社内の承認を通した経験|説明の順番で伝わる

エンジニアの転職活動では、社内で技術の必要性を通した経験をどう伝えるか迷う場面があります。伝わりやすさを分けるのは技術の中身ではなく、誰に何をどの順で示したかという説明の順番です。ここでは、稟議を通した経験を、書類や面接で使う順番に絞って整理します。
転職の書類や面接で伝わるのは、稟議を通した技術の正しさではなく、誰に何をどの順で示したかという説明の順番です。
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この記事のポイント
- 稟議を通した経験は、技術の正しさではなく、誰に何をどの順で示したかという説明の順番に置き換えられます
- 困りごとから決める人に渡すまでの流れを分けて振り返ると、書類や面接で使える順番が揃います
- 一般労働者の平均年齢は44.4歳、女性の賃金ピーク(45〜49歳/55〜59歳)は305.7千円です*1。年齢によって労働市場の前提が変わる例として参照します
1. 社内の稟議を通した経験は、説明の順番として転職に伝わります
社内で技術の必要性を通した経験は、その内容の正しさではなく、誰に何をどの順で示したかという説明の順番として転職の書類や面接に伝わります。ここでは、稟議を通した経験を、示した相手と順番に絞って整理します。
エンジニアが社内で新しい技術やツールの必要性を通そうとするとき、担当者の判断だけでは進まず、稟議や承認の手続きを経る場面があります。転職の書類や面接では、この経験をどう伝えればよいか迷うことがあります。
伝わりやすさを分けるのは、通した技術そのものの正しさではありません。誰に何を示し、どの順番で伝えたかという説明の順番です。技術の中身を詳しく話しても、聞き手が判断できる材料にならなければ、経験として伝わりません。
稟議を通すまでの流れは、困りごとを言葉にすることから始まります。次に、その困りごとを放置した場合の影響を示し、代わりになる案をいくつか並べたうえで、最終的に決める人に判断材料を渡す、という順番で進みます。
稟議を通す相手は、1人とは限りません。最初に確認する上長と、最終的に決裁する人が別であることも多く、同じ内容を同じ言い方でどちらにも渡せばよいとは限りません。誰が最初に確認し、誰が最終的に決めたかを分けて振り返っておくと、書類や面接でも答えやすくなります。
在籍していた会社の体制や、決裁までにかかった日数を細かく振り返る必要はありません。示した相手と、示した順番だけを言葉にすれば、書類にも面接にも使える形になります。
以下では、この流れを4段に分けたうえで、書類や面接で示したことと相手が見る点を対応させ、判断材料への置き換え方まで順に整理します。
2. 困りごとから決める人まで、4段でつなぎます
稟議を通すまでの流れは、4つの段に分けられます。順番に進めると、通した技術の説明に時間を使わずに整理できます。
最初の段は、困りごとを言葉にすることです。放置された場合に何が起きるかを、担当者の視点から言葉にします。
次の段は、その困りごとを放置した場合の影響を示すことです。影響は、担当者本人だけでなく、関わる範囲にどう及ぶかまで言葉にします。
3つ目の段では、代わりになる案をいくつか並べます。1つの案だけを示すと、他の選択肢を検討していないという見え方になります。
最後の段で、並べた案を決める人に渡します。決める人が必要とするのは、案そのものよりも、選ぶための判断材料です。
4つの段は、担当していた業務や部署の種類が変わっても、同じ順番のまま使えます。技術的な領域が変わっても、困りごとから決める人に渡すまでの流れ自体は変わりません。
3. 示したことと相手が見る点を対応させます
稟議で示したことと、転職の書類や面接で相手が見る点は、必ずしも同じではありません。
下の表は、示したことと相手が見る点、面接での言い方を対応させたものです。
示したこと・相手が見る点・言い方の対応
| 示したこと | 相手が見る点 | 面接での言い方 |
|---|---|---|
| 困りごとの言葉にし方 | 課題をどう捉えていたか | 困りごとをどう言葉にしたかから話します |
| 影響の示し方 | 影響の範囲をどう見ていたか | 放置した場合の影響をどう示したかを伝えます |
| 代わりの案の並べ方 | 選択肢をどう検討したか | 案をいくつ並べ、どう比べたかを話します |
| 決める人への渡し方 | 誰にどの順で渡したか | 誰に何をどの順で渡したかを伝えます |
表の4行は、稟議で示したことと、転職の書類や面接で相手が見る点を、それぞれ対応させたものです。答え方の軸を先に決めておくと、書類と面接で話がずれません。
困りごとの言葉にし方は、書類にも書けます。面接で課題をどう捉えていたかを聞かれた場合は、困りごとをどう言葉にしたかから話します。
影響の示し方は、稟議の中でも重視される点です。面接で影響の範囲をどう見ていたかを聞かれたときは、放置した場合の影響をどう示したかを伝えます。
代わりの案の並べ方は、検討の幅を示す材料になります。面接で選択肢をどう検討したかを聞かれた場合は、案をいくつ並べ、どう比べたかを話します。
決める人への渡し方は、伝える順番そのものです。面接で誰にどの順で渡したかを聞かれたときは、誰に何をどの順で渡したかを伝えます。
4つの軸に共通しているのは、通した技術の正しさではなく、示した相手と順番を軸にしている点です。次の項目では、示したことを、決める人が判断できる材料に置き換える考え方を見ていきます。
面接の前に、この4行を自分の経験に当てはめて書き出しておくと、聞かれた瞬間に答え方の軸がぶれずに済みます。
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4. 技術の説明を、判断できる材料に置き換えます
稟議で決める人が知りたいのは、通した技術がどれだけ高度かということではありません。放置した場合に何が起き、代わりにどの案があり、どれを選べばよいかという判断材料です。
技術の中身を詳しく説明しようとすると、専門用語を並べる話し方になりがちです。専門用語を並べるほど、決める人が判断できる材料からは離れていきます。
決める人が技術の詳細を理解している立場とは限りません。困りごとと影響、代わりの案を、決める人が普段判断している言葉に置き換えることで、伝わり方が変わります。
転職の面接でも同じことが起きます。面接官が技術の詳細を評価しているとは限らず、困りごとと影響、代わりの案をどう並べて渡したかという説明の順番を見ています。
判断材料になっているかどうかは、その一文だけで賛成か反対かを答えられるかで見分けられます。技術的な正しさの説明は、詳しくなるほど、この問いに答えにくくなります。
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5. 記録・整理・提示を3段で積み上げます
稟議を通すまでに示したことは、3段に積み上げて整理できます。土台、中段、頂点の順に材料が変わります。
土台は、起きていたことの記録です。困りごとがいつ、どこで、どの程度起きていたかを、感想を交えずに記録します。
中段は、影響の整理です。土台で記録した困りごとが、放置された場合にどの範囲まで及ぶかを整理します。
頂点は、判断材料の提示です。土台と中段を踏まえて、決める人が選べる形にして渡します。代わりの案を並べるところまでが、この段に含まれます。
3段のうち、どこが弱くても、渡した材料は判断しにくくなります。土台の記録が曖昧なら、中段の影響も整理しづらく、頂点の提示も説得力を持ちません。
この3段は、前の項目で挙げた4段の流れとも対応します。困りごとを言葉にし、影響を示す部分が土台と中段にあたり、案を並べ、決める人に渡す部分が頂点にあたります。
6. 通した経験を3つの視点で棚卸しします
稟議を通した経験を振り返るとき、視点を分けておくと棚卸ししやすくなります。
棚卸しの3つの視点
- 困りごとの視点:何が起きていて、誰がそれに気づいていたかを振り返ります
- 影響の視点:放置した場合にどこまで影響が広がるかを振り返ります
- 渡し方の視点:誰に何をどの順で渡し、誰が最終的に決めたかを振り返ります
3つの視点は、困りごと・影響・渡し方のどこから振り返るかが違うだけで、確認する内容は同じです。
困りごとの視点は、書類の職歴欄のように、事実を先に置きたい場面に向きます。何が起きていて、誰がそれに気づいていたかを振り返ります。
影響の視点は、面接で影響の範囲を聞かれた場面に向きます。放置した場合にどこまで影響が広がるかを振り返ります。
渡し方の視点は、面接で決裁までの流れを聞かれた場面に向きます。誰に何をどの順で渡し、誰が最終的に決めたかを振り返ります。
3つの視点は組み合わせて使うこともできます。書類では困りごとの視点から書き、面接で影響を聞かれたら、そこで視点を切り替えて答える進め方もできます。
棚卸しは1度で終える必要もありません。書類を出す段階と、面接が進んだ段階とで振り返り直すと、そのつど答え方の軸を整えられます。
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7. よくある質問(Q&A)
Q1. 社内の稟議を通した経験は、技術職以外でも評価されますか。
A. 評価の対象になり得ます。稟議を通す経験で示すのは、困りごとと影響、代わりの案を、誰にどの順で渡したかという説明の順番であり、技術職に限りません。管理部門や営業部門の稟議でも、同じ順番で振り返れます。
Q2. 稟議が通らなかった経験しかない場合、書類や面接で話せますか。
A. 話せます。通ったかどうかよりも、困りごとをどう言葉にし、どの順で渡そうとしたかという流れ自体が、説明できる材料になります。通らなかった理由を振り返ることも、次に渡す順番を見直す材料になります。
Q3. 決裁までにかかった期間は、書類に書く必要がありますか。
A. 必須ではありません。期間よりも、示した相手と順番を中心に書けば、稟議を通した経験として伝わります。期間の長さそのものを評価の材料にする必要はありません。
Q4. 稟議を通す過程で関わった人数や部署の数は、伝えたほうがよいですか。
A. 必要な範囲で構いません。人数や部署の数そのものより、誰に何をどの順で渡したかという流れを伝えることが中心になります。数を強調しても、判断材料の代わりにはなりません。
8. まとめ:稟議を通した経験は伝える順番に集約されます
この記事の要点
- 稟議を通した経験は、技術の正しさではなく、誰に何をどの順で示したかという説明の順番に置き換えられます
- 困りごとを言葉にする、影響を示す、案を並べる、決める人に渡すという4段の流れに沿うと、書類や面接で使える順番が揃います
- 示したことと相手が見る点を対応させておくと、書類と面接で話がずれません
- 棚卸しの視点は3つあり、困りごと・影響・渡し方のどこから振り返るかを選べます
- 一般労働者の平均年齢は44.4歳、女性の賃金ピーク(45〜49歳/55〜59歳)は305.7千円です*1。年齢によって労働市場の前提が変わる例として参照します
社内で技術の必要性を通した経験は、その内容の正しさではなく、誰に何をどの順で示したかという説明の順番として転職に伝わります。困りごとと影響、代わりの案を、決める人が選べる形にして渡した経験を振り返っておくと、書類にも面接にも使える材料になります。棚卸しの仕方に迷う場合は、専任エージェントに相談しながら整理することもできます。
※公開中の求人数は時期によって変わります。記事中の求人の傾向は執筆時点のものです。
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