通知が多い職場|基準と当番の置き方を見る

エンジニアの職場で通知やアラートが多いと感じるかどうかは、鳴らす基準がどれだけ明確に決まっているかで変わります。当番の時間割や障害報告書の書き方、振り返りの体制は別の記事で扱っているため、ここでは鳴らす基準の決め方と、それを受ける当番の設計に絞って見ていきます。
通知が多いかどうかを決めるのは、受け取る側の慣れや我慢強さではなく、何を基準に鳴らすかがどれだけ明確に決まっているかという一点に尽きます。
Relasic(株式会社LASSIC運営)|リモートワーク対応の転職支援
この記事のポイント
- 通知やアラートの多さで効くのは、慣れや性格ではなく、鳴らす基準がどれだけ明確に決まっているかです
- 基準が決まっていても、受ける当番が曖昧だと、結局は誰か一人に通知が集中します
- テレワークを導入している企業は47.3%です*1。配属先が離れた場所にある前提も、基準の設計に関わります
1. 通知やアラートの多さは、鳴らす基準と当番の設計で決まります
通知やアラートが多いと感じるかどうかを左右するのは、受け取る側の慣れや性格ではなく、何を基準に鳴らすかがどれだけ明確に決まっているかです。基準の有無は求人票からは分かりにくく、面接で尋ねて初めてわかることが多くなっています。
エンジニアの職場では、システムからの通知が次々に届く場面があります。この通知の多さを、受け取る側の慣れや性格の問題として片づけたくなる場面もありますが、実際に効いているのはもっと構造的な要因です。
通知が多いかどうかを左右するのは、何が起きたら鳴らすかという基準と、その通知を誰が受けるかという当番の割り振りです。この2点は、書かれたコードの質や個人の対応力とは別に、職場の設計として決まっています。
基準が定まっていない職場では、軽微な事象も重大な事象も同じ扱いで届きます。受け取る側からすると、何を優先すべきかの判断がそのつど必要になり、結果として通知が多いという印象につながります。
当番の割り振りが曖昧な職場では、鳴らす基準が決まっていても、結局は手が空いている人や声を上げた人に通知が集中します。基準と当番は、セットで設計されて初めて機能します。
通知の多さは、転職を考える際に、働き方の実際として気になりやすい点の一つです。求人票の情報だけでは分かりにくいため、基準と当番がどう決まっているかを事前に確かめておく視点があると、入社後の見立てをつけやすくなります。
ここから先は、基準の前提となる働き方の広がり、通知の種類ごとの確かめ方、基準が無いときに起きること、基準と当番の組み合わせによる型、面接での尋ね方の順に見ていきます。
2. テレワークの普及は、通知の届き方の前提を変えます*1
エンジニアの求人には、フルリモートからハイブリッドまで、働く場所の前提が異なるものが含まれます。テレワークを導入している企業の割合は47.3%です*1。この数字は、通知の多さそのものを説明するものではなく、働く場所についての前提を示すものです。
配属先が一つの拠点に集まっている職場と、複数の拠点や在宅が混在する職場とでは、鳴らす基準や当番の組み方に求められる工夫が変わります。前提が異なれば、同じ基準をそのまま当てはめられるとは限りません。
この数字自体が通知の量を増やしたり減らしたりするわけではありません。次の項目からは、基準と当番の設計そのものに絞って見ていきます。
同じ企業の中でも、テレワークを導入している部署と、出社を前提とする部署が混在することもあります。この数字はあくまで企業単位の割合であり、配属されるチームの実態は別に確認しておく必要があります。
3. 通知の種類ごとに、確かめる観点を分けて整理します
通知の多さを一括りにする前に、何が鳴っているかを分けて考えると、基準の話がしやすくなります。
鳴っているものの種類ごとに、考えられる基準と確かめることを4行に分けて並べます。
鳴っているもの・考えられる基準・確かめることの対応
| 鳴っているもの | 考えられる基準 | 確かめること |
|---|---|---|
| 外形監視のエラー | 応答が返らない状態が続いたときに鳴る設定 | どの状態からアラート扱いにするかを尋ねます |
| ログに出るエラーメッセージ | 利用者への影響の有無で線引きしている設定 | 影響の有無をどこで判断しているかを尋ねます |
| しきい値を超えた利用量 | 余裕を持たせた上限か、ぎりぎりの上限かの違い | しきい値の決め方と見直す頻度を尋ねます |
| 軽微な注意メッセージ | 後で確認すればよいものまで即時にしている設定 | 即時と後回しの線引きを尋ねます |
表の4行は、通知が多いと感じやすい場面を、鳴っているものと考えられる基準に分けて並べたものです。
外形監視のエラーは、応答が返らない状態がどれだけ続けば鳴らすかという基準によって、通知の頻度が変わります。基準が緩ければ、一時的な遅れでも鳴ってしまいます。
ログに出るエラーメッセージは、利用者への影響があるかどうかで線引きしている職場と、エラーという文字列だけで機械的に拾っている職場とで、届く量が変わります。
しきい値を超えた利用量による通知は、しきい値そのものの決め方と、見直す頻度に左右されます。決めた時点から状況が変わっても見直されていなければ、実態に合わない基準のまま鳴り続けることがあります。
軽微な注意メッセージまで即時通知にしている職場では、重大な事象との線引きがないまま届くため、受け取る側が優先順位をそのつど判断することになります。
4行に共通するのは、鳴る・鳴らないの線をどこに引くかという基準の話であり、受け取る側の対応力の話ではないという点です。
求人票に開発体制や運用体制についての記載がある場合でも、基準がどこまで具体的に決まっているかは、その文言だけでは判断しにくいことが多くなっています。実際の運用は、面接で尋ねて確かめることになります。
あわせて読みたい | 夜間対応がある職場の時間割|求人で確かめる
4. 基準が決まっていないと、通知は同じ重さで届きます
基準が決まっていない職場では、軽微な事象も重大な事象も、届き方の上では区別がつきません。受け取る側は内容を読んで初めて重さを判断することになり、これが繰り返されると、通知そのものが多いという印象につながります。
基準が決まっている職場では、鳴る前の段階で重さがある程度ふるい分けられています。届いた時点で対応の優先度がある程度わかるため、受け取る側の判断は基準を確認する作業に近くなります。
基準を決めること自体は、特定の技術や仕組みに依存する話ではありません。何を重大とみなすか、誰がその線引きを決めるかという、職場の運用としての取り決めです。
基準が定まっているかどうかは、配属されるまで分かりにくい点でもあります。配属先の情報システム部門が基準の見直しをどの頻度で行っているかも、実際の届き方に関わってきます。
あわせて読みたい | 障害報告書に何を残すか|後から辿れる形に
5. 基準と当番、2軸で職場の型を分けます
基準が決まっているかどうかと、受ける人が決まっているかどうかは、別々の軸として整理できます。2つを掛け合わせると、職場の型が4つに分かれます。
受け手だけが決まっている職場では、鳴らすかどうかの判断が担当者個人の経験に委ねられがちです。担当者が変わると、届く通知の量や質も変わりやすくなります。
基準と受け手がどちらも決まっている職場では、何が鳴るかも誰が受けるかも事前に定まっているため、通知の届き方が安定しやすくなります。
基準も受け手も決まっていない職場では、その場その場で対応が生まれるため、通知が多いという印象につながりやすくなります。ただし、これは職場の設計の問題であり、担当者の能力の問題ではありません。
基準はあっても受け手がそのつど変わる職場では、基準そのものは安定していても、誰が対応するかが流動的なため、受け取る側の負担の感じ方にばらつきが出ます。
同じ企業であっても、配属されるチームやプロダクトによって、基準や受け手の決まり方は異なることがあります。会社全体としての傾向だけでなく、配属予定のチームについて尋ねておくと、実態に近い見立てになります。
6. 面接では、鳴らす基準の決め方を尋ねます
鳴らす基準がどう決まっているかは、求人票だけでは分からないことが多く、面接で尋ねておくと入社後の見立てがつきやすくなります。
面接で確かめておきたい3項目
- 基準の決め方:何を鳴らす対象にしているかを尋ねます
- 受け手の決め方:固定か、そのつど決まるかを尋ねます
- 見直す頻度:基準を定期的に見直しているかを尋ねます
3項目はどれも、求人票に書かれていないことが多く、面接で直接尋ねる価値があります。
基準の決め方を尋ねておくと、何が起きたら鳴る扱いになるのかという線引きの有無が見えてきます。受け手の決め方を尋ねておくと、担当が固定されているか、そのつど変わるかがわかります。
見直す頻度を尋ねておくと、基準が一度決めたきり据え置かれているのか、状況に応じて更新されているのかが見えてきます。基準は一度決めて終わりではなく、運用の中で見直されるものです。
3項目とも、配属されてから体制の実際を知るのではなく、面接の段階である程度の見立てを持っておきたい内容です。判断に迷う場合は、配属先の情報システム部門や就業規則の定めを確認する形になります。
あわせて読みたい | 振り返りが残る職場か|求人と面接で見極める
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 通知が多い職場は、基準が緩いということですか。
A. 一概には言えません。基準が明確でも、鳴らす対象の範囲が広く設計されている職場では、通知の数自体は多くなることがあります。
Q2. 基準は誰が決めるものですか。
A. 職場によって異なります。配属先のチームで決めている場合もあれば、情報システム部門が全社共通の基準を定めている場合もあります。
Q3. 通知の多さがつらいと感じる場合、どこに相談すればよいですか。
A. 業務量や体調に関わる相談は、産業医や人事の窓口が対応する範囲です。基準や当番の設計そのものについては、配属先や情報システム部門への確認になります。
Q4. 面接で通知の基準について尋ねると、印象が悪くなりませんか。
A. 基準に関する質問は、働き方を具体的に確認する内容です。業務内容についての質問がひと通り終わったあとに尋ねる分には、一般的な確認の範囲に収まります。
8. まとめ:通知の多さは、基準の設計を確かめることに落ち着きます
この記事の要点
- 通知やアラートの多さで効くのは、慣れや性格ではなく、鳴らす基準がどれだけ明確に決まっているかです
- 基準が決まっていない職場では、軽微な事象も重大な事象も同じ重さで届きます
- 基準と受け手、どちらが決まっているかによって、職場の型は4つに分かれます
- テレワークを導入している企業は47.3%です*1。働く場所の前提が異なれば、基準の設計に求められる工夫も変わります
- 基準の決め方や見直す頻度について詳しく知りたい場合は、面接で尋ねて確かめることになります
通知やアラートの多さは、受け取る側の慣れや性格ではなく、鳴らす基準と受ける当番がどう設計されているかという職場の要因で決まります。良し悪しを決めつけるより、鳴っているものの種類ごとに基準を分けて考え、面接で決め方や見直す頻度を確かめておくほうが、職場の型を見立てやすくなります。基準の決め方について気になる点は、専任エージェントに相談しながら確かめることもできます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 総務省 通信利用動向調査
転職ノウハウ その他の記事
もっと読む 〉-
月末に仕事が寄るとき|見る場所
月が変わる直前になると、いくつもの作業が同じ時期に重なって見えることがあります。背景にあるのは、部署ごとに設定されている締めの日取りです。自分の作業がどの締めに紐づいているか、前もって出せる範囲がどこまでか、間に合わない […] -
在宅の終業をどう伝えるか
在宅で働いた日の終わりに、終業をどう伝えるかは、感覚で決めることではなく、職場の案内にもとづいて動くことです。伝える先が1つに決まっているか、伝える形が打刻だけか連絡も添える形かで決まっているか、伝えたあとに届く連絡の扱 […] -
繁忙期の見通しはどこで分かるか
繁忙期の見通しは、思い出したときに聞くものではなく、年間の予定表や過去の実績として、あらかじめ置かれている場合があります。置かれている見通しが、部署ごとの山の高さまで示しているのか、休みを取りにくい時期まで示しているのか […] -
週次の定例は何を決める場か
週次定例が何のために置かれているのかは、参加者に聞かなくても、招待や案内に書かれた記載から読み取れます。件名の言葉、添付されている資料、参加者欄の表示を順に確かめると、決める場なのか報告の場なのか、自分がどの立場で出るの […]