有給消化の日数は平均12.1日|退職前に使い切るための数え方

有給消化の日数として最初に出てくる数字は、労働者1人平均で12.1日です*1。年次有給休暇(給与が支払われる休暇)を1年間に取った日数の平均で、退職前にまとめて消化できる日数ではありません。自分が使える日数は、手元に残っている日数から出します。
残っている日数は、付与された日数に前年からの繰り越しを足し、今年すでに取った日数を引いて求めます。付与される日数は勤続年数で決まっていて、6か月の勤続で年10日です*2。この式に自分の数字を入れると、残りの日数が分かります。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 公表されている平均の12.1日は、取得の実績を集計した数字です*1。退職のときに使い切れる日数を示したものではありません。
- 自分が使える日数は、その年の付与分と繰り越し分を合計し、すでに取った分を引いた残りです。給与明細や勤怠システムの残日数欄に、その数字が出ていることもあります。
- 年10日以上が付与される人には、年5日分を会社が休む日を指定してでも取らせる決まりがあります*2。自分から申し出て5日取っていれば、会社からの指定は出ません*2。
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1. 退職前に消化できるのは残っている日数まで
退職前に消化できる有給休暇の日数は、いま手元に残っている日数がそのまま上限です。計算は、今年付与された分と前年から繰り越した分を合わせ、そこから取得済みの日数を差し引きます。公表されている12.1日という平均は、1年間に取った日数を労働者1人あたりで見た数字です*1。自分の残りが何日あるかは、この平均から読み取れません。
そのため、最初に開くのは給与明細か勤怠システムの残日数欄です。欄があれば、いま何日残っているかがそこに出ています。見当たらないときは、人事や総務の担当者へ残りの日数を聞いてください。退職を切り出す前でも確認できます。
ただし、残日数欄に出ている数字が最新とは限りません。付与の日を過ぎた直後や、申請中の休暇がある時期は、画面の数字と実際の残りがずれます。ずれているときは、付与の日と申請済みの日数を担当者に聞き直してください。数字の根拠が分かれば、退職日までの予定を組めます。
実際、有給消化の日数が出ると、退職日までの出勤予定日と突き合わせられます。出勤予定日より残りが多ければ、全部は消化できません。出勤予定日のほうが多ければ、どの日に休むかを選べます。2つの数字を並べた時点で、どちらなのかがはっきりします。
2. 平均12.1日は1年間に取った日数
実際、1年間に付与された年次有給休暇は労働者1人平均で18.1日、そのうち取ったのは12.1日です*1。2つを並べると、付与されたほうが多い状態が見えます。ただし、どちらも1年という区切りの中で数えた日数です。退職前にまとめて休む話とは、区切りが違います。
この18.1日と12.1日は、全国の事業所を集計した結果です*1。自分の勤め先の付与日数が同じとは限りません。何日付くかは勤続年数と所定の労働日数で変わるため、人によって差が出ます*2。平均を自分の上限として読むと、計算が狂います。
なお、付与日数18.1日には、前年からの繰越日数が入っていません*1。繰り越した分を持っている人は、手元の残りがこの数字を上回ります。その年に多く休んだ人は下回ります。平均との差ではなく、自分の残りの日数を見てください。
一方、12.1日は取った日数の実績であって、取れる日数の上限ではありません*1。何日取れるかは、その年に付与された日数と前年からの繰り越しで決まります。勤め先ごとの数字でもないため、自分の残りの代わりには使えません。退職前の計算からは外してください。
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3. 取得率66.9%は全国の平均
一方、付与された日数のうち取得された割合は66.9%です*1。この取得率も全国の集計で、勤め先ごとの数字ではありません*1。自分の会社の割合は、人事が集計していなければ出てきません。退職前の計算に必要なのは、割合ではなく日数です。
そのため、退職前の計算に取得率は使いません。使うのは、残日数欄に出ている日数と、付与の日から今日までに取った日数の2つです。取得率は勤め先全体の実績であって、自分の残りとは結び付きません。先に押さえるのは日数のほうです。
実際、付与18.1日と取得12.1日と取得率66.9%は、同じ調査の同じ年の数字です*1。別の年の数字と混ぜると、計算の前提がずれます。自分の残りを出すときは、この3つのどれも使いません。手元の付与日数と取得済みの日数だけで足ります。
なお、この割合のもとになる付与日数には、前年からの繰り越しが入っていません*1。繰り越し分を持っている人は、実際に消化できる割合がこの数字と変わります。割合ではなく日数で考えると、自分の残りにたどり着きます。見るのは、残った日数の実数です。
ただし、勤め先の取得率を知ること自体に意味がないわけではありません。人事が集計していれば、職場でどれだけ休みが取られてきたかを数字で確認できます。全国の66.9%と並べれば、自分の職場の位置も見えてきます*1。それでも、退職前に消化できる日数を決めるのは手元の残りです。
4. 残りの日数を出す3つの数字
残っている日数は、3つの数字がそろえば出ます。1つ目は今年付与された日数、2つ目は前年から持ち越した日数、3つ目はすでに取った日数です。最初の2つを足して3つ目を引くと、退職日までに使える日数が分かります。紙に書き出してください。
ただし、繰り越し分が何日あるかは、給与明細に出ないこともあります。その場合は、前年の付与日数と前年に取った日数を人事の記録から出してもらってください。前の年の記録がそろえば、繰り越し分も数えられます。分からない年があれば担当者に照会してください。
なお、退職日が決まっているなら、残りの日数を退職日から逆算して割り振ります。引き継ぎに必要な出勤日を先に残し、その後ろに休む日を並べます。休む日が決まってから、有給休暇の申し出を出す順です。順番を入れ替えると、調整をやり直す手間が出ます。
実際、数えた日数と会社の記録が合わないことがあります。そのときは、付与の日と取得の記録を1件ずつ並べて突き合わせてください。差が出た日付が分かれば、どちらの数え漏れかがはっきりします。合意した日数は、書面かメールで残します。
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5. 勤続年数で変わる付与日数
有給休暇が何日付くかは、勤続年数で決まります*2。付与の決まりは労働基準法第39条に置かれています*3。雇入れの日から6か月続けて勤め、全労働日の8割以上出勤した人には年10日が付きます*2。続けて勤めれば日数は増え、6年6か月で年20日が限度です*2。
勤続年数と付与される日数
| 勤続年数 | 付与される日数 | 根拠 |
|---|---|---|
| 6か月 | 年10日 | 雇入れの日から6か月の継続勤務と全労働日の8割以上の出勤*2 |
| 6か月より後 | 継続勤務で増える | 勤続が続くと付与日数が増える*2 |
| 6年6か月 | 年20日 | 継続勤務6年6か月で限度に達する*2 |
ただし、10日や20日という日数は、所定労働日数が通常の労働者を想定した数です*2。パートタイム労働者のように所定労働日数が少ない人には、比例付与が適用されます*2。比例付与とは、働く日数に応じて有給休暇の日数を決める扱いです*2。自分の契約日数は、雇用契約書で確認してください。
実際、最初の付与は雇入れの日から6か月後です*2。その後は1年ごとに次の付与が来ます*2。この付与の日を基準日(有給休暇が新しく付く日)と呼んでいます。基準日を過ぎてから退職すると、その日に付いた分も残りに加わります*2。入社日から数えれば、自分の基準日が分かります。
なお、付与の条件には、全労働日の8割以上の出勤が入っています*2。雇入れの日から6か月の間にどれだけ出勤したかで、最初の付与が決まります*2。管理監督者も付与の対象です*2。自分が条件を満たしているかは、勤怠の年間集計で確認できます。
6. 年5日は会社にも取らせる義務がある
ただし、有給休暇は本人からの申し出だけで決まるものではありません。2019年4月から、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者については、年5日を使用者が時季を指定して取得させることが必要です*2。時季指定とは、いつ休むかを使用者の側が決めて休ませる扱いです*2。使用者とは、この場合は勤め先の会社を指します。
実際、労働者が自ら申し出て取得した日数は、年5日から差し引けます*2。労使協定で取得時季を定めて与えた日数も、同じように差し引けます*2。これを計画的付与と呼び、会社と労働者の代表が話し合って休む日をあらかじめ決めておく方法です*2。自分で5日取っていれば、会社が時季を指定する必要はありません*2。
なお、この義務がかかるのは、1年に10日以上の休暇が付与される場合です*2。付与日数が10日に届かない人は、対象から外れます*2。何日付与されるかは勤続の年数と契約日数で変わるため、まず自分の付与日数を押さえてください。
そのため、退職の時期が決まったら、残りの日数の使い方を先に会社へ伝えます。伝えた日数が5日以上あれば、休む日を会社から指定される場面は出てきません*2。伝えないままだと、会社の側から休む日を割り当てられます*2。どちらの順番になるかは、こちらから伝えるかどうかで変わります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 退職前に有給休暇を何日まとめて取れますか
A. 残っている日数が上限です。付与された分に繰り越しを足し、そこから取得済みを引いた数が残りです。分からないときは、総務か人事へ照会してください。
Q2. 平均の12.1日は取れると考えてよいですか
A. 平均は自分が取れる日数とは結び付きません。12.1日は、その年に休んだ日数を全国で集計した平均です*1。自分の日数は、残りを数えて出してください。
Q3. 年5日の指定は自分にも来ますか
A. 付与日数が10日以上なら対象です*2。ただし、5日分を自分で申し出て取っていれば、会社からの指定は要りません*2。労使協定で決めた計画的付与の日数も、5日から差し引けます*2。
Q4. 週の勤務日数が少ない場合も有給休暇は付きますか
A. 契約の勤務日数が少ない場合も付与の対象です*2。日数に応じた比例付与が行われます*2。何日付くかは週の勤務日数で変わるため、雇用契約書と就業規則を見てください。
Q5. 基準日を過ぎてから退職する場合はどうなりますか
A. 基準日に新しく付いた日数も、残りに加わります*2。退職日が基準日より後なら、その分まで含めて数えられます。基準日は、入社日から6か月後と、その後は1年ごとの日です*2。
8. まとめ:有給消化の日数は平均ではなく残りで決まる
この記事のまとめ
- 12.1日という平均は、1年間の取得の実績です*1。退職前に使い切れる日数とは別のものとして読んでください。
- 自分の日数は、付与分と繰り越し分の合計から取得済みの分を引いた数です。数字は給与明細か勤怠の画面に出ていることがあり、無ければ人事へ照会します。
- 付与の起点は勤続6か月の年10日で、6年6か月の年20日が上限です*2。週の勤務日数が少ない人は、日数に応じて比例付与されます*2。
- 付与が10日以上ある人は、年5日について会社が休む日を指定します*2。自分で5日休んでいれば、指定は行われません*2。
有給消化の日数を数えたら、退職日までの出勤予定に当てはめてください。数が合わないときは、勤怠の記録と付与の履歴を人事と照らし合わせます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「令和7年 就労条件総合調査 結果の概況」(2026年確認)
*2 厚生労働省「年次有給休暇の時季指定義務」(2026年確認)
*3 e-Gov法令検索「労働基準法」第39条・第627条(2026年確認)
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