期末の予算消化がある求人で先に決めておくこと
監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)

ITエンジニアが正社員として転職を考えるとき、単年度予算で動く求人かどうかは、求人票だけでは見えにくい条件です。予算を使い切る前提の契約では、期末に仕事が集中しやすくなります。前もって確認できるかどうかで、実際に体感する忙しさの山の高さは変わります。
総務省の調査によれば、2025年の転職者数は330万人でした*1。転職そのものは珍しい選択ではありません。ただし契約形態によって仕事が集中する時期は変わるため、入社前の確認が判断材料になります。
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この記事のポイント
- 転職者数は2025年に330万人でした。働き方の条件を比べて選ぶ人が一定数います*1。
- 正社員全体でテレワークを実施しているのは22.5%です。出社を前提とする働き方が多数派であり、柔軟性は求人ごとに確認する必要があります*2。
- 予算を使い切る契約かどうかで、期末に仕事が集中する度合いは変わります。入社前に契約形態を確認できるかどうかで、体感する忙しさの山は変わります。
1. 期末の忙しさは、予算消化という仕組みから生まれます。
期末に仕事が集中する求人は、単年度予算を使い切る契約に多く見られます。総務省の調査では、2025年の転職者数は330万人でした*1。求人票だけでは、契約の予算がどの周期で組まれているかまでは分かりません。面談で契約形態を確認しておくことが、事前に把握する手段になります。
期末に仕事が集中する背景には、単年度予算という前提があります。年度内に使い切る前提の予算では、余った分を年度の終わりに仕事へ振り分ける動きが起こりやすくなります。
この動きは、官公庁向けの受託開発や、予算消化を前提としたSES求人でよく見られます。契約の性質そのものが、忙しさの大きさを左右します。
求人選びの段階でこの契約形態を確認できれば、忙しさをあらかじめ想定したうえで転職の判断ができます。確認を先送りにすると、入社後に実態を知ることになります。
求人票に契約形態が明記されていない場合は、面談で「契約は単年度か、複数年度か」を尋ねる方法があります。答え方が曖昧な求人ほど、実際の忙しさの見通しも立てにくくなります。
同じ会社のなかでも、部署や担当する取引先によって契約の性質は分かれます。会社単位で判断せず、配属先の契約形態まで確認しておくと、想定と実態のずれを減らせます。
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2. 予算消化型の求人と、通年で稼働量が変わりにくい求人を比べます。
どちらの求人を選ぶかで、1年間の忙しさの波は変わります。
予算消化型の求人を選ぶと、期末に仕事が集中する場合があります。単年度予算という契約の性質が、忙しさの波を決めます。
通年で稼働量が変わりにくい求人であれば、年度の終わりだからといって仕事の量が大きく変わるわけではありません。事業計画に沿って稼働量が決まるため、年間を通じて忙しさの差が小さくなります。
どちらの求人が合うかは、忙しさの波をどこまで受け入れられるかによって変わります。契約形態を求人票や面談で確認しておくことが、比較の前提になります。
官公庁や自治体の事業を受託する求人では、予算消化型に近い性質を持つ場合があります。反対に、自社サービスを継続的に運用する求人では、稼働量が変わりにくい性質を持ちやすくなります。
受託か自社サービスかという分類だけでは判断できない求人もあります。取引先の数や契約の本数によって、忙しさの波の大きさは変わるため、分類とあわせて実際の稼働状況を確認しておく必要があります。
3. 単年度予算という前提が、忙しさの山を決めます。
単年度予算で動く契約では、年度の残り期間で使い切れなかった予算が期末に仕事へ回されることがあります。これは特定の企業の運用というより、予算制度そのものから生まれる動きです。
この忙しさをどこまで受け入れられるかは、人によって違います。忙しさそのものを避けたいのか、見通しが立たないことを避けたいのかで、確認すべき点も変わります。
働き方の柔軟性も、忙しさを和らげる要素のひとつです。パーソル総合研究所の調査では、テレワークを実施している正社員は全体の22.5%でした*2。出社を前提とする働き方が多数派であり、リモートワーク対応の求人かどうかは、求人ごとに確認する必要があります。
忙しさが大きい求人であっても、リモートワーク対応であれば、移動にかかる時間を減らせる分だけ実感が変わる場合があります。業務量そのものが減るわけではない点は変わりません。
契約形態と働き方の両方を、入社前の面談で確認しておくことが、忙しさを想定した転職の判断につながります。
忙しさの波を受け入れる代わりに何が用意されているかも、確認しておきたい点です。稼働量が増える時期の手当や、代休を取得できる時期の柔軟さなど、条件は求人ごとに異なります。
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4. 求人選びの前に見ておきたい数字をまとめます。
忙しさの背景に関わる数字を、まとめて確認します。総務省の労働力調査、パーソル総合研究所の調査、厚生労働省の賃金構造基本統計調査から、それぞれの数字を並べます。
【表1】転職・働き方・賃金にまつわる数字(2025年)
| 指標 | 数値 | 出典 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 転職者数 | 330万人 | 総務省*1 | 2025年平均・前年比-1万人 |
| 正社員のテレワーク実施率 | 22.5% | パーソル総合研究所*2 | 出社中心が多数派 |
| 一般労働者の賃金(45〜49歳) | 377.9千円 | 厚生労働省*3 | 月額・2025年調査 |
表のとおり、2025年の転職者数は330万人でした*1。転職そのものは珍しい選択ではなく、条件を比べて選ぶ人が一定数います。
正社員のテレワーク実施率は22.5%で、出社を前提とする働き方のほうが多数派です*2。期末に仕事が集中する求人であっても、働き方の柔軟性は別の条件として確認する必要があります。
一般労働者の賃金は、45〜49歳で月額377.9千円でした*3。忙しさを受け入れる働き方に見合った賃金かどうかを判断する際、比べる基準のひとつになります。
3つの数字はそれぞれ別の調査に基づいています。転職者数は労働市場全体の規模を、テレワーク実施率は働き方の柔軟性を、賃金は生活の基盤を示す数字です。1つの数字だけで転職の判断はできません。
5. 求人の性質は、2つの極のあいだで分かります。
予算消化型と通年安定型は両極であり、実際の求人はその間のどこかに位置します。
求人が予算消化型に近いか、通年安定型に近いかは、契約の年数や発注元の予算制度によって変わります。面談で確認しておくと、期末にどの程度の忙しさを想定すべきかが見えてきます。
位置が予算消化型に近いほど、年度の終わりの忙しさは大きくなりやすくなります。反対に通年安定型に近いほど、年間を通じて忙しさの差は小さくなります。
契約の位置を面談だけで判断しにくい場合は、実際にその契約で働く社員の声を、求人媒体や企業の採用ページで確認する方法もあります。求人票の文面だけでは分からない実態が見えてくる場合があります。
6. 事前に確認しておきたい点を整理します。
契約形態と働き方の条件を確認できるかどうかで、転職後に体感する忙しさは変わります。
忙しさを想定するための確認点
- 契約形態:単年度予算で動く契約か、複数年度・自社サービス中心の契約かを確認します。
- 過去の実績:年度の終わりにどの程度稼働量が増えたか、過去の実例を面談で確認します。
- 働き方の条件:リモートワーク対応かどうか、出社の頻度を含めて確認します。
- 賃金の水準:忙しさの大きさに対して、賃金が見合っているかを確認します。
契約形態を確認すれば、期末に仕事が集中しやすい求人かどうかをあらかじめ判断できます。単年度予算で動く契約ほど、年度の終わりの忙しさは大きくなりやすくなります。
過去の実績を尋ねることは、契約形態だけでは分からない実際の忙しさを知る手段になります。同じ契約形態でも、発注元によって忙しさの大きさは変わります。
働き方の条件と賃金の水準は、忙しさそのものとは別の確認点です。忙しさを受け入れる代わりに何が用意されているかを、あわせて確認しておく必要があります。
4つの確認点はどれも単独では判断材料として十分ではありません。契約形態・過去の実績・働き方の条件・賃金の水準をあわせて確認することで、忙しさを想定したうえで転職の判断ができます。
4つを一度にすべて尋ねる必要はありません。面談の場面ごとに優先順位をつけて確認していく方法でも、判断の材料としては十分に役立ちます。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 仕事が集中しやすい求人かどうかは、どこで確認できるか。
A. 求人票だけでは分かりません。契約形態が単年度予算で動くものかどうかを、面談で確認する方法があります。過去の実績を尋ねると、実際の忙しさの大きさも見えてきます。
Q2. 予算消化型の求人は、避けるべきか。
A. 一概に避ける必要はありません。忙しさの波を事前に想定できれば、働き方や賃金の条件と合わせて判断できます。避けるかどうかは、条件全体を見たうえで決める話です。稼働量が増える時期の手当が用意されている求人であれば、忙しさそのものを理由に避ける必要は薄くなります。
Q3. リモートワーク対応の求人であれば、忙しさは軽くなるか。
A. 業務量そのものが減るわけではありません。ただし移動にかかる時間を減らせる分、忙しさの実感が変わる場合があります。
Q4. 実務経験は何年あれば、契約形態を見極められるようになるか。
A. 目安は実務3年です。契約の性質を判断するには、稼働量の変化を実際に経験しておくことが役立ちます。3年未満でも、複数の契約を経験していれば判断材料になります。
Q5. 面接で契約形態を尋ねると、印象が悪くならないか。
A. 稼働量の見通しを確認する質問は、働き方への関心として受け取られます。契約の性質と過去の実績を尋ねる形であれば、不自然な質問にはなりません。稼働量の変化を尋ねたうえで、その時期にどう対応してきたかを聞くと、より具体的な回答が得られます。
8. まとめ:期末の求人選びは、事前確認で山を低くできます。
この記事の要点
- 期末に仕事が集中する求人は、単年度予算を使い切る契約に多く見られます。転職者数は2025年に330万人でした*1。
- 正社員のテレワーク実施率は22.5%で、出社中心の働き方が多数派です。働き方の柔軟性は求人ごとに確認する必要があります*2。
- 一般労働者の賃金は45〜49歳で月額377.9千円です。忙しさの大きさに賃金が見合っているかを判断する基準になります*3。
- 契約形態・過去の実績・働き方の条件・賃金の水準を確認できれば、忙しさをあらかじめ想定したうえで転職の判断ができます。
忙しさの波をなくすことはできませんが、山の高さを事前に知ることはできます。契約形態と働き方、賃金の水準を確認したうえで、転職の判断を進めていきましょう。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2025年(令和7年)平均結果」(2026年2月公表)
*2 パーソル総合研究所「第十回テレワークに関する調査」(2025年公表)
*3 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
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