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EM転職で不採用になる3つの理由|AI時代に「組織を動かすエンジニア」が市場で評価される現実

AI時代のEM転職の市場価値とリモートワーク正社員ロードマップを解説する記事のアイキャッチ画像

上流工程に携われるエンジニア、つまり企画・要件定義・設計・マネジメントができる方は、転職が決まりやすい傾向が続いています。一方で、コーディングのみのスキルでは差別化が難しくなっています。背景には、AIがコードを書く時代の本格化があります。EM(エンジニアリングマネージャー)は、その変化の中で最も市場価値が高まっている職種のひとつです。この記事では、転職エージェントの視点からEM転職の実態と成功ロードマップをお伝えします。

この記事のポイント

  • AIがコーディングを代替し始めた今、「企画・設計・マネジメント」ができるエンジニアへの需要が高まっています。
  • EMは「技術×組織を動かす力」を持つため、転職市場での希少性が高まっています。EMの想定年収帯は一般的に700万〜1,500万円程度、最多帯は1,000万円前後とされています*5
  • 情報通信業のテレワーク実施率は56.3%(2025年7月、パーソル総合研究所)で、EMのリモートワーク対応求人も広がっています*2
  • 不採用になりやすいのは「過去の実績語りのみ」「数字がない」「技術かマネジメントかに偏っている」の3パターンです。
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1. EM(エンジニアリングマネージャー)の転職市場における価値と需要

EM転職市場の需要とAI時代の価値変化を示すイメージ画像

エンジニアリングマネージャー(EM)の転職市場では、技術力とマネジメント力を兼ね備えた人材への需要が高まっています。AIによるコーディング自動化が進む2026年現在、「コードが書けるだけ」から「企画・設計・マネジメントができる」エンジニアへと、市場の評価軸が移っています。EM求人の想定年収帯は、JAC Recruitmentの市場解説で一般的に700万〜1,500万円程度、最多帯は1,000万円前後とされています*5。EM求人は一般的なエンジニア求人より数が限られるため、転職活動には3〜6か月程度を見込む方が多い傾向です。経済産業省の推計では2030年までにIT人材が最大約79万人不足するとされており*1、特にマネジメントができる技術人材の希少価値は、今後も高い水準が続く見通しです。

EM(エンジニアリングマネージャー:Engineering Manager)とは、エンジニアチームのマネジメントに特化した職種です。技術の専門知識を持ちながら、チームメンバーの採用・育成・評価・1on1を担い、組織全体の生産性を高めます。プロジェクト管理を担うPM(プロジェクトマネージャー)や、製品方向性を担うPdM(プロダクトマネージャー)とは異なり、エンジニア組織そのものに向き合う点がEMの特徴です。

表1:EM転職・ITエンジニア市場に関連する主要データ(2025〜2026年)

項目データ・概要出典
情報通信業のテレワーク実施率56.3%(2025年7月、業種別で最上位)パーソル総合研究所「第十回・テレワークに関する調査」(2025年8月公表)*2
テレワーク実施率(全業種・正社員ベース)22.5%(2025年7月)同上*2
テレワーク制度導入割合20.9%(令和6年)国土交通省「令和6年度テレワーク人口実態調査」(2025年3月公表)*3
IT人材不足推計(2030年)最大約79万人経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年3月公表)*1
上流工程スキルへの需要AIによる自動化の影響を受けにくく、長期的に安定した需要が見込まれるアイティークロスメディア「2026年エンジニア需要予測」(2026年)*6
EM求人の想定年収帯一般的に700万〜1,500万円程度、最多帯は1,000万円前後JAC Recruitment「エンジニアリングマネージャー市場解説」*5

1-1. AI時代に「上流工程×マネジメント」が求められる理由

上流工程に携われるエンジニア、つまり要件定義・設計・プロジェクトマネジメントができる方は、コーディングのみのスキルを持つ方と比べて転職が決まりやすい傾向にあります。この傾向は2024年ごろから特に顕著になりました。背景にあるのはAIの進化です。GitHub CopilotやCursorといったAIコーディングツールが急速に普及し、実装作業の多くがAI支援を前提としたものになりつつあります。アイティークロスメディアが2026年に公表した分析では、要件定義・設計・プロジェクトマネジメントといった上流工程のスキルを持つエンジニアは、AIによる自動化の影響を受けにくく、長期的に安定した需要が見込まれるとされています*6。この変化の中で、EMは「技術を理解しながら組織を動かせる」という、まさにAIが代替しにくい能力を持つ職種です。

1-2. EMへの需要が高まり続ける3つの背景

第一に、エンジニア組織の大規模化です。DX推進やAI活用に伴い、エンジニアの人数が増え続けています。特にスタートアップでは、シリーズB以降に専任EMを初めて採用する動きが広がっています。第二に、AI組織設計のニーズです。生成AIを活用した新規開発チームや、AI推進を担うエンジニア組織でEMの必要性が高まっています。第三に、リモートワーク対応の組織設計ニーズです。分散した環境でチームを機能させるには、仕組みで動く組織設計が欠かせません。「リモートマネジメントが得意なEM」の価値は、以前より高まっています。

2. EM転職で求められるスキルと経験の棚卸し方

EM転職の選考では「技術力」と「マネジメント力」の両方が評価されます。どちらか一方だけでは、企業が求めるEMの役割を果たせないと判断されることがあります。

2-1. EMに求められる2種類の力

テクノロジーマネジメントとは、技術選定・アーキテクチャ設計・技術的負債の解消を主導する力です。EMになってもコードから完全に離れるわけではなく、「技術的に信頼できるマネージャー」であり続けることがチームの信頼の源泉になります。AI時代においては、「AIをどう使えばチームの生産性が上がるか」を判断できることも、テクノロジーマネジメントの一部になっています。

ピープルマネジメントとは、メンバーの採用・育成・評価・1on1を担う力です。個々のエンジニアの成長を支え、チームの心理的安全性をつくります。技術力だけでは語れない、人と向き合う力が問われます。

表2:テックリードとエンジニアリングマネージャー(EM)の役割比較

項目テックリードエンジニアリングマネージャー(EM)
主な責任範囲技術的意思決定・コードレビューピープルマネジメント・組織設計
評価の軸技術的品質・アーキテクチャの質チームの生産性・メンバーの成長
1on1の位置づけ補助的(任意のことが多い)必須(週次〜隔週が一般的)
採用への関与技術面接の担当採用基準の策定・面接設計全般
評価制度との関わり技術観点から意見を出す評価基準の策定・評価面談の実施
AI時代における差別化AIの活用で技術スピードを上げるAIが代替しにくい、人・組織を動かす力
キャリアの延長線シニアエンジニア・アーキテクトVPoE(VP of Engineering)・CTO

2-2. 選考で評価されやすいエピソードの種類

EM転職で評価されるのは「何をしてきたか」よりも「何を変えたか」です。次のような経験があると、選考での評価につながります。

  • メンバーの育成実績(例:ジュニアエンジニアが独り立ちするまでのサポート内容)
  • 採用活動への関与(例:採用基準の設計・面接フロー改善・採用した人数)
  • 技術的負債の解消(例:レガシーシステムのリファクタリングをどのように主導したか)
  • チームの生産性向上(例:デプロイ頻度の改善・インシデント対応の仕組み化)
  • AI活用の推進(例:AIツールをチームに導入し、生産性がどれだけ変わったか)
  • 組織設計への関与(例:等級制度の設計・1on1の仕組み導入)

「チームのリリース頻度を月1回から週2回に改善した」「3か月で2名のジュニアエンジニアを独り立ちさせた」といった具体的な数字は、採用担当者の印象に残ります。

3. 「初めてのEM転職」と「EM経験者の転社」では何が違うか

EM転職には2つのパターンがあります。それぞれ、準備すべきことと企業が評価するポイントが異なります。

テックリード→EM(初めてのEM転職):一般的に5年以上のエンジニア経験が前提です。30〜100人規模のスタートアップ(シリーズB〜C)は、裁量が大きく成長機会も多くあります。「なぜ技術職からマネジメントに転換したいか」という動機説明が欠かせません。プレイングEM(コードも書きながら)としてスタートする道もあります。「EM候補」として採用されるケースも多くあります。

EM→EM(EM経験者の転社):より高い年収帯・組織規模・事業フェーズへ移る方が多くいます。非公開求人へのアクセスがより重要になります。実績(チームの成長・採用数・KPI改善)の定量化が鍵になります。「次のEMとして何を変えたいか」という組織設計ビジョンが問われます。リモートワーク環境でのマネジメント実績があると、評価が高まりやすくなります。

初めてのEM転職では「意欲とポテンシャル」が評価の比重として高くなります。EM経験者の転社では「実績の再現性」が問われます。自分がどちらのパターンかを明確にしたうえで、職務経歴書と面接の準備を変えることが、転職活動の効率を高めます。初めてのEM転職であれば、30〜100人規模のスタートアップ(シリーズB〜C)をおすすめするケースが多くあります。規模の大きい組織では既存の組織設計が固まっており、EMとしての裁量が限られることがあります。シリーズB〜C段階では「組織をつくっていく過程」に携われるため、EMとしてのキャリア形成において成長機会が多い傾向にあります。

4. EM転職を成功させる4つのステップ

EM転職を成功させる4ステップのロードマップを示すイメージ画像

ステップ1:転職の軸を3つに絞る

年収・働き方・組織規模・技術スタック・事業領域など、優先したいことを3つ以内に絞ります。「マネジメント範囲を広げたいのか」「技術に近い役割を維持したいのか」「リモートワークを優先したいのか」という問いへの答えが、EMの求人選びの軸になります。転職エージェントへの相談時にこの3軸を伝えると、紹介精度が上がります。

ステップ2:職務経歴書にマネジメント実績を具体的に記載する

「技術経験〇〇年、マネジメント経験あり」では、書類通過につながりにくいことがあります。採用担当者が知りたいのは「どんなチームを、どんな状況で、どのようにマネジメントして、どんな成果を出したか」です。担当チームの規模(人数・職種構成)、1on1の頻度・評価プロセスへの関与度、採用への関与(面接担当数・採用実績人数)、定量的な成果(デプロイ頻度の改善・オンボーディング期間の短縮など)を記載しましょう。

ステップ3:面接では「組織への貢献イメージ」を具体的に語る

EM転職の面接では「なぜこの会社か」「入社後に何をしたいか」が必ず問われます。技術的な関心だけでなく「この組織のどこに課題があり、自分のどんな経験が活かせるか」という組織視点が重要です。事前に会社の開発ブログや採用ページを確認し、組織課題への仮説を持っておくことをおすすめします。

ステップ4:転職エージェントを活用して非公開求人にアクセスする

EM求人には非公開のものが多くあります。エージェントに相談する際は、リモートワーク対応の希望(フルリモートか、ハイブリッドも可か)、チーム規模・事業フェーズの希望、技術スタックへの関心、転職時期の目安を明確に伝えると紹介精度が上がります。

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5. EM転職で不採用になりやすい3つのパターン

パターン1:「過去の実績語り」で終わり、貢献イメージが見えない

「前の会社でこれだけやった」という説明は、それ自体に説得力があっても、「だからこの会社でも活躍できる」という橋渡しがないと、採用担当者には「他社の話」として受け取られることがあります。特にEM転職では、入社後の組織課題への解像度が問われます。志望企業の開発体制・組織規模・採用状況を事前に調査し、「入社後の最初の90日で何をするか」を言語化しておきましょう。

パターン2:管理職経験が数字で語れない

「マネジメント経験があります」という記載だけでは、採用担当者に実態が伝わりません。チームの人数・1on1の頻度・採用への関与度・成果の変化など、具体的な数字がないと、EMとしての経験の深さが見えにくくなります。職務経歴書の職歴欄に「◯名のエンジニアチームのマネジメント」「◯名の採用面接を担当」など、数字を入れましょう。数字がない場合は「期間」と「変化」で語ります。

パターン3:技術かマネジメントか、どちらか一方に偏っている

「技術はできるがマネジメント経験が薄い」または「マネジメントはしてきたが技術の深みが不足している」という状態は、EM転職の選考で評価されにくい傾向にあります。EMは、技術的な文脈でメンバーと議論できることと、人を育て組織を動かすことの両方が求められる職種です。不足している側を補うエピソードを意識的に準備しましょう。技術が弱い場合は技術選定の経験を、マネジメントが弱い場合は育成・採用への関与を掘り起こします。

6. EMがリモートワーク正社員転職を実現する方法

EM転職でリモートワーク対応を希望する方は増えています。子育てや介護の都合、地方在住、通勤時間を1on1の質向上に充てたいといった理由から、リモートワーク対応の職場を優先する方が増えています。パーソル総合研究所「第十回・テレワークに関する調査」(2025年8月公表)によると、2025年7月のテレワーク実施率は全業種(正社員ベース)平均で22.5%ですが、情報通信業に絞ると56.3%です*2。これは全業種平均の約2.5倍にあたります。EM求人でもリモートワーク対応の選択肢が広がっており、地方在住のEMが首都圏の企業のポジションに就くケースも出てきました。一方で、一部では出社回帰の動きも見られるため、企業の方針は事前に確認することをおすすめします。

リモートワーク対応のEM求人を選ぶ際の3つの確認ポイント

  • 週の出社頻度と出社理由:「原則リモート・月1回出社」と「週3出社可」では柔軟性に大きな差があります。出社が必要なシーン(全体会議・採用面接など)を事前に確認しましょう。
  • 非同期コミュニケーションの文化:SlackやNotionを活用した非同期コミュニケーションが根づいているかどうかが、リモート環境でのEM業務のしやすさに直結します。
  • マネジメントスタイルとの相性:リモート環境でのマネジメントは「仕組み化」と「信頼構築」が重要になります。面接の場で確認しておくと、入社後のミスマッチを防げます。

7. EM転職でよくある質問(FAQ)

Q1:EMとは何ですか?テックリードやPMとの違いは?

EMとは、エンジニア組織のピープルマネジメントと技術判断の両方を担う管理職です。テックリードが「技術」中心でチームを導くのに対し、EMは「人と組織の観点」から広くチームを支えます。PMがプロジェクトの進行管理を担うのに対し、EMはエンジニアの採用・育成・評価に責任を持ちます。AI時代において、EMはAIが代替しにくい「組織を設計し人を動かす力」を持つ職種として、特に注目されています。

Q2:AI時代にエンジニアがEMを目指すメリットは?

AIがコーディングを代替し始めた今、「コードが書けるだけ」という状態では、転職市場での差別化が難しくなっています。要件定義・設計・プロジェクトマネジメントといった上流工程のスキルを持つエンジニアは、AIによる自動化の影響を受けにくく、長期的に安定した需要が見込まれるとされています(アイティークロスメディア、2026年)*6。EMはその上流工程の最上位に位置する職種であり、市場価値の観点からも転職を検討する価値があります。

Q3:EM転職は難しいですか?求人数は少ないですか?

一般的なエンジニア転職と比べると求人数が限られるため、転職活動に3〜6か月かかるケースが多くあります。選考回数は3〜5回が一般的で、技術面接・マネジメントスタイルの確認・カルチャーフィット・役員面接という構成が多い傾向にあります。ただし企業側の需要は高く、適切に準備をすれば選考通過の可能性は上がります。

Q4:テックリード経験だけでEM転職はできますか?

テックリード経験は、EM転職の有力な出発点です。一般的に5年以上のエンジニア経験が前提となりますが、プレイングマネージャー型(コードも書きながらチームをリードするスタイル)のEM求人では、テックリード経験が評価されることがあります。採用活動や評価設計に携わった実績があれば、さらに評価が高まります。企業によっては「EM候補」として採用するケースもあります。

Q5:EM転職でリモートワークは可能ですか?

可能です。情報通信業のテレワーク実施率は56.3%(パーソル総合研究所、2025年7月)であり、EM求人でもリモートワーク対応の選択肢が広がっています*2。週の出社頻度・非同期コミュニケーションの文化・マネジメントスタイルとの相性を事前に確認することをおすすめします。

8. まとめ:EM転職はAI時代のキャリア戦略と重なる

この記事のまとめ

  • AIがコーディングを代替し始めた今、「上流工程×マネジメント」ができるエンジニアへの市場評価が高まっています。EMはその代表的な職種です。
  • EMは転職市場で希少な存在です。技術とマネジメントの両方ができる人材への需要は、IT人材不足を背景に高い水準が続いています。
  • EM転職には「初めてのEM転職(テックリード→EM)」と「EM経験者の転社(EM→EM)」の2パターンがあり、準備のポイントが異なります。
  • 不採用になりやすいのは「過去の実績語りのみ」「数字がない」「技術かマネジメントかに偏っている」の3パターンです。
  • 情報通信業のテレワーク実施率は56.3%(2025年7月)で、リモートワーク対応のEM求人も増えています。

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出典・参考情報

*1 経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年3月公表)
*2 パーソル総合研究所「第十回・テレワークに関する調査」(2025年8月公表)
*3 国土交通省「令和6年度テレワーク人口実態調査」(2025年3月公表)
*4 リラシク(株式会社LASSIC運営)公式サイト
*5 JAC Recruitment「エンジニアリングマネージャー(EM)への転職は未経験でも可能?転職市場動向や最新求人を解説」
*6 アイティークロスメディア「2026年エンジニア需要予測|将来性の高い分野と必要スキル」(2026年公表)
*7 エンジニアファクトリー「AI案件はなぜ増えているのか?案件構造から見るエンジニア市場の変化」(2026年4月公表)

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