっているかどうかも、残る形の一部です。誰が起こしたかを記す形で残ると、記録を読み返すことが、当時の状況を再現するだけでなく、人を特定する記録にもなります。
残る形があるかどうかは、求人票の記載からは見えにくい点です。配属先の運用として決まっていることがあり、面接で記録の残し方について尋ねておくと、実際の運用に近い見立てが持てます。
記録が残っていても、その時点で在籍している人だけが読める範囲か、後から配属される人も読める範囲かによって、残る形の意味は変わります。範囲まで含めて尋ねておくと、記録の実際の使われ方が見えてきます。
あわせて読みたい | 手戻りが起きる場所|どこで確かめると減るか
5. 在りかと残る形は、積み上げの関係にあります
4つの観点は、それぞれ独立しているわけではなく、下から積み上がる関係になっています。
場の在りかが無ければ、残る形も次に活かす先も成り立ちません。まず確かめるのは、話す時間そのものがあるかどうかです。
場があっても、残る形が無ければ、話した内容はその場で終わります。次に確かめるのは、書いて残す場所があるかどうかです。
残る形があっても、次に活かす先が決まっていなければ、記録は積み重なるだけになります。最後に確かめるのは、書いた内容の使われ先です。
3つの段は、順番に確かめていく関係にあります。土台が無いまま次に活かす先だけを尋ねても、答えようがない職場もあります。
面接でこの3段を尋ねるときも、同じ順番をなぞると聞きやすくなります。まず在りかを尋ね、答えが得られたら残る形を尋ね、そのうえで次に活かす先を尋ねるという進め方です。
6. 求人票と面接では、見る先を分けて考えます
失敗を持ち寄る場の在りかは、求人票と面接のどちらで見るかによって、見える範囲が変わります。
求人票と面接で見る先
- 求人票:定例や1on1の頻度など、時間の枠についての記載があるかどうかです
- 面接:うまくいかなかったことを話す時間が、既存の枠の中に含まれているかを尋ねます
- 面接:話した内容が、書いて残る場所と、次に活かす先まで決まっているかを尋ねます
求人票には、時間の枠そのものについての記載があっても、その枠の中でうまくいかなかったことを話しているかどうかまでは、通常書かれていません。
面接では、定例や1on1の議題に、うまくいかなかったことを話す時間が含まれているかを尋ねると、場の有無が見えてきます。
残る形についても、書いて残る場所があるか、名前を出さない形になっているか、次に活かす先が決まっているかを、あわせて尋ねておくと、入社後の見立てに近づきます。
配属されるチームによって運用が異なることもあるため、会社全体の方針だけでなく、配属予定のチームについて尋ねておくと、実態に近い答えが得られます。
尋ねる順番も関わってきます。業務内容についての質問がひと通り終わったあとに尋ねると、働き方を具体的に確認する質問として自然に受け取られやすくなります。
あわせて読みたい | 通知が多い職場|基準と当番の置き方を見る
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 失敗を持ち寄る場は、必ず定例の中にありますか。
A. 一概には言えません。定例の議題に含まれている職場もありますが、1on1など別の枠で扱われている職場もあります。
Q2. 名前を出さない形で書かれているかは、どこで分かりますか。
A. 書かれた記録そのものを確認するか、記録の書き方について尋ねる形になります。求人票の記載だけでは分かりにくい点です。
Q3. 書いて残す場所がない場合、話した内容はどう扱われますか。
A. 職場によって異なります。口頭で共有されるだけで、後から読み返せる形には残らない場合もあります。その場に居合わせなかった人には、内容そのものが伝わらないこともあります。
Q4. 次に活かす先が決まっていないと、何が変わりますか。
A. 書いた内容が読み返されないまま残る場合があります。次に使われる先が決まっているかどうかは、確認しておく価値があります。求人票には表れにくく、面接で尋ねて初めて分かる部分です。
8. まとめ:失敗を持ち寄る場は、位置と残る形に表れます
この記事の要点
- 失敗を持ち寄る場があるかどうかで効くのは、話す人の性格ではなく、定例の議題にその時間が含まれているかという設計です
- 場があっても、書いて残す場所がなければ、話した内容はその場で終わります
- 名前を出さない形になっているかどうかも、残る形の一部です
- 次に活かす先が決まっているかどうかで、記録が読み返されるかが変わります
- 4つの観点は、場の在りかから積み上がる関係にあり、求人票と面接で分けて確かめられます
失敗を持ち寄る場があるかどうかは、話す人の性格や度合いではなく、定例の議題にその時間が含まれているかという職場の設計で決まります。場があるかどうかだけでなく、書いて残す場所、名前の扱い、次に活かす先までを分けて見ていくと、入社後の見立てに近づきます。在りかや残る形について気になる点は、専任エージェントに相談しながら確かめられます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
転職ノウハウ その他の記事
もっと読む 〉-
持ち込みが制限される現場|線引き
現場によっては、私物の端末や記録媒体を持ち込めない場面があります。入館の案内やセキュリティに関する案内には、持ち込みの制限だけでなく、私物の置き場所や、例外の申請ができるかどうか、預けたものの受け取り方まで書かれているこ […] -
異動した直後に何から覚えるか
異動が決まったあと、新しい持ち場に着いた直後は、覚える範囲の広さに気を取られ、何から手をつけるか迷いがちです。ただし覚える順番は、思いつきで決めるものではありません。担当の範囲を示す書面や、仕掛かりの一覧、聞く相手といっ […] -
月末に仕事が寄るとき|見る場所
月が変わる直前になると、いくつもの作業が同じ時期に重なって見えることがあります。背景にあるのは、部署ごとに設定されている締めの日取りです。自分の作業がどの締めに紐づいているか、前もって出せる範囲がどこまでか、間に合わない […] -
在宅の終業をどう伝えるか
在宅で働いた日の終わりに、終業をどう伝えるかは、感覚で決めることではなく、職場の案内にもとづいて動くことです。伝える先が1つに決まっているか、伝える形が打刻だけか連絡も添える形かで決まっているか、伝えたあとに届く連絡の扱 […]