退職のときの情報の整え方|返す・消す・渡す

退職が決まると、日々の業務に紛れて後回しになりやすいのが、貸与された端末や共有アカウント、自分だけが把握している記録の整え方です。細かな手順ではなく、誰に確認し、何を記録に残すかという進め方に絞って整理します。
退職のときに先に決めるべきは手順ではなく、返す・消す・渡すのそれぞれを誰に確認するかです。
Relasic(株式会社LASSIC運営)|リモートワーク対応の転職支援
この記事のポイント
- 退職時に整えるのは、貸与された端末を返す・不要な記録を消す・必要な情報を渡すという3つに分けて捉えられます
- 返却や削除は自分の判断だけで進めず、情報システム部門や上長に確認してから動くことが出発点になります
- 確認した内容は口頭で終わらせず、記録に残るかたちでやり取りしておくと、あとから見返せます
1. 退職のときに整えるのは「返す・消す・渡す」の3つに絞ります
退職が決まったら、進め方を細かな手順で覚えるより先に、貸与された端末や共有アカウントなどを「返す・消す・渡す」の3つに分けて捉えます。何を誰に確認し、何を記録に残すかが、実際に整える作業の中心になります。
退職の準備というと、引き継ぎ資料の作成や退職日の調整に意識が向きがちです。しかし、それと並行して整えておきたいのが、日々の業務で使ってきた端末やアカウント、自分だけが把握している記録の扱いです。
整える対象は多岐にわたりますが、「返す・消す・渡す」という3つの動きに分けて考えると、何から手をつければよいかが見えやすくなります。返すのは会社から貸与されたもの、消すのは扱いを確認できたもの、渡すのは後任や関係者に引き継ぐべき情報です。
どれも自分の判断だけで進めるものではありません。何が対象になり、どこまで扱ってよいかは、情報システム部門や上長に確認したうえで進める必要があります。次の項目では、確認先と記録に残すことを一覧にして整理します。
リモートワークで働いてきた人は、出社中心で働いてきた人よりも、端末やアカウントの種類が多くなりがちです。在宅の作業環境や外部のサービスを併用してきた分だけ、確認しておきたい対象も広がります。
エンジニアとして働いてきた人は、担当していた業務や関わっていたチームの数に応じて、確認しておきたい対象がさらに増える傾向があります。関わりが広かった人ほど、次の項目で挙げる確認先を早めに把握しておくと進めやすくなります。
2. 整えるものと確認する先を一覧に並べます
「返す・消す・渡す」の3つに関わる対象を、確認する先と記録に残すこととあわせて一覧にします。
【表1】整えるものと確認する先
| 整えるもの | 確認する先 | 記録に残すこと |
|---|---|---|
| 貸与された端末 | 情報システム部門 | 返却予定日と、返却が完了した旨の連絡 |
| 共有で使っていたアカウント | 情報システム部門・上長 | 権限の扱いを確認した日と、その回答 |
| 自分だけが把握している記録 | 上長・情報システム部門 | 何が残っているかと、確認した結果 |
| 私物端末に残っている業務関連のデータ | 情報システム部門 | 取り扱いを確認した日と、その回答 |
表の4項目は、退職のときに扱いが曖昧になりやすい対象です。貸与された端末や共有アカウントは会社の管理下にあるものですが、自分だけが把握している記録や私物端末に残っている業務関連のデータは、本人にしか気づけない場合があります。
確認する先は、対象によって情報システム部門だけでなく、上長にもまたがります。誰に聞けばよいか迷う場合は、まず上長に確認先を尋ねるところから始めると進めやすくなります。
記録に残すことの欄は、いずれも「確認した日」と「その結果」を指しています。口頭でのやり取りだけで終わらせず、メールなど残るかたちで確認内容をやり取りしておくと、退職後に問い合わせが来た場合にも振り返れます。
確認を後回しにしたまま在籍期間が終わりに近づくと、確認そのものが難しくなる場合があります。表の4項目は、在籍しているあいだに確認を済ませておきたい対象として捉えてください。
同じ「共有で使っていたアカウント」でも、チーム全体で使っていたものと、限られたメンバーだけで使っていたものとでは、確認先が変わる場合があります。範囲に迷ったときほど、まず情報システム部門に聞くところから始めます。
私物端末に残っている業務関連のデータは、会社の資産である貸与端末とは性質が異なります。それでも、扱いを自己判断で決めず、情報システム部門に確認することに変わりはありません。
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3. 転職者の規模を数字で押さえます
退職にともなう情報やアカウントの整え方を考えるとき、自分だけが特別な状況にあるように感じることがあります。総務省の調査では、2025年平均の転職者数は330万人にのぼります*1。
転職等希望者数はさらに多く、1023万人です*1。この数字は、退職の手続きが何件発生したかを示すものではなく、退職や転職を経験する人の規模を示す目安にすぎません。
整えるべき対象や確認する先は、勤務先や役割によって異なります。ここで示した数字は、退職時の情報整理という作業が自分だけに特有のものではないという背景として参照してください。
転職等希望者数が転職者数を上回っているのは、希望していても実際に動くまでには至っていない人が一定数いるためです*1。退職時の情報整理も、こうした転職の広がりのなかにある作業のひとつと捉えられます。
この規模の大きさは、退職にともなう確認作業が特別な事情のある人だけに生じるものではなく、多くの人が通る一般的な過程であることを示しています。
4. 返却と削除は窓口に確認してから進めます
貸与された端末を返すことも、自分だけが把握している記録を消すことも、自分ひとりの判断で完結させる作業ではありません。何を、いつ、どこまで扱ってよいかは、情報システム部門や就業規則に確認したうえで進めます。
判断に迷う場面ほど、自己判断で結論を出さず、まず確認する先を探すところから始めます。
確認先が情報システム部門なのか上長なのかで迷う場合は、上長に確認先を尋ねるところから始めると進めやすくなります。就業規則に記載がある場合は、その内容が確認の出発点になります。
確認した内容は、その場で覚えておくだけでなく、日付とやり取りの内容が分かる形で残しておきます。退職後に問い合わせを受けた際、確認済みであることを示せる記録があると、やり取りがスムーズに進みます。
確認する内容は、一度にすべてをまとめて聞く必要はありません。対象ごとに情報システム部門や上長へ確認を重ねていくやり方でも、記録さえ残しておけば問題ありません。
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5. 使っていた端末によって確認先が変わります
リモートワークで働いてきた人ほど、使っている端末やサービスの組み合わせが複数になりがちです。会社の端末だけで完結している場合と、私物端末や外部のサービスにも業務の記録が残っている場合とでは、確認しておく範囲が変わります。
会社の端末だけを使っていた場合は、情報システム部門への返却手続きが確認の中心になります。返却の予定日と、完了した旨の連絡を残しておけば、退職後のやり取りは少なくて済みます。
私物端末や外部のサービスにも業務に関わる記録が残っている場合は、扱いを自分だけで判断せず、情報システム部門に確認します。何が対象になるかは会社の方針によって異なるため、確認せずに進めることは避けます。
自分がどの状況に当てはまるかを退職前に整理しておくと、確認先を探す段階でつまずきにくくなります。複数の状況が重なっている場合は、それぞれについて確認しておくと抜けが少なくなります。
出社とリモートワークを組み合わせているハイブリッド勤務の場合、会社の端末と私物端末の両方に業務の記録が残っていることがあります。どちらか一方だけを確認して終わらせず、両方について確認先を明確にしておきます。
6. 記録に残すことをそろえます
情報システム部門や上長とやり取りした内容を、あとから見返せる形でそろえておく3つの記録を挙げます。
残しておきたい記録
- 確認した日付:誰に、いつ、何を確認したかを残しておきます
- 確認した内容の要点:回答の内容を簡潔にまとめて残しておきます
- やり取りの記録:メールなど、あとから見返せる形式で残しておきます
3つの記録は、いずれも「あとから見返せるかどうか」を基準にしています。口頭でのやり取りだけで終わらせると、退職後に内容を思い出せなくなることがあります。
確認した日付と内容の要点は、別々にメモするより、一つのやり取りとしてまとめておくほうが見返しやすくなります。メールで確認した場合は、そのやり取り自体が記録になります。
口頭で確認した場合は、あとから内容をメールなどで簡単に共有し直しておくと、記録として残ります。この一手間が、退職後に問い合わせを受けた際の対応を楽にします。
記録をどこに残すかは、新しい仕組みを用意する必要はなく、日頃使っている連絡手段のなかで完結させてかまいません。特別な準備をしなくても、確認のたびに記録を積み重ねていけば十分です。
3つの記録を全て別々の担当者から集める必要がある場合でも、まとめ方は同じです。誰から何を確認したかが分かるように残しておけば、後から見返すときに迷いません。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 私物端末に残っている業務関連のデータは、自分で消してもよいですか。
A. 扱いは会社によって異なるため、自分の判断だけで進めず、情報システム部門に確認します。確認した内容は日付とともに記録しておきます。
Q2. 共有アカウントの権限は、いつまでに外してもらえばよいですか。
A. 具体的な時期は会社ごとに異なるため、情報システム部門や上長に確認します。次の担当者への引き継ぎがある場合は、その点もあわせて確認します。
Q3. 確認した内容は、口頭だけでも問題ありませんか。
A. 口頭でのやり取りも確認にはなりますが、あとから見返せるよう、メールなど記録に残る形にしておくことをおすすめします。
Q4. 退職前に確認しておく範囲は、誰に相談すればよいですか。
A. 情報システム部門と上長の双方に相談し、就業規則の記載もあわせて確認したうえで進めます。相談先に迷う場合は、まず上長に確認先を尋ねる方法もあります。
8. まとめ:退職時の情報とアカウントは、確認しながら整えます
この記事の要点
- 退職のときに整えるのは、貸与された端末を返す・不要な記録を消す・必要な情報を渡すという3つに分けられます
- 返却や削除は自分の判断だけで進めず、情報システム部門や上長に確認してから動きます
- 会社の端末だけを使っていたか、私物端末や外部のサービスにも記録が残っているかで、確認する範囲が変わります
- 確認した内容は口頭で終わらせず、日付とやり取りが分かる記録として残しておきます
- 転職者数330万人・転職等希望者数1023万人という規模を踏まえても、確認先は自分の勤務先の規程に委ねられます*1
退職のときに整えるのは、手順そのものよりも、誰に確認し、何を記録に残すかという進め方です。貸与された端末や共有アカウント、自分だけが把握している記録を「返す・消す・渡す」の3つに分けて捉え、判断は情報システム部門や上長、就業規則に委ねながら進めます。確認した内容を記録として残しておけば、退職後に問い合わせを受けた場合にも落ち着いて対応できます。退職の理由や事情に関わらず、確認すべき対象と窓口の考え方は変わりません。一つずつ確認を重ねていく姿勢が、状況によらず通用します。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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