レポート鳥取県北栄町でのワーケーション体験2泊3日

今回の行き先は、「名探偵コナンに会えるまち」として知られる鳥取県北栄町。
『名探偵コナン』の作者である青山剛昌先生の出身地で、町中にコナンがたくさん!
農作物の栽培も盛んで、シャリっと感が強くて甘い大栄西瓜や、砂丘地帯という特色を活用した長芋などの作物も有名です。
今回、そんな北栄町のワーケーション体験プログラムにモニターとして参加してくれたのは、Webエンジニアの谷さんとWebデザイナーの加藤さん。
取材班がお二人に随行し、2泊3日の様子をレポートします。

プログラム概要

日程
2023年7月19日(水)~21日(金)
参加者
2名

▼ 1日目:7月19日(水)

鳥取県中部最大の駅である倉吉駅に集合です。特急スーパーはくとの終着駅として知られています。
あいにくの雨でしたが、笑顔で挨拶を交わし出発です。

【観光・食事】道の駅大栄
最初の目的地はこちら。日本で一番最初にできたと言われている歴史ある道の駅です。
併設の「お台場いちば」では、地元の野菜や果物、お花などがたくさん並んでおり、お客さんがひっきりなしに訪れます。
今年の大栄西瓜の収穫は2日後が最終日ということでギリギリセーフ!
お二人とも、人の顔よりもはるかに大きいサイズの大栄西瓜を地元に発送されていました。

昼食も、併設の「ど真ん中食堂」でいただきます。
地元で取れた魚をふんだんに使ったてっぺん丼が名物。お刺身がいまにもこぼれ落ちそうです。
その他にも、鳥取県中部のソウルフードとして知られる牛骨ラーメンや、道の駅でも売っている大栄西瓜や長芋も美味しくいただけます。鳥取県産の食材を集めて、鳥取県のど真ん中で提供するというコンセプトのお店です。

【観光】コナン通り
食事が終わったら移動開始。
「コナン通り」と名付けられた、JR由良駅から道の駅「大栄」の南側にある青山剛昌ふるさと館までの道を巡ります。
その名の通り、名探偵コナンのキャラクターオブジェにたくさん出会うことができます。記念にコナンくんとパシャリ。

【体験】北条ワイン 醸造作業体験
そしていざ、ワーケーションの目的地である北条ワインへ。3代目の山田社長に、まずは酒蔵の中を案内いただきます。
創業のきっかけは、ワイン製造の副産物として得られる酒石酸を戦争に用いるためだったそう。
その頃から使用されている歴史あるタンクが並ぶ様は圧巻です。
そんな趣深い雰囲気の中に、ワインの芳醇な香りが立ち込め、その場にいるだけで気分があがってしまいます。
ワインの製造過程から、酒蔵での山田社長の小さい頃の思い出まで、なんでも優しくお話いただきました。
この酒蔵を活用して課題解決につなげることが出来ないかと想像を膨らませます。

さて、いざ醸造所体験です。今回は、スパークリングワインのオリを取り除く作業を体験します。
ワインボトルを逆さにして瓶口に沈殿させた不純物を-28度の冷たさで凍結させ、栓を開けた瞬間の炭酸の勢いで除去していきます。
これは発酵に使われた酵母の死骸で、ワインの色味を損なわせたり雑味を生んだりする原因になるのだそう。
今回の体験は、ワイン製造の最後のとても大事な工程を任せていただきました。ミスの許されない貴重な体験です。

不純物の除去で減った分量は、目安の位置まで他の液体で補充していきます。
普段は機械を使用しているそうですが、今回は特別に昔ながらのやり方で手作業で体験します。
炭酸の泡が今にも溢れ出しそうで、こぼれないよう慎重に注いでいきます。お二人ともとても集中した真剣な顔つきでした。
そして最後に栓をして完成です!

【ワーク】JAMMER
体験が終わったら、浮かんできたアイデアをすぐに書き溜めます。
こちらは、今年3月にオープンしたばかりの8セルフカフェ。なんとワンドリンクの購入で使い放題になっています。
隅々まで綺麗に保たれており、白とダークブラウンで統一された室内はノイズレスな落ち着いた雰囲気で集中力も高まります。
室内には液晶画面も設置されており、スポーツの世界大会開催時にはパブリックビューイングも実施されたそう。
今後、より幅広い活用が考えられているとか。

【宿泊】北条オートキャンプ場
アイデアをまとめ終わったら、宿泊地に向かってチェックインを済ませます。
ここは北条砂丘の上で育った松林の中に作られたキャンプ場で、夏でも涼しく快適です。レンタルも充実しているので、手ぶらでのキャンプも大丈夫。
敷地内にはシャワー室やコインランドリーも設置されていて、バンガローの中には冷暖房や冷蔵庫・電子レンジ等も完備されており、不自由なく過ごすことができます。
ほど近くにある道の駅「北条公園」も、約2年後にパワーアップして営業再開予定となっており、ショッピングなどより便利になりそうです。

キャンプ場内の松林を抜けると、そこには北条砂丘と日本海が視界いっぱいに広がります。
ここ北条砂丘は東西12kmにも及びます(鳥取砂丘は同16km)。町のシンボルの1つである風車が立ち並ぶ姿も圧巻です。
天気の良い日には、日本海に沈む夕日や、夜になると漁火も見れます。
最近でも有名アーティストが楽曲のMVを撮影したそうで、この抜群のロケーションを考えると納得です。

【食事】母大笑(かかたいしょう)
ちょうどおなかが空いてきたところで、
初日の夕飯は、北栄町の方々や、先程お世話になった北条ワインの山田社長と焼肉を囲んで交流を深めます。
ここは1日1組限定の貸切専用で、他のお客さんを気にせずに会話を楽しむことができます。
カルビから牛タン、海鮮まで、お皿いっぱいに広がって迫力満点! 北栄町で穫れたお米のおにぎりも甘くて美味しい。

ここで、なんと山田社長からワインのご馳走いただき、つい先程に直に体験して触れたスパークリングワインをいただきます。
作業を苦労した後の味わいは何とも例え難い格別な味わいです。
たくさんのお肉においしいワインで会話も弾み、
北条ワインさんについて、北栄町について、関係人口について、さらには未来の農業の話なんかも飛び出したり。
皆さま気さくになんでも教えてくださいました。
北栄町の方々との距離もグッと縮まり、残りの2日間も良いワーケーション体験になりそうです。

▼ 2日目:7月20日(木)

【食事】cafe no---ka(カフェノーカ)
朝一でさっそく訪れたのはこちらのお店。
こちらも今年3月にオープンしたばかりの、地元の農家さんが営むファーマーズカフェ。
開業のきっかけは、フードロスの撲滅と、農産物を使った北栄町の魅力向上のためだそう。期待が高まります。

モーニングのイチオシは卵かけご飯!
こちらは普通の卵かけご飯ではなく、下は五穀米にメレンゲが乗っており、さらにその上に卵黄を乗せて仕上げます。牡蠣醤油での味付けに、自家製のXO醬での味変など、こだわりが詰まっています。
その他、ランチやテイクアウトもでき、農家さんだからこそ提供できる採れたての野菜や果物を使ったメニューもたくさん。
もちろん、採れたての大栄西瓜もいただけました。こんなに「すいか」が生活に溢れていることって、なんだかめずらしいような。
パンフレットのデザインもとてもかわいく、デザイナーをされているオーナーのお父様に作っていただいたそうです。

【ワーク】ギャラリーゆら里
朝食を終え、ワークに入ります。
ここは、普段はギャラリースペースとしても利用されていて、地元の学生さんたちの作品から、写真家による写真展まで幅広く展示されているそう。
晴れた日には、大きなガラス窓から太陽の光がいっぱいに入り込み、明るく優しい雰囲気をつくります。

室内には、かつて海岸防衛のため大砲が設置された「由良台場」や、大砲を鋳造していた「六尾反射炉」の模型が飾られており、
併設の図書館とあわせて地元の学びの場にもなっています。ご利用の際には、北栄町図書館窓口(tel:0858-37-5515)までお問合せ下さい。

【体験】北条ワイン 果樹園体験
1日目に続いての体験は、ワインに欠かせないブドウ作りです。
その中でも今回体験するのは摘葉という作業で、ブドウの実への日当たりを良くするために伸びすぎた枝や葉を切り落としていきます。
太陽の光をたくさん浴びせることで、色と甘みをつける工程なのだそう。
ワインブドウの価値は糖度が大きな決め手になるそうで、とても大事な工程です。

いざ体験開始!となりましたが、
気温が30度を超える晴天下の中での作業は過酷を極めます。1時間ほどの作業でも汗がびっしょり。
お二人とも農作業はほとんど経験がないとのことでしたが、枝をポキポキと折っていく感覚が楽しいと笑顔で作業されていました。すごい.....!
重要で欠かせない工程でありながらも、少しのレクチャーで誰でも簡単に作業ができ、関係人口との結びつきのアイデアになりそうです。

【食事】しおたにカフェ
2日間お世話になった北条ワインさんにお別れを告げて、昼食に向かいます。
ここは、数年前までは旅館だった館内の一部を、カフェとして活用し営業しています。
かつて宿場町として栄えた「由良宿(ゆらしゅく)」の中にあり、日替わりのパンやスープが楽しめます。
その日の日替わりは、生姜焼きサンドと鶏肉と冬瓜のスープ。
生姜焼きとパンという新しい発想に感動! スープも、とり出汁と野菜の甘みを活かした優しい味わいで食事をまとめ上げてくれます。
ケークサレやスコーンにかき氷まで、この店ならではの自家製の料理は絶品です。

小さな店内もまるで隠れ家のようで、時間がゆっくりと静かに流れ、何時間でもくつろいでしまいそう。
窓を開けると、綺麗に手入れされたお庭が広がり、太陽の光に涼しいそよ風が注ぎ込み、これぞ田舎の夏といった風情を感じることができます。

【ワーク】アイデアソン
北栄町の魅力にたくさん触れたところで、ワーケーションのメインイベントに入ります。
テーマは「関係人口を使った地域課題の解決」。
観光でもなく移住でもない形で地域と関わりを持つ方法を、Webエンジニアとして自由な働き方を実現しているモニターのお二人を中心に考えていきます。
まずは、北栄町の役場の方々も含めて各々で案を考えて出し合います。
北条ワインでの体験や、2日間かけて北栄町を見て回って感じた情報をもとに、どんどんと案が飛び出ます。
案が一通り出揃ったところで参加者全員で投票をし、票が多く集まった案を深堀していきます。

選び出されたテーマは2つ。「北条ワインオーナー制度」と「農業 × 筋トレ」です。
果たしてどんな内容に仕上がっていくのでしょうか。
役場の方々にも情報提供や壁打ちをしていただきながら詳細を詰めていきます。
あとは、翌日の発表に向けて資料作成を進めます。

【宿泊・食事】倉吉シティホテル
2日目の宿泊地は、鳥取県中部で最大の町である倉吉を訪れます。
お手頃な価格でありながら、食事処や温泉の大浴場も付いており、観光の起点として最適です。
温泉は、近場の三朝温泉から汲み入れており、世界屈指のラドン含有量を誇るお湯は体の免疫力や自然治癒力を高めてくれます。
暑い中の野外作業で疲労の溜まった身体や、アイデアソンでフル回転させた頭のリフレッシュにもバッチリです。

夕食は併設の「ふじ蔵」さん。山陰の旬の味覚を堪能できる日本料理屋さんです。
朝食はバイキングで、モニターのお二人はカレーが美味しいと絶賛でした。

▼ 3日目:7月21日(金)

【観光】蜘ヶ家山(くもがいやま)
最終日の朝は、ちょこっと寄り道。
標高177m程の小さな山ですが、広大な日本海と、北栄町の風景を一望できます。
砂丘から風車、町中に広がる田んぼやブドウ畑まで、2日間かけて巡ってきた場所を眺め、ついつい思い出に浸ってしまいました。

ここでは、木の実、花木、山菜、森林浴などのゾーンに分かれて四季折々の植物が植栽されており、植物とふれあい心と体をリフレッシュできます。季節によって、山菜狩りや木の実ひろいも楽しめるそう。
広場には、芝が綺麗にお手入れされています。裸足で歩いても気持ちよいくらいで、つい開放的な気分になってしまいます。

また、星取県という名を持つ鳥取県の中でも随一の星の名所として知られており、様々な魅力の詰まった穴場スポットになっています。

【ワーク】企画発表
そしてついに、今回のワーケーションの集大成です。
まず、副町長をはじめとした役場の皆様に発表をお聞きいただき、実現に向けてよりイメージしやすいようフィードバックをいただきます。
新規事業の立上手法の一つ、MVP(Minimum Viable Product)という考え方も参考になってきます。
予想していなかったところで生まれた反響を活かしたり、さらに魅了的な案になるよう仕上げていきます。

そしていざ、手嶋町長に発表です。
1つ目の案は、北条ワインのオーナー制度。
ブドウの木のオーナーになれたり、農作業へのお手伝いでリターンがもらえる制度です。
その他、ワインのポップアップイベントの開催など、地元の人がお酒を飲める場所がないという課題とも合わせ実現に繋がりそうです。
2つ目の案は、スパルタンレースで付加(負荷)価値のある町に。
スパルタンレースとは、近年注目されているハードな障害物レースのことで、北条砂丘から蜘ケ家山、さらには農作業をも障害物として掛け合わせてしまおうというもの。
北栄町では毎年、「すいか・ながいも健康マラソン大会」が開催されており、そのノウハウも活かすことができるかもしれません。

発表を聞いた手嶋町長からは、お二人への感謝と、実現に向かって検討しますとのお言葉をいただきました!!
時間も多くない中、隅々までこだわりを持って考え抜いた成果が実りました。
最後に、町長からモニターのお二人に修了証書と北栄町特産のブドウが贈呈されました。

【食事】610キッチン
発表をやり切ったあとは、こちらでお昼ごはん。
工場をリノベーションしたカフェで、広々とした開放感あるおしゃれな内装に心が踊ります。
こちらのオーナーは、テレビ番組『満点☆青空レストラン』でも紹介されたことがあるそう。

名物は、顔くらいの大きさのあるバーガー。ジューシーな肉肉しさがたまりません。
他にもチキン南蛮やほろほろなスペアリブなど、ガッツリ味わいながらもおしゃれに盛り付けられた肉料理が揃っています。
店内には雑貨も売っていて、雰囲気だけではない楽しさたくさんです。

【ワーク】中央公民館
昼食を終え、ワーケーションの最終目的地はこちら。
玄関の「ようこそ」の言葉が優しく迎えてくれました。
wifiアクセスや電源の位置もわかりやすく、ネット環境が必要な時でも不自由なく利用できます。
ここで、今回のワーケーションの感想や記録をまとめていきます。3日間本当にお疲れ様でした!

▼ 最後に

筆者が3日間のワーケーションに随行し1番に感じたのは、北栄町の方々のホスピタリティ溢れるやさしさと前向きさでした。
どこへ訪ねても、みなさま暖かく迎え入れて気さくにお話しいただきました。
また、行政の方を中心にどんどんと新しいことを取り組んでいこうという雰囲気を強く感じました。
道の駅の再整備、高速道路の建設、青山剛昌ふるさと館の移転新築などの大きな施策も動き始めており、
今後のさらなる変化で、より魅了的な町に向かっていく期待感にワクワクせずにはいられませんでした。

参加した方の感想

  • Webエンジニア 谷さん

    北条ワインの山田社長も役場の方も、すごく物腰柔らかでしかし熱い想いを持っておられたので非常に有意義な時間となりました。
    生産現場、地域、役所と普段自分が関わることのない属性の人たちとアイデアソンという目標に向かって議論できたことから得られたものはたくさんあるように思います。
    現場のペインやそれを解決する際にでてくる多数の障害、それらを乗り越えて町を継続させようとする役所の動きなどをダイナミックに感じ取ることができました。またそこに関わらせていただく中で、自分も何か恩返しできればと言う気持ちが生まれていることを自覚し、提案の作成に深夜まで熱が入ったように思います。

  • Webデザイナー 加藤さん

    外から来た人達を受け入れるプラットフォームがあり、よそ者を歓迎してくれているムードはとても素晴らしいと思いました。
    町長が仰っていた、できないことを考えるのではなく、できることを考えよう!というマインドが町全体に現れていて、安心してアイデア出しにも参加することができましたしリラックスして過ごすことができました。
    面白いこと、チャレンジがどんどんできる土壌をつくっている北栄町はとても魅力的ですし、今後もぜひ関わってみたい土地です。

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