従業員数の推移の見方|読める範囲

求人票や会社の採用ページには、従業員数という数字が載っている場合があります。この数字だけを見て、増えているから安心、減っているから不安と考えてしまうことがありますが、数字の変化だけでは会社の状態を判断できません。どこで数字を確認できるのか、そこから読み取れることと読み取れないことを分け、面接で確かめておきたい分を整理します。
数字の増減だけでは、体制の中身までは分かりません。読める範囲と読めない範囲を分けて、面接で確かめる分を残しておくことが要になります。
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この記事のポイント
- 従業員数は、上場企業の有価証券報告書や会社の採用ページ、求人票の会社概要欄などで確認できます
- 人数から読み取れるのは、大まかな体制の大きさや増減の方向までで、増減の理由や配属先の人数までは読み取れません
- 転職入職率は9.7%です*1。人の出入りはどの会社にも起きており、人数の増減だけでは中身が分かりません
1. 従業員数の推移の見方は、増減だけでは分かりません
従業員数の推移を確かめる際に効くのは、増えたか減ったかという方向だけではありません。どこで数字を見ているか、その資料からどこまで読み取れるかを分けて考えることです。有価証券報告書や採用ページ、求人票の会社概要欄など、数字を見られる場所はいくつかあり、それぞれ読み取れる範囲が異なります。読み取れない部分は、面接で確かめる分として残しておきます。
求人票や会社の採用ページに載っている数字を見て、増えているから安心、減っているから心配と考えたくなりますが、数字の変化だけで会社の状態を判断することはできません。
同じ人数の増加であっても、既存の部署が拡大した場合と、新しい部署が立ち上がった場合とでは、意味が変わります。数字の背景までは、数字そのものからは読み取れません。
確かめられる資料は、上場しているかどうかによっても変わります。上場していない会社では、有価証券報告書という資料そのものが存在しないため、採用ページや求人票が主な確認先になります。
ここでは、従業員数をどこで確かめられるか、そこから読み取れることと読み取れないことを分け、面接で確かめておきたい分を整理します。
2. 人の出入りは、どの会社にも起きています
人数が増えたり減ったりする背景には、入社と退職という人の出入りがあります。厚生労働省の雇用動向調査によれば、転職入職率は9.7%です*1。この数字は労働市場全体の転職入職率であり、特定の会社の状況を示すものではありません。
人の出入りがある以上、人数は年間を通じて動きます。ある時点の数字だけを切り取って増えた・減ったと判断すると、季節的な採用や退職の時期による変動を、体制の変化と取り違えることがあります。
増減そのものを問題視するのではなく、その数字がどの時点のもので、どの資料から得られたものかを確かめる姿勢が、見誤りを減らします。
退職者の人数そのものは、公開資料に記載されないことがほとんどです。従業員数という数字は、入社と退職を差し引いた結果であり、入れ替わりの多さそのものを示すものではありません。
確かめる資料には複数の種類があり、それぞれ得られる情報の範囲が異なります。次の項目で、読み取れることと読み取れないことを分けて整理します。
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3. 従業員数から読めることと読めないことを分けます
ここで、従業員数という数字から読み取れることと、読み取れないことを整理します。
確かめる観点ごとの、読み取れること・読み取れないこと
| 確かめる観点 | 読み取れること | 読み取れないこと |
|---|---|---|
| 組織の規模 | 大まかな体制の大きさ | 部署ごとの人数の配分 |
| 採用の動き | 増減の方向(増えたか減ったか) | 増減が起きた理由 |
| 体制の分かれ方 | 全体としての人数 | 自分が入る部署の人数 |
| 担当の広さ | 一定期間で人数の変化があったかどうか | 1人あたりの業務量 |
「組織の規模」は、全体としての人数から大まかな体制の大きさをつかむことができます。ただし、部署ごとにどう人数が配分されているかまでは、この数字だけでは分かりません。
「採用の動き」は、前の時点と比べて人数が増えたか減ったかという方向までは読み取れます。その増減がどのような理由で起きたのかは、数字の外側にある情報です。
「体制の分かれ方」は、全体の人数から把握できますが、自分が入る予定の部署に何人配置されているかは、別に確かめる必要があります。
「担当の広さ」は、一定期間で人数の変化があったかどうかまでは読み取れますが、1人あたりの業務量がどう変わったかは、数字からは読み取れません。
4つの観点はいずれも、読み取れる範囲と読み取れない範囲が分かれています。読み取れない部分を、数字が示していないものとして意識しておくと、後から実態と数字の印象がずれることが減ります。
4つの観点を確かめる順序に、決まりはありません。気になる観点から確かめ、読み取れない部分が見つかったら、面接で尋ねる項目としてまとめておく進め方で十分です。
4. 確かめる手順は、公開資料から面接まで4段階です
ここで、従業員数を確かめる際の手順を、4段階に分けて示します。
4段階のうち、最初の「公開資料で数字を見る」を飛ばして、求人票の記載だけを見てしまうことがあります。公開資料と求人票では、数字が更新されている時期がずれている場合があるため、まず公開資料を確認しておくと、比較の基準がそろいます。
「増減の時期を見る」段階では、1つの時点の数字だけで判断せず、複数の時点を比べることが要になります。1年前と比べて増えているのか、それとも一時的に増えて戻っているのかは、複数の時点を並べないと見えてきません。
「求人の記載と突き合わせる」段階では、募集している部署名や人数と、確認した人数の内訳が大きく食い違わないかを見ます。食い違いがあっても、それ自体が問題とは限らず、確かめる材料が増えたと捉えれば十分です。
「面接で配属の体制を聞く」段階は、数字からは読み取れなかった部分を埋める段階です。ここまでの3段階で分からなかったことを、面接でまとめて尋ねる形にすると、質問の的が絞りやすくなります。
有価証券報告書は決算のタイミングで更新されるため、直近の決算から時間が経っている場合、記載されている数字が実態とずれていることがあります。更新された時期も、あわせて確認しておくと見通しが立てやすくなります。
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5. 人数から読めた範囲を目盛りで示します
ここで、人数からどこまで読み取れているかを目盛りで示します。
読み取れた範囲は、「全体の人数しか分かっていない」と「配属先の体制まで分かっている」の間の、どこかに位置する状態として捉えると扱いやすくなります。
軸の左に近いほど、公開資料の数字しか確認できておらず、配属先の部署がどうなっているかは分かりません。軸の右に近いほど、求人の記載や面接を通じて、配属先の体制まで確かめが進んでいます。
位置を決めるのは、確かめた資料の数と、面接で尋ねた内容の広さです。会社の規模や、公開されている人数の大きさそのものは、この位置には関係しません。
軸を右に近づける作業は、公開資料を読むだけでは終わりません。求人の記載との突き合わせと、面接での質問を重ねることで、読み取れる範囲は広がっていきます。
軸の位置は、応募の段階が進むにつれて変わっていくものでもあります。書類選考の時点では左寄りでも、面接を重ねるうちに右へ動いていく、という進み方が一般的です。
6. 面接では、配属先の体制を具体的に尋ねます
公開資料や求人票だけでは読み取れない部分を、面接で尋ねる際の聞き方を整理します。
面接で尋ねる3点
- 配属予定の部署の人数:入社時に配属される予定の部署に、何人が配置されているかを尋ねます
- 増減があった時期の背景:全体の人数に大きな増減があった時期があれば、その背景を尋ねます
- 体制の変更予定:入社後に部署の体制が変わる予定があるかを尋ねます
3点をまとめて質問すると、面接の限られた時間のなかで答えが浅くなることがあります。優先順位をつけて、順番に尋ねる進め方のほうが、具体的な答えを引き出しやすくなります。
配属予定の部署の人数については、全体の従業員数とは別に尋ねる価値があります。全体の人数が多くても、配属予定の部署が少人数である場合もあります。
増減があった時期の背景は、確認した資料から読み取れなかった部分を埋める質問です。背景を尋ねることで、増減の方向だけでは分からなかった内容が見えてきます。
体制の変更予定は、入社後すぐに聞きにくい内容です。選考の段階で尋ねておくと、入社後に体制が変わった場合でも、想定していた範囲との差が小さくなります。
3点を尋ねた答えが曖昧に感じられる場合、その場で重ねて質問するよりも、次の面接の機会にあらためて尋ねるという進め方があります。1度の面接で全てを確かめきる必要はありません。
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7. よくある質問|人数の見方で確認しておきたいこと
Q1. 人数が減っている会社は、避けたほうがよいですか。
A. 減少そのものが避けるべき理由になるとは言えません。減少の背景は資料からは読み取れず、部署の統合や事業の見直しなど、複数の理由が考えられます。気になる場合は、面接で背景を尋ねる進め方があります。
Q2. 有価証券報告書に載っている従業員数は、どの会社でも確認できますか。
A. 確認できるのは、有価証券報告書を提出している上場企業などに限られます。非上場の会社の場合は、採用ページや求人票の会社概要欄に記載があるかどうかを確かめる形になります。
Q3. 求人票に書かれている人数は、いつの時点の数字ですか。
A. 記載されている時点は、会社によって異なります。更新されていない場合もあるため、記載されている時点がいつかを、応募先に確認しておくと見通しが立てやすくなります。
Q4. 面接で人数の増減について質問すると、選考に影響しますか。
A. 一律には言えません。体制や配属先について確認する目的の質問であり、公開されている数字について尋ねること自体は一般的です。聞き方に迷う場合は、配属予定の部署の人数から尋ねると始めやすくなります。
8. まとめ:人数の増減は、読める範囲を分けて確かめます
この記事の要点
- 従業員数は、有価証券報告書や採用ページ、求人票の会社概要欄などで確認できます
- 人数から読み取れるのは、大まかな体制の大きさや増減の方向までで、増減の理由や配属先の人数までは読み取れません
- 確かめる手順は、公開資料を見る→増減の時期を見る→求人の記載と突き合わせる→面接で配属の体制を聞くという4段階です
- 面接では、配属予定の部署の人数、増減があった時期の背景、体制の変更予定の3点を尋ねます
人数の推移を確かめるときに効くのは、増えたか減ったかという方向だけではありません。どこで数字を見て、そこから何が読み取れ、何が読み取れないかを分けることです。読み取れない部分は、面接で確かめる分として残しておけば、入社後に体制の実態と数字の印象がずれることを減らせます。1つの資料だけで判断せず、複数の資料と面接を組み合わせて確かめる姿勢が、見誤りを防ぎます。人の出入りはどの会社にも起きているものであり、数字の増減そのものを、優劣の判断材料として扱う必要はありません。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
出典・参考情報
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