ツールが導入されない理由|決め方を見る

新しいツールを使いたいと考えても、社内で導入されないまま時間が過ぎることがあります。理由として費用が挙げられることは多いですが、費用の話だけで止まっているとは限りません。それを使うかどうかを誰がどこで決めているのかという「決め方の場所」を確かめると、次に何を確かめればよいかが見えてきます。決め方の場所は会社ごとに異なり、費用・情報の取り扱い・運用の担い手・既存の手順との重なりという観点から探せます。
ツールが入らない理由は、誰がどこで決めるかという「決め方の場所」を確かめると見えてきます。
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この記事のポイント
- ツールが入らない理由は費用だけでなく、誰がどこで決めるかという「決め方の場所」によっても変わります
- 決め方の場所は費用の承認・情報の取り扱い・運用の担い手・既存の手順との重なりという四つの型に分けて確かめられます
- 情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1。この数字は募集の動きを示すもので、ツールが入るかどうかを決めるものではありません
1. ツールが入らない理由は費用だけではありません
ツールが社内で入らない理由は、費用だけではありません。誰が費用を承認し、情報の取り扱いをどこで判断し、導入後の運用を誰が担うのかという「決め方の場所」を確かめると、次に何をすればよいかが見えてきます。
新しいツールを使いたいと考えても、社内で導入が進まないまま時間が過ぎることがあります。理由を尋ねると「費用が」という答えが返ってくる場面は多いですが、費用の話だけで止まっているとは限りません。
実際には、そのツールを費用の面で承認する人、情報の取り扱いを判断する部署、導入後の運用を担う人という、複数の決め方の場所が関係しています。どれか一つが分かっても、別の場所で止まっていることがあります。
決め方の場所が複数に分かれているのは、会社の判断が遅いということではなく、費用・情報・運用という異なる観点から確かめる必要があるためです。まず確かめるべきは、そのなかのどこがいまの状況に当たるかです。
決め方の場所を確かめる作業は、一度で終わるものではありません。担当者が変わったり、扱う情報の範囲が広がったりすると、以前確かめた内容が変わっていることもあります。導入の話が動き出したときに、あらためて確かめ直す前提を持っておくと、行き違いを避けやすくなります。
ここから、決め方の置き場所が会社ごとにどう違うか、入らない理由を四つの型に分けた表、背景となる求人の数字、決め方の場所を測る図、確かめる相手の型、よくある質問という順に見ていきます。
2. 決め方の置き場所は会社によって違います
ツールの導入をどこで決めるかは、会社によって置き場所が異なります。チームの裁量で決められる場合もあれば、情報システムやセキュリティの部署の確認を経る場合もあり、費用の大きさによっては購買の手続きが必要になる場合もあります。
この違いは、会社の規模だけで決まるわけではありません。そのツールが外部にデータを渡す設定を持つか、既存の手順と役割が重なるかによって、確かめる部署が変わります。
決め方の場所を先に確かめておくと、費用の説明を用意すべきか、情報の取り扱いを説明すべきかが分かり、的外れな準備をしなくて済みます。決め方の場所を確かめずに費用の説明だけを用意すると、情報の取り扱いを尋ねられた時点で足止めになります。
決め方の場所は、いつも一人が担っているわけではありません。費用は上長、情報の取り扱いは別の部署、というように分かれていることも多く、両方を確かめて初めて全体が見えてきます。
過去に別の仕組みが入った例があれば、そのときの経緯をたどることも手がかりになります。誰が最初に持ちかけ、どこで承認され、誰が運用を引き継いだのかが分かれば、今回も近い経路をたどれる場合があります。
3. 入らない理由を四つの型に分けます
ツールが入らない理由は、四つの型に分けて確かめられます。費用の決め方だけでなく、情報の取り扱いや運用の担い手、既存の手順との重なりも関係します。
入らない理由の型と、確かめる内容・相手
| 入らない理由の型 | 確かめる内容 | どこで確かめるか |
|---|---|---|
| 費用の決め方 | 誰が予算の承認権を持っているか | 上長や経理・購買の窓口 |
| 情報の取り扱い | 外部にデータを渡す設定がないか | 情報システムやセキュリティの担当 |
| 運用を担う人 | 導入後の設定や問い合わせを誰が受けるか | 運用を任されている部署やチーム |
| 既存の手順との重なり | いま使っている手順や仕組みと役割が重ならないか | その手順を管理している担当者 |
費用の決め方は、金額の大小によって承認する人が変わる場合があります。小さな費用は上長の裁量で決まり、一定額を超えると経理や購買の手続きを通る、という段階を持つ会社もあります。
情報の取り扱いは、そのツールが外部にデータを渡す設定を持つかどうかで確かめる相手が変わります。データを渡す設定がある場合、情報システムやセキュリティの担当が判断に関わることがあります。
運用を担う人が決まっていないと、導入したあとの設定変更や問い合わせの受け先が定まりません。誰が運用を担うのかは、導入前に確かめておく項目の一つです。担当が決まらないまま導入だけが先に進むと、不具合が起きたときに誰に伝えればよいかが分からなくなります。
既存の手順との重なりも、確かめておきたい点です。いま使っている手順や仕組みと役割が重なる場合、両方を残す理由を説明できるかが問われます。社内の通信に関わる既存の手順を切り分ける考え方は、別記事で扱っています。
四つの型は、互いに独立しているわけではありません。費用が大きく、かつ外部にデータを渡す設定を持つ道具は、費用の承認と情報の取り扱いの両方を同時に確かめる必要があります。どの型に当てはまるかを先に見分けておくと、確かめる順番も決めやすくなります。
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4. 背景にある求人の数字を2つ並べます
決め方の場所を確かめる背景として、技術者の求人に関する数字を2つ並べます。
情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍、有効求人倍率は1.65倍です*1。前者はその月に新しく出た募集で見た数字、後者は前の月から続く分を含めた数字で、同じ職種でも見え方が変わります。
どちらも募集の状況を示す数字であり、社内で道具が入るかどうかを決める材料ではありません。それでも募集が動いているからこそ、いま勤めている会社で何がどこで決まるのかを確かめておく意味はあります。
5. 決め方の場所がどこまで見えたかを図にします
決め方の場所がどこまで分かったかは、数字ではなく位置で表せます。
決め方の場所がどこまで分かっているかは、「まだ分からない」から「窓口まで分かった」までの間のどこかに位置づけられます。部署までは分かっていても、担当者までは分かっていない、という状態もこの間に含まれます。
位置が左に近いほど、まず何を確かめればよいかを絞る段階にあります。位置が右に近いほど、確かめる相手に直接聞く段階に進めます。
在宅で働く場合の環境整備についても、会社がどこまで関わるかは決め方の場所の一つです。確かめ方は別記事で扱っています。
決め方の場所を測ることは、会社の判断を評価することではありません。次に確かめる相手を絞るための手がかりです。
同じ会社のなかでも、道具ごとに位置は変わります。日常的に使う小さな道具は右寄りになりやすく、費用が大きく情報の取り扱いに関わる道具は、確かめる相手が増える分だけ左寄りになりやすい傾向があります。
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6. 確かめる相手を三つの型でそろえます
確かめる相手が分かれば、聞き方も型でそろえられます。費用・情報・運用という三つの型に分けておくと、確認が重複しません。
確かめるときの三つの型
- 費用を確かめる型:上長や経理・購買の窓口に、誰がその金額を承認するかを尋ねます
- 情報の扱いを確かめる型:情報システムやセキュリティの担当に、外部にデータを渡す設定がないかを尋ねます
- 運用の担い手を確かめる型:導入後の設定や問い合わせを受ける部署はどこかを尋ねます
三つの型は、ツールの導入について確かめたいことが複数あるときに、聞く相手を整理するための型です。どの型を使うかは、まだ分かっていない項目によって決まります。
費用を確かめる型は、承認の金額の目安が分からないときに使います。上長の裁量で決まる範囲と、経理や購買の手続きが必要になる範囲を分けて尋ねると、次に何を用意すればよいかが分かります。
情報の扱いを確かめる型は、対象が外部にデータを渡す設定を持つかどうかが分からないときに使います。設定の有無が分かれば、情報システムやセキュリティの担当に相談すべきかどうかが見えてきます。
運用の担い手を確かめる型は、導入後に誰が設定や問い合わせを受けるのかが決まっていないときに使います。担い手が決まっていない仕組みは、導入されても使われなくなることがあります。
三つの型を使う順番にも目安があります。まず費用を確かめ、次に情報の扱い、最後に運用の担い手を確かめると、聞く相手を変えるたびに同じ説明を繰り返さずに済みます。
転職先を探している場合、応募前の求人票から決め方の傾向を読み取る観点もあります。読み取り方は別記事で扱っています。
あわせて読みたい | 開発環境の整い方を求人で読む|聞き方を変える
7. よくある質問(Q&A)
Q1. ツールが入らないとき、まず何を確かめればよいですか。
A. まず、そのツールが誰の承認で入るのかを確かめるとよいでしょう。費用の承認権を持つ人と、情報の取り扱いを判断する部署は分かれている場合があるため、両方を確かめておくと次の相手が分かります。
Q2. 費用が小さい場合でも、同じように確かめる必要がありますか。
A. 費用の大きさだけで決まるとは限りません。外部にデータを渡す設定がある場合、費用が小さくても情報の取り扱いを確かめる対象になります。
Q3. 個人で使っていた道具を会社でも使いたい場合、進め方は変わりますか。
A. 個人で使う場合と会社で使う場合では、情報の扱いや運用の担い手を確かめる相手が変わります。個人の利用で問題がなかったことは、会社での判断の材料にはなりません。
Q4. 決め方の場所が分からないとき、誰に聞けばよいですか。
A. まずは上長に、導入について相談できる窓口があるかを尋ねるとよいでしょう。窓口が分かれば、そこから費用や情報の取り扱いを確かめる相手へ進めます。
8. まとめ:決め方の場所を確かめると次の一手が変わります
この記事の要点
- ツールが入らない理由は費用だけでなく、誰がどこで決めるかという決め方の場所によっても変わります
- 決め方の場所は費用の承認・情報の取り扱い・運用の担い手・既存の手順との重なりという四つの型に分けて確かめられます
- 確かめる相手も費用・情報・運用という三つの型に分けておくと、聞き方が重複しません
- 情報処理・通信技術者の新規求人倍率は3.92倍です*1。この数字は募集の動きを示すもので、決め方を決めるものではありません
ツールが入らない理由を費用だけで捉えると、確かめる相手を一つに絞ってしまいます。決め方の場所を費用・情報・運用・既存の手順という四つの型で分けて確かめれば、次に聞く相手が見えてきます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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