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退職所得の勤続年数|転職したら今の会社で勤めた期間で数える

退職所得の勤続年数|転職したら今の会社で勤めた期間で数えのイメージ写真

転職した人の退職所得の勤続年数は、原則として、退職金を払う今の会社で勤めた期間で数えます*2。前の会社の期間は、今の会社の退職金の規程がその期間も計算に入れている場合にだけ含まれます*2。社会人としての通算の年数は使いません。

この年数は退職所得控除(退職金の額から差し引ける額)の計算に使い、1年未満の端数は1年に切り上げます*2。控除額は、勤続20年までは40万円×勤続年数で、20年を超えた分は1年あたり70万円です*1。入社日と退職日が分かれば、自分の勤続年数と控除額は計算できます。

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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事のポイント

  • 長期の欠勤や病気で休職した期間は、差し引かずに勤続年数へ入れます*2。前の会社の期間は、今の会社の退職金の規程が計算に含めているときだけ加わります*2。
  • 勤続30年の控除額は、800万円に70万円×10年を足した1,500万円です*1。40万円×勤続年数が80万円に満たないときは、控除額を80万円とします*1。
  • 勤続3年で辞めると、控除額は40万円×3年で120万円です。控除額を引いた残りは原則として2分の1にしますが、勤続5年以下なら300万円を超える部分は2分の1にしません*1。

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1. 勤続年数は今の会社の入社日から退職日まで

転職したあとの勤続年数は、今の会社に入社した日から、退職の日まで引き続き勤めた期間を年数にしたものです*2。前の会社の期間が加わるのは、今の会社の退職給与規程(退職金の計算方法を定めた社内の規程)に、その期間を計算に含める定めがある場合だけです*2。定めがなければ、前の会社で何年勤めていても、今の会社の退職金では入社日から数え直します。前の会社を辞めたときの退職金は、前の会社での期間で別に数えています*2。

そのため、前の会社に長く勤めていた人でも、今の会社での勤続が短ければ、次に受け取る退職金の控除額は小さくなります。控除額が小さいほど、退職金から差し引いたあとに残る額は大きくなり、税金の計算に回る部分が増えます*1。転職の前後で退職金を比べるときは、退職所得の勤続年数と控除額を、それぞれの会社について出してください。

逆に、前の会社の期間を通算する定めを置いた会社なら、その期間も今の会社の退職金の勤続年数に入ります*2。この場合、前の会社でも退職金が出ていて勤めた期間が重なると、控除額の計算が変わることがあります*2。受け取った年によって計算が異なる場合もあるので、前の会社で退職金の支給を受けた年を書き出しておいてください*1。

2. 勤続20年を境に変わる控除額の式

退職所得控除額は、勤続年数が20年以下なら40万円×勤続年数で、この額が80万円に満たないときは80万円です*1。勤続年数が20年を超えると、800万円に70万円×(勤続年数−20年)を足した額に変わります*1。800万円は40万円×20年と同じ額なので、20年を超えた年数の分だけが1年あたり70万円で加わります。

勤続30年の退職所得控除は800万円と700万円を足した1,500万円 800万円 20年まで 700万円 残り10年 勤続20年を超えると、1年あたりの控除額が40万円から70万円に上がる *数値の出典は記事末尾「出典・参考情報」参照

そのため、転職した人の控除額に1年あたり70万円の年が入るのは、原則として今の会社に20年を超えて勤めたときです*1。前の会社での勤務を通算する規程があれば、その期間も合わせて20年を超えるかどうかを見ます*2。勤続20年の前後で辞めようとしている人は、退職日までの年数が20年を上回るかを先に数えてください。

3. 勤続5年以下は300万円を超える部分を2分の1にしない

退職所得の金額は、原則として、退職金の額から控除額を引いた残りを2分の1にした額です*1。2分の1にするのは控除額を引いたあとの残りで、退職金の額そのものではありません。退職金の額が控除額に届かなければ、引いた残りが出ないので、退職所得の金額もありません*1。この2分の1の計算には、勤続年数が5年以下のときの例外があります*1。

たとえば勤続3年で辞める人の控除額は、40万円×3年で120万円です。勤続3年は5年以下なので、この人の退職金は短期退職手当等(勤続年数が5年以下の人の退職金)に当たります*1。短期退職手当等は、控除額を引いた残りのうち300万円を超える部分を2分の1にしません*1。退職金から120万円を引いた残りが300万円以内なら、その残りの2分の1がそのまま退職所得の金額です。

逆に、勤続5年以下で残りが300万円を上回る人は、上回った部分を半分にせず、そのまま所得に数えます*1。勤続5年以下かどうかも端数を切り上げた年数で見るため、通算の定めがない会社なら、入社から5年以内に辞めるとこの例外に当たります*1。5年以内に辞める予定があるなら、退職金の規程で見込み額を出し、控除額との差が300万円を超えるかを計算しておいてください。勤続年数が5年を超えれば、残り全体を2分の1にする原則の計算に戻ります*1。

4. 勤続年数に入る期間と入らない期間

長期の欠勤や病気による休職の期間は、休んだ分を差し引かずに勤続年数へ含めるのが原則です*2。病気で休職したまま退職する人も、退職の日までを勤続年数に数えます*2。一度辞めて同じ会社に戻った人なら、前にその会社で勤めていた期間も含まれます*2。転職した人の勤続年数のうち、今の会社の規程を見ないと分からないのは、前の会社の期間です*2。

前の会社の期間は、今の会社の規程で退職金に含めるときだけ入る 勤続年数に入る 長期の欠勤や病気で休職した期間 過去に同じ会社で勤めていた期間 今の会社の規程で退職金に含める前の会社の期間 勤続年数に入らない 今の会社から前に受け取った退職金で数えた期間まで このほかにも入らない期間の例がある 休職の期間は入り、今の会社から前に受け取った退職金で数えた期間は入らない

ただし、一度辞めたときにその会社から退職金を受け取っていれば、その計算に使った期間の末日までは数えません*2。戻ってからの期間だけで勤続年数を出すので、前に勤めた年数を足した控除額にはなりません。同じ会社へ戻る話があるなら、前に辞めたときに退職金を受け取ったかどうかを振込の記録で見ておいてください。

前に勤めた会社の期間を数えるかどうかは、会社ごとの退職金の規程に通算の定めがあるかで決まります*2。定めが見当たらなければ、今の会社の入社日から数えてください。規程を読んでも分からないときは、人事の担当者に、前の会社の期間を退職金の計算に入れているかを聞くのが早道です。聞くときは、前の会社の名前と勤めた期間を伝えると、通算の定めに当たるかどうかを答えてもらいやすくなります。

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5. 勤続3年から30年までの控除額

実際、国税庁が挙げる例では、勤続10年2か月の人は端数の2か月を1年に切り上げて11年と数えます*1。控除額は40万円×11年で440万円です*1。切り上げた1年の分として、控除額に40万円が加わっています。端数の月が少なくても多くても、1年に届かない分は1年として数えます*2。

勤続年数と控除額

勤続年数当てはめる式控除額
3年40万円×3年120万円
11年(10年2か月)40万円×11年440万円
20年40万円×20年800万円
30年800万円+70万円×10年1,500万円

つまり、入社からちょうど10年で辞めれば勤続10年ですが、そこから少しでも後に辞めると端数が出て11年と数えます*2。勤続20年を超えている人なら、切り上げで増える1年分は70万円です*1。退職日を会社と相談して決めるなら、入社日から数えて端数が出る日かどうかを先に計算してください。

表の年数は、どれも今の会社で数えた年数です。前の会社で長く働いていても、今の会社での勤続が3年なら、見るのは3年の行の120万円です。通算の定めがあるときだけ、前の会社の期間を足した年数を式に当てはめてください*2。

6. 入社日と退職日から自分の勤続年数を出す手順

用意するのは、入社日と退職日、それに退職金の規程の3つです。入社日が分からなければ、人事の担当者に聞いてください。退職日がまだ決まっていない人は、辞めたい日を仮に置いて数えます。

勤続年数と控除額を出す手順

  • 入社日と退職日(予定の日)を紙に書き出します。
  • 入社日から退職日までの年数と、残った月数を数えます。
  • 月の端数が残ったら、1年に切り上げて年数を決めてください。
  • 長期の欠勤や病気で休職した期間があっても、その分は引きません。
  • 退職金の規程に前の会社の期間を含める定めがあれば、その期間を足します。
  • 20年以下は40万円×年数、20年超は800万円+70万円×(年数−20年)で控除額を出します。
  • 40万円×年数が80万円に満たないときは、控除額を80万円とします。

転職を考えている段階なら、内定のあとに応募先の退職金の規程を見せてもらい、前の会社の期間を含める定めがあるかを聞いてください。定めがあれば、入社前の期間も勤続年数に足して控除額を出せます*2。定めがなければ、入社日からの年数だけで控除額を計算してください。

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7. 退職所得の勤続年数でよくある質問

Q1. 入社して1年たたずに辞めたら勤続年数は何年ですか

A. 1年と数えます。働いた期間が1年に届かなくても端数は1年に切り上げるので、入社から数か月で辞めた場合の勤続年数は1年です*2。40万円×1年は80万円に満たないため、控除額は80万円です*1。

Q2. 前の会社と今の会社の両方から退職金を受け取ると控除額は変わりますか

A. 変わる場合があります。前年以前に退職金を受け取ったことがあるときや、同じ年に2か所以上から受け取るときは、控除額の計算が異なることがあるためです*1。同じ年か前年以前かは、前の会社で退職金が出た年と、今の会社を辞める年を比べれば分かります。

Q3. 退職所得の受給に関する申告書を出さないとどうなりますか

A. 退職金の支払額の20.42%が源泉徴収(会社が支払う前に税金を差し引くこと)されます*1。「退職所得の受給に関する申告書」を会社へ出していれば、会社が税額を計算して源泉徴収するので、原則として確定申告は要りません*1。出していない人も、確定申告をすれば精算できます*1。

Q4. 前の会社で退職金が出なかった場合はその期間を今の会社で数えますか

A. 今の会社の規程に通算の定めがなければ数えません*2。前の会社で退職金が出たかどうかは関係がなく、今の会社の規程でその期間を退職金の計算に含めているかで決まります*2。定めがなければ、前の会社で勤めた年数は、どちらの会社の控除額にも入りません*2。

Q5. 同じ会社の中で部署や勤務地が変わっても勤続年数は続きますか

A. 続きます。勤続年数は退職金を払う会社の下で引き続き勤めた期間なので、同じ会社の中での異動では途切れません*2。出社からリモートワークに切り替えた場合も、同じ会社で勤め続けていれば数え方は変わりません。

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8. まとめ:勤続年数は退職金を払う会社ごとに数え直す

転職した人の勤続年数と控除額

  • 勤続年数は、原則として退職金を払う今の会社で、退職の日まで勤めた期間で数えます*2。
  • 前の会社の期間は、今の会社の規程が退職金の計算に含めているときだけ加わります*2。
  • 休職の期間は差し引かず、1年に満たない端数は1年に切り上げます*2。
  • 控除額は20年以下が40万円×年数、20年超が800万円+70万円×(年数−20年)です*1。
  • 勤続5年以下の退職金は、控除額を引いた残りのうち300万円を超える部分を2分の1にしません*1。
  • 勤続5年以下かどうかも、端数を切り上げた年数で見ます*1。

まず、入社日と退職日を書き出し、端数を切り上げた年数で控除額を出してください。次に、入社前の勤務先の期間を数える定めが退職金の規程にあるかを見て、あればその期間も足します*2。退職所得の勤続年数は退職金ごとに数えるので、前の会社で受け取った退職金の年数とは分けて扱ってください。

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出典・参考情報

*1 国税庁 タックスアンサーNo.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」
*2 国税庁 タックスアンサーNo.2732「退職手当等に対する源泉徴収」

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