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退職給付金と失業保険は両方もらえる?退職金を受け取っても減らない

退職給付金と失業保険は両方もらえる?退職金を受け取ってものイメージ写真

退職給付金と、雇用保険の失業保険(基本手当)は両方もらえます。基本手当の額を決める賃金日額に退職金は入らないので、退職金を受け取っても失業保険の額は減りません*1*2。ここでいう退職給付金は、会社から受け取る退職金(退職一時金・退職年金)のことです。

ただし、在職中の給与に上乗せして受け取る前払い退職金は、原則として賃金日額に入ります*1。退職後に受け取る退職金なら、一時金でも年金でも基本手当の額には関係しません*1。前払い退職金の制度があるかどうかは、退職する前に会社に聞いておいてください。

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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

この記事のポイント

  • 退職給付金(会社の退職金)を受け取った人も、雇用保険の基本手当を受け取れます。ハローワークが挙げる受給の条件に、退職金を受け取ったかどうかは入っていません*2。
  • 退職後に一時金か年金で受け取る退職金は、基本手当の額を決める賃金日額に入りません*1。退職金が多い人も少ない人も、基本手当の額の出し方は同じです。
  • 例外は在職中の給与に上乗せして受け取る前払い退職金で、原則として賃金日額に入ります*1。前払いかどうかは、退職前に会社へ聞いておいてください。

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1. 退職給付金と失業保険は両方もらえる

退職給付金と基本手当は両方受け取れ、退職金を受け取っても基本手当の額は減りません*1*2。受給の条件としてハローワークが挙げるのは求職の申込み・失業の状態・被保険者期間の3つで、退職金を受け取ったかどうかは条件に書かれていません*2。額についても、退職後に一時金か年金で支払われる退職金は、厚生労働省の業務取扱要領で賃金日額に算入しないものとされています*1。そのため、受け取った退職金が多くても少なくても、基本手当の額はそのぶん上下しません。

まず、求職の申込みはハローワークで行う手続きです*2。退職金は会社から支払われますが、基本手当は自分でハローワークへ行って申込みをしないと受け取れません。申込みのときには、会社から届いた離職票も一緒に出します。

次に失業の状態とは、就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるのに、職業に就けない状態のことです*2。この説明には、手元にある退職金の多さは出てきません。退職給付金を受け取った人も、働く意思と能力があって仕事に就けていなければ、失業の状態に当たります。

最後に被保険者期間(雇用保険に加入していた期間)は、離職の日以前2年間に通算12か月以上あることが条件です*2。倒産や解雇などで離職した人(特定受給資格者)など、離職の理由によっては、離職の日以前1年間に6か月以上でもこの条件を満たします*2。自分が当たるかどうかは離職の理由で分かれるので、離職票を出すときにハローワークで聞いてください。

2. 前払い退職金は原則として賃金日額に含まれる

前払い退職金とは、退職金にあたる額の全部または一部を、在職中の給与に上乗せするなどして受け取るものです*1。業務取扱要領は雇用保険の事務を扱う職員向けの手引で、その50503「賃金日額の算定の基礎に算入されないものの例」に退職金が挙がっています*1。算定の基礎とは、賃金日額を出すときに足し合わせる賃金のことです。ただし同じ箇所で、前払い退職金は原則として算定の基礎に含むとされています*1。

前払い退職金かどうかで賃金日額に入るかが分かれる 退職金を在職中の給与に上乗せして受け取っていたか(前払い退職金) はい 原則として賃金日額に入る いいえ 退職後に一時金や年金で受け取る退職金は、 賃金日額に入らない 退職金のうち賃金日額に入るのは、原則として前払い退職金だけ

前払い退職金が毎月の給与と一緒に支払われていたなら、その上乗せ分も離職前6か月の賃金の合計に加わります*1*2。ただし上乗せ分が臨時に支払われていた場合などは、前払い退職金でも賃金日額に入らないことがあります*1。退職金の一部だけを前払いで受け取っていた人は、その前払いの分が原則として計算に入り、退職のときに受け取る残りは入りません*1。毎月の支払いだったか、まとめての支払いだったかは、会社の人事担当者に尋ねておいてください。

一方、退職を理由として、会社の都合などで退職前に一時金で支払われた退職金は、退職後に受け取るものと同じく賃金日額に入りません*1。支払日が退職日より前だというだけでは、前払い退職金として扱われません。分かれ目は、在職中の給与に上乗せされていたか、退職を理由に支払われたかにあります。

3. 基本手当日額は離職前6か月の賃金と年齢で決まる

賃金日額は、離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(賞与等を除く)の合計を、180で割った額です*2。基本手当日額は、この賃金日額のおよそ50〜80%で、60歳〜64歳の人は45〜80%です*2。率は一律ではなく、賃金の低い人ほど高い率が当てはめられます*2。

ただし、基本手当日額には年齢ごとの上限もあり、賃金日額が高い人は上限で止まる場合があります*2。計算に使うのは離職前6か月の賃金と年齢で、受け取った退職金の額はこの式のどこにも出てきません。たとえば年齢と賃金日額が同じ人どうしは、受け取る退職金の額が違っても基本手当日額が同じです。基本手当日額の見当をつけたい人は、離職前6か月の給与明細を手元にそろえておいてください。

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4. 退職前から基本手当の支給までの4つの手順

退職金の支払日を会社に聞いてから、ハローワークで求職の申込みをする 1 退職金の支払日と額を会社に聞く 一時金か年金か、前払い退職金の制度があるかも同じときに聞いておく 2 離職票を受け取る 会社がいつ送るかは、退職前に聞いておく 3 ハローワークで求職の申込みと離職票の提出 求職の申込みは、基本手当を受け取る条件の1つ 4 失業の認定を受けて基本手当を受け取る 失業の状態にあるとハローワークに認めてもらう 退職金の支払日は会社に、基本手当の手続きはハローワークに聞く

1つ目の手順で退職金の払い方まで聞くのは、前払い退職金があるとその分が賃金日額の計算に入るからです*1。2つ目の離職票は、会社がいつ送るかを退職前に聞いておけば、届いてすぐに3つ目の手順へ進めます。4つ目の失業の認定は、失業の状態にあることをハローワークに認めてもらう手続きです。

一方、3つ目と4つ目の手順は、退職金をまだ受け取っていなくても進められます。受給の条件に退職金は挙がっていないため、支払日を待たずに求職の申込みをしてかまいません*2。退職金の支払日が退職日から離れている会社でも、離職票が届いたらハローワークへ行ってください。

5. 賃金日額に入るものと入らないもの

退職の前後に受け取るお金は、種類によって賃金日額に入るものと入らないものに分かれます*1*2。表の5つのうち、原則として入るのは毎月の給与と前払い退職金です*1*2。同じ退職金でも前払いかどうかで扱いが変わり、最後の月の給与も全額が入るとは限りません*1。

賃金日額に入るもの・入らないもの

受け取るお金賃金日額の計算補足
毎月きまって支払われた賃金入る*2離職した日の直前6か月の分を合計する
賞与入らない*2賞与等は6か月の合計から除く
退職後に一時金か年金で受け取る退職金入らない*1退職を理由に会社の都合などで退職前に受け取った一時金も同じ
前払い退職金原則として入る*1在職中の給与に上乗せするなどして受け取るもの
退職日の翌日以後の分の給与入らない*1月給で月の途中に退職し、その月分を全額受け取った場合

なお、月給の人が月の途中で退職し、その月の給与を全額受け取った場合は、退職日の翌日以後の分に当たる額を賃金日額に数えません*1。そのため、最後の月の給与明細の額をそのまま6か月の合計に足すと、賃金日額を実際より高く見積もってしまいます。自分で計算するときは、最後の月は退職日までの分だけを数えてください。

6. 退職金の払い方と離職票は退職前に会社に聞く

退職金と基本手当を両方受け取るために、退職前に会社へ聞いておくのは次の4つです。このうち基本手当の額に関わるのは、3つ目の前払いの制度だけです*1。ほかの3つは、退職金を受け取る時期と形、離職票が届く時期を前もって知るために聞きます。

退職前に会社に聞いておくこと

  • 退職金の支払日と額:いつ、いくら支払われるかを聞きます。
  • 一時金か年金か:まとめて受け取るのか、年金として何回かに分けて受け取るのかです。
  • 前払い退職金の制度があるか:在職中の給与に退職金の分が上乗せされていたか、それが毎月の支払いだったかです。
  • 離職票をいつ送るか:ハローワークに出す離職票が、退職後いつごろ届くかを聞きます。

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7. 退職給付金と失業保険のよくある質問

Q1. 退職金を年金で受け取っている間に失業保険を受け取れますか

A. 受け取れます。退職後に年金として支払われる退職金は賃金日額に入らず、受給の条件にも退職金は挙がっていません*1*2。年金の支払いと基本手当の受給の時期が重なっても、基本手当の額は変わりません。

Q2. 退職金が出ない会社を辞めた人も失業保険はもらえますか

A. もらえます。退職金の有無は受給の条件に入っていないので、退職金の制度がない会社を辞めた人も、3つの条件がそろえば受給できます*2。額の計算も、退職金がある人と同じく離職前6か月の賃金を使う式です*2。

Q3. 退職してすぐ次の会社に入社する人も失業保険はもらえますか

A. 次の会社で働き始めた人は職業に就いているので、失業の状態に当たらず、基本手当は受け取れません*2。両方を受け取れるのは、退職後に仕事を探している間に3つの条件を満たす人です。入社日が決まっている人は、退職日から入社日までの扱いを、求職の申込みの前にハローワークへ問い合わせてください。

Q4. 前払い退職金を受け取っていた人は失業保険の額が変わりますか

A. 変わることがあります。前払いの分は原則として賃金日額に含まれるため、その分を含めて賃金日額を出します*1。受給の条件に退職金の払い方は入っていないので、受け取れるかどうかは前払いの有無で変わりません*2。

Q5. 賞与を多く受け取っていた人は失業保険も多くなりますか

A. 賞与の額は影響しません。賃金日額は離職前6か月の毎月の給与から出し、賞与等はその合計から除かれるためです*2。計算を試すときは、賞与を除いた毎月の給与だけを6か月分足してください。

Q6. 退職金を受け取ってしばらく休む間も失業保険はもらえますか

A. 就職しようとする意思がなく休んでいる間は、失業の状態に当たらないため受け取れません*2。基本手当の対象は、働く意思とすぐに働ける状態がそろっていて、仕事に就けていない人です。基本手当を受け取れる期間は、原則として離職した日の翌日から1年間です*2。休む期間を先に決めている人は、求職の申込みをいつにするかをハローワークで相談してください。

Q7. 退職金にかかる税金は失業保険の額に関係しますか

A. 関係しません。基本手当日額は賃金日額に率を掛けて出す額なので、退職金にかかる税の額はこの計算に出てきません*2。退職金の手取りが税で増減しても、基本手当日額は同じ式で計算されます。

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8. まとめ:退職金を受け取っても基本手当は減らない

この記事のまとめ

  • 退職給付金(会社の退職金)と失業保険(雇用保険の基本手当)は、両方受け取れます*2。
  • 退職後に一時金か年金で受け取る退職金は賃金日額に入らないため、基本手当の額は減りません*1。
  • 在職中の給与に上乗せして受け取る前払い退職金は、原則として賃金日額に入ります*1。
  • 月給で月の途中に退職し、その月の給与を全額受け取った場合は、退職日の翌日以後の分が賃金日額から外れます*1。
  • 基本手当日額は賃金日額のおよそ50〜80%(60歳〜64歳は45〜80%)で、年齢ごとに上限も決まっています*2。
  • 受給の条件は求職の申込み・失業の状態・被保険者期間の3つで、退職金の有無は書かれていません*2。

まず退職前に、退職金の払い方と、前払いの制度があったかを会社に聞いてください。自分で計算するときも、給与と一緒に数えるのは前払いの分だけで、退職後に受け取る退職金は入れません*1。離職票が届いたら、ハローワークで求職の申込みを済ませてください。

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出典・参考情報

*1 厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領(令和8年8月1日以降)第5〜第8」
*2 ハローワークインターネットサービス「基本手当について」

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