役職の打診をどう受け止めるか|確かめる4点

チームを任されたり、新しいポジションを打診されたりする場面は、キャリアの中で一度は訪れます。役職の打診にどう答えるかは、断るか受けるかを先に決めるのではなく、受けたときに何が変わるかを確かめてから判断すると進めやすくなります。担当の範囲、評価の見られ方、時間の使い方、戻れるかどうかの4点を整理します。断る場合の伝え方は、最後に短く扱います。
役職の打診に答える前に確かめておきたいのは、担当の範囲・評価の見られ方・時間の使い方・戻れるかどうかの4点です。
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この記事のポイント
- 役職の打診には、担当の範囲・評価の見られ方・時間の使い方・戻れるかどうかの4点を確かめてから答えると、判断の見通しが立ちます
- 打診への答え方は、受ける・条件を確かめてから答える・いまは受けない、の3つに大きく分かれ、それぞれ次にすることが変わります
- いまは受けないと判断する場合の伝え方は、判断の理由と声をかけてもらったことへの感謝を短く伝える形で十分です
1. 役職の打診には、4点を確かめてから答えます
打診を受けたら、断るか受けるかを先に決めるのではなく、担当の範囲・評価の見られ方・時間の使い方・戻れるかどうかの4点を確かめてから答えると、判断の見通しが立ちます。打診はその場での決定を求めるものではなく、確認のための時間を取ることも選択肢の一つです。
打診は、これまでの仕事の進め方を評価されての声かけであることが多く、その場でどちらかに決めなければならないと考えてしまいがちです。ただ、打診はまだ辞令ではなく、確かめる余地が残っている段階です。
受けた場合に何が変わるかを先に確かめておくと、断るか受けるかという二択の前に、判断の材料がそろいます。逆に、変化を確かめずに答えてしまうと、受けたあとに想定と違う担当の範囲や時間の使い方に気づき、戸惑う場面につながります。
確かめておきたいのは、担当する業務の範囲がどう変わるか、評価の見られ方がどう変わるか、時間の使い方がどう変わるか、そして受けたあとに元の役割へ戻れるかどうかの4点です。次の項目では、打診に対する答え方をまず3つに分けて整理します。
2. 打診への答え方は3つに分かれます
打診への答え方は、大きく3つに分かれます。担当の範囲や評価の見られ方の変化を前提に受ける、分からない点を確認したうえで答える、そしていまは受けないという3つです。どれを選ぶかは状況によって変わり、優劣で決まるものではありません。
受けると決める場合でも、変化を確認せずに引き受けると、担当する業務の範囲や時間の使い方が想定と異なり、あとから戸惑うことがあります。受けると決めたあとであっても、確認できることは確認しておくほうが見通しが立ちます。
条件を確かめてから答える場合は、その場で結論を出さず、確認したい点を伝えたうえで回答までの期間を相談する形になります。急いで答えを求められていない場面であれば、この進め方を取りやすくなります。
いまは受けないと判断する場合も、断ることが目的ではなく、現時点での判断であることを伝える形で十分です。伝え方については、最後の項目で短く扱います。
次の項目では、受けた場合に具体的に何が変わるかを、担当の範囲から順に見ていきます。
3. 担当の範囲と評価の見られ方を具体的に確かめます
打診でまず確かめておきたいのは、担当する業務の範囲です。引き受けると、これまで自分が手を動かして進めていた作業の一部を、他のメンバーに割り振る側に回ることがあります。作業の内容が変わるだけでなく、関わる人数や意思決定の場面が増えることも少なくありません。それまで同じ立場で仕事を進めていた同僚がいる場合、指示を出す側と受ける側の関係に変わることがあり、日々のやり取りの仕方も合わせて変わります。
担当の範囲がどこまで広がるかは、打診の際に伝えられる場合もありますが、口頭での説明だけでは細部まで分からないこともあります。職務記述書や役割の定義が文書として用意されているなら、その内容を確認しておくと、引き受けたあとの業務量を見通しやすくなります。
次に確かめたいのは、評価の見られ方です。役職が変わると、評価の対象がこれまでの個人の成果だけでなく、チームや担当領域の成果に広がることがあります。評価の基準がどこにあり、誰が評価するのかがはっきりしない場合、自分の働き方をどう見せればよいかが分かりにくくなります。
評価者が誰か、どの基準で見られるのかが分からないまま引き受けると、あとになって評価の受け止め方に迷う場面が出てきます。評価の仕組み自体を確かめたい場合は、別の記事で扱っています。
担当の範囲と評価の見られ方は、どちらも打診の時点では細部まで見えにくい部分です。次の項目では、この2点を含めた4点を、どこで確認できるかとあわせて表に整理します。
あわせて読みたい | 評価者が誰か分からないとき|制度の並び
4. 役職の打診で確かめる4点を、分かる場所とあわせて示します
前の項目で挙げた担当の範囲と評価の見られ方に、時間の使い方と戻れるかどうかを加えた4点を、どこで確認できるかとあわせて一覧にします。
【表1】確かめる4点とどこで分かるか
| 確かめる観点 | どこで分かるか |
|---|---|
| 担当の範囲 | 打診の際の説明、または職務記述書や役割の定義 |
| 評価の見られ方 | 人事評価の基準に関する社内規程や案内 |
| 時間の使い方 | 打診の際の説明、または既に同じ立場にある人への確認 |
| 戻れるかどうか | 人事規程、または人事担当への確認 |
表の4点は、いずれも打診の場での説明だけでは判断しづらく、書面や制度の確認が必要になる項目です。時間の使い方については、会議への出席や意思決定に関わる場面が増える一方で、自分の手を動かす作業の時間が減ることが一般的な変化として挙げられます。実際にどう変わるかは、既に同じ立場にある人に聞くと具体的な像が見えやすくなります。
戻れるかどうかは、4点のなかでも確認が後回しにされやすい項目です。引き受けたあとに担当の範囲や時間の使い方が想定と異なると分かった場合、元の役割に戻ることが制度として認められているかどうかで、その後の選択肢が変わります。
戻れるかどうかがはっきりしない場合、人事規程に記載がないか、社内の担当窓口に確認しておくと、引き受けるかどうかの判断がしやすくなります。制度として明記されていない場合は、口頭での確認内容を控えておくと、あとで振り返る際の材料になります。
評価の基準や時間の使い方に関する制度は、打診の場だけでなく、日頃から確認できる場合があります。次の項目では、担当の範囲や時間の使い方とは別に、本題とは異なる数字を1つ参考として挙げます。
5. 参考として、転職後の賃金の変化を1つ挙げます
ここまで確かめてきた担当の範囲や時間の使い方とは別に、検証済みの数字を1つ参考として挙げます。役割が変わっても、条件が同じ方向に動くとは限りません。
役職の打診に答える前に、確かめておきたい4点とは別に、検証済みの数字を1つ挙げます。厚生労働省の雇用動向調査によると、転職入職者のうち賃金が増加した人は40.5%、変わらない人は28.4%、減少した人は29.4%です*1。3区分を合計すると100%にならず、この区分に含まれない分があります*1。
この数字は、転職したあとの賃金がどう変わったかを示すものであり、役職の打診に答える判断そのものを決めるものではありません。役割が変わっても、条件が同じ方向に動くとは限らないという点だけを、参考として押さえておきます。
打診を受けて役職が変わる場合も、担当の範囲や時間の使い方の変化と、収入に関わる条件の変化は、別々に確認する事柄です。昇給の決まり方がどこで確認できるかについては、別の記事で扱っています。
次の項目では、戻れるかどうかを含めた確認事項を、誰に・いつ確認するかとあわせて整理します。
あわせて読みたい | 昇給の決まり方|どこで分かるか
6. 確認する相手とタイミングを整理します
担当の範囲・評価の見られ方・時間の使い方・戻れるかどうかを、誰に、いつ確認するかを整理します。
確認する相手とタイミング
- 担当の範囲:打診をした上長、または人事担当に、打診の時点で確認します
- 評価の見られ方:人事担当、または既に同じ役職にある人に、打診の時点か引き受ける前に確認します
- 時間の使い方:既に同じ役職にある人に、引き受けるかどうかを決める前に確認します
- 戻れるかどうか:人事担当に、引き受ける前に確認します
4点はいずれも、引き受けるかどうかを決める前に確認しておきたい事柄です。担当の範囲や評価の見られ方は、打診をした上長からある程度説明を受けられる場合がありますが、制度として決まっている部分は人事担当への確認が必要になります。
時間の使い方については、説明だけでは実感がつかみにくいため、既に同じ役職にある人に直接聞く方法が具体的です。会議の頻度や、手を動かす作業に使える時間がどの程度あるかを聞いておくと、引き受けたあとの見通しが立てやすくなります。
戻れるかどうかは、打診の場では話題になりにくい点です。人事担当に確認しても、制度として明文化されていない場合があり、その場合は口頭での回答内容を控えておく形になります。
役職を引き受けること以外に、専門職としてこれまでの経験を積み重ねていく道を選べる場合もあります。その制度があるかどうかは、別の記事で扱っています。
確認するタイミングは、打診を受けた直後に限りません。引き受けたあとであっても、担当の範囲や時間の使い方について気になる点が出てきた場合は、その都度確認して差し支えありません。
確認する相手とタイミングをそろえておくと、打診を受けてから答えるまでの間に、何を聞き終えているかが把握しやすくなります。最後に、いまは受けないと判断した場合の伝え方を、短く整理します。
あわせて読みたい | 専門職として進む道|制度としてあるかを見る
7. よくある質問(Q&A)
Q1. 役職の打診には、いつまでに答える必要がありますか。
A. 期限が示されている場合はその期日までに、示されていない場合は確認したい点を伝えたうえで、回答までの期間を相談する形になります。
Q2. 打診への回答を保留してもよいですか。
A. 確かめたい点がある場合、保留を申し出ること自体は選択肢の一つです。何を確認したいかを具体的に伝えると、話が進めやすくなります。
Q3. 一度受けた役職から、あとで外れることはできますか。
A. 戻れるかどうかは会社の規程や運用によって異なります。引き受ける前にこの点を確認しておくと、あとで判断しやすくなります。
Q4. いまは受けないと答えると、その後の評価に影響しますか。
A. 影響の有無は会社の運用によって異なり、一律の答えはありません。気になる場合は、担当窓口や人事に確認して判断します。
8. まとめ:打診には、確認してから応じます
確かめる4点の振り返り
- 担当の範囲:業務の範囲や関わる人数がどう変わるか
- 評価の見られ方:評価の基準や評価者がどう変わるか
- 時間の使い方:会議や意思決定に使う時間がどう増えるか
- 戻れるかどうか:引き受けたあとに元の役割へ戻れる制度があるか
役職の打診は、受けるか断るかを急いで決める場面ではありません。4点を確かめたうえで、受ける・条件を確かめてから答える・いまは受けない、のいずれかを選びます。いまは受けないと判断した場合は、判断の理由と、声をかけてもらったことへの感謝を短く伝える形で十分です。断ることを目的にした話ではなく、確かめたうえでの選択の一つです。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省 雇用動向調査
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