求人内容と違う内定が出た?確認する書類と相談窓口

内定通知を受け取った条件が、応募したときに見た求人票と違うと感じることがあります。求人票は募集の時点でのおおまかな条件を示すもので、内定通知や労働条件通知書では、給与や勤務地がより具体的な数字や文言に置き換わります。書き方が変わっただけなのか、内容そのものが変わったのかを、感覚ではなく書面で見分ける必要があります。
求人内容と違う内定に気づいたら、まず求人票と内定通知書、労働条件通知書を並べて確認します。厚生労働省の調査では、転職で賃金が『減少』した人は29.4%、『変わらない』人は28.4%です*1。条件は思い込みで判断せず、書面の数字で確認する姿勢が欠かせません。
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監修・編集責任者:牛尾 昭昌(株式会社LASSIC 執行役員)
この記事のポイント
- 求人内容と違う内定に気づいたら、求人票と内定通知書、労働条件通知書の3つを並べて確認します
- 転職で賃金が『減少』した人は29.4%、『変わらない』人は28.4%です。一般労働者の賃金の全国計は月340.6千円です*1*2
- 会社への確認は書面で行い、やり取りの記録を残しておくと、入社後に相違が残っていた場合の相談にも使えます
1. 求人内容と違う内定は書面で突き合わせます
求人内容と違う内定を受け取ったら、感覚で判断せず、求人票と内定通知書、労働条件通知書の記載を突き合わせて確認します。厚生労働省の調査では、転職入職者のうち賃金が『減少』した人は29.4%、『変わらない』人は28.4%です*1。条件が変わること自体は珍しくないため、変わった中身を書面で確かめる作業が欠かせません。
内定通知に書かれた給与や勤務地が、応募時に見た求人票と違うと感じたとき、まず疑うべきは記憶違いではなく書類の中身です。求人票は募集の時点でのおおまかな条件を示すもので、内定通知や労働条件通知書は個別の選考結果を踏まえた条件を示します。両者の書き方が違うこと自体は不自然ではありません。
問題になるのは、書き方の違いではなく、金額や勤務地といった具体的な中身が変わっている場合です。一般労働者の賃金は全国計で月340.6千円です*2。内定通知の給与欄がこの水準と大きくかけ離れている場合も、驚いて終わらせず、求人票の記載と見比べて差の理由を確認します。
求人内容と違う内定に気づいたときにまずすることは、感情的に会社へ連絡することではなく、手元の書類を並べることです。求人票、内定通知書、労働条件通知書の3つをそろえてから、どこがどう違うのかを具体的に書き出します。
違いが見つかった場合でも、その時点で内定を承諾するか辞退するかを即断する必要はありません。会社に確認を申し入れ、回答を得たうえで判断する時間を確保することが、後悔の少ない進め方になります。
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2. 気づいてから記録に残すまでの手順をたどります
求人内容と違う内定に気づいたときの動き方は、思いつきで進めるより、順番を決めておくほうが落ち着いて対応できます。違いに気づく、書面で確認する、会社に確認する、記録に残すという4つの手順に分けて考えます。
最初の『違いに気づく』段階では、内定通知の各項目を、求人票の該当箇所と1つずつ照らし合わせます。給与や勤務地など、金額や地名のように具体的に書かれている項目から確認すると、違いを見落としにくくなります。
次の『書面で確認』では、労働条件通知書が届いている場合、そこに書かれた始業・終業時刻や賃金の内訳を、内定通知や求人票と見比べます。表現が変わっているだけなのか、内容そのものが変わっているのかを分けて考えます。
『会社に確認』の段階では、疑問点を担当者にそのまま伝えます。伝え方は次のセクションで扱いますが、口頭だけで終わらせず、確認した内容を残る形にしておくことが、最後の『記録に残す』につながります。
3. 差が出やすいのは賃金と勤務条件の欄です
求人内容と違う内定でよく挙がるのは、賃金に関する欄です。求人票には想定年収として幅のある金額が書かれることが多く、内定通知や労働条件通知書では、基本給と固定残業代、諸手当が分かれて示されます。合計額は近くても、内訳を見ると想定していた金額と違う場合があります。
勤務地についても、求人票では『転勤なし』と読める書き方でも、内定通知では将来的な転勤の可能性が加わっていることがあります。就業時間も、求人票の記載が幅を持たせた表現であるのに対し、労働条件通知書では始業・終業時刻が具体的な数字で示されるため、想定と違って見えることがあります。
契約期間や試用期間も見落としやすい欄です。求人票に契約期間の記載がなくても、内定通知書で有期雇用や試用期間が明記されている場合があります。試用期間中の給与が本採用後と異なる条件になっている場合も、この欄で確認できます。
どの欄も、求人票の段階では概要にとどまり、内定の段階で具体的な数字や条件に置き換わるという構造は共通しています。違いを見つけたら、それが詳しくなっただけなのか、内容が変わったのかを、欄ごとに分けて考えます。
担当する業務内容についても、求人票では『Webアプリ開発全般』のように幅を持たせて書かれる一方、内定通知や配属先の説明では、担当する工程や役職が具体的に絞られることがあります。設計と実装のどちらを担当するのか、リーダー職を含むのかどうかを、内定の段階で確認しておくと、入社後の見え方のずれを防げます。
4. 求人票と内定通知と労働条件通知書を並べます
求人票と、内定の段階で受け取る書類とで、どの欄を並べて確認するかを整理します。
【表1】求人票と内定時の書類で確認する項目
| 確認する項目 | 求人票に書かれること | 内定時に照らす書類 |
|---|---|---|
| 賃金 | 基本給・固定残業代・想定年収の内訳 | 内定通知書の総支給額と労働条件通知書の内訳 |
| 勤務地 | 勤務地の範囲や転勤の有無 | 内定通知に書かれた勤務地と一致するか |
| 就業時間 | 所定労働時間や裁量労働の適用 | 労働条件通知書に記載された始業・終業時刻 |
| 契約期間 | 契約期間の定めの有無と試用期間 | 内定通知書に書かれた雇用形態と期間 |
表にまとめた4つの項目は、いずれも求人票の段階では概要として示され、内定の段階で具体的な数字や条件に置き換わります。表現が変わっただけか、内容が変わったのかは、この対応を頭に置いて見比べると判断しやすくなります。
賃金の欄は、内定通知書の総支給額だけでなく、労働条件通知書に書かれた内訳まで確認します。基本給の金額そのものが、求人票の想定年収から逆算した金額と違う場合は、確認が必要な差です。
勤務地と就業時間、契約期間についても、求人票の表現と内定時の書類の表現を、この表と同じ並びで確認すると、見落としを減らせます。1つの欄だけを見て安心せず、4つの項目をひととおり確認してから判断します。
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5. 申し入れから回答までの流れを示します
求人内容と違う内定に気づいた点を会社に伝えるときは、口頭だけでなく、メールや書面など残る形で問い合わせます。件名や本文に、求人票のどの記載と内定通知のどの記載が違うのかを具体的に書き、いつまでに回答がほしいかも添えます。
問い合わせから1週間ほど経っても回答がない場合は、催促のメールを送ります。このときも、最初の問い合わせと同じ記録を残る形で行い、日付を記録しておきます。回答が来た場合は、その内容もあわせて保存します。
入社を決めた後、あるいは入社した後に相違点が解決していないと分かった場合は、社内の窓口だけでなく、後述する公的な相談窓口も選択肢になります。入社前に残しておいた記録が、そのときの相談材料になります。
6. 内定条件を確認する際に残す記録を整理します
求人内容と違う内定に気づいたときに残しておきたい記録を整理します。
内定条件を確認する際に残す記録
- 求人票の保存:応募した時点の求人票を、画面ごと保存しておきます
- 内定通知書:郵送やメールで届いた内定通知書の原本を残します
- やり取りの記録:条件について確認したメールや書面を消さずに残します
- 相違点のメモ:求人内容と違う点を、日付とあわせて書き出しておきます
求人票は、応募後に募集が終了すると閲覧できなくなる場合があります。応募した時点でスクリーンショットや印刷などの形で保存しておくと、後から見比べる際の元になります。
内定通知書と、届いていれば労働条件通知書も、原本またはデータをそのまま残します。要約したりメモに書き写したりすると、細かい表現の違いが分からなくなることがあります。
会社とのやり取りは、電話ではなくメールや書面で行うと、内容がそのまま記録に残ります。電話で確認した場合は、直後に内容をメールで送り、認識に相違がないかを確認する方法もあります。
4つの記録はどれも、内定を承諾するかどうかの判断だけでなく、入社後に相違が残っていた場合の相談にも使えます。残しておくこと自体が、後から自分を助ける材料になります。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 内定通知の給与が求人票より低いとき何を確認すればよいですか?
A. 求人票の給与欄と、内定通知書・労働条件通知書に書かれた金額を並べて確認します。基本給と固定残業代、想定年収の内訳が分かれているかを見ます。差の理由が説明できない場合は、書面で確認を求めます。
Q2. 会社に確認を申し入れても回答がない場合どこに相談できますか?
A. 厚生労働省の総合労働相談コーナーに相談できます*3。労働条件に関する相談を、専門の相談員が電話や面談で受け付けています。
Q3. 求人内容と違う内定を理由に内定を辞退できますか?
A. 内定の辞退は基本的にできます。これまでのやり取りの記録を残したうえで、辞退の連絡もメールや書面など残る形で行います。
Q4. 入社した後に求人内容と違う点に気づいた場合どこに相談できますか?
A. 労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます*3*4。入社前に残しておいた求人票や内定通知書の記録が、相談の際の材料になります。
Q5. 求人サイトの表示と内定通知書の内容が違う場合どちらを優先しますか?
A. 個別の合意内容を示すのは内定通知書や労働条件通知書です。求人サイトの表示はあくまで募集時点の案内なので、違いがあれば内定時の書類の記載を基準に考え、疑問が残る場合は会社に確認します。
8. まとめ:求人内容と違う内定は記録で対応します
この記事のまとめ
- 求人内容と違う内定に気づいたら、求人票と内定通知書、労働条件通知書を並べて確認します
- 転職で賃金が『減少』した人は29.4%、『変わらない』人は28.4%です*1。条件は思い込みで判断せず、書面の数字で確認します
- 一般労働者の賃金の全国計は月340.6千円です*2。内定通知の金額をこの数字とも照らして確認します
- 差が出やすいのは賃金・勤務地・就業時間・契約期間の欄です。気づいた点は日付とあわせて記録に残します
- 会社に確認しても解決しない場合は、総合労働相談コーナーや労働基準監督署に相談できます*3*4
求人内容と違う内定は、珍しいことではありません。求人票は募集時点の概要であり、内定の段階で具体的な条件に置き換わる過程で、書き方や中身に差が生まれます。大切なのは、違いに気づいた時点で書面をそろえ、会社に確認し、やり取りを記録に残すことです。会社への確認で解決しない場合は、総合労働相談コーナーや労働基準監督署といった公的な窓口も選択肢になります。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
*1 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(2025年公表)
*2 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査の概況」(2026年3月公表)
*3 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
*4 厚生労働省「相談機関のご紹介」(確かめよう労働条件)
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