転職に失敗したと感じたらどうする?失業手当と退職の決まり

入社してみたら、聞いていた仕事と違う、人間関係になじめない、給料が思ったより少ない。入社したばかりなのに失敗したと感じると、すぐに辞めるべきか、もう少し続けるべきかで迷います。
転職に失敗したと感じたときは、辞める前に合わない点を書き出し、辞めた場合に失業手当を受け取れるかを先に調べておきます。基本手当(失業手当)は、原則として離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上ないと受け取れません*5。入社のときに示された賃金や労働時間が実際と違うなら、法律上すぐに契約を解除することもできます*3。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 令和7年の調査で、転職者の55.1%が「今の職場で今後も働きたい」と答え、「機会があれば転職したい」は20.6%でした*1。失敗したと感じても、すぐ決める必要はありません。
- 基本手当(失業手当)は、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です*5。辞める前に、自分の期間が足りるかを調べておきます。
- 明示された労働条件が事実と違う場合は、法律上すぐに労働契約を解除できます*3。まずは労働条件通知書と今の働き方を見比べます。
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1. 転職に失敗したと感じてもすぐに辞めずに理由を分ける
入社してすぐに辞めると決める前に、合わない理由を1つずつ分けて考えます。理由によって、入社先で解決できることと、辞めるしかないことが分かれます。
厚生労働省の令和7年転職者実態調査で今後の転職希望を聞くと、「今の職場で今後も働きたい」が55.1%でした*1。「わからない」は22.9%、「機会があれば転職したい」は20.6%です*1。半数以上の人が、今の職場で働き続けたいと考えているということです。
入社して間もないころは、仕事の進め方も人の顔ぶれも初めてのことばかりで、違和感が大きく感じられやすい時期です。その違和感が慣れで小さくなるものなのか、何か月たっても変わらないものなのかを見分けるには、何が合わないのかを具体的に書き出すのが近道です。
書き出した中に、労働条件が約束と違うという点があれば、話は別です。賃金や労働時間など、入社のときの説明と実際がずれている場合は、法律で認められた対応があります。詳しくは次の表とその下の説明にまとめました。次の節から、理由ごとの考え方を順に見ていきます。
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2. 失敗したと感じる理由ごとにできること
失敗したと感じる理由は、大きく分けると次のようになります。理由によって、まず相談する相手と、辞めるかどうかを決める目安が変わります。
転職に失敗したと感じる理由と、入社後にまずできること
| 失敗したと感じる理由 | まずできること |
|---|---|
| 聞いていた賃金や労働時間と違う | 労働条件通知書と実際を見比べ、違えば会社に説明を求める。事実と違えば即時に契約を解除できる*3 |
| 聞いていた仕事の内容と違う | 上司に、聞いていた仕事をいつから担当するのかを聞く |
| 人間関係や職場の雰囲気が合わない | 部署の問題か会社全体の問題かを分けて考える |
| 仕事についていけない | 入社から何か月で何ができればよいかを上司とすり合わせる |
| 前の会社のほうがよかったと感じる | 前の会社の何がよかったのかを書き出し、次の会社選びの条件にする |
賃金や労働時間の違いは、ほかの理由と扱いが違います。会社は労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの労働条件を明示しなければなりません*3。労働基準法第15条は、明示された条件が事実と違う場合、労働者はすぐに労働契約を解除できると定めています*3。
仕事の内容の違いや人間関係は、入社先の中で変わる余地があります。上司や人事の担当者に、どこが聞いていた話と違うのかを具体的に伝えると、配置や担当の見直しにつながることもあります。辞めるかどうかは、その返事を聞いたあとで決めても遅くはありません。
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3. 転職で賃金が下がった人も3割いる
給料が思ったより少なかった、というのもよくある理由です。令和7年の雇用動向調査で、前の会社から移った人の賃金を比べると、「増加」が40.8%でした*2。「減少」は31.0%、「変わらない」は25.5%です*2。
賃金が下がった人は、3人に1人に近い割合でいます。賃金が下がったこと自体は、珍しい結果ではありません。見るべきなのは、下がった理由が入社前の説明どおりなのか、説明になかった違いなのかという点です。
説明どおりに下がったのなら、それは入社前に選んだ結果です。昇給の仕組みや評価の時期を上司に聞き、1年後にどうなるかを見通したうえで、続けるかどうかを考えます。聞いていた条件と違うなら、先に書いた労働基準法第15条の対応を検討します*3。
1割以上の増減で見ると、1割以上増えた人が28.2%、1割以上減った人が21.9%でした*2。賃金の差は、入社1年目の昇給や賞与の時期によっても変わるので、入社して数か月の給与明細だけで判断せず、1年を通した見込みで比べます。
4. 辞めると決めたときの退職の決まり
辞めると決めたときに知っておきたい決まりは、主に3つです。期間の定めのない雇用なら、退職の申し入れをしてから2週間で雇用が終わります*4。明示と実際が食い違うなら即時に解除でき、仕事のために引っ越していた人が14日以内に帰郷するなら、会社は旅費を負担しなければなりません*3。
民法第627条は、期間の定めのない雇用について、当事者はいつでも解約の申し入れをすることができ、申し入れの日から2週間がたつと雇用が終わると定めています*4。会社の就業規則に「退職は1か月前までに申し出る」などと書かれていることもあるので、引き継ぎのことも考えて、就業規則の定めに沿って申し出るのが無難です。
試用期間の途中でも、退職を申し出ることはできます。会社が承諾すれば、その日のうちに辞めることもできます。いずれの場合も、辞めると決めたら、まず直属の上司に口頭で伝え、退職日を決めてから退職届を出す流れになります。
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5. 短い期間で辞めると失業手当を受け取れないことがある
辞めたあとの生活費として頼りにしがちなのが、雇用保険の基本手当(失業手当)です。ハローワークの説明では、基本手当を受け取るには、離職の日から数えて前の2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あることが原則として必要です*5。
被保険者期間の数え方も決まっています。離職の日から1か月ごとに区切り、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、または時間数が80時間以上ある月を1か月と数えます*5。倒産や解雇などで離職した特定受給資格者や、特定理由離職者は、離職の日以前1年間に6か月以上あれば足ります*5。
条件は「通算して」なので、入社先での期間が短くても、2年間の中に前の会社で加入していた月があれば、合わせて数えられる場合があります。ただし、前の会社を辞めたときに基本手当を受け取っていたかどうかなどで扱いが変わることもあります。自分の場合に足りるかは、ハローワークの窓口で聞くのが確実です。
失業手当の受給資格があるかどうかで、次の仕事が決まるまでの生活の見通しは大きく変わります。在職中に次の会社を探し、内定が出てから辞めるほうが、収入が途切れる心配は小さくなります。
6. 次の転職で同じ失敗をしないために
辞めると決めても、続けると決めても、今回の経験は次の会社選びに使えます。次の4つを書き出しておくと、同じ理由でまた失敗したと感じることを減らせます。
次の転職の前に書き出しておくこと
- 今回、入社前に聞いていた話と実際とで違った点
- その違いを、面接のどの段階で聞けば分かったか
- 前の会社と今の会社で、自分が働きやすいと感じた条件
- 次の会社で、どうしても譲れない条件を1つか2つ
入社前に聞いていた話と違った点は、次の面接で聞くべき質問そのものです。たとえば仕事の内容が違ったなら、「入社後の最初の3か月で担当する業務を教えてください」と面接で聞けば、同じずれを防げます。
短い期間で辞めた場合、次の面接で退職の理由を聞かれるのは避けられません。「合わなかった」ではなく、入社前の説明と何が違ったのかを事実で話します。そのうえで次の会社は何を聞いて選んだのかを伝えると、同じ理由でまた辞めるのではという心配を和らげられます。
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7. よくある質問
Q1. 入社して1か月で辞めるのは早すぎますか?
A. 辞めてはいけない決まりはありません。無期雇用の場合、雇用は申し入れの2週間後に終わります*4。ただ、1か月では仕事にも人にも慣れていないことが多いので、何が合わないのかを書き出し、入社先で変えられるかを先に考えてみてください。
Q2. 聞いていた給料と違うときはすぐ辞めてもいいですか?
A. 示された賃金が実際と違うなら、即時に労働契約を解除できる決まりがあります*3。まず労働条件通知書と給与明細を見比べ、違いがあれば会社に説明を求めてください。
Q3. 短い期間で辞めても失業手当はもらえますか?
A. 受給資格があるかどうかは、雇用保険に入っていた月数で決まります*5。前の会社の期間を合わせて数えられる場合もあるので、辞める前にハローワークで聞いてください。
Q4. 転職で給料が下がったのは失敗でしょうか?
A. 令和7年の雇用動向調査では、会社を移った人の31.0%が前の会社より賃金が減少していました*2。下がったこと自体は珍しくありません。入社前の説明どおりかどうかと、昇給の見通しを見てから判断します。
Q5. 前の会社に戻ることはできますか?
A. 前の会社が再雇用に応じるかどうかは会社しだいです。退職のときの関係がよく、同じ職場で人を募集しているなら、元の上司に一度相談してみる方法があります。戻ることを考えるなら、前の会社で担当していた仕事がいまも残っているかどうかも、あわせて聞いておきます。
8. まとめ:転職に失敗したと感じたら理由を分けて失業手当の条件を先に見る
この記事のまとめ
- 移った先で今後も働きたい人は55.1%。失敗したと感じてもすぐ決めない*1
- 明示された労働条件が事実と違えば、即時に労働契約を解除できる*3
- 会社を移って賃金が減った人は31.0%。下がったこと自体は珍しくない*2
- 期間の定めのない雇用は、退職の申し入れから2週間で終わる*4
- 基本手当は原則として離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要。辞める前にハローワークで聞く*5
失敗したと感じたら、まず合わない点を書き出して労働条件通知書と見比べ、辞めるなら失業手当の条件を満たすかをハローワークで聞いてから、上司に申し出てください。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 令和7年転職者実態調査の概況(厚生労働省)
*2 令和7年雇用動向調査結果の概況(厚生労働省)
*3 労働基準法 第15条(e-Gov法令検索)
*4 民法 第627条(e-Gov法令検索)
*5 基本手当について(ハローワークインターネットサービス)
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